青山学院中等部の傾向と対策

  • 併設大学あり
  • 高校外部募集あり
  • 男女共学

志望にあたって知っておきたいこと

東京都内共学校の中で高い人気を持ち続ける大学附属校です。キリスト教の精神を重んじた教育が実践されていますが、自由な校風で在校生たちがのびのびと学校生活を送っている点が大きな魅力です。学校OBの青山学院大学の学生が放課後に勉強をみてくれる制度や、大学への留学生と交流する場が設けられるなど、大学生活を具体的にイメージし、国際的な視点を養う体制が整えられています。入試問題はどの科目も制限時間に対してボリュームがあり、スピーディーかつ正確に問題を処理する力が求められます。算数での図形の折り曲げや国語の詩の読解、社会の世界に関する問題など、同校ならではの問題もありますが、出題される範囲が幅広いので、どの科目も苦手分野を作らないことが必須です。問題数が多いだけでなく、難度の高い問題が含まれますので、問題の取捨選択、時間の配分の方法を練習するためにも、早めに過去問演習に取り組みましょう。

出題傾向と適した有利なタイプ

科目別学習対策

算数

2022年度は大問13題で小問が全16題の構成です。同校では計算問題や小問集合も大問として出され、最後の3題(大問11、12、13)がそれぞれ小問2題となっています。大問1から大問3が還元算を含む計算問題、大問4が割合と比、大問5が平均算、大問6が数の性質の問題、大問7が条件整理、大問8が水位の変化、大問9が点の移動、大問10が折り曲げの角度の問題、大問11が速さから旅人算、大問12が平面図形の面積の問題、そして最終大問13が旅人算という問題構成でした。
同校の算数は独特な内容の難問は出されませんが、計算問題と難度の低い1、2問以外は、全ては標準レベルの難度で、問題の種類が多岐にわたるため、時間の使い方が難しく、解き切るための集中力も必要となります。平面図形を折り曲げる問題や平均算などは出題頻度が高いので、過去問演習を通して解き方を盤石としておく必要があります。解答は答えのみで、式や考え方を記述する問題は出されません。計算問題を含め、計算も複雑ではありませんので、問題内容を正確に把握して、どの解法パターンを使えばよいのかを思いつくようにしておくことが重要です

算数が苦手な受験生

同校の算数は上述の通り、標準レベル以上の問題がずらりと並ぶ構成です。まず問題量が多いので、制限時間50分の使い方について過去問演習を通して固めておきましょう。最初の計算問題3題は見直ししなくても正解できることが必須です。そのうえで合格ラインを突破するポイントは、難問を深追いせず、取るべき問題に時間をかけて正確に解くという戦術を実践することにあります。2022年度では大問9以降は難度が上がりますので、大問8までで正解数を重ねる必要があります。特に平均算は同校では頻出ですので、問題に慣れておきましょう。同様に、大問10の平面図形を折り曲げる角度の問題も同校では多く出されますので、ここも何とか正解したいところです。過去問演習を多く解くことで、同校で多く出される単元が見えてきますので、そこで得点ができるように、単元演習をくり返しましょう。

算数が得意な受験生

算数が得意であれば、制限時間50分の中で全問に目を通せるような時間の使い方ができるように、スピーディーに解答する練習を重ねておきましょう。また、上記でも触れました、平均算、図形の折り曲げといった青山学院頻出の問題は全体正答率も上がる可能性がありますので、確実に正解できるように単元練習を徹底しましょう。そのうえで合格ラインを突破するポイントは、速さや平面図形の難問で得点を重なることにあります。同校の速さの問題は、場合分けやグラフの活用など、自分で書き出しをすることで解答の方針を固めさせる難問が多いです。ただ奇抜な問題ではなく、普段の演習で培った解法で対応できる範囲の難度の高さです。そのため、普段の演習では、テキストで難問とされているレベルまで確実に着手し、解法を少しでも増やしておきましょう。それでも50分に全問題を解き切るのは困難ですので、問題の取捨選択も過去問演習を通して練習しておく必要があります。

