フェリス女学院中学校の傾向と対策

  • 併設大学あり
  • 高校外部募集なし
  • 女子校

志望にあたって知っておきたいこと

神奈川女子最難関校です。東大をはじめとした国公立大、早慶へ多数の進学者を輩出しており、フェリス女学院大学への進学者はほとんどいません。4科目とも難度が高く、合格ラインを突破するには知識量、思考力ともに高レベルにまで仕上げておくことが前提になります。特に算数・理科の理系科目は難問揃いで、同校の過去問はもちろん、男子難関校の難問の演習まで固めておく必要があります。算数であれば式や図を書かせる問題、他3科目では記述問題と、自分の考えをわかりやすく記す力が求められます。どの科目も総合的な力を判定する構成になっていますので、苦手な分野は作らないことを強く意識して普段の演習を地道に進めるようにしましょう。

出題傾向と適した有利なタイプ

科目別学習対策

算数

2022年度は大問5題で小問が全19題、大問1が計算と小問集合、大問2が集合の考え方を用いる数の性質の問題、大問3が仕事算の問題、大問4が速さと比の問題、大問5が平面図形から点の移動の問題という構成です。後半の大問3の(1)(2)、大問4の(1)(2)、大問5の(3)が求め方(式や図)を書かせる問題になっています。基本的な問題も一部ありますが、ほとんどが標準レベル以上の難問です。特に大問1の小問集合に難度の高い問題が複数含まれますので、時間がかかると予想された場合は即時抜かして先の問題に進まなければ、解ける問題を逃してしまいます。後半には式や図を書かせる問題が並び、そのほとんどが解答方針を立てるのが難しい問題になります。大問3の仕事算、大問4の速さと比は典型的なパターンに近いですが、作問に工夫がなされており、自分で図を書いて問題内容を整理する必要があります。

算数が苦手な受験生

大問1から難問が出されますので、問題の順番に関わらず難しい問題は抜かすという意識を強く持って臨みましょう。式や図を書かせる問題が含まれますので、普段から考え方を書いて整理する習慣をつけておくことが不可欠です。合格ラインを突破するポイントは比を使いこなすことにあります。得点差を生む大問3、大問4は問題内容は初めて見るタイプではありませんが、比を使った解法に慣れていないとスムーズに解き進めることができません。単元を問わず比を使った問題については、テキストの応用問題レベルを解き重ねたうえで、男子難関校の難問を解く練習も有効な対策になります。図形問題を含め、自分で図を書いて解く練習も必須です。

算数が得意な受験生

典型タイプで難度の高い応用問題での正解を重ねることが合格ラインを突破するポイントです。まずはテキストの応用問題レベルは単元を問わず数多く解き重ねて、応用問題の出題パターンに慣れておくことが必須です。そのうえで、早期に男子難関校の難問を解いて、自分で図を書いたり、書き出しをすることが必要な難問への対応力を向上させる必要があります。基本レベルの問題での取りこぼしは厳禁ですので、比を使った問題は強化したうえで、苦手な単元を作らないようにしましょう。式や図を書かせる問題について、「はっきりと」書くようにとの指示があります。時間的に余裕があるテストではありませんので、普段の演習から頭の中で解き進めるのではなく、解き方の過程をていねいに記す習慣をつけておきましょう。

国語

2022年度は大問4題で、大問1が随筆文読解、大問2が説明文読解、大問3が指定の語句を使って30字以内の文章を作成させる問題、大問4が漢字の書き取り、読み取りでした。大問1、大問2ともに記述問題が含まれ、大問2では要旨要約と自分の意見を書かせる問題が出されています。
大問1の随筆文は字数が10000字近くにもなり、随筆文の読み取りが苦手な受験生にとっては時間がいくらあっても足りない感覚になる程の分量です。難解な言い回しこそありませんが、登場人物の把握や、筆者の真意の読み取りが難しい内容でした。ただし、内容が理解できれば問題は選択肢中心で答えやすく、解答時間も長くはならない問題がほとんどです。
大問2の説明文は文章が短く、内容も標準的です。ただし上述の通り、まず80字以内で文書の内容を要約する問題が出され、さらに最終問題では本文のテーマにそって自分の意見を200字以内で書かせる問題が出されました。
大問3は「せめて」「きっと」の2語を用いて30字以内の文章を作るという問題です。問題の難度としては高くありませんが、大問1、大問2にかかる時間を考えると、長く時間がかけられない問題になります。
大問1では長い文章を正確に読み取る力が、大問2では文章の内容をまとめ、さらに自分の意見を述べるといった記述力が求められ、さらに大問3では語彙の正しい使い方を求められるといった、1つのテストで国語の力を総合的に判定する構成になっています。同校の受験生レベル、さらに難問揃いの他科目とのバランスを考えると、国語での高得点が必須となります。高いレベルでの競争の中で、合格ラインを突破するポイントは短い時間で確実にわかりやすい文章を作る記述力になります。もちろん大問1のような長い文章を正確に読み取るだけの対応力が必要ですが、同校の場合はそれが大前提となり、記述問題で確実に得点を重ねることが得点差を生む要素になります。普段のテストで触れた文章を80字以内で要約する練習、また新聞のコラムなどを活用して自分の意見を200字でまとめる練習を重ねておきましょう。時間配分が非常に難しいテストですので、早めに過去問演習をスタートさせる必要があります。

