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独特な設定などありませんが、解法を豊富にしておく必要があります。全ての問題が計算式などを書かせるタイプです。数の性質や条件整理の問題に強いタイプ向きです。
慶應付属校の3校の中で唯一の男子校です。入試では男子校では珍しく面接(本人のみ)と体育実技があります。高校進学の際には、慶應義塾高等学校・慶應義塾志木高等学校・慶應義塾湘南藤沢高等部・慶應義塾ニューヨーク学院の中から希望する進学先を選ぶことができます。ただし、湘南藤沢高等部への進学者数については制限があります。
文化祭にあたる「労作展」では、生徒それぞれが芸術分野あるいは論文などの学術分野の作品を、自由にテーマを決めて作り上げます。
入試問題はどの科目も奇抜な設定や独自性の強い問題はなく、慶應付属校3校の中でも、最もスタンダードと言えるでしょう。ただし、例えば理科や社会の問題で求められる知識は机上の勉強だけでは得られないものが含まれ、2024年度の理科では、2008年度にも出題された「カレーライスの作り方」が出題対象になりました。
国語でも言葉の知識を豊富に持っていることが求められます。普段の生活で目にする常識にアンテナを張って吸収する習慣がいかに身についているかを、テストを通じて確かめようというスタンスが見受けられます。
また、どの科目も制限時間に対して問題数が多く、スピーディーに問題を処理する力も求められます。幅広く知識を培う意識と、その知識を丁寧に、かつ迅速に処理する努力を地道に築き上げることが同校を受験するうえでは大前提となります。
独特な設定などありませんが、解法を豊富にしておく必要があります。全ての問題が計算式などを書かせるタイプです。数の性質や条件整理の問題に強いタイプ向きです。
言葉の知識レベルを高度に完成させておく必要があります。抽象的な表現の読み取りへの慣れが求められます。正確な処理能力を備え、選択肢問題に強いタイプ向きです。
問題の種類が多岐に渡ります。スピーディーに問題を処理する力が求められます。論理的思考を必要とする難問が多いです。記述問題・作図問題に強いタイプ向きです。
問題数が多く高速で解答する力が求められます。日常生活で見られる知識や世界情勢に関する知識なども必要です。幅広い知識を持ち高速で解答できるタイプ向きです。
2024年度は大問9題で小問が全13題の構成です。大問1は計算問題が2題、大問2が数の性質から分数の問題、大問3が比の性質の問題、大問4が面積比の問題、大問5が点の移動の問題、大問6が旅人算の問題、大問7が水深変化の問題、大問8が条件整理の問題、そして最終の大問9が角度の問題でした。
全ての問題が途中の計算式などを書かされる問題です。慶應普通部の算数は、一見すると複雑に見えなくても、解答の方針を立てるには、十分な知識と問題を解きやすくするための加工が必要です。特に数の性質や比の性質、条件整理、また平面図形の問題は難度が高く、解答のポイントを見つけ出さなければ解答に行き着けなくなります。2024年度であれば大問6の速さの問題では、ダイヤグラムをスピーディーにかいて解く力、速さの変化を平均で対応させるといった、解答方針を思考させるタイプの問題でした。
ただ、ひらめきを求めるようなタイプの問題ではなく、普段の演習で培った解法をしっかり覚えて、それを活用する意識で問題を注視すれば活路は見出せます。普通部の算数はスタンダードという固定観念で、普段の演習で標準レベルの問題ばかりを解くような対策ではなく、ひとひねりされた応用問題も数多く解いておくようにしましょう。
全体的に標準レベル以上の問題が多いですが、その中でも速さの問題と平面図形の問題の一部は、解答方針が立てやすく、立式までのプロセスが複雑ではない問題が多いです。合格ラインを突破するポイントは、速さの問題、平面図形の問題の解法を多く備えておくことです。速さであれば2024年度の大問6のようにグラフや比を活用する、平面図形であれば2024年度の大問2のような面積比の重要項目をおさえておく必要があります。
もちろん計算問題は確実に満点が取れるように、普段から練習を重ねておく必要があります。そして全ての問題で途中の計算式などを書かなくてはなりませんので、まずは式を丁寧にかく練習を重ねておくこと。特に数字を見やすくかくことは必須としてください。
そして時間配分に注意が必要です。慶應普通部の問題は小問数が1題の大問が多い特徴があります。大問ごとに自分にとっての難度を確かめて、難しいと感じる問題はすぐに抜かす判断をしましょう。2024年度であれば最終問題の難度が非常に高いものでしたので、このような難問は抜かして他の問題の見直しに時間を費やす判断が必要になります。
