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解答の方針を立てるのも困難な問題がほとんどです。思考力、正確な計算力、スピードのどれもが要求される最高難度のテストです。思考力型の問題に強いタイプ向きです。
神奈川男子御三家の1校で、開放的なキャンパスは、見学に訪れた受験生、親御さんが瞬時に魅了されると高く評価されています。2024年度には卒業生187名のうち東京大学に現役で37名合格するなど、高い合格実績を維持しています。高3生を対象とした夏期講習では、大学受験に照準を合わせた講座以外にも、化学実験と物理実験の講座が開設され、普段の授業ではできない実験が早朝から夜まで行われています。
4科目それぞれが特徴的な内容で、すべて高難度の問題で構成されます。他校では見られないような難問が並ぶ算数では思考力はもちろん、正解に行き着くために粘り強く、かつスピーディーに作業を進める力も求められます。国語では記述問題の割合が高く、論説文・物語文ともに文章の難度に関わらず、記述解答を作るうえでの解答要素を見つけ出すのが難しい問題設定になっています。
理科では問題が進むごとに実験の複雑さ、難度が上がって行く構成で、それぞれの実験の内容、違いを的確につかんだうえで、グラフ・資料を細かい部分まで見極める視点が必要となります。社会ではリード文や資料から考えられることを短い時間で整理し、それをわかりやすい文章にまとめるといった、思考力と表現力のどちらも高いレベルで求められます。
解答の方針を立てるのも困難な問題がほとんどです。思考力、正確な計算力、スピードのどれもが要求される最高難度のテストです。思考力型の問題に強いタイプ向きです。
問題の大半が難度の高い記述問題で構成されますので時間の使い方が難しいテストです。物語文では海外の作品が多く使われます。記述問題に強いタイプ向きです。
大問1題でひとつのテーマに関する総合問題が出されます。思考力を求める記述問題や、実験内容からグラフを完成させる出題もあります。記述問題に強いタイプ向きです。
全大問に共通するテーマが与えられます。最終の大問はそれまでの問題内容を活用して長い字数を書かせる記述問題です。思考力が必要な記述問題に強いタイプ向きです。
2024年度は大問4題で小問が全21題の構成です。計算や小問集合はなく、大問1から総合問題がスタートします。大問1は数の性質の問題、大問2は水深変化の問題、大問3が数の性質と場合の数の複合問題、大問4が立体図形から切断の問題でした。
例年に比べて、超難問は見られず、どの解法を使えばよいのかのイメージがしやすい問題が多かったですが、あくまで栄光学園の算数という範疇においての話で、一般的な指標からすると難問がほとんどの構成です。
単元としては典型的でも、問題内容を深く読み込んで、正確に条件整理をしなければ得点できない問題が出される特徴があります。2024年度では、大問2の水深変化の問題が、一見シンプルに見えて、条件整理を丁寧に行わなければ得点できる小問がない、という問題でした。高く集中力を保って、地道に調べ立式までのプロセスを進まなくてはいけない、解答の体力が求められるテストです。制限時間が国語より10分長く与えられますが、高得点を狙うためには、解くべき問題の優先順位をつけることが不可欠となります。
大問の最初にある(1)の中には、他の問題よりも難度が大きく下がる問題(2024年度であれば大問1、大問3)がありますので、まずはそれらを逃さず正解しましょう。そのうえで合格ラインを突破するポイントは図形問題で少しでも得点を重ねることです。同校の問題の中では図形問題が比較的解きやすくなっています。2024年度の立体図形の切断の問題は、最後の(3)の2題は難度が非常に高いですが、(1)(2)は切断でできる立体の形を把握しやすい問題でした。
同校の算数は全体として、テキストの最高難度のレベルが並びます。制限時間内に全ての問題を解くことは想定せずに、確実に捨て問を作って、解ける問題を確実に解くという方針で解き進める方がよいでしょう。普段の演習では、思考力を求める問題を解く時間をより多く持って、解答のつくり方を取得する必要があります。
まずは他単元より得点のチャンスがある図形問題は確実に満点を取りたいところです。ただし、年度によっては図形の難度も上がりますので、難問は深追いしないことです。2024年度大問4の立体図形の切断の問題も(3)は難問でした。
同校の思考力を求める問題は、解答をつくる上での手順が非常に多くなります。2024年度も最初の大問1から調べ上げる作業が必要となりました。また、大問3の場合の数の問題は数の性質の要素が含まれ、問題の設定を正確に読み取って、調べ上げを正確に積み重ねる、同校らしさに満ちた問題でした。作業の量が多くなっても集中力を絶やさず、解答方針を正確に立てるために、場合分けを的確に交える力が求められます。