国語

青山学院中等部の国語は、ボリュームの多いテストの代表格と言えます。2022年度は大問5題で、小問数が32題でした。問題数も多いですが、3つの文章がどれも長いことが量の多さを際立たせています。大問1が漢字の書き取り、大問2が詩の読解、大問3が論説文読解、大問4が随筆的な論説文読解、最後の大問5が物語文読解です。最近では出題する学校が限られる詩の読解を毎年度出すところが大きな特徴です。問題は選択肢問題と書き抜き問題がほとんどで、記述問題は物語文で1題出されたのみでした。漢字の書き取りは6題で、ほとんどが基本から標準レベルですが、毎年度1題は難度の高い問題が含まれ(2022年度では「落丁」)、その1題が得点差のつく問題のひとつとなります。問題の特徴として、詩を含めて、文章の内容を要約した文章の穴埋めをさせるタイプの出題があります。そのほとんどは書き抜きですが、中には自分で言葉を考えて答える問題もあります。選択肢問題は標準レベルの難度で、紛らわしい選択肢はないのですが、文章の読み取りの精度が高くなければ正しい選択ができないものばかりです。
2022年度の文章では、大問2の論説文、大問3の随筆的論説文の内容が難しいものでした。特に大問2は文章量が多く、抽象的な論説が延々と続きます。合格ラインを突破するポイントは、この長い論説文の内容を速く正確に読み取ることにあります。文章中の語彙レベルも高いので、普段の演習で長く語彙レベルの高い文章に多く触れておく必要があります。2022年度は物語文の文章量は標準レベルですが、年度によっては長い文章となることもあります。文の種類を問わず長い文章を多く読み重ねておきましょう。青山学院中等部の場合は、読解問題が3題(詩を除いて)になりますので、文章の読み込みに多くの時間をあてられません。いきなり制限時間を設定する必要はありませんが、時間を意識した長文の読み込みを重ねることが同校の読解対策としては不可欠になります。また、詩の演習は塾の通常のカリキュラムでは不足しがちです。詩が苦手にはならないように、詩の演習を継続して取り入れるようにしましょう。

[2022年度の出典]
井鶴千穂『五十五点のあこがれ』&吉野弘『詩の楽しみ―作詩教室』
大澤真幸『自由の条件』
黒川伊保子『ことばのトリセツ』
葉山エミ『ベランダに手をふって』

理科

2022年度は大問が5題で、小問数が全25題の構成でした。50点満点であることから、1問2点の均等配点の可能性もあります。問題の種類は、選択肢問題が中心で、そこに計算問題と語句を答える問題が混ざり、記述問題は出されません。
大問1は各分野からの小問集合、大問2が食物連鎖など生物の生きる環境についての問題、大問3が地学分野から太陽の動きについての問題、大問4が気体の性質と発生についての問題、大問5が浮力の問題でした。
同校の理科で求められる知識は標準レベルのものが多いですが、時事的な知識や、テキストに載っていないような知識も、数は多くありませんが含まれます。大問ごとに難度の幅が広く、前半には基本から標準レベルの問題が多く、後半になるに連れて徐々に難度が上がり、思考力を求める問題も含まれてきます。合格ラインを突破するポイントは、そうした思考力を求める問題で多く得点することにあります。一問一答式に集積した知識だけでは高得点を取ることはできません。習得した知識アウトプットする方法を幅広く持つために、様々なタイプの問題を解いておくようにしましょう。計算問題では、2022年度の浮力の問題のように、実験の内容さえ把握できれば計算自体は複雑ではなく、また実験内容も典型的なパターンを少し応用させたもので、独特な仕組みや奇抜な内容ではありません。いかに問題内容を正確につかむかが重要なうえ、同校の理科では出題される単元が幅広いため、苦手分野がないようにしておくことが必須です。さらには制限時間25分に対して小問数が25題のバランスは一見無理ないように見えますが、問題内容を把握するのにかかる時間を考慮すると、解答時間には全く余裕がありません。スピーディーに問題を処理することが必須でありながら、選択肢が紛らわしい問題や思考力を求める問題が多く含まれますので、焦ってミスをすると雪崩式に失点が重なってしまいます。過去問演習を進める際には必ず制限時間を設定し、時間内に解けなかった問題をマークしておくといった方法で、25分内に解答時間を収める練習に早めに着手しましょう。

社会

2022年度は大問6題で小問数が全31題の構成でした。歴史・地理・公民分野全てから出題となりますが、比較的歴史分野からの出題が多かったです。小問数も多いですが、制限時間25分で大問が6題と、問題が次々に入れ替わってくるような印象を受けます。問題の種類はほとんどが選択肢問題で、そこに語句を答えさせる問題が一部混ざるかたちで、記述問題は出題されません。
大問1は中国・四国地方に関する地理分野の問題、大問2は歴史分野から各時代の出来事についての問題、大問3は平安時代から安土桃山時代にかけての文化に関する問題、大問4は江戸時代の外交についての問題、大問5が戦後の日本現代史の問題、そして大問6が感染症対策をテーマとした政治の仕組みについての問題でした。
深い思考力を求める問題は少なく、基本知識を活用することで解けるものが多いですが、大問数が多いことからも問われる範囲が広いので、普段の演習でも苦手分野や知識のもれを作らないように注意が必要です。合格ラインを突破するポイントは、資料を使った問題で正解を重ねることにあります。特に同校では地図を使った問題が多く出題されます。説明する場所を地図から選ばせるといったパターンの問題が多いので、普段から地図を手元に置いて主要都道府県、都市の位置を確認するようにしましょう。また、同校の特徴のひとつとして、世界に関する問題が出されます。2022年度はアフガニスタンの位置を地図から答えさせる問題が出されました。時事的なニュースについては該当する国だけでなく、関連する国々の位置を地図で確かめる習慣を身につけておく必要があります。
深く考えさせる思考力型の問題は少なく、リード文も短いので、4科目の中では比較的制限時間を使いやすいですが、資料の読み取りなどにかかる時間を考慮する必要がありますので、時間感覚を養うためにも過去問演習には早めに着手しましょう。

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