桐朋中学校の傾向と対策

  • 併設大学なし
  • 高校外部募集あり
  • 男子校

志望にあたって知っておきたいこと

国立という落ち着いた環境に立地する進学校という点で人気を集めています。2016年には校舎が改築され、天文ドームやプラネタリウム、6万5千冊の蔵書を擁する図書館など、充実した設備が整っています。進路指導の具体的な取組みとして、高1の6月と、高2の11月には「在卒懇(ざいそつこん)」といういう卒業生による講演と意見交換の場が提供されます。

 高1の在卒懇では、10年前に卒業したOBから自分の現在までの道のりが語られ、高2の在卒懇には、大学の教授など、大学などで研究・指導にあたっている卒業生が講師として参加します。その他にも、「桐朋卒業の医学部生との進路懇談会」や、「起業ゼミ」「卒業生と語る会」など様々な企画が実施され、生徒が自主的に進路を考えられるような場が多く設けられています。

 入試問題は4科目ともに問題の難度の幅が広く、難度の高い問題は他校にない特徴的な内容ですので、過去問演習を徹底的に解き進める必要があります。特に算数の調べ上げの問題は高難度なうえに解答に多くの時間を要しますので、早めの対策が不可欠です。

 国語も問題文は読みやすいのですが、記述問題の難度が非常に高く、早めから同校の記述問題に特化した対策が必要となります。その他の科目でも、基本問題で取りこぼしがないように、問題を解く順番を工夫するなどの対応力が求められます。

出題傾向と適した有利なタイプ

科目別学習対策

算数

 2024年度第1回は大問が7題で小問全17題の構成でした。式や考え方を書かせる問題が1題出されましたが、それ以外はすべて解答のみを書かせる問題でした。

 大問1は計算のみで3題、大問2が売買損益などの小問集合3題、大問3が和と差に関する問題の応用、大問4が平均算、大問5が仕事算の応用、大問6が道順を使った速さの問題、大問7が数の性質の問題でした。

 2024年度第1回も例年通り、立体図形の問題は出されませんでした。同校では、大問1から大問4までは基本から標準レベルの難度の問題が並び、単元としては割合と比に関する問題の頻出度が高い特徴があります。大問5以降は高度な調べ上げを求める難問や、問題内容の理解が難しい問題が立て続けに出てきます。

 合格ラインを超えるためのポイントはテスト前半(2024年度第1回であれば大問4まで)で確実に得点を重ねることにあります。そのうえで大問5以降の問題で(1)を中心に得点できる問題を少しでも多く正解させるという戦略になります。式や考え方を書かせる問題が1題は出されますので、時間の使い方をしっかり意識しなければ、とるべき問題に使える時間が少なくなってしまいますので、注意しましょう。

算数が苦手な受験生

 大問1の計算問題は満点を目指しますが、大問2の小問集合はすべてが基本的ではありませんので、解き方が浮かばない場合は抜かして先に進む方がよいでしょう。

 大問3、大問4では図や式を書き出して問題内容を整理できれば一気に解答方針が見える問題が出されますので、ここで得点を重ねることが必須となります。速さ、割合と比については、塾テキストなどの標準から応用レベルの問題までを解き重ねて、応用パターンに慣れておくとよいでしょう。

 テスト終盤の問題は、時間がかかるうえにミスも起こしやすいタイプの難問です。すべての小問を解こうとするのではなく、抜かす問題をしっかり選ぶように、過去問演習には問題選定を意識して取り組む必要があります。

算数が得意な受験生

 まずは大問3、大問4の速さ、割合と比の応用パターンで確実に、かつスピーディーに正解を重ねられるように、頻出単元で対策のもれがないように気をつけましょう。

 テスト終盤の問題では、2024年度第1回の大問6のように、一見すると場合の数の問題のようで、解き方には速さの要素が必要になるといった単元が複合した型が出されることがあります。

