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基本レベルの割合が高いテストですが、計算が複雑で、解答の仕方が独特です。正確な処理能力が求められます。計算力が高く、幅広く解法を身につけているタイプ向きです。
慶應義塾大学・三田キャンパスのすぐ近く、慶應女子高の隣に位置する、共学附属校の中で屈指の人気を誇る学校です。中等部を卒業した後は、男子は、推薦で慶應義塾高等学校、慶應義塾志木高等学校、慶應義塾ニューヨーク学院高等部のいずれかへ進学し、女子は同じく推薦で慶應義塾女子高等学校、慶應義塾ニューヨーク学院高等部のいずれかへ進学します。2023年度入試より募集人員が「男子140名・女子50名」から「男子120名・女子50名」と減少されました。
慶應中等部では、生徒が先生方を「さん」付けで呼んでいます。ここには、教員も生徒も立場こそ違えども、学校という場で「共に学びつつ成長していく」という、「半学半教」の慶應義塾が重んじる精神が色濃く反映されています。生徒の自主性が重んじられ、年に一度開かれる「生徒会総会」では全生徒が一堂に会し、様々な議題について議論がなされます。
入試問題は、どの科目も共通して「教養」が求められる点が特徴的です。特に国語では言葉についての知識、正しい言葉の使い方が多く問われる独特の出題が見られます。算数では独特な問題は出されないものの、複雑な計算や、解答を正しく数値で答えさせる形式で、受験生の正確な処理能力が求められます。
理科・社会では明らかにテキストの演習だけでは答えられない日常生活で培われる知識が出題の対象となります。そしてどの科目も制限時間が短く、スピーディーに解答する力が求められます。他校にない特徴の多い出題傾向ですので、過去問演習を数多く重ねて、「中等部らしさ」を早めに把握しておくことが必須です。
基本レベルの割合が高いテストですが、計算が複雑で、解答の仕方が独特です。正確な処理能力が求められます。計算力が高く、幅広く解法を身につけているタイプ向きです。
高い語彙力が求められるテストです。短歌などの韻文も頻出で、表現技法よりも言葉の使われ方を正確に答える必要があります。言葉に対する鋭敏な感覚を持ったタイプ向きです。
短い制限時間の中に書き出しなど問題内容を正しく整理する力を試す問題が含まれます。解く順番を工夫するなどの意識が必要です。スピーディーに処理できるタイプ向きです。
問題数が多い中、高度な常識問題と思考力を求める記述問題が含まれる高難度のテストです。スピーディーな処理能力が求められます。幅広い知識を持ったタイプ向きです。
2024年度は大問6題で小問が全21題の構成です。同校の解答は答えのみで、しかもマークシートのように数字を答えさせる独特の形式です。この解答形式に慣れることも高く意識して、過去問演習に臨むようにしましょう。
大問1は計算問題が2題と数の性質の問題が2題、縮尺の問題が1題、大問2は割合と比、速さの小問集合で小問数が5題、大問3が図形の小問集合で4題、大問4は規則性(数列)の問題、大問5が水量変化とグラフの問題、そして最終の大問6が数の性質の問題でした。
同校の算数は出題される単元が幅広いですが、問題の難度は基本レベルの占める割合が高いです。それだけに合格ラインも高得点となりますので、ミスなくスピーディーに問題を解き進める力が必要です。その中でも2024年度であれば大問3(3)の面積の問題や、最終大問6の場合の数の問題のように、急に難度が上がる問題が出てきますので、その問題を優先的に解くかといった戦略をもって臨む必要があります。また、大問3の立体図形の回転体の問題のような、同校頻出の定番問題が出されますので、過去問演習を徹底的にやりこんでおきましょう。
同校の算数は得点を少しでも多く取るというより、失点を防ぐような解き方が求められます。合格ラインを突破するポイントは、苦手分野をつくらないことです。あらゆる単元から出題されると考えてよいほどの範囲の広さですが、問題の難度は低いので、基本的な解き方が習得できていれば得点を重ねることができます。
