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解答の理由を書かせる問題や図形に書き込むタイプの問題が出されます。解答方針をしっかり立てる習慣づけが必要です。場合の数や条件整理に強いタイプ向きです。
神奈川男子御三家の1校で、3校のうち唯一のキリスト教系ではない学校です。2/3に1回のみの受験実施になります。2024年度実績で東京大学に45名(現役37名)、京都大学7名(現役5名)が合格するなど、国公立大、早慶への高い進学実績を誇るうえに、体育系・文化系ともに部活動が盛んなこともあり、高い人気を集めています。
入試問題では4科目ともに基本レベルの問題から高い思考力を求める問題まで、難度が幅広く分布されています。国語の物語文の内容読み取りの難しさや、社会の記述問題1題で構成される大問など、同校ならではの高い読解力、表現力が求められる問題が多く含まれています。算数で解答の理由を書かせる記述問題が大問1のうちの1題として出される点も特徴的です。
解答の理由を書かせる問題や図形に書き込むタイプの問題が出されます。解答方針をしっかり立てる習慣づけが必要です。場合の数や条件整理に強いタイプ向きです。
等身大ではない人物を主人公とした難解な物語文が出される傾向があります。文章を読み取る語彙とわかりやすく記述する語彙が求められます。記述問題に強いタイプ向きです。
幅広い難度の問題が分布します。記述問題の出題はありませんが、複雑で難度の高い計算問題が出されるため時間に余裕はありません。計算問題に強いタイプ向きです。
大問1が20題以上もの小問で構成され、大問2が記述問題1題という独特の問題構成です。高い知識レベルと表現力が求められます。字数が長い記述問題に強いタイプ向きです。
2024年度は大問5題で小問が全28題の例年通りの構成でした。28題の小問のうち、まとめて解答できる問題がありますので、制限時間50分に対して問題数は多くはありません。
大問1が計算と小問集合、大問2が分数列を扱った規則性の問題、大問3がダイヤグラムの考え方を使う速さの問題、大問4が水深変化の問題、大問5が立体図形の相似の問題でした。浅野中算数の特徴となっている説明記述問題が大問1の最終問題で出されました。チェスの駒の動きについて説明する問題です。
同校の算数には思考力を求める問題が多いですが、奇抜な設定やひらめきを求める問題はなく、問題の誘導に従って、前の問題で解答した内容を活用すれば解答方針が立てられるものが多いです。2024年度であれば、最終大問5の立体図形の問題が該当します。立方体の中に四角すいと三角すいをつくる設定で、最終の小問で扱う立体の形が複雑ですがそれまでの小問が立体の形を把握するヒントとなる浅野中らしい問題でした。
説明記述の問題も、チェスの駒の動きについて穴埋めで答えさせる問題を解いたうえで説明させる構成になっていて、穴埋め問題がなければ解答の糸口をつかむのに時間がかかる内容ですが、穴埋めを通して駒の動きが把握することで、説明がしやすくなっていました。
大問1を含め、難度の高い問題に時間をかけ過ぎずに、得点できる問題でミスなく正解を重ねる必要があります。合格ラインを突破するポイントは図形の問題で得点を多く重ねなることです。平面図形、立体図形の問題では比を使って解く難問以外に、水深変化などの問題が出されますが、他の難問に比べて典型パターンに近い出題があります。丁寧に取り組めば得点のチャンスが広がりますので、そうした問題で計算ミスに気をつけながら確実に得点ができるように、普段の演習では自分で図をかいて解答方針をはっきりと立てる練習を重ねておきましょう。
2024年度でも大問1(4)の平面図形の問題、そして大問5の立体図形の(1)~(3)は相似の基本知識で解答できる内容でした。普段の演習で、相似や面積比の基本から標準問題をスムーズに解答できるように徹底対策しておきましょう。
問題の設定が複雑に見えても小問を解くことでその内容を解き明かすような誘導型の出題が浅野中算数の特徴ですので、大問の前半の小問が解きやすくなる傾向が強いです。難しそうに見えるから抜かす、と思い込まずに、解きやすい小問は確実に取り組む姿勢で臨みましょう。
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大問1で出される説明記述の問題は確実に得点したいところです。上述のように解答方針は他の小問の解答で得られますので、採点者に伝わりやすい解答を作成するように注意しましょう。特別な対策までは必要ありませんが、過去問演習では解説を熟読して、文章を正しく構成できたかまでチェックするようにしましょう。