まず速さの問題、平面図形の問題の中には、難度が高くない問題が含まれるため、受験生の多くが得点するものと考えて、確実にかつスピーディーに正解を手にするように、これらの単元でのもれがないようにしておきましょう。
そのうえで、合格ラインを突破するポイントは、数の性質や条件整理で見られる難問で正解を得ることにあります。数の性質も条件整理も、一部の男子校で見られるような複雑極まりないパターンではありません。ただし、問題のどの要素を活用すればよいのかが見つけづらい特徴があります。2024年度であれば、大問7の2つめの小問では調べ上げる作業が必要になるので、解答方針を早めに立てる姿勢が求められました。
同単元の難度の高い問題を多く解くことはもちろんですが、考え方をしっかり整理してから解く習慣を身につけておく必要があります。単なるひらめきではなく、既習の要素を活用する訓練を積んでいれば解ける難問をそろえているところに、弛まぬ努力をしてきた生徒に入学して欲しいという普通部のメッセージが感じられます。
計算式をかく必要がありますので、算数が得意だからといって頭の中だけで処理する癖がついていないかチェックをして、丁寧に見やすい式をかく意識を固めておいてください。解答欄の使い方に慣れるためにも、市販の解答用紙を原寸大にコピーしておくことも有効な対策です。
また、問題数が多いため、算数が得意でも時間配分への意識は高く持つ必要があります。上述の通り、2024年度の最終問題は難問でしたので、このような問題にどこまで時間をかけるかは瞬時に判断して、場合によっては抜かすという決断が不可欠です。
2024年度は大問3題で、小問数が全28題の構成です。大問1が物語文読解、大問2が随想的な論説文読解、そして大問3が漢字の書き取り10題でした。大問3ですが、年度によって漢字と知識問題が混在することがあります。問題の種類では選択肢問題の割合が高く、その他、書き抜き問題や空欄補充問題、そして記述問題と幅広い出題形式となります。記述問題には制限字数が付きますが2024年度であれば、50字以内、60字以内と標準的な分量です。文章量は大問1、大問2ともに標準レベルですが、2024年度は説明文がやや長めの設定でした。
同校の問題は、慶應3校の中で最もスタンダードな出題形式と言えます。文章量も標準レベルで記述問題も数が多くないことから、解きやすい印象を受けますが、問題のレベル自体は決して低くありません。まず、選択肢問題の対象となる内容が、抽象的な表現の理解を求めるものが多いのですが、選択肢の違いが非常に紛らわしく、短い時間で選別するには相当な訓練が必要となります。
そして知識面でも高いレベルが求められます。独立した知識問題という趣旨ではなく、例えば2024年度の物語文「悪びれもせず」という言葉の意味の理解を前提とした問題など、高いレベルの知識が備わっていないと対応できない問題が出される特徴があります。
合格ラインを突破するポイントは、語彙レベルが高く抽象的な表現の多い文章を正確に読み解くことにあります。抽象的といっても中学受験生にとって理解できない内容が出されることはありません。日常生活から言葉や知識に対して貪欲に吸収する姿勢、言葉の理解を曖昧にしない、といった国語に対する姿勢そのものを問う、という慶應普通部らしさが国語でもうかがえます。また、物語文にはあらすじの説明が冒頭に付かない特徴があり、事前情報なしで物語の内容を把握する力が求められます。
普段の演習から知識の理解、暗記は徹底的に固めたうえで、どんな文章でも毛嫌いせずに素直に読み込むこと、理解を曖昧にせずに自分の考えをしっかり打ち立てて答えたうえで、間違えた際には真摯に解答に向き合う、といった至極当然ではありますが、謙虚な姿勢で学習に臨むことが必須となります。
書き抜き問題が含まれます(2024年度は4題)が、そこでの解答時間の使い方が重要となります。文章を速く正確に読む練習が整っていれば慶應普通部の文章は読みづらさはないですが、ちょっとした抽象表現の理解や書き抜き問題で時間をかけ過ぎてしまう危険性があります。特に書き抜き問題は難しければ抜かすといった意識を高く持ちましょう。
[2024年度の出典]
津村記久子『ディス・イズ・ザ・デイ』
奥山由之『windows』
2024年度は大問が4題で、小問数が全30題の構成でした。選択肢問題、語句を答える問題、計算問題、記述問題と問題の種類は多岐に渡り、さらには作図問題も出されます。記述問題は4題で、具体的な制限字数は指定されませんが、解答欄がマス目で提供されますので、おおよその字数の範囲が決まってきます。
