桐朋中学校の傾向と対策

  • 併設大学なし
  • 高校外部募集あり
  • 男子校

志望にあたって知っておきたいこと

国立(くにたち)という落ち着いた環境に立地する進学校という点で人気を集めています。4科目ともに問題の難度の幅が広く、難度の高い問題は他校にない特徴的な内容ですので、過去問演習を徹底的に進める必要があります。特に算数の調べ上げの問題は高難度なうえに解答に多くの時間を要しますので、早めの対策が不可欠です。その他の科目でも、基本問題で取りこぼしがないように、問題を解く順番を工夫するなどの対応力が求められます。

出題傾向と適した有利なタイプ

科目別学習対策

算数

2022年度第1回は大問7題で小問は全22題、式や考え方を書く問題が1題、解答の図を書く問題が1題出されました。大問1は計算のみで3題、大問2が小問集合3題で、大問2から大問7が小問2、3題で構成される問題です。大問2の小問集合、大問3、4はつるかめ算や植木算、比の利用や速さと比といった頻出単元からの出題で、基本から標準レベルの難度ですが、大問5以降は高度な調べ上げを求める難問が立て続けに出てきます。この調べ上げ問題でどれだけ得点できるかが、合格ラインを超えるためのポイントになります。立体図形の出題がない点が特徴的です。

算数が苦手な受験生

大問1の計算問題は満点を目指しますが、大問2の小問集合はすべてが基本的ではありませんので、解き方が浮かばない場合は抜かして先に進む方がよいでしょう。同校の特徴である調べ上げの問題は、時間がかかるうえにミスも起こしやすいタイプの難問です。すべての問題を解こうとするのではなく、抜かす問題をしっかり選ぶように、過去問演習には問題選定を意識して取り組む必要があります。調べ上げ問際以外の、特に比を使った問題を確実に得点する必要がありますので、比の問題の演習は重点的に進めておきましょう。

算数が得意な受験生

同校の調べ上げ問題は、まず問題内容を正確に理解したうえで、闇雲に書き出しをするのではなく、問題の条件に合うケースを考えて、場合分けをしたうえで調べ上げを進めて解く高難度の問題です。普段の演習でも調べ上げの問題の対策を重点的に進める必要があります。模試やテストでは出題頻度が高くありませんので、同校の過去問や塾テキストの調べ上げの単元を反復演習して調べ上げに慣れるようにしましょう。難問には時間がかかりますので、その他の問題、特に比を利用した問題は時間をかけずに解けるように、比の単元はもれなく対策をしておくことが重要です。

国語

2022年度第1回は随筆文が2題の出題構成です。大問1は小問全12題のうち、選択肢問題が5題、抜き出し問題が1題、穴埋め問題が2題で、漢字の書き取りが1題、残りの3題は記述問題です。記述問題には字数制限がありません。選択肢問題、穴埋め問題、抜き出し問題ともに難度は高くありません。ポイントは記述問題で、解答の要素となる部分を文中から見つけることは難しくないのですが、それを文章にする際に文章中の言葉だけでなく自分の言葉も使いながら解答をつくる必要がある点で解きづらさがあります。
大問2は小問全9題のうち、選択肢問題が3題、穴埋め問題が1題、語句の意味を説明する問題が1題、漢字の書き取りが1題で、3題が記述問題という構成です。大問1と同じく選択肢問題の難度は標準的で、穴埋め問題も難しくありません。記述問題の難度が高い点が大問1と共通していますが、文章の難度も含めて、大問1よりも大問2が全体的に難しくなっています。
合格ラインを突破するポイントは記述問題でいかに高得点をとるかという点です。文章の内容が難しくなく、分量も標準より少なめですので、取り組みやすそうに感じられますが、記述問題で問われる部分の表現は抽象的で、どのように解答をまとめればよいかがスムーズに思いつかない難しさがあります。制限字数がない分、どこまで要素を含めるかの判断が難しく、自分の言葉を的確に使う力も求められます。普段から難度の高い記述問題を解き重なることが必須です。
大問1と大問2の難度の差が大きいので、より解きやすい問題から取り掛かりたいところですが、文章を読んだだけでは難度の差が見えづらいので、順番にこだわり過ぎず、難度の低い問題はかける時間を短くして、記述問題などの難度の高い問題にかける時間をより多く作る方針で臨むとよいでしょう。

[2022年度の出典]
大問1:関取花『どすこいな日々』
大問2:有川ひろ『倒れるときは前のめり ふたたび』

理科

2022年度第1回は大問数は4題で、物理・化学・生物・地学からそれぞれ1題の構成です。小問数は全26題で、塾テキストなどでは扱わないような実験やグラフが出てきます。
問題の難度にばらつきがあり、2022年度は大問1の物理分野の問題、大問4の地学分野の難度が高かったです。大問1は最終問題に設定の理解が難しい回路の問題が出されました。大問4は、はやぶさ2に関する問題で、スイングバイという語句を選ばせるなど時事的な要素も含まれています。リード文と与えられた資料から解く最終の計算問題は、制限時間内に解くのが難しい内容です。
大問2の化学分野からの問題は受験生にとっては何度も演習してきた状態変化についての出題で、解きやすい内容でした。ただし、最終の記述問題は、それまでの小問で扱った内容を総合的に利用して答える問題で、その点に気づかないと文章の組立てが難しくなります。大問3の生物分野の問題には、見たことのないタイプのグラフが出てきます。計算問題も多く出てきますが、リード文の内容を正確に理解できれば、グラフの意味が一気に解明し、計算問題も正解のチャンスが大きく広がります。
難問が多いテストですが、合格ラインを突破するポイントは問題文の正確な読み取りにあります。見たことのないタイプの実験も、リード文にある説明をしっかりと読み込むと内容理解をスムーズに進められますので、リード文の中にヒントがあると思って取り組むようにしましょう。また、前半の問題が後半より難しいケースがありますので、解く順番に気をつけて、解きやすい問題から解いて行く意識で臨むとよいでしょう。

社会

2022年度第1回は大問3題、小問が全30題で、歴史・地理・公民からそれぞれ大問1題が出される構成です。制限時間30分に対して小問数が多いので、スピード感を持って解き進める必要があります。
3題のうち公民の問題には記述問題が2題含まれ、細かい知識が必要な問題もありますので、他の問題に比べて難度は高めです。この公民の問題でどれだけ得点を重ねられるかが合格ラインを突破するポイントとなります。問題内容には時事的な要素がありますので、時事問題対策は必須です。記述問題はグラフや表からわかることを説明する内容で、制限字数は設定されていません。グラフ・表は読み取りやすいもので、何が表されているかは見てすぐに理解できますが、制限時間内に内容をまとめるためには十分な練習が必要です。特別な対策ではなく、塾テストや公開模試で記述問題がどこまで書けて何が書けなかったのかを徹底的に復習することが有効です。
一方で歴史・地理は基本的な難度の問題が多く、同校を受ける受験者レベルを考えると、取りこぼしがないように正確に、かつスピーディに解き進めなければなりません。人名を漢字で答えさせる問題では「紀貫之」や「菅原道真」など難度は低いですが、漢字の部首を間違えやすいものが出されますので普段から漢字の書き間違いがないように注意を重ねましょう。

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