ただし、解法自体は基本的でも計算が複雑な問題が多いです。2024年度であれば大問2(3)(4)のように、典型的な出題ながら計算が複雑な出題がありました。慶應中等部を受験するにあたって計算ミスは大きな失点につながりますので、普段の演習で計算間違いが多い場合は早期に自分の誤答パターンを分析して、ミスによる失点がないような体勢づくりをしておきましょう。
また、2022年度であれば大問3(3)の面積の問題で、直角三角形を2つに分けて考えて解く、といった典型的な解法パターンを習得しておくことも求められます。模試などでは問題の正誤だけでなく、解法をどれだけ習得できているかも常にチェックしておきましょう。高得点での戦いであることからも制限時間45分の中でどの問題にどれだけ時間をかけられるかといった戦略を立てておくことが不可欠です。
全体正答率が高い基本レベルの問題は瞬時に正解できるように、複雑な計算でもミスをしないようにしておくことが必須です。独特の解答正式も、同校の受験生であれば、だれもが慣れていると思っておいた方がよいでしょう。複雑な計算、基本レベルの問題、解答用紙への対応といった部分はパーフェクトに習得しておくことが必須で、ここで課題がある場合は、早期に対処しておきましょう。
そのうえで合格ラインを突破するポイントは、難度の高い問題で確実に正解することにあります。当たり前のように思われますが、同校では難問の数は限られますので、そうした問題の解答に時間をかけられれば満点に近い得点も可能になります。2024年度であれば、大問4の数列の問題、大問5の水量変化の問題の、いずれも最後の小問、最終大問6の図形を使った場合の数の問題が該当しますが、難度が高いと言っても最難関校のレベルまでではありませんので、思考力を求めるような難問の対策を多く重ねるまでのレベルではありません。テキストの応用問題レベルを確実に解けるように訓練を重ねましょう。
ただし、最終大問6の(2)(3)は思考力を求める難問でしたので、深追いし過ぎずに抜かして、その分の時間を計算問題の見直しにあてるといった戦略も必要になります。
独特の解答形式は見直しがとてもしづらい構成です。見直す必要がない程に計算力を高めておくこと、制限時間内に解答づくりをスムーズにできるように過去問演習を進めることが必須です。
2024年度は大問5題で、小問数が漢字以外で全25題、最終大問5の漢字の書き取りが15題の構成です。大問1が物語文読解、大問2が論説文読解、大問3が随筆文読解、大問4が文法の問題、最終の大問5が漢字の書き取り15題でした。漢字の難度はかつてほどではないですが、やはり高く、漢字テキストの最高難度の問題まで演習しておく必要があります。問題の種類は選択肢問題が圧倒的に多く、20字以上25字以内の記述問題1題、書き抜き問題1題以外は、穴埋め問題を含めてすべて選択式です。文章量は2題とも標準よりやや少なめです。
同校の国語には言葉に関する知識を求める問題が多い特徴があります。全体を通して60%以上が知識を求める問題で、言葉の意味を答える問題だけでなく、文学史やテキストには掲載されていない知識問題も含まれます。特に2024年度の大問3は、全9題中、最終の小問以外の8題が知識を求める問題でした。その中には、「川端康成の作品の冒頭」「枕草子の序段」を選ばせる問題や、ノーベル文学賞を受賞した日本人を選ばせる問題といった典型的な文学史問題から、四季とそれを象徴する鳥の組合せを選ばせるといった難問まで出されました。
もちろん難度が高い知識問題は時間をかけ過ぎずに対処する必要があり、いわば捨て問とする戦略も必要ですが、同校の高い水準での戦いを制するためには、普段の演習では特に言葉の意味や文学史以外にも言葉に対するアンテナは感度を高めておく必要があります。慶應中等部を志望するにあたっては、『原色シグマ新国語便覧』(文英堂)などの資料を常備して、事ある度に閲覧する習慣を身につけておくことが有効となります。同校の出題を見る限り、言葉への感覚を磨き、知識に貪欲な生徒を求める傾向が強くあると言えるでしょう。