2024年度の大問1は電熱線の発熱に関する物理分野の問題、大問2は太陽による影を題材とした地学分野の問題、大問3はものの燃え方についての化学分野の問題、そして大問4はカブトムシの幼虫とシロアリを扱った生物分野の問題でした。
同校の理科では基本的な知識を備えておくことはもちろんですが、その知識を問題に合わせて応用するために必要な対応力のレベルが高いです。例えば2024年度の大問2では太陽によってできる影についての出題で、与えられた影のスケッチから方位を答えさせる問題(問3)が出されましたが、そこでは観測した場所が神奈川県の横浜で、兵庫県明石市の正午と横浜の正午での影ののび方の違いを踏まえなければ正解に行き着くことはできませんでした。
化学分野や物理分野の実験やデータは、成り立ちこそスタンダードですが、そこから一歩踏み込んだ内容にまで触れており、データの使い方などは、普段から難度の高い問題に数多く触れていなければ、解答方針が立たないものばかりです。
そして記述問題でも選択肢問題でも、題材となる現象について、なぜそうなるのかという理由の説明など、高度な論理的思考が求められる点が同校理科の難しさです。問題数も多いため、制限時間の30分は全く余裕がないものと考えておく方がよいでしょう。
合格ラインを突破するポイントは、そうした論理的思考を求める問題で正解を確実に得ることにあります。テキストを使った知識の集積だけではそうした問題に対応できませんので、可能な限り早めの段階から他校の入試問題などの実戦的な問題に取り組む必要があります。それらの問題を解いた後に、ただ正解したかどうかを確かめるだけでなく、なぜその正解に至ったのかというプロセスを、解説をしっかり読み込んで吸収しておくことが必須です。また、作図問題の難度も高いので、作図を苦手としないように演習量を多めに確保しておきましょう。
また、2024年度の大問3では「カレーライスの作り方」という日常生活で得られる知識を求める問題が出されました。同校では2008年度でも理科で同じくカレーライスの作り方を題材とする問題が出されています。独特の出題に対応するためにも、過去問演習を徹底的にやり込みましょう。
同校の社会は、制限時間30分に対する問題数の多さが大きな特徴となっています。2024年度は大問6題で、小問数は27題ですが、小問の中で解答すべき問題数が多く、合計解答数は54題にまで及びます。大問1はG7サミットを題材とした公民、時事問題、大問2は災害と地図に関する地理分野と一般常識の問題、大問3が北海道と東北地方に関する地理分野の問題、大問4が農作物に関する歴史分野を中心とした問題、大問5が福澤諭吉の著書を題材とした歴史分野の問題、そして最後の大問6が童謡『お正月』をテーマとした歴史分野と一般常識の問題でした。
問題の種類は選択肢問題と語句を答えさせる問題が大半を占め、記述問題は空欄を埋める短い字数のものが1題出されるのみでした。
同校の社会で合格ラインを突破するポイントは、スピーディーに問題を処理することです。圧倒的な問題数に対応できるように、普段の演習ではまず基本知識を徹底的に固めたうえで、一問一答式に即答する練習を重ねる必要があります。それでも時間内に全問解答することは難しいので、捨て問とすべき問題を早期に判断することです。
同校の社会は100点満点ですが、問題数から推察するに1問あたりの配点が極端に高い問題はありませんので、捨て問を作って取るべき問題を確実に取る方が高得点を取るチャンスが広がります。2024年度も大問3問3、問6のような難問は深追いするよりも抜かして先に進むといった判断が必要になります。
求められる知識は基本から応用レベルまで幅広いですが、2024年度の大問6の『お正月』を題材とした問題での、お正月の風物詩にあたる事物を選ばせる問題(問2)のように、同校の特徴である一般常識の問題でも得点をするためには、普段の生活で目にする常識にアンテナを張って吸収する習慣が必要です。これらの問題に、ただ机に座って勉強するだけでなく、日々の生活で触れる常識も重視するという同校のスタンスがはっきりと反映されています。
また2024年度であれば、大問1で「グローバルサウス」を答えさせる問題が出されるように、時事的な話題の中でも世界で注目を集めている問題を出題対象とするところも同校の特徴で、特に世界地図に関する内容には注意が必要です。気候変動や各地での内戦といった世界的なニュースはその基本内容と、それが及ぼす影響までチェックするように注意することが必須です。