2月予約スタートダッシュキャンペーン!
問題選択を的確に行う確かな視点が必要なテストです。図形分野に解答方針が立てやすい問題が見られます。書き出しや書き込みなどを使いこなせるタイプ向きです。
千葉県内にとどまらず1月に入試を実施する中で最難関の学校です。2024年度の大学合格実績では卒業生345名のうち東大合格者が64名(現役は51名)を含め国公立大合格者が計190名(現役140名)、医学部合格者が119名といった国内の実績だけでなく、海外の大学にも毎年進学実績を挙げていることもあって、都内御三家に合格しながらも同校への進学を選ぶ受験生が出る程の高い人気を集めています。
4科目ともに思考力、深い洞察力、問題選定などの対応力そしてスピーディーに問題を解く処理能力と、あらゆる面で高い水準の力が求められます。独特な設定やひらめきを求める奇抜な問題などはありませんが、典型的なパターンを高度に応用させた難問は、豊富な知識と深い思考力が求められますので、男女問わず各科目の難問を出す最難関校の入試問題を活用することが有効な対策となります。
理科、社会での幅広い知識、国語物語文の古い作家の作品など、テキストの演習にとどまらず、読書を含めて貪欲に知識を求める姿勢が同校を受験する絶対条件となります。
問題選択を的確に行う確かな視点が必要なテストです。図形分野に解答方針が立てやすい問題が見られます。書き出しや書き込みなどを使いこなせるタイプ向きです。
問題文が非常に難解で、文章を読む時間を他校よりも多めに設定する必要があります。文学史も頻出です。難度の高い物語文を正確に読み取れるタイプ向きです。
小問を解き進めることで解答のヒントが得られる高難度の問題が大半を占めます。作図を含め問題の種類が幅広いです。リード文を使った問題に強いタイプ向きです。
広く深い知識はもちろん、思考力、柔軟な対応力と社会に関するあらゆる解答力が試される最高難度のテストです。社会についての知識を貪欲に求めるタイプ向きです。
2024年度一次は大問5題で小問が全15題の構成でした。問題は解答のみを記す形式で、式や考え方を書かせるタイプの問題は出されていません。
大問1はカードを使った場合の数の問題、大問2がタイルの並べ方を題材とした数の性質の問題、大問3立体図形から水深変化の問題、大問4が平面図形から円と三角形の問題、そして最終の大問5が展開図を使う立体図形の問題でした。
同校では、ほとんどの問題が標準以上の難度の問題で構成されます。2024年度一次では、大問5の(1)が立体の形をイメージできれば式が立てやすい問題でしたが、提示された立体を見間違えてしまうと、解答に時間がかかってしまう要注意問題であり、問題を見て瞬時に解答方針が立てられる問題はほとんど見られませんでした。例年、基本から標準レベルの問題がわずかでも含まれますが、2024年度一次ではそうした問題が見られなかったこともあり、受験者平均点が37.7点(2023年度は47.8点)、合格者平均点が54.9点(2023年度は58.7点)と、いずれも前年度より下がりました。
もともと同校の算数では、問題内容を正確に読み取る力があれば解きやすい問題と、与えられた題材を組み合わせて解答方針を立てる思考力が求められる難問とに区分けされる特徴があります。2024年度一次では全体的に難度が高い中でも、大問1から大問3が前者にあたり、大問4と大問5が後者にあたりました。ただし、必ずしも前半の問題が解きやすい都は限りません。
合格ラインを突破するポイントは、標準レベルの難度の問題を確実に得点することにあります。2024年度一次であれば上記のように大問1から大問3が該当しますが、注意すべきは一見した印象で問題の難度を決めつけないことで、例えば2024年度一次でも、大問1は問題文が長く、カードの分け方が複雑そうに見えますが、5のカードの使い方に着目すれば、スムーズに解答を進められます。
一方で大問4の円と三角形の問題では、図は複雑ではないのですが、どの二等辺三角形に着目するかの判断が非常に難しく、解答にも多くの時間を要します。
普段の演習から2024年度一次の大問1のような、長い問題文で構成された問題を多く解き、解答のヒントを正確に見つけ出す訓練を重ねておく必要があります。
制限時間50分は問題数から考えれば十分に思えますが、同校の算数の難問は、計算は複雑ではないものの、解答の手がかりをつかむまでの作業が必要で、高い思考力を求める問題ばかりですので、時間内に無理にすべての問題を解こうとするよりも、問題の選別を的確に行い、解答する問題に少しでも多くの時間をかけられるように、強く意識する必要があります。過去問演習では、制限時間内に問題の選別を落ち着いて行う練習も重ねておきましょう。
合格ラインを突破するポイントは難問にかける時間を少しでも多く捻出しすることにあります。2024年度一次であれば、大問3までを正確にかつスピーディーに解き進め、大問4、大問5にかける時間を多くすることになります。
