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千葉最難関校の1校で、多くの受験生が集まる1月の第1回入試は、受験生の人数に対応すべく幕張メッセで行われます。2024年度卒業生の大学進学では、東京大学に31名(現役27名)、京都大学に5名(現役4名)、千葉大学に33名(現役25名)をはじめ、国公立大学に191名(現役147名)の実績を挙げ、海外の大学でも多数の合格実績を挙げています。
上位校では珍しく4教科の満点が同じく100点で設定されていますので、理科・社会の対策を十分に進めておく必要があります。制限時間が算数・国語が50分に対し、理科・社会は40分と短めですので、時間配分を意識した過去問演習が不可欠です。
算数であれば書き出しや調べ上げ、式を多く立てる作業、そして作図といった時間のかかる問題が多く、理科・社会もリード文や資料を細かく読み取る力が試されるなど、問題数は標準的ながら時間のかかるテストですので、早めに過去問演習に取り組み、同校ならではの時間の使い方に慣れておく必要があります。
また、国語は2023年度から説明文・物語文ともに文章の難度が上がっています。小学生にとってはイメージしづらい内容が出されますので、普段から幅広いジャンルの文章に多く触れる機会を持ち、早稲田実業、豊島岡女子、聖光学院といった学校の過去問について、問題は解かなくても構いませんので文章だけでも読んでおくと良いでしょう。
平面図形や書き出しを求める問題の難度が高いです。幅広い単元から出題があり、コンパス・定規を使う作図問題も含まれます。平面図形、数の性質に強いタイプ向きです。
物語文、説明文ともに語彙レベルが高い文章が題材となります。幅広いジャンルの文章に触れておく必要があります。難解な文章を出典とする問題に強いタイプ向きです。
大問ごとの難度の差が大きいので、大問を解く順番には注意が必要です。リード文にあるヒントを使う力が求められます。リード文を使った問題に強いタイプ向きです。
ただ知識を暗記するのではなく関連する出来事や人物まで含めて覚えておくことが求められる難度の高いテストです。年表や地図を含めた資料問題に強いタイプ向きです。
2024年度第1回は大問5題で小問が全18題の問題構成で、解答のみを書かせる形式ですが、大問3(1)でコンパスと定規を使う作図問題が出されています。
大問1が計算と小問集合、大問2がマス目に数字を埋める形式の数の性質の問題、大問3が作図問題を含む、図形と規則性の問題、大問4が時計算の問題、大問5はニュートン算と不定方程式の問題という構成でした。
同校の算数では、年度によって思考力を求める問題が出されることがありますが、2024年度第1回では思考力型の問題は出されず、その分、書き出しや調べ上げを重ねて問題内容を把握する、手作業を多く求める難問の出題割合が高くなりました。制限時間に比べて作業量が多いテストであったためか、受験者平均点は2023年度第1回の49.8点から44.2点と5点以上下がりました。
大問1は基本的な難度の問題はないものの、テキストの応用レベルの問題で練習を重ねておけば正解できる問題が並びます。大問2以降は小問3題の構成ですが、(1)から(3)にかけて難度がアップする点で共通しています。
大問2、大問3は地道に数や図形を問題の指示通りに当てはめて、規則性を見出す姿勢が求められますが、テスト全体の難度を考えると、この2題で確実に得点を重ねることが必須となります。大問4の時計算は、角度が線対称となる応用パターンですが、さらに長針が逆回転するという要素も合わさる難問でした。
合格ラインを突破するポイントは、テスト前半の問題で多く正解を得ることにあります。まずは大問1での満点を目指しますが、同校では大問1にも難問が含まれますので、難しいと感じた問題は早急に抜かす判断をして、大問2以降の(1)で得点するように意識を切り替えて行きましょう。
同校の算数では、作図問題が出される点も特徴的です。問題の難度は高くないのですが、作図問題を出す学校が限られるため、塾での対策が手薄になる可能性があります。コンパスと定規を使った作図問題を反復して練習するようにしましょう。
2024年度第1回の大問2、大問3のように数や図形を書き出して問題の規則をつかむ問題では、解答に時間がかかりますが、テスト終盤の難問にまで焦って解き進めるよりも、解ける問題を確実に解くという意識で、地道に大問2、大問3の解答に取り組みましょう。
時計算での対称の角度(シャドウ)の問題や、ニュートン算など、出題対象となる単元が幅広いので、普段の演習から苦手分野をつくらないように注意しましょう。
合格ラインを突破するポイントは、大問4、大問5で正解を重ねることにあります。終盤に出される同校の大問4、大問5は、奇抜な設定やひらめきを求める問題ではなく、大問3までの問題と同様に地道な書き出し、調べ上げを使いこなす力が試されます。