地道に時間をかけて解き進めるための体力づくりをするために、普段からテキストの最高難度の問題だけでなく、『中学への算数』の難問や、算数オリンピックの問題を解く時間を定期的に取り入れて、なぜこの解き方なのか、といった着想の段階から正確に身につける練習を重ねましょう。合格ラインを突破するポイントはそうした練習を重ねて、大問の中で捨て問を最小限に止めることです。過去問演習に早めに取り組んで、問題との相性も見極めましょう。
2024年度は大問3題構成で、小問数は全20題(そのうち漢字の書き取りが10題)でした。大問1が論説文の読解、大問2が物語文の読解、大問3が漢字の書き取りという問題構成です。大問1、2の読解の小問数は全10題と少ないですが、そのうち6題が記述問題のため、制限時間60分は時間配分をうまく進めなければ足りなくなってしまう長さです。
同校の論説文は学校が問題を作成する年度もかつてあったように、構成がしっかりとした文章となる傾向が強いです。難しい言葉には注釈が付きますが、全般に語彙レベルは高く、文章量が多いため読み取りには時間がかかります。特に2024年度は2023年度と比べて論説文の難度が上がりました。具体例とそこから考察される内容は明確に区別して論述されているのですが、「客観性を重視し過ぎるあまりに、自分が感じたことを否定的に考えることの危険性」といった論旨が抽象的なため、正確に読み込むことが難しい内容となりました。この論説文読解の難しさが、テスト全体の難度を上げていました。
同校の物語文は年度によって読み取りが難しい内容が出されることがありますが、2024年度は、「子ども食堂」や貧困といった社会的テーマを含みながらも、頻出テーマの「友人関係の変化」を軸とした内容で、読みづらさは感じられないものでした。
ただし、人物の心情を説明させる記述問題では、解答要素を的確に見つけ出し、それをわかりやすく組み立てる作業が難しい問題設定になっており、「文章は読みやすいけれど問題が解きづらい」パターンとなっていました。
同校では海外の作品が使われることが多い特徴があり、2023年度、2022年度とも海外の作品が出典でした。出題内容は日本の物語文を出典とする場合と同じく、登場人物の心情やその変化の理解をメインとなりますが、舞台が外国であるだけに設定や人物名の認識など、慣れていないと意外と時間を費やしてしまう傾向があります。対策として、立教女学院の古い過去問など、他校の問題も活用して海外の文章に慣れておくとよいでしょう。
合格ラインを突破するポイントは、何といっても記述問題で高得点を獲得することにあります。2024年度の論説文のように文章内容が難しいパターン、物語文のように文章は読みやすいながらも解答要素を見つけ出すのが難しいパターンの両方がこれまでの年度でも見られました。まず問題で求められる説明を正しく理解し、解答に必要な要素を短時間で見つけ出す力が必要です。
同校の受験生レベルを考えると、すべての記述問題が高得点での戦いとなる可能性が高いだけに、普段の演習から記述問題では精度の高い解答になっているか厳しくチェックをする習慣をつけておくことが必須です。特に文章構成に一切の乱れないように徹底的に注意して日々の演習に臨みましょう
[2024年度の出典]
大問1:尹雄大『やわらかな言葉と体のレッスン』
大問2:あんずゆき『アゲイン』
2024年度は大問が1題で、鉢植えをする際のプラ鉢(プラスチック製の鉢)と素焼き鉢(何もぬられていない焼き物の鉢)の違いをテーマにした総合問題が出されました。ほとんどが生物分野からの出題ですが、影に関する地学分野の問題が2題含まれた他、算数の解法を使う計算問題など様々なタイプの問題が含まれました。小問数は全11題でそのうち記述問題は3題です。そのほとんどが難問で、思考力を求める問題が圧倒的な割合を占めます。
同校の理科は、実験を題材とした出題が大半となりますが、ひとつのテーマについて、複数の実験が内容を変化させながら提示され、それぞれの実験について問題が出されるかたちになります。問題を追うごとに実験の内容が複雑になり、計算問題、グラフ読み取り問題の難度が上がって行きます。
合格ラインを突破するポイントは実験の内容を正確につかむことにあります。実験を扱う問題はどの学校でも出されますが、栄光学園では上記のように、実験の読み取り難度が問題を追うごとにレベルアップして行く特徴が顕著にあります。その難度のアップにしっかりと付いて行き、それぞれの実験の内容を正確に理解したうえで、必要な情報を得るためにはどのような実験かまで考察する必要があります。
2024年度でも、ある実験の結果から読み取れる内容を提示したうえで、さらに他の情報を得るための「実験方法」を説明させる問題が出されました。こうした問題に対応するには、出題された実験が何を証明するために行われたものなのか、その実験によって得られたデータがどのような事実の裏付けになっているのかまで深く考察する姿勢が必須となります。普段の演習でも様々なタイプの実験に触れて、ただ問題に正解したかどうかだけでなく、解説を熟読して実験の内容を正しく理解できていたかどうかまでチェックするようにしましょう。