そのためには、問題文が長く、設定が複雑な問題に対して、見た目に惑わされずに正確にポイントをつかむ練習が必須となります。普段の演習から塾テキストの問題だけでなく、設定自体は独特ではないものの、内容を理解する洞察力を必要とする難問に数多く触れておく必要があります。開成や麻布、栄光学園、桜蔭、豊島岡女子といった算数の難度が高い女子難関校の問題に早めの時期から取り組むことも有効な対策となります。
それらの難問に対しては正解できたかどうかよりも、どのような切り口で問題を見て、どの解法を使えばよかったのか、といったプロセス重視の見直しを徹底してください。同校の思考力を求める問題では、自分で図をかいたり、書き出しを行う力が求められます。計算力があり、算数に苦手意識がなくとも、地道な書き出しを行う姿勢は崩さないように注意しましょう。
2024年度一次は大問2題で、小問が全15題の構成でした。大問1が論説文の読解、大問2が物語文の読解、漢字の書き取り、読み取りはそれぞれの大問に含まれました。問題の種類は記述問題が5題、選択肢問題が6題、その他、空欄に語句を埋める問題、そして同校の特徴のひとつである文学史の問題が出題されました。
同校の国語の最大の特徴は、問題文の難度の高さです。特に物語文は三島由紀夫や菊池寛などの古い文章が使われるなど、読み取りが非常に困難な文章が出されます。2024年度一次は志賀直哉の『或る朝』が出典となりました。祖父の三回忌の日の朝に、なかなか起床しない主人公とそれを咎める祖母がやりとりをする様子といった何気ない日常の一風景が描かれているのですが、難語には注釈が付くものの、言葉遣いが現在のものとは異なり、大正から昭和の時代設定に慣れているかどうかで、物語の世界観の理解に大きな差が生まれるものでした。
一方の論説文は物語文よりは読みやすいことが多く、2024年度一次も、あらかじめ細かく行動の予定を決めるのではなく、その時々の状況に臨機応変に対応できるようにしておくことが有効である、といった主旨で、読み取りやすい内容であったと言えます。それでも中学受験全般で考えれば難度は高く、小学生にとってイメージがしづらい文章にも読み慣れておかないと、読み取りに多大な時間を要することになってしまいます。
合格ラインを突破するポイントは、難度の高い物語文を読み慣れておくことにあります。大人が読むような一般文芸書(児童書ではなく)を通読し続ける時間は確保しづらいですが、少し古い(大正から昭和期)作家の作品の中から、自分にとって接しやすい世界観のものを選んで、その一部でも読む時間を設けるだけでも効果が望めます。
また、他校の過去問から同じような難度の高い物語文に触れることも有効です。古い物語文であれば一時期の攻玉社が挙がりますが、攻玉社の文章の読みづらさと渋谷幕張の文章の難解さは異なりますので、フェリス女学院の文章などを活用するとよいでしょう。
問題では選択肢問題の難度が特に高いです。2024年度一次の論説文は読み取りやすい内容でしたが、いざ選択肢問題を解こうとすると、最後の二択で区別がしづらい問題が多く見られました。物語文の問4も主人公の心情を選ぶにあたり、すべての選択肢をスムーズに消去することが難しい内容でした。普段の演習から、選択肢問題で間違えた場合、消去の基準をどのように間違えていたのかまで綿密に確認する習慣を身につけておきましょう。
2024年度一次では選択肢の文章が短めでしたが、年度によっては選択肢の文章が長い問題が出されます。通常は選択肢の文章が長い方が消去の材料が見つけやすくなるのですが、同校では長いうえに区別がしづらいという高難度の問題になります。長い文章の選択肢に慣れるためには、聖光学院中や豊島岡女子中の問題で練習することも有効です。
そして同校の国語を特徴づけているのが、他校では出題頻度の低い文学史です。2024年度一次でも、「リアリズム」という理念が反映された作品を選ばせるといった、高難度の問題が出されました。同校の文学史に対応するためには、『原色シグマ新国語便覧』(文英堂)などの資料集で、特に近現代の文学史は徹底的に固めておきましょう。
[2024年度一次の出典]
大問1:信原幸弘『「覚える」と「わかる」 知の仕組みとその可能性』
大問2:志賀直哉『或る朝』
2024年度一次は大問数が4題で小問が全22題の構成です。問題の種類は選択肢問題、記述問題、語句を答えさせる問題、そして計算問題と幅広く、年度によっては作図問題やグラフを書く問題が出されることもあります(2024年度一次では出されませんでした)。あらゆる角度から理科の理解度が試されるテストです。
2024年度一次の大問1は日食の観察を題材とした物理分野の問題、大問2は草木染めをテーマとするリード文をもとにした色素についての化学分野の問題、大問3は太陽の動きについての地学分野の問題、大問4はテッポウウオの生態を扱った生物分野の問題でした。
問題の形式はリード文を使ったものが多いですが、このリード文が難解で、理科の知識を十分に備えておくことははもちろん、正しくポイントを抽出でする読解力、文章を最後まで読み切る集中力が必要となります。2024年度一次でも、大問2のリード文は植物の色素を用いて布を染める「草木染め」の過程を詳しく説明しながら、途中に和歌が挿入されるとった構成で、集中力を高く持って読み進めなければ短時間では読み切れないものでした。