数の性質や条件整理の問題についてはテキストの難問レベルまで取り組み、解答の手順を確認するようにしましょう。模試の最終問題で出されるような書き出し問題は、時間内に解けなかった場合にも見直しを通して解き方を確認するといった対策が有効になります。
ニュートン算や不定方程式など、解法が確実に身についていなければ解き進めることができない問題が出題対象となるケースが多いので、対策する単元にもれがないように徹底注意しましょう。
作図問題を含め、手数のかかる問題が多い特徴があるテストで正解を重ねるには、制限時間を有効に活用する必要があります。計算はもちろん作図の練習も重ねて、前半の問題をスピーディーに解き進める意識を高めて、過去問演習に臨むようにしましょう。
2024年度第1回は大問3題の構成で小問数は全19題、そのうち漢字の書き取りが8題という構成でした。大問1が説明文+随筆文の2文の読解、大問2が物語文読解、大問3は漢字の書き取りです。
読解問題の種類では記述問題が大問1で1題、大問2で1題出されている他は、すべて選択肢問題で、正誤問題(正しい選択肢に○、誤った選択肢に×をつける)も1題含みます。記述問題の制限字数は80字と70字で、いずれも説明すべき内容からすれば妥当な文字数と言えます。
大問1は2023年度第1回と同じく、2つの文章が出され、後半の文章(随筆文)を解く際には、前半の文章の内容を踏まえる指示が出るといった、2文に共通する内容に着目する力が問われるものでした。文章の論旨は、「女性らしさ」という観念が女性の真の自立を拒んでいるといった性差に関する文章で、語彙レベルは高く、中学受験の説明文として出題される中では難度の高い文章ではありますが、近年話題となっているテーマについて、明確な論調で書かれていますので、内容を把握することが困難な文章ではありませんでした。
それでも、2つ目の文章についての解答のポイントを1つ目の文章から見つけ出すことは難しく、文章を集中して読み切り、ポイントをおさえる力が求められました。
大問2の物語文は、時代設定が江戸時代で、流罪となった武士と、その護送役となった青年武士の道中記という時代小説で、江戸時代の言葉づかいで物語が展開するため、内容を正確にとらえるには十分な読書習慣が必要となる内容でした。
問題は大問1、大問2ともに文章内容を把握できていれば、選択肢問題の消去、そして記述問題のプロット立ては進めやすく作られています。特に大問2では、物語の展開について行ければ、解答のポイント自体は見つけやすいものでした。
ただし、選択肢問題では5個の選択肢のうち最後の2つまでの絞り込みまではスムーズにできるものの、最後の2択の選別が難しく、記述問題では字数が十分に与えられている分、具体的な説明を行う際に、文章内容の理解度が試されるといったかたちで問題の難度が高く設定されています。
合格ラインを突破するポイントは難度の高い文章を読み解く集中力と語彙力を持つことです。数年前までの同校の文章は読みやすい内容でしたが、2023年度からは文章の難度が上がり、小学生にはイメージのしづらい内容が出されるようになっています。普段から少しでも多くの文章に触れる必要があり、説明文では近年話題となっているテーマを扱った文章、物語文は時代設定や読者の対象が大人の文章にまで幅を広げて、世界観をつかむのが難しい文章にもチャレンジして慣れる意識を高く持ちましょう。
早稲田実業や豊島岡女子、聖光学院といった世界観の把握しづらい文章を出す傾向のある学校の過去問について、問題は解かなくても文章だけでも読むといった対策も有効となるでしょう。
[2024年度第1回の出典]
大問1①:江原由美子・山田昌弘『ジェンダーの社会学入門』
大問1②スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ著・三浦みどり訳『戦争は女の顔をしていない』
大問2:浅田次郎『流人道中記』
2024年度第1回は大問数が4題で小問が全27題の構成でした。問題の種類は、選択肢問題、語句を答えさせる問題、記述問題、計算問題と幅広いです。計算問題は答えとなる数値を選ばせる問題を含め4題、記述問題は6題でした。
大問1は電流回路に関する物理分野の問題、大問2が水素を発生させる化学反応についての化学分野の問題、大問3が川の運搬作用をテーマとした地学分野の問題、大問4は新型コロナウイルスについての生物分野の問題でした。
理科の受験者平均点(男女全体)は、2022年度第1回が70.6点、2023年度第1回が79.9点と高水準であったのに対し、2024年度第1回は55.6点と大きく下がりました。2022年度、2023年度に比べて難度の高い問題が多くなったことによると考えられますが、2020年度第1回が53.6点、2021年度第1回が57.3点と50点台で推移していたことを鑑みると、2024年度に一気に難化したというよりも、2021年度以前の難度に戻ったと考えられ、来年度以降も高難度が維持されると考えて対策する必要があります。