 場合の数であれば…といった解き方の典型パターンにしばられてしまうと対応できなくなりますので、解き方を多く備えたうえで、柔軟に解き方を組み合わせる姿勢が必要になります。また同校で頻出度の高い、調べ上げの問題は模試やテストでは出題頻度が高くありませんので、同校の過去問や塾テキストの調べ上げの単元を反復演習して調べ上げに慣れるようにしましょう。難問には時間がかかりますので、その他の問題、特に比を利用した問題は時間をかけずに解けるように、比の単元はもれなく対策をしておくことが重要です。

国語

 2024年度第1回は大問1が物語文、大問2が随筆文の構成でした。小問数は全21題、問題の種類は選択肢問題、記述問題、抜き出し問題で、漢字の書き取りは大問1の中で5題出されました。記述問題には字数制限がありません。

 大問1の物語文は、引っ込み思案な主人公の小学生男子が、心を通わせるようになった転校生の少女がクラスメイトにからかわれているのに、言いたいことをなかなか言い出せない自分にいら立つ様子が描かれています。

 大問2の随筆文は、筆者のエッセイに対する考え方がつづられたものでした。同校の国語の特徴のひとつとして、文章がとても読みやすい点が挙げられます。2024年度第1回の2つの文章も、難しい語彙や言い回しはなく、中学受験生にとって内容を理解するのに負担がかからないものでした。

 問題の中でも抜き出し問題(語句の抜き出しを含みます)は解きやすく、選択肢問題も選択肢の文章は短めで、選別しやすい問題が多いのですが、文章全体の趣旨を答えさせる問題は、選択肢の違いが見分けづらく、難度が一気に上がります。同校の受験生レベルを考えると、そうした難度の高い選択肢問題での得点は必須となります。

 そして同校の国語の問題の特徴として、記述問題の難度の高さが挙げられます。ほとんどの記述が「説明しなさい」とシンプルに聞いてくるのですが、採点者の求める解答を作成するには細心の注意が必要となります。問題文がわかりやすいので、記述解答の要素自体は見つけやすいものの、いざそれを解答の要素として盛り込もうとすると、簡単には進められなくなってくるのです。

 問題内容からずれることなく正確に要素を組み合わせるには、過不足なく自分の言葉を挿入させる必要があります。つまり、解答要素をただ組み合わせるだけでは、精度の高い文章になり得ないように、巧妙に問題が作られているのです。制限字数が設定されていない点も、解答を作るにあたっては難しさを増すものとなっています。

 合格ラインを突破するポイントは記述問題で高得点をとることにありますが、ここまで問題文と記述問題の難度の差が大きい問題は、最難関校も含めて他校ではなかなか見られません。まずは普段の演習で、自分の記述解答と模範解答をじっくりと見比べて、足りない要素はなかったか、的確に自分の言葉が使えていたかを、とにかく細かくチェックしてください。

 このチェックを少しでも甘くしてしまうと、桐朋の記述答案では得点できないと考えておおいた方がよいでしょう。そして過去問演習はできれば夏休みに入る頃には一度解いてみて、同校の記述問題の難度に触れておくことが効果的です。演習の際は、記述問題にどれだけの時間を費やせるかをチェックしながら進めましょう。

[2024年度第1回の出典]
大問1:志津栄子『雪の日にライオンを見に行く』
大問2:くどうれいん『なにが赤裸々』

理科

 2024年度第1回は大問数が4題で、小問数が全26題でした。物理・化学・生物・地学からそれぞれ1題の構成です。塾テキストなどでは扱わないような実験やグラフが出される特徴があります。

 2024年度は大問1が物理分野から光とレンズの問題、大問2が化学分野から中和の問題、大問3が生物分野からトマトを素材にした果実の成長に関する問題、大問4が地学分野から地球温暖化についての問題でした。問題の種類は、選択肢問題、計算問題、語句を答えさせる問題、文章の空欄を補充させる問題、記述問題と多岐に渡ります。