同校の理科の問題は、理科の知識をただ答えるのではなく、問題の内容に合わせて知識を柔軟に組み合わせて、解答を作らせる応用度の高い内容ばかりが出されます。単に知識を数多く積み上げても、リード文や与えられた資料を読み解き活用する力がなければ、手も足も出ないテストと考えておいた方がよいでしょう。
問題の内容もバラエティに富んでいて、2024年度一次の大問1には、理科というより算数の図形問題のような難問が含まれ、算数の問題を解くように、自分で図をかいて考察する力も求められました。さらに計算結果を利用することで次の問題を解くポイントが見つかるような高度な誘導が見られる点も大きな特徴です。
合格ラインを突破するポイントは、長く複雑なリード文や、設定が難しい実験を使った問題に対して、時間をかけ過ぎずに正解を得ることにあります。同校のリード文を読み解き解答のヒントを見つけるには、普段のテキストでの演習や公開模試の問題だけでは足りません。同じような高度な構成で難度の高い問題を出す学校の過去問を使うことが有効になります。
特に、麻布中の問題は、傾向が同じとまでは言えませんが、リード文を使った問題としては最高峰のレベルですので、活用する価値が高いです。麻布の問題を使う際には、制限時間は意識せずに、じっくりと取り組み、解説をよく読んで、リード文を攻略するポイントを得るようにしましょう。
また、ブルーバックスなどの本を読んで、「理科的な文章」に触れることも対策のひとつになります。計算問題も難度が高いので、普段の演習では最難関校の理科の計算問題を多く取り入れて、与えられたデータのどこを使えば正解が得られるのか、そのプロセスを吸収する時間を持つようにしましょう。制限時間の75分は全く余裕がありませんので、過去問演習で時間の感覚をつかんでおくことも必須です。
2024年度一次は大問3題で小問が全35題の構成です。問題の種類は記述問題が8題と多く、その他が選択肢問題と語句を答えさせる問題となり、記述問題が多いこと以外はスタンダードな形式に見えますが、同校の選択肢問題は独特で非常に難しいことを踏まえておく必要があります。
大問1は裁判所と総理大臣官邸への社会科巡検を題材とした公民分野と時事的な話題についての問題、大問2は小倉百人一首を題材とした歴史分野からの問題、大問3が地球温暖化をテーマとしたリード文をもとにした地理分野の問題でした。
同校の選択肢問題では、各大問で見られる正しい選択肢の組合せを選ばせる問題の難度が特に高く、細かな知識を深く切り込んでくるうえに、複数の内容を合わせ読まなければならず、ただ正しい選択肢を選ぶ場合と比べて倍以上の負担が感じられます。知識を集積する際には、出来事の背景や他の出来事との関連といった広い視野で臨む必要があります。
記述問題には制限時間が付くものとそうでないものがありますが、どちらの場合でも思考力、そして時事的な話題に対する高い関心を前提とするものがほとんどです。2024年度一次では、大問2の問10で小倉百人一首の人物を記した表を見て、その中の一部の人物の名前が表記されていない理由を説明する問題が出され、高い役職に就く人物には敬意を表して名前ではなく役職を記すことを答える内容でしたが、あえて名前ではなく役職を記すことが敬意にあたることにまで考えを及ばせる力が求められました。
また時事的な話題についての記述問題では、大問1問8で、日本でライドシェアを実現するためにどのような規制の緩和が必要かを答えさせる難問が出されています。
同校の社会で求められる知識は、普段演習するテキストの内容に収まるものではなく、日常生活で得られるものから時事的なニュースをはじめ、幅広い視野で積み重ねておく必要があります。合格ラインを突破するポイントも、単元を問わず幅広く深く知識を集積したうえで、その知識をフル活用して問題の指示に正しく答えることにあります。
2024年度一次では大問1問6で、日本の下級裁判所と最高裁判所の法廷の見取り図を示し、下級裁判所に該当するものを選ばせる問題が出されています。実際のこの問題の正答率がどこまで上がったかは不明ですが、渋谷教育幕張ではそのレベルまでの知識を求めていると考えておく必要があるのです。
難問の占める割合が高い同校の社会ですが、基本から標準レベルの問題も含まれており、2024年度一次では、大問3にそうした問題が集中しました。この大問では記述問題はもちろん、地図に等温線を引くといった問題も出されており、短時間で解答することは難しいとしても、得点しやすい問題が他の大問より多く見られました。問題の順番は関係なく、この大問3のような解答方針の立てやすい問題を先に解いて、思考力、表現力を高いレベルで求める問題にかける時間を少しでも多くするという戦略も必要となります。早めに過去問演習に着手して、時間の使い方を身につけておきましょう。