合格ラインを突破するポイントは、問題の設定の変化に正確に対応することにあります。2024年度であれば大問4の水深変化の問題の後半で、容器の中の立体の配置を変える出題がありました。複雑に見えますが、大問前半で解いた立体の配置を参考に、グラフのデータを活用すれば一気に解きやすくなります。
思考力を求める問題でも発想力を求めるというより、与えられた情報を的確に活用して思考を進めさせるのが同校の特徴です。簡単に解ける問題でもその中に難問に対応するためのヒントがあると考えて、集中して解答を進める練習を徹底しましょう。
制限時間は短い設定ではありませんが、説明記述の問題で時間がかかる可能性がありますので、時間配分を意識して過去問演習を進めましょう。
2024年度は大問3題の構成で、大問1が漢字の書き取り、読み取り、大問2が物語文の読解、大問3が論説文の読解という構成でした。2022年度に新傾向として説明文読解を2つの文章で解き進める形式がとられましたが、2023年度、2024年度は2つの大問とも1つの文章からの出題となりました。問題の種類は、選択肢問題、穴埋め問題、記述問題となり、記述問際は物語文、論説文合わせて3、4題が出される傾向にあります(2024年度は物語文で1題、論説文で2題でした)。
同校の物語文は等身大ではない人物を主人公として、小学生には理解しづらい設定の長文を出典とする特徴があります。2024年度の物語文は戦時中に学校の集団疎開に参加しようとする女子学生と、それを認めない父との確執を描いており、等身大の人物が主人公ではありますが、戦時中という時代設定を踏まえなければならず、かつ主人公、父親の心情の描写に使う語彙の難度が高く、読みやすい内容ではありませんでした。
物語文の問題ですが、記述問題1題以外はすべて選択肢問題でした。記述問題は解答要素が見つけやすく、文章が作りやすい問題だったと言えます。一方の選択肢問題は選択肢の文章が長く、一見難度が高く感じられますが、選択肢の違いがはっきりとしており、消去がしやすい問題がほとんどでした。ただし、正確に消去を進めるためには、選択肢の文章を読み解くための語彙が必要になりました。
論説文の文章は標準より長めですが、「理解する」ことのメカニズムに関する養老孟司氏の文章で、内容自体は理解しやすいものでした。ただし、語彙レベルの高い表現が含まれ、普段から難しい語彙を含む論説文に多く触れているかどうかで、読み取りの正確さに差が生まれる文章でした。論説文の問題は、記述問題、慣用句の穴埋め問題、乱文整序の問題、選択肢問題と幅広い構成でした。
合格ラインを突破するポイントは、記述問題で高得点をとることにあります。問題構成からすれば選択肢問題の割合が高いのですが、同校の受験生レベルを考えると、語彙があれば区別がしやすい選択肢問題では正答率が高くなると考えられます。記述問題でいかにわかりやすい文章を作れるかが得点差を生むポイントになります。
2024年度の記述問題のうち、物語文の問3、論説文の問7は文章中のどの要素を利用すればよいのかがわかりやすく、あとは制限字数(50~60字と30~40字)にまとめる構成に気をつければよい内容でした。圧倒的に難度が高かったのが、論説文の問8で、問題に「本文全体をふまえ」という指示がありますので、文章全体の要旨をまとめるように見えて、解くべき内容は限定されており、文章全体を通して解答要素を見つけ出す力が高レベルで求められました。
記述問題の対策として、普段の演習から記述問題では要素を過不足なく盛り込めているか、模範解答と解説を熟読して見直すようにしましょう。また、同校の過去問以外に、城北中、芝中、鷗友女子といった難度の高い記述問題を出す学校の問題を活用することも有効です。
同校では2013年度まで、与えられた文章をもとに自分が考えたことを100字程度でまとめる自由記述型の問題が出されており、2014年度以降は出されていませんが、長い制限字数の記述問題が今後出される可能性もありますので、100字程度の制限字数の問題の練習も重ねておきましょう。
[2024年度の出典]
大問2:西川美和『うつろいの秋』
大問3:養老孟司『ものがわかるということ』
2024年度は大問が4題で、生物・地学・化学・物理分野それぞれから大問1題の構成です。小問数は30題で、問題の種類は、選択肢問題の割合が高く、その他に計算問題、語句を答える問題、計算問題が出され、記述問題はありませんでした。
大問1は植物の特徴と分類についての生物分野の問題、大問2は地震をテーマとした地学分野の問題、大問3はマグネシウムの溶解を題材とした化学分野の問題、大問4は浮力に関する物理分野の問題でした。
