市川中学校の傾向と対策

  • 併設大学なし
  • 高校外部募集あり
  • 男女共学

志望にあたって知っておきたいこと

千葉最難関校の1校で、多くの受験生が集まる1月の第1回入試は、受験生の人数に対応すべく幕張メッセで行われます。上位校では珍しく4教科の満点が同じく100点で設定されていますので、理科・社会の対策を十分に進めておく必要があります。制限時間が算数・国語が50分に対し、理科・社会は40分と短めですので、時間配分を意識した過去問演習が不可欠です。4科目の中では算数の難度が高く、作図や書き出しなど、解答に時間のかかる問題が多く含まれます。

出題傾向と適した有利なタイプ

科目別学習対策

算数

2022年度第1回は大問5題で小問が全21題、大問1が計算と小問集合、大問2が平面図形で回転移動の問題、大問3食塩水の濃度の問題、大問4が条件の整理、大問5は数の性質の問題という構成です。大問1の平面図形の角度の問題、大問4、大問5の後半の問題は難度が高く、問題の取捨選択をして難問に時間をかけない取り組みが必要となります。大問2の回転移動の問題には、コンパスと定規を使う作図問題が含まれます。大問1、2で確実に得点を重ね、大問4、5の書き出しを必要とする問題は後半の難問は時間が足りなければ深追いせず前半の問題をとるという方針が有効になります。大問3の比を利用した食塩水の濃度の問題が合否を分けるポイントになるでしょう。

算数が苦手な受験生

大問1と大問2では、平面図形の角度の1問以外は確実な得点が必要です。大問2の作図問題を正解するためにも普段から作図の練習は欠かさないようにしましょう。大問1でニュートン算が出されるように、幅広い単元から出題されますので、苦手分野をつくらないことが合格ラインを突破するポイントになります。大問4、5の書き出しが必要な問題で難問は抜かしても前半の小問は得点できるように、書き出しを求める問題対策を十分に重ねておく必要があります。大問3の食塩水の濃度の問題は面積図を使うと複雑になります。普段から文章題について図だけでなく式を使って解く方法も習得しておきましょう。

算数が得意な受験生

大問1、大問2までは全問正解を目指しましょう。大問3の比を使った食塩水の濃度の問題などの頻出単元については、複数の解法を使いこなせるように、普段の演習や模試の見直しを通して自分が解いた以外の解法を習得する意識を強く持ちましょう。大問4、5レベルの問題で正解を増やすことが合格ラインを突破するポイントになります。テキストの数の性質や条件整理の問題については難問レベルまで取り組み、解答の手順を確認する、模試の最終問題で出されるような書き出し問題は、時間内に解けなかった場合にも見直しを通して解き方を確認するといった対策が有効になります。

国語

2022年度第1回は大問4題の構成で小問数は全20題、そのうち漢字の書き取りが8題という構成でした。大問1が物語文読解、大問2が説明文読解で、大問3は物語文と説明文の趣旨で関連し合っている部分を正しく答えさせる選択肢問題、大問4が漢字の書き取りでした。問題の難度は標準レベルですが、制限字数50~70字以内に内容をまとめる記述問題が高難度です。
大問1の物語文は、分量は多めですが読み取りやすい内容です。小問6題のうち選択肢問題が4題で、選択肢の文章が長いという特徴がありますが、その分誤った部分が見つけやすく難度は高くありません。高得点のポイントになるのが制限字数70字以内の記述問題です。書くべき内容は見つけられるのですが、70字以内での説明という点が難度を上げています。
大問2の説明文も文章は長いですが、構成がはっきりとした文章ですので内容の読み取りは難しくありません。小問5題のうち3題を占める選択肢問題は大問1と同じく選択肢の消去が進めやすい内容です。難度が高いのは記述問題2題で、制限字数以内でわかりやすい文章を作るのには訓練を要します。
大問3は目新しく感じる出題形式ですが、大問1、大問2の内容を把握できていれば、選択肢の消去はスムーズに進められるでしょう。大問4の漢字の書き取りには難度の高いものが含まれますので、書けないものは抜かすという判断が必要です。
合格ラインを突破するポイントは記述問題で字数に合わせた解答を短い時間で完成させることにあります。物語文、説明文ともに読みやすい文章ですが分量が多めで、文章を読む時間を無理に削ることは得策とは言えません。問題を解く時間のうち選択肢問題を解く分を短縮することが有効となるでしょう。まずは普段から50字から80字以内の記述問題を多く解き、書くべき内容と制限字数の関係を習得したうえで、選択肢問題をスピーディーに解く練習を重ね、過去問演習では多くの時間を記述問題に集められるように解答を進めましょう。