[2022年度の出典]
大問1:阿部昭「自転車」(『父たちの肖像』所収)
大問2:河野哲也『人は語り続けるとき、考えていない 対話と思考の哲学』

理科

2022年度は大問数が4題で小問が全41題の構成です。記述問題が11題で、全ての大問で出される点が特徴的です。計算問題は大問1の生物分野の問題以外の全ての大問で出されています。実験の内容を理解するための時間、記述問題にかける時間の確保が必要となり、制限時間の30分は非常に短いと言えます。
大問1は植物や動物などの特徴を区別し説明させる生物分野の問題、大問2は燃料に関する化学分野の問題、大問3は気体や水の膨張をテーマとした物理分野の問題、大問4は夏至、冬至の際の太陽の動きに関する地学分野の問題となっています。
同校の理科の問題は、知識と思考力、表現力の全てが求められる高難度のテストです。まず、全ての大問に記述問題がある点が特徴的です。その内容は、実験で起きた現象の理由を説明するなど、どのような実験であるかの理解が大前提になります。その実験も、独特な内容ではありませんが、詳しく正確に内容を把握するのが難しい実験ばかりです。計算問題も計算する数値は細かくありませんが、やはり実験内容を理解した上での式の立て方が非常に難しいものです。普段の演習から様々なタイプの実験に触れて、記述問題対策として、実験によって起こる現象が起きる理由を正確に説明する練習が効果的になります。また、2022年度であれば最終の地学の問題が当てはまりますが、グラフや統計資料を用いた問題の内容説明が長々と示される特徴があります。穴埋め式が多い前半の問題の難度は高くありませんが、それらの問題を踏まえて最後に出される記述問題に臨む流れとなっており、この記述問題の難度が高いです。粘り強く説明を読み取り、そこで得た情報をわかりやすく記述する力が求められます。普段から理科の記述問題に特化した取り組みが必要となります。

社会

2022年度は大問4題で小問が全39題の構成です。記述問題は全5題で、全ての大問で出題されています。その他は語句を答える問題か選択肢問題です。全ての大問がリード文をもとにした出題で、その中にグラフや資料が含まれています。統計資料は読み取りづらいものではなく、リード文と合わせて解答のヒントとするのに難しさは感じられないでしょう。難度が基本から標準レベルの問題がありますが、その中に混じって選別の難しい選択肢問題や、思考力を求める記述問題がありますので、難度の低い問題にかける時間を短縮しなければ制限時間の30分が短く感じられるテストです。
大問1は日本の金属の産出をテーマとした歴史の問題、大問2は宮城県と鹿児島県の地理に関する問題、大問3は日本の水産業についての地理の問題で、大問4がバリアフリーについての公民を中心とした問題になっています。
問題を見た瞬間に答えが浮かぶような基本、標準レベルの問題が並ぶ中に、不意を突くように難度の高い選択肢問題が現れます。選択肢の文章は見た目がシンプルで短いのですが、判断に迷うように情報が盛り込まれています。合格ラインを突破するポイントは、こうした選択肢問題に冷静に対応し、知識を使いこなして正解を得ることにあります。普段の演習から知識を覚える際にはその背景となる事実までしっかり踏まえておく必要があります。同校の記述問題の中には、思考力を求めるものも含まれますが、問われる内容自体は決して難しくなく、リード文や資料をしっかり読み取れれば正解に行き着くことができます。同校の受験生のレベルと考えると、記述問題は確実に正解し、少なくとも部分点はとれるようにしておく必要がありますので、記述問題の練習は普段から欠かさないようにしましょう。同校の選択肢問題の難しさは、単に知識レベルが高いというものではなく、30分のテストを演習する中での冷静な対応が必要な点にありますので、早めに過去問演習に取り組んで30分の時間感覚つかんでおくとよいでしょう。

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