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独特な問題はありませんが、解答作業が多く、思考力を求める難問が大半を占めます。立体図形の切断や数の問題が頻出です。スピーディーに解答できるタイプ向きです。
東京女子校の中で屈指の人気を誇ります。入試は2/2、2/3、2/4に3日連続して実施され、2/1に桜蔭を初めとした最難関校を受験した生徒たちの併願校の筆頭に挙げられます。2023年春の系統別合格者割合では1位が理学・工学(25.2%)で、医学部も11.6%で4位と、理系学部への進学実績の高さが近年顕著となっています。
中学校のカリキュラムでは英語・数学の時間数が多めに設定されるなど、早めの段階から大学受験を見据えた教育が徹底されています。入試問題は4科目とも高い思考力、スピーディーな問題処理能力が求められますが、特に算数は女子校の中で最高難度の問題を出す学校として知られています。
国語の選択肢問題はその精度の高さから、他の最難関校を受験する生徒にも類題として活用される良問として広く認識されています。どの科目も日頃の演習の成果が出やすいタイプの問題です。ただし、簡単に解ける問題はほぼありませんので、普段から応用問題レベルを徹底的に数多く解いておくことが必須となります。
また、国語では小学生には馴染みのない設定の文章が出される傾向が強まっています。理科・社会は合わせて50分という制限時間が設定されていますので、自分なりの時間の使い方を早めから習得するためにも、過去問演習には時間の意識を高く持って早めに取り組むようにしましょう。
独特な問題はありませんが、解答作業が多く、思考力を求める難問が大半を占めます。立体図形の切断や数の問題が頻出です。スピーディーに解答できるタイプ向きです。
難度の高い論説文、設定が独特な物語文が出されます。選択肢問題は最高水準の難しさで、文章全体の理解を問う記述問題も難問です。選択肢問題に強いタイプ向きです。
一見すると典型的ですがひとひねりが加わった思考力を求める問題が多いです。特に物理分野・化学分野に難問が多いので、この2分野が得意なタイプ向きです。
難度の高い選択肢問題の割合が高く、解答時間が短いのでスピーディーに細かな知識を活用する力が求められます。資料を使った選択肢問題に強いタイプ向きです。
2024年度第1回は大問6題で小問が全17題の構成です。大問1の(1)が計算問題、(2)以降は小問集合の基本問題、大問2が小問集合の応用問題、大問3が速さの問題、大問4が場合の数、大問5が平面図形から面積の問題、大問6が立体図形の切断の問題でした。解答は全て答えのみを書かせるタイプで、式や考え方を書かせる問題はありません。
同校の算数は女子校の中でも最高難度と言われますが、男子難関校で見られるような独特の設定や「ひらめき」を求めるような問題は見られません。どの問題も普段の演習で解法を積み上げることで対応はできるのですが、解答に必要な作業の多さ、問題内容を正確に理解する思考力が高い水準で求められます。
日々の演習の成果が問われる良問ぞろいですが、その難度は非常に高いです。例えば2024年度第1回の大問5は、図形を組み合わせて別の図形として考える問題で、典型的な三角形の面積の求め方を使うケースでしたが、図形の組み合わせ方の難度が高く、イメージと手作業を正確に重ねる力が求められる高難度の問題でした。
全体の問題の配置も基本的には後半に行くほど難度が上がる構成になっており、過去問を通して時間配分の練習をしっかり積んでおけば、解答を進める方針は立てやすいものです。
単元としては、立体図形の切断はもはや「豊島岡女子名物」と言ってもよい程に頻出で、その難度は非常に高いです。2024年度第1回の最終問題も、切断のイメージが把握しづらい難問でした。また数の性質など数に関する問題も難度の高い問題が出されます。一方で速さや割合・比の問題は難度が高くない傾向がありますので、確実な得点が必要です。
同校の算数の問題の中では大問1の全問、大問2(最終問題を除く)、大問3、大問4(1)までは難度が基本から標準レベルです。ただし、2024年度第1回の大問3は難度が高かったです。
同校の受験生レベルを考えると、これらの問題での得点は必須となりますが、合格ラインを突破するポイントは、これらで確実に正解を得たうえで、解答時間を短縮することにあります。問題の難度は標準レベルですが、作業を正確に積み重ねることが求められるだけに、油断をすると計算ミスなどで失点につながってしまいます。
確実な得点が必要なために慎重な取組みが必要ですが、後半の難問にかける時間を少しでも多く確保するためには、スピーディーに解答を進める必要があります。上述の通り、同校の問題には奇抜な設定や問題内容の理解から難解な問題はありませんので、普段の塾テキストなどでの演習で、応用問題まで確実に解法を理解した正解を重ねることが対策につながります。速さ、割合では苦手分野を作らず、立体図形の切断や数の性質の問題では、基本となる(1)の問題は正解できるように練習を重ねましょう。