同校の記述問題は上記のような実験の内容を深く理解する力を試す問題以外にも、柔軟な発想と確かな表現力を求める難問が出されることがあります。難度の高い記述問題に対応するために、テキストだけでなく他校の過去問から、難度の高い記述問題を解く練習に早めに取り組む対策が効果的です。
計算問題はグラフと表が正確に読み取れれば計算自体は複雑ではないものが多いです。これらの計算問題は正答が必須になりますので、基本知識の集積と合わせて、計算問題は標準レベルまで早めに仕上げておきましょう。
同校の理科では、グラフを自分で完成させる問題も出されます。ここでも実験内容を確実に把握することが前提になりますので、実験内容とグラフの関係をつかむ練習をテキストの応用問題を使って重ねておくことが不可欠です。
記述問題をはじめとした応用問題の演習に早めに取り組むためにも、基本知識の集積はできるだけ早く完成させる必要があります。理科は後回しでよいという考えは同校の理科対策としては不適切です。できれば夏休みまでに基本知識は固めて、夏から実戦的な演習を始めましょう。過去問演習では、解説の見直しに十分な時間を確保して、記述問題の書き方だけでなく、どのような着想で記述をすればよかったのかを必ず確かめるようにしましょう。
2024年度は大問6題で、「日本における貨幣の使われ方の歴史」を共通のテーマとした出題となりました。大問1は縄文時代から奈良時代までの「銭(ぜに)」についての歴史分野の問題、大問2は平安時代から室町時代までの「中国銭」についての歴史分野の問題、大問3は戦国時代の貨幣、大問4は江戸時代の貨幣についての歴史分野の問題、大問5が明治時代から現在までの貨幣を題材とした歴史分野と地理分野の問題、そして最終の大問6はそれまでの問題の内容を踏まえた記述問題という構成でした。
小問数は全25題と多くはありませんが、そのうち7題が記述問題で、最終の大問6に含まれる2題の記述問題には制限字数がありませんが、内容として長い字数が必要となりますので、制限時間40分の使い方が非常に難しいテストと言えます。
2024年度は歴史分野の割合が圧倒的に高く、一部地理分野が含まれていますが、公民分野からの出題がありませんでした。これは毎年度のことではなく、公民分野からの出題が含まれる年度もあります。年度によって問題構成が変わりますので、出題されない分野があっても戸惑わないように心がけておきましょう。
問題の難度はほとんどが標準以上の高レベルで、特に記述問題は単に知識量があるだけでは解答の方針すら立てられないものが多く、リード文や資料から考えられることを短い時間で整理し、それをわかりやすく、長くなり過ぎないように文章にまとめるといった、思考力と表現力のどちらも高いレベルで求められる問題が多いです。
合格ラインを突破するポイントは記述問題で得点を重ねることにあります。最終大問の記述問題はそれまでのリード文で説明された内容、問題として解答した内容をすべて踏まえて答えさせる、栄光学園の社会を特徴づける出題ですが、これらの問題は難しいというよりも、書くべき内容が幅広く、それをわかりやすくまとめて説明する構成力、表現力が備わっていれば、高難度とはいえ対応できるチャンスがあります。
むしろ難度が高いのは、リード文で与えられた情報を精査して、解答に使える要素を的確に選び出す過程を求めるタイプの問題です。2024年度であれば、大問4問1で、江戸時代の金貨と銀貨の支払われ方の違いを説明させる問題で、ここでは、銀貨には貨幣価値が刻まれていない→重さを測って取引するといった流れで類推する力が求められます。単に要素を結びつけるだけでなく、リード文からポイントを抽出して、社会の知識を用いて解答の方向性を定めるとった作業を高レベルで仕上げておく必要があるのです。
テキストの難度の高い記述問題は早々に仕上げたうえで、他校の最難関レベルの思考力を必要とする記述問題の演習に取り組み、知識や資料から得られる情報をどのように組み合わせて問題が求める視点を鍛えておくことが有効な手段となります。少しでも多くの時間を記述問題対策に充てられるように、知識の集積は早めに完成させておきましょう。
知識問題の中には一部基本レベルの問題もありますが、同校を受験するうえではこれらの問題は正解必須ですので、記述問題だけに集中するのではなく基本知識を確実におさえておくことも忘れないようにしましょう。
知識問題もただテキストに載っている情報だけでなく、それに関連する知識まで求められる問題があります。普段の演習からテキストだけでなく、資料集(帝国書院『図説 日本史通覧』など)をフル活用して、幅広く視覚的に知識を吸収する練習を重ねておきましょう。