 同校の理科の問題は種類だけでなく、難度が幅広い傾向があります。同じ大問の中で基本的知識だけで答えられる難度の低い問題から、思考力、高い水準の知識、読解力を求める難問までが含まれます。例えば大問3の生物分野の問題では、表を読み取って計算をさせる、算数の基本的な解法で即答できる問題、光合成のはたらきについて説明させる記述問題など、難度の低い基本問題が前半に出されますが、後半には一気に難度が上がり、トマトの成長に関するいくつかのグラフが提示され、記述問題を含むグラフ読み取りの問題が出されます。問題文とグラフを合わせて読み取り、正しく説明する力が求められるのですが、グラフが特徴的なだけに解答には時間を要します。

 難度が幅広いテストですが、合格ラインを突破するポイントは問題文の正確な読み取りにあります。見たことのないタイプの実験も、リード文にある説明をしっかりと読み込むと内容理解をスムーズに進められます。2024年度第1回の大問2では、文章の穴埋め問題で、リード文から適切な箇所を抜き出して答えるという国語の読解問題のような出題が見られました。

 また、計算問題も計算が複雑になることがありますが、問題文で提示される内容とグラフや表を照らし合わせれば、式を立てることに大きな負荷はかかりません。リード文の中にヒントがあると思って取り組むようにしましょう。また、難度の高い問題に時間をかけられるように、解きやすい問題にかける時間を極力短くするといった時間配分の意識を高く持つ必要があります。時間の使い方を早めにマスターする意識を、過去問演習を通して培うようにしましょう。

社会

 2024年度第1回は大問が3題、小問が全32題で、歴史・地理・公民からそれぞれ大問1題が出されるという例年通りの構成でした。制限時間30分に対して小問数が多いので、スピード感を持って解き進める必要があります。

 大問1は歴史分野から各時代についての問題、大問2は地理分野から日本の各都市についての問題、大問3は公民分野から大量破壊兵器(核兵器など)以外の武器である「通常兵器」の輸出入の国々の構成を表すグラフを素材とした問題が出されました。

 同校では3分野のうち公民分野の難度が高くなる傾向があるのですが、2024年度第1回の公民分野(大問3)の難度は高くありませんでした。大問1の歴史分野、大問2の地理分野も難度が大きく上がることはなかったので、全体的に例年に比べて取り組みやすいテストであったと言えます。

 問題の種類は選択肢問題、並べ替え問題、語句を答えさせる問題、記述問題と幅広く構成されます。記述問題は2024年度第1回では大問1、大問2でそれぞれ1題出され、いずれも制限字数はなく、解答欄に合わせて量を調整するかたちになります。

 2024年度第1回では難度は高くなかったものの、合格ラインを突破するポイントは公民分野の難度の高い問題で高い正答率をとることにあります。公民分野では細かい知識が必要な問題があり、また、時事的な要素がありますので、時事問題対策は必須です。グラフや表からわかることを説明する記述問題が出されることがありますが、グラフ・表は読み取りやすいもので、何が表されているかは見てすぐに理解できますので、制限時間内に内容をまとめられるように十分に練習を重ねておく必要があります。特別な対策ではなく、塾テストや公開模試で記述問題がどこまで書けて何が書けなかったのかを徹底的に復習することが有効です。

 歴史・地理は基本的な難度の問題が多く、同校を受ける受験者レベルを考えると、取りこぼしがないように正確に、かつスピーディに解き進めなければなりません。ただし、2024年度第1回では、大問2の地理分野で、北海道で開発された米の品種でないものを選ばせる問題や、世界のワインの生産量トップの国とぶどうの生産量トップの国の組み合わせを選ばせるといった世界の国々を含む細かな知識が出されたように、細かな知識を求められるケースがありますので、歴史・地理は簡単と決めつけずに、知識を幅広く正確に吸収する意識を強く持って日々の演習に取り組むようにしましょう。

ページのトップへ