浅野中学校の傾向と対策

  • 併設大学なし
  • 高校外部募集なし
  • 男子校

志望にあたって知っておきたいこと

神奈川男子御三家の1校で、3校のうち唯一のキリスト教系ではない学校です。2/3に1回のみの受験実施になります。国公立大、早慶への高い進学実績を誇るうえに、体育系・文化系ともに部活動が盛んなこともあり、高い人気を集めています。4科目ともに基本レベルの問題から難度の高い問題まで幅広く分布されていますが、国語の物語文の内容読み取りの難しさや、社会の記述問題など、同校ならではの難しさが目立つ問題が多く含まれています。算数でも条件整理などの難問が高得点のポイントになるなど、難問への対応力が問われる入試問題です。

出題傾向と適した有利なタイプ

科目別学習対策

算数

2022年度は大問5題で小問が全29題の構成です。小問のうちまとめて解答できる問題がありますので、制限時間50分に対して問題数は多くはありません。大問1が計算と小問集合、大問2が立体図形の水深変化の問題、大問3が条件整理を含む場合の数の問題、大問4が速さと比の問題、大問5が立体図形の相似の問題です。大問1の中に難度の高い問題が1、2題含まれます。一方で難度が高い後半の大問でも(1)は解きやすいタイプの問題があります。大問1以外は典型的な出題パターンではなく、問題内容を理解するための対応力が求められます。大問1の難度が標準レベル以下の問題、大問2以降の(1)を確実に得点したうえで、他の問題でどれだけ点数を重ねられるかがポイントになります。

算数が苦手な受験生

大問1を含め、難度の高い問題に時間をかけ過ぎずに、得点できる問題でミスなく正解を重ねる必要があります。合格ラインを突破するポイントは図形の問題で得点を多く重ねなることです。平面図形、立体図形の問題では比を使って解く難問以外に、水深変化などの問題が出されますが、他の難問に比べて典型パターンに近い出題があります。丁寧に取り組めば得点のチャンスが広がりますので、そうした問題で計算ミスに気をつけながら確実に得点ができるように、普段の演習では自分で図をかいて解答方針をはっきりと立てる練習を重ねておきましょう。理由を書かせる問題もありますので、解答方針を整理する習慣をつけておきましょう。

算数が得意な受験生

大問1を全問正解したいところですが、難度の高い小問には時間をかけ過ぎずに、その分後半の大問で得点を重ねる方針で臨みましょう。まずは図形問題での失点を防ぐように、普段の演習で図形については苦手な出題パターンをつくらないように、テキストの応用問題をもれなく解いておきましょう。合格ラインを突破するポイントは、場合の数などの難問で、書き出しを効果的に使いながら問題の条件を確実に整理することにあります。模試や過去問演習で、これらの分野の問題で間違えた際には、解答の組み立て方をしっかりと見直す習慣をつけておきましょう。問題数からのイメージ以上に時間がかかるテストですので、時間配分を意識して過去問演習を進めましょう。

国語

2022年度は大問1が10題の漢字の書き取り、読み取り、大問2が物語文の読解、大問3が説明文の読解という3題構成でした。大問3は2つの説明文を題材としています。大問3の説明文は、2つの文章に共通するテーマを踏まえての出題となるため、解答に時間がかかります。
大問2の物語文は等身大ではない人物が主人公になっているだけでなく、将棋界に生きる人々の心の葛藤を描いた内容であるため、注釈を見てもすぐに文章の世界観を読み取るのが困難です。物語の進行も大きな起伏がなく、大人向けの長い文章に慣れていないと、文章を読むだけで制限時間の多くを消費してしまいます。問題構成は選択肢問題が多く、記述は1題です。選択肢は区別がしやすく、文章内容を完全に把握できなくても解ける問題が多いです。ただし、最後の選択肢問題は文章全体の理解を必要とし、また記述問題も解答の要素を文章中から見つけ出すのが難しいレベルです。
大問3の説明文は、日本人に多く見られる「同調圧力」の影響力と、社会と世間の違いをテーマとした文章と、専門的な知見の重要性を訴えた文章の2つを使った問題になっています。ほとんどの問題が、それぞれの文章の内容に関する出題で、難度は高くありません。2題の記述問題も、物語文のような解答の要素が見えづらい内容ではなく、50字以内、35字以内という制限字数も含めて標準レベルの難度と言えます。ただし、最終の選択肢問題は、2つの文章それぞれの趣旨と関係性まで理解ができていないと正解できない難度の高い問題です。
同校の特徴でもある物語文の難解さが2022年度でも見られました。上述の通り、物語文の内容を完全に理解できていなくても正解できる問題が含まれますが、それらの問題は得点必須となります。そのうえで合格ラインを突破するポイントは、文章全体の理解を前提とした難問で正解を得ることにあります。全ての難問を正解する必要はなく、抜かすべき問題は抜かす方針が必要で、特に物語文の記述に関してはあえて深追いせずに他の問題で正解を得るという戦略も効果的です。普段の演習では、物語文、説明文ともに、文章全体の内容についての選択肢問題を数多く解くことが有効な対策となります。そのうえで、男子校、女子校を問わず大人向けの物語文を出題する学校の過去問も取り入れて、等身大ではない人物が主人公の物語に慣れるための対策を取り入れるとよいでしょう。