例年の傾向として、大問1、2よりも大問3、4の難度が高くなりますが、2024年度も思考力を求める問題を多く含む化学分野の大問3、計算問題を中心に構成される物理分野の大問4の難度が比較的高くなっていました。
同校の理科の特徴として、各大問の中で基本レベルの問題から思考力を求める難問まで幅広く分布している点があります。2024年度も各大問の前半には基本的知識を求める問題や解答方針が立てやすい問題が出されていましたが、大問1の「二酸化炭素濃度計」や、大問4のおもりを2つ選ぶ浮力の実験など、後半には特徴的な実験とその結果をまとめたデータを題材とした難問が多く見られました。
まずは、難度の高い問題に混ざって出される基本レベルの問題を短時間で確実に正解することが大前提となります。例えば2024年度の大問1の植物の分類図は一見複雑ですが、図の要素をよく見てみると、典型的な分類を示すものであることに気づきます。落ち着いて資料を見て、スピーディーに処理を進める練習を普段から重ねておきましょう。
そのうえで合格ラインを突破するポイントは、計算問題で正解を多く獲得することです。計算問題の中で式が立てやすいものもありますが、多くは問題の設定を確実に理解して、どのように式を立てるかを思考する力が求められる内容です。2024年度の大問4も、前の問題を解く際に使ったデータを正確に使いこなして解くといった処理能力が求められました。
計算問題の数自体は多くありませんが、同校の受験生レベルを考えると、計算問題以外の全体正答率は高くなると推測されますので、記述問題がないこともあり、計算問題での得点が合否を分けると言えます。計算問題や思考力を必要とする問題にかかる時間を考えると、制限時間の40分は余裕のある長さでとは言えませんので、難問を抜かすなど時間に対する意識を高く持つ必要があります。
2024年度は大問2題で、大問1が「技術革新」をテーマとしたリード文と資料をもとに、地理・歴史・公民すべての分野から出題される分野複合型問題、大問2が100字記述1題という例年通りの問題構成でした。
大問1の小問数は全21題とボリュームがあり、資料をもとに計算をさせる問題が1題と、「衆参同日選挙となった場合の投票用紙の合計枚数」を数字で答えさせる問題以外は全て選択肢問題でした。
大問1で多量の選択肢問題を出し、大問2では100字以内の記述問題1題を出すという独特の問題構成ですが、合格ラインを突破するポイントは大問2の記述問題で高得点を得ることにあります。この大問2の記述問題は、様々な資料をもとに考察した内容を100字でまとめるもので、2024年度では、「SDGsに対する理解が広まる中での、日本人の消費行動の課題と、消費者として意識すべきこと」について説明させる問題でした。4つの資料が与えられましたが、消費者意識の国による違いを表したグラフ、ある家族がホテルを選ぶ理由について親子間での違いを説明した文章、あるハンバーガーチェーン店の商品パッケージの写真、「国際フェアトレード認証ラベル」と国際フェアトレード基準の説明を併記したもの、と多種多様な資料が提示されました。
ひとつひとつの資料は読み取りやすいもので、与えられた問題との関連もつかみやすいですが、日本人の消費行動とSDGsの関連という時事的なテーマを理解したうえで解答に臨めるかどうかで、問題を解く速度、解答記述の精度に大きな差が生まれます。普段の演習で長い制限字数の記述問題を解く練習を重ねて記述の精度を上げることはもちろんですが、時事ニュースから何が考察されるのか、という問題意識を常に持っておく必要があります。
この大問2にかける時間をより多く捻出するためにも、大問1を短い時間で解き、正解を重ねる必要がありますが、多量の選択肢問題で構成される大問1は基本的な知識で対応できる問題は少なく、選択肢で述べられた内容を理解したうえで正誤を正しく判断するために思考力が必要となる問題も含まれます。
2024年度であれば、大問1問10の米の生産場所と作物価格と流通コストや地代の関係性を図式した独特な図と表、グラフをもとにした出題でしたが、図の読み取りが非常に難しく、さらに読み取られたデータから計算も進めなくてはいけないという難問でした。
また、問20では文章作成AIに質問して得られた回答について、その回答を評価した文章の正誤を答えさせる問題が出されました。生成AIの成果と課題といった時事的な内容を正確に理解しておくことが前提となる注目問題でした。
浅野中と言えば大問2の100字記述が特徴的ですが、近年は大問1で多種多様な出題形式で思考力を求める出題が多くなってきていますので、暗記の作業を可能な限り早期に終わらせて、時事問題を含む思考力を使う応用問題の演習にかける時間を多く確保する意識を強く持つようにしましょう。