問題の難度は高くなりましたが、問題傾向自体は変わっていません。会話で構成されるリード文や複数の設定が提示される実験から情報を的確に読み取り、解答を進める姿勢が求められます。
物理分野、化学分野の問題の難度が比較的高い傾向にありますが、2024年度第1回については、地学分野、生物分野にも難問が多く見られ、特に新型コロナウイルスを題材とした生物分野の大問4では、問題の後半に出てくるリード文の内容が読み取りづらく、前半よりも大きく難度が上がりました。
その他にも大問1(5)~(7)の回路によっての豆電球の明るさを考察させる問題、大問2(6)の塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を混ぜた溶液を用いて水素を発生させる設定での計算問題、大問3(3)の川の4つの地点に含有される岩石の組合せを選ばせる問題など、各大問に思考力を求める難問が含まれました。
合格ラインを突破するポイントは、実験結果をもとにして考察する問題で高得点をとることにあります。2024年度第1回であれば、上記で挙げた大問1(5)~(7)、大問2(6)が該当します。正確にデータを読み取り、そのデータの組み合わせから正解を得るためには、普段から応用問題レベルの実験問題を少しでも数多く解いておくことが必須となります。実験自体は複雑な設定ではありませんが、その結果として得られるデータを問題に合わせて処理する力が求められますので、特に実験結果を表す表の項目が多い問題を優先して解くようにしましょう。
同校の理科の記述問題は難度が高くありませんので、同校の受験生レベルを考えると、記述問題では満点を目指す必要があります。短い字数で端的にポイントを説明する練習を重ねておきましょう。
2024年度第1回の大問4では、新型コロナウイルスについて細かい知識まで求められたように、時事問題が含まれることがありますので、普段から理科の時事的なニュースをチェックしておくようにしましょう。
2024年度第1回は大問4題で小問が33題の構成です。問題の種類は、選択肢問題、語句を答えさせる問題、記述問題とスタンダードな構成で、記述問題が4題、語句を答えさせる問題が11題の他はすべて選択肢問題で、割合にして半分以上を選択肢問題が占めます。
大問1は貨幣をテーマにした歴史分野の問題、大問2は生糸を題材とした歴史分野の問題、大問3は日本の自然災害についての地理分野の問題、大問4は「議論」の在り方に関する会話形式のリード文をもとに、SDGsや環境問題が織り交ぜられた公民分野の問題です。
同校の社会は、知識をただ暗記するだけでなく、関連する出来事や人物を合わせて覚える姿勢が求められ、記述問題では長い字数で内容を分かりやすく説明する力を問われるといった、社会の総合的な力が試される難度の高いテストです。
その中でも選択肢問題は、該当するものをすべて選ばせるパターンや、正誤の組み合わせを選ばせるパターンなどバラエティに富んでいます。特に注意すべきは歴史分野で、「その時代の出来事」として正誤を選ばせる問題が頻出で、2024年度第1回でも、「7世紀のできごと」、「平安時代のできごと」、「1960年代のできごと」が出題対象となりました。歴史分野では、出来事の起きた細かい知識を求める問題も頻出となるため、常に年表を意識して出来事を整理する必要があります。
合格ラインを突破するポイントは、それらの選択肢問題での正答率を上げることにあります。歴史分野、地理分野に共通するのが、年表や地図を含む資料問題で正解を重ねることです。出題される統計資料やグラフは読み取りづらいものではありませんが、そこに含まれる細かい部分まで出題対象となるため、テキストや模試の資料問題は重点的に復習しておきましょう。
記述問題には制限字数が付きませんが、おおよそ50字から100字程度の記述が必要となります。その難度は幅広く、2024年度第1回でも「聖武天皇が国分寺の建立や大仏の造立を行った目的」といった基本問題から、「日本の国会議員の女性の割合が低いと、貧困をなくすというSDGsの目標達成が遠ざかる可能性がある理由」を記述させるといった難問まで、幅広く出題されます。時事問題対策では記述問題も多く解くように注意しましょう。
選択肢問題、記述問題と比べると、語句を答えさせる問題は比較的難度が低いので、得点を重ねたいところです。すべて漢字指定なので、普段のテストから漢字表記を徹底しておきましょう。
全体的に独特な問題はなく、オーソドックスなタイプの出題ではありますが、時間がかかる問題が多いので、制限時間の使い方を強く意識して過去問演習に臨む必要があります。