[2022年度の出典]
大問2:芦沢央「恩返し」(『神の悪手』所収)
大問3①:鴻上尚史・佐藤直樹『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』
大問3②:佐倉統『科学とはなにか 新しい科学論、いま必要な三つの視点』

理科

2022年度は大問が4題で、生物・地学・化学・物理分野それぞれから大問1題の構成です。各大問の中で基本レベルの問題から思考力を求める難問まで幅広く分布しています。問題の種類は、選択肢問題の割合が高く、その他に語句を答える問題、計算問題が出され、記述問題はありませんでした。大問の中では思考力を求める問題を多く含む化学分野の大問3、物理分野の大問4が比較的難度が高くなっています。小問数は全29題で、実験の内容自体は複雑でないものが多いですが、計算問題や思考力を必要とする問題にかかる時間を考えると、制限時間の40分は余裕のある長さでとは言えませんので、難問を抜かすなど時間に対する意識を高く持つ必要があります。
大問1は生物のからだのつくりや蒸散などについての生物分野の問題、大問2は地層のつくりに関する地学分野の問題、大問3は金属の燃焼と気体の性質を題材とした化学分野の問題、大問4はてこのつりあいをテーマとした物理分野の問題です。大問1、2は実験や研究の内容が典型パターンに近く取り組みやすいですが、大問3、4は実験や問題設定の難度が高く、解きづらい問題がそろっています。
全体を通して、難度の高い問題に混ざって基本レベルの問題がありますので、それらの問題を短時間で確実に正解することが大前提となります。そのうえで合格ラインを突破するポイントは、計算問題で正解を多く獲得することです。計算問題の中で式が立てやすいものもありますが、多くは問題の設定を確実に理解して、どのように式を立てるかを思考する力が求められる内容です。計算問題の数自体は多くありませんが、同校の受験生レベルを考えると、計算問題以外の全体正答率は高くなると推測されますので、記述問題がないこともあり、計算問題での得点が合否を分けると言えます。小問数以上にボリュームを感じるテストですので、難しい問題は抜かして計算問題にかける時間を確保するといった戦略で過去問演習を進めるとよいでしょう。

社会

2022年度は大問2題で、大問1がエネルギーと産業の関係について地理・歴史・公民すべての分野の内容を含む複合型問題、大問2が日本の地熱発電に関する記述問題でした。大問1は全て選択肢問題で小問数が23題と多めの出題になっており、大問2は100字以内の記述問題1題という独特の問題構成になっています。制限時間40分のうち大問2の記述問題の答案作成に多めの時間がかかることを考えると大問1はスピーディーに解き進めることが必須となります。
大問1の選択肢問題の中には問題を見た瞬間に答えが浮かぶ基本レベルの問題も含まれますが、当てはまるものを「すべて選ばせる」タイプの問題や、選択肢を正しく選別するために深い知識が求められるタイプの問題といった、難度の高い問題が占める割合が高くなっています。そうした難問の中には、単に知識を使えば正解できるレベルではなく、選択肢で述べられた内容を理解したうえで正誤を正しく判断するために思考力が必要となる問題も含まれます。普段の演習から知識を正しく習得するだけでなく、その知識を正しく活用する訓練が不可欠ですので、暗記の作業を可能な限り早期に終わらせて、問題演習の時間を多く確保する必要があります。
大問2の記述問題は複数の資料を使って解答を作るタイプの問題です。100字という制限字数の多さが問題の難度を上げていますが、資料自体は理解しやすく、資料同士の関係も見つけやすいので、いかに考えを100字以内でまとめるかが重要になります。合格ラインを突破するポイントはこの記述問題で高得点を得ることにあります。普段の演習で長い制限字数の記述問題を解く練習を重ねて記述の精度を上げることはもちろんですが、記述答案の完成にかける時間を確保するために、大問1を短い時間で解く意識を強く持つことが求められます。同校の受験生のレベルを考えると、大問1に関しては短い時間で解くだけでなく、正解を確実に多く重ねることも必要になりますので、過去問演習には早めに取り組んで、時間の使い方をしっかり練習しておきましょう。

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