[2022年度の出典]
大問1:あさのあつこ『みどり色の記憶』
大問2:前﨑信也『アートがわかると世の中が見えてくる』

理科

2022年度第1回は大問数が4題で小問が全25題の構成です。大問1が物理分野から光電池に関する問題、大問2はレンコンを題材とした生物分野の問題、大問3がものの溶け方についての化学分野の問題、大問4は地学分野から月食に関する問題でした。計算問題は2題のみと少なく、記述問題が3題の他、選択肢問題、語句を答える問題が出されました。
選択肢問題に難度が高い問題が含まれますが、全体的な難度は標準レベルで、制限時間40分が短く感じることはないと推測されるテストでした。大問の中では物理分野からの出題となった大問1と、化学分野の大問3の難度が高く、同校の受験者レベルを考えると、この2つの大問で得点を重ねることが合格ラインを突破するポイントとなります。物理分野の問題は実験を題材としていますが、実験内容をスピーディーに理解することが、難問にかける時間を作り出すためには不可欠です。化学分野の問題は会話形式のリード文をヒントにすれば解答できる問題が多いので、リード文にも目を配らせる意識が必要です。
大問2の生物分野の問題もリード文を使ったタイプですが、この問題に関してはリード文に正解に直結するヒントが含まれていて、理科の知識を活用するというよりも読み取りの問題と言えるものでした。大問2、大問3の内容から、リード文を使った問題に慣れておくことがテスト全体にかける時間を短縮し、解くべき問題を確実にとる取り組みにつながると言えます。大問4の天体の問題は月食に関する知識が備わっていれば難しさは感じないでしょう。普段から理科の時事的なニュースをチェックしておくようにしましょう。テストの前半に難問が出される可能性が高くありますので、過去問演習は問題を解く順番まで意識して進めることが必須です。

社会

2022年度第1回は大問4題で小問が37題の構成です。記述問題は4題ですが50字から100字程度の記述が必要となり、歴史分野では並べ替え問題も複数出題されるなど、制限時間40分が短く感じられるテストと言えます。
大問1は音楽をテーマにした歴史分野の問題、大問2は歴史上の人物に関する問題、大問3は地理分野から千葉についての問題、大問4はSDGsや環境問題を織り交ぜた公民分野の問題です。
知識をただ暗記するだけでなく関連する出来事や人物を合わせて覚えることが求められ、記述問題では長い字数で内容を分かりやすく説明する力を問われるといった、社会の総合的な力が試される難度の高いテストです。歴史分野では入試頻出度の低い細かな人物名を答えさせる問題もあります。選択肢問題は細かな知識が求められるだけでなく、該当するものをすべて選ばせる難問が含まれますので、普段の演習では一問一答式に知識を増やすのではなく、関連する知識まで合わせて覚えるといった踏み込んだ対策が必要となります。歴史分野であれば常に年表を意識して出来事を整理すること、地理分野であれば地図と統計資料を手元から離さず演習を進めること、そして公民分野では選挙制度など知識について自分の言葉で説明できるような練習の積み重ねが必須です。
合格ラインを突破するポイントは年表や地図を含む資料問題で正解を重ねることです。統計資料やグラフは読み取りづらいものではありませんが、記述問題の題材にもなりますので、何を表した資料なのかを正確に読み取り表現できるように、テキストや模試の資料問題は重点的に復習しておきましょう。全体的に独特な問題はなく、オーソドックスなタイプの出題ではありますが、時間がかかる問題が多いので、制限時間の使い方を強く意識して過去問演習に臨む必要があります。

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