難度が高いとは言え、日頃の演習の成果が出やすいタイプの同校の問題では、算数が得意な受験生が高い得点を確実にとってくると考えておいた方がよいでしょう。それを踏まえたうえで、合格ラインを突破するポイントは、立体図形の切断や数の性質の問題など、テストの後半に出題される難問で確実に正解を重ねることにあります。
まずは夏休みに入る頃までに同校の近年の過去問を一度解いてみましょう。そこで頻出単元の難度を体感してから、どの部分を補強すればよいのか、自分にとっての単元強化プログラムを組み立てましょう。
独特な出題傾向のある男子最難関校の問題にまで着手する必要はありませんが、同じくスタンダードな難問を出す傾向のある上位校の入試問題を活用することも有効な対策です。問題が後半に進むにつれて難度が上がる傾向がありますので、時間配分は組みやすいですが、作業に手間がかかり、解答に時間のかかる問題も多いので、時間の使い方を確かめる意識をしっかり持って過去問演習を進めましょう。
同校の問題の中には、図形の小問などで本来図が付くような問題で図が提示されなかったり、2024年度第1回の大問5のように、与えられた図形を組み合わせて考えさせるケースがあります。自分で図を速く正確にかく練習も必要です。
2024年度第1回は、大問1が論説文の読解、大問2が物語文の読解の2題構成で、漢字は大問2の中で書き取り1題、読み取り1題に、同音異義の字を選ばせる問題1題が出されました。問題の種類は空欄補充を含めた選択肢問題と記述問題、書き抜き問題で、記述問題は大問1と大問2でそれぞれ1題出されました。記述問題の制限字数は大問1が75字以内、大問2が60字以内でした。
大問1の論説文は、死生観と宗教の関係を説明した内容で、中学受験生にとっては実感を持って理解することの難しいものでした。豊島岡女子は論説文の難度が高いことで有名ですが、2022年度第1回の論説文も、文章量は標準より少なめで、文章自体は語りかけるようなトーンで読みづらさは感じられないのですが、主旨を正しく読み取るためには高い語彙力、構成理解力を必要とする内容でした。
特に問題の対象にもなる「物語性」という言葉の意味を、文章全体を通して正確に理解する作業は、難度の高い論説文に慣れていなければ、高い壁となってしまったでしょう。ただ、問題自体の難度は例年ほどに高くはなかったと言えます。
特に豊島岡の国語を特徴づける選択肢問題に、難問が少ない傾向がありました。それでも難度の高い文章内容を理解できることが前提であるだけに、文章+問題と考えれば、高い難度は維持されています。特に全体の主旨を理解しなければ解答にならない最終の記述問題は難問でした。
一方、大問2の物語文も、物語の内容を正しく理解できれば選択肢問題は紛らわしい正誤判断にはならないものでした。ただ、素材となる文章の難度は高かったです。難しい心情を表す語彙が含まれるのではないのですが、同じ物語で主人公が異なる2つの文章が与えられるという中学入試では新しい形式で、また文章1の主人公が高校入学時に髪の毛をすべて剃り、どれくらいのペースで伸びるのかを身をもって実験するなど、破天荒な個性の持ち主であり、様々な物語に触れていなければ、主人公の心情を正しく把握することが難しい内容でした。記述問題もそうした主人公の個性を踏めて文章を作る必要があり、精度の高い答案を作るには難しい問題でした。
合格ラインを突破するポイントは、論説文、物語文ともに難度の高い文章を正しく理解することにあります。自分にとって馴染みのない世界観や物語であっても、ひるむことなく理解に努める姿勢を同校が強く求めていることが2024年度第1回の内容を見ても感じられます。同レベルの難度の文章を他校で探すことは難しいですが、抽象度の高い論説文や、設定の理解が難しい物語文に多く触れて、その趣旨を書いてまとめるといった作業も対策として有効になるでしょう。
問題としては2024年度第1回は文章中から解答根拠が見つけやすい問題が多かったとは言え、やはり選択肢問題は難度が高く、高い水準で作られていると考えておいた方がよいでしょう。選択肢問題が苦手な生徒さんは、何を置いても集中的に選択肢問題の演習を重ねて、選択肢を区別する練習をしておきましょう。聖光学院中など、男子最難関校の問題を活用することも効果的です。
同校の漢字の書き取りは、問題数は3題ですが問題に「一画一画ていねいにはっきりと書くこと」という指示があり、解答欄が明らかに他校より大きく設定されています。細かいところまで採点者が見ることは明らかですので、普段の演習ではとにかく丁寧に漢字を書き、採点する際には徹底的に厳しく見ることが必須です。
[2024年度第1回の出典]
上枝美典『神さまと神はどう違うのか?』
宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』
2024年度第1回は大問4題で小問は全25題で、例年通り4分野それぞれからの出題でした。問題の種類は選択肢問題と計算問題、語句を答えさせる問題で構成され、記述問題は出されません。制限時間は社会と合わせて50分というスタイルですので、時間の使い方も大きなポイントになります。
大問1は物理分野から風船を使った浮力の問題、大問2は化学分野から水酸化ナトリウム水溶液と炭酸水素ナトリウム水溶液それぞれと塩酸の反応を素材とした問題、大問3は生物分野からの植物の生態や分類の問題、大問4は地学分野から月に関する問題が出されました。
同校の理科の問題は、一見すると各分野からの典型的なようで、いざ解いてみると、ひとひねりが加えられていることに気づかされる問題、問題の設定から理解が難しい問題が出されます。特に難度が高いのが、物理分野の大問1と化学分野の大問2です。2024年度第1回であれば、大問1の浮力の問題は風船にはたらく重力と浮力、そして風船が上昇する高さの関係を、的確につかむ力が求められ、グラフが示す内容を正確に読み取らなくてはならない難問でした。
大問2の化学分野の問題は、例年に比べると問題の設定自体は理解しやすいものの、注意深く与えられた情報を整理しなくては、得点できないタイプの問題でした。同校の物理分野、化学分野の難問に対応するためには、普段のテキストを使った演習だけでは養われない思考力が求められます。男子難関校の理科の問題の中から、「ひとひねり」された難問を数多く解く必要があります。
一方、大問1、大問2と比べて、生物分野の大問3、地学分野の大問4は標準レベルの問題が多く、合格ラインを突破するポイントは、この2問のような解きやすい問題を確実に得点することにあります。2024年度第1回も同じ傾向が見られましたが、解きやすいとは言っても、大問1、大問2と比べてのことで、区別のしづらい選択肢問題など、一般的な問題からすると十分に難しい問題が含まれます。
同校の受験生レベルを考えると、大問3、大問4では高い正答率が必須となります。テキストや模試で出された難度の高い選択肢問題を確実に正解できているか、選択の基準が間違っていなかったかまで詳しくチェックするようにしましょう。制限時間が社会と合わせて50分で設定されていますので、社会との時間の配分を確認するためにも、過去問演習には早めに着手しましょう。
2024年度第1回は大問3題で、小問数は全25題でした。問題の種類は選択肢問題が18題と圧倒的に多く、語句を答えさせる問題が6題、記述問題が1題という構成で、記述問題には20字以内という制限字数が付きました。
大問1は「各時代の為政者が命令や方針を表明した史料」を素材とした歴史分野からの問題、大問2は地図や統計資料を使った地理分野の小問集合、大問3はプラスチックごみを素材とした時事問題を含む公民分野の問題でした。
大問1には史料が7種提示され、大問3にはリード文が付きましたが、史料、文章ともに読み取りやすく、リード文の分量も標準的ですが、制限時間を考えるとじっくりと読み込む余裕はありませんので、スピーディーに内容をおさえる練習が必要となります。問題の中では語句を答えさせる問題は難度が低く、同校の受験生レベルからすると語句を答えさせる問題は満点が必須です。
2024年度第1回は難しい漢字の語句は出されませんでしたが、失点を抑えるためにも漢字表記の練習も欠かさないようにしましょう。大問2の小問集合は地図や統計資料からの出題ですが、それらの資料自体はいたってスタンダードなもので、2024年度第1回は例年以上に読み取りやすいものが多かったです。
ただし、細かい知識まで求める問題が大半を占め、また例えば日本国内の空港の着陸回数のランキングについての問題では、問題文中のヒントを逃さずに利用して解くといった、対応力も求められますので、普段の演習から資料を使った問題では、資料の読み取り方を徹底的に練習しておきましょう。
合格ラインを突破するポイントは、選択肢問題での正答数を上げることにあります。先にも触れました通り、圧倒的に問題数が多いのが選択肢問題ですが、選択肢の文章自体は短めなものが多いながら、どれもが細かな知識をフル活用しなければ、正誤の区別が難しい、高難度の問題ばかりです。制限時間内に解答数を多くするには1問あたりにかけられる時間は限られます。その中で確実に正解するには、基本知識はもちろん、関連する知識まで幅広く、かつ細かく知識をスピーディーに活用できる状態まで固めておく必要があります。
同校の選択肢問題の難度レベルを確認するためにも、6年生の夏休み前くらいに、一度問題を見ておくとよいでしょう。あくまで難度レベルの確認が目標ですので、全問を解く必要はありません。理科と同様に、2科目分の時間の使い方を習得しなければなりませんので、本格的に過去問演習を開始した際には、制限時間を必ず意識するように注意しましょう。