その分、物語文で登場人物の複雑な心情の流れを答えさせるような問題は少なく、選択肢も区別しやすいものが多いです。読解力はもちろん必要ですが、普段の演習では読み取りづらく長い文章に取り組むよりも、わからない語彙はその都度確かめておく、といった言葉に対する意識を高めておくことが有効です。
また2024年度は出されませんでしたが、同校では短歌・俳句といった他校では出題頻度の低い韻文が頻出です。テキストで問われるようなスタンダードな内容ではないところが慶應中等部らしさで、こうした問題に対応するには、韻文の表現技法などの知識よりも普段の生活の中で起こるできごとがどのように言語化されるのか、といった視点が必要になります。
合格ラインを突破するポイントは、こうした韻文を含めた「言葉の感覚」を要する問題で正解を確実にとることにあります。まず読書をはじめ、普段から文字に触れる時間を多く持ち、言葉の使い方を曖昧にしないことが重要です。この点は塾よりもご家庭の中で修練される部分ですので、普段からご家庭内で言葉の使い方に注意をしておくとよいでしょう。
制限時間45分は余裕がないとまでは言えませんが、文章量は多くありませんので、1問に時間をかけ過ぎなければ十分な時間となるでしょう。ともすれば時間をかけさせるような問題がありますので、過去問演習を通して、そうした問題に引きずられない練習をしておきましょう。
[2024年度の出典]
※出典不明
2024年度は大問が4題で、小問数が全33題の構成でした。選択肢問題の割合が高く、その他、語句を答える問題、計算問題が出され、記述問題は1題出されました。記述問題には10字以内の制限字数が付きます。細かな知識だけでなく、題材となる現象の根本的な原理原則についての理解まで求める問題が多く見られます。問題数こそ多くはありませんが、解いてみると時間がかかる問題が多いこともあり、制限時間の25分は短く感じられるでしょう。
大問1は夏の大三角形、冬の大三角形を中心とした地学分野の問題、大問2はプラスチックを題材とした化学分野の問題、大問3は電磁石についての物理分野の問題、大問4はものの「変化」をテーマとして、4分野それぞれの出題から成る総合問題でした。
同校の理科では基本的な知識をどれだけ正確に覚えているかを確かめる問題はもちろんですが、その知識の根本にある原理原則を正しく把握できているかを確かめる問題が多く出されます。問題の種類としては選択肢問題が圧倒的に多いのですが、それらの問題でも、実験や現象について、「なぜそうなるのか」といった部分にまで深く一歩踏み込んで理解を固めておく姿勢が求められます。2024年度であれば大問5(5)の虹を観察している人に対して太陽がどの方向にあるかを選ばせる問題は、虹がどのようなメカニズムで発生するかを理解できているかどうかで正誤が分かれるものでした。また、大問3(2)の電磁石の問題は、問題の設定を正しく理解できなければ、正しい選択肢を選べない出題となっていました。
合格ラインを突破するポイントは、そうした原理の理解を求める問題、慎重な取り組みが必要な問題について、知識を正確に利用し、スピーディーに処理することにあります。普段の演習から、ただ知識を答える問題だけでなく、事象の理由を問うような問題も多く解くように意識しましょう。
同校の理科の問題は難度の幅が広いので、簡単に解ける問題は瞬時に解答し、2024年度の大問3や大問4のような難度が高く手間のかかる問題に少しでも多くの時間をあてるといった解き方に対する高い意識が必要です。25分という制限時間はあまりに短いので、過去問演習を数多く解いて制限時間の感覚を早めから身につけておく必要があります。また、2024年度大問2(2)では、正しい選択肢の番号を「かけ合わせた数」と「足し合わせた数」の合計で答えさせるという出題がありました。出題形式が独特でも焦らず対応する意識を高めておきましょう。
2024年度は、大問5題で小問数が全28題でした。ただし、1つの小問に解答すべき項目が多く、全解答数は44題に及びます。同校では年度によって出題数の増減が大きく、2024年度は多めの出題数となりました。問題の種類は、選択肢問題の割合が高く、そこに語句を答えさせる問題が数問(2024年度は8題)含まれ、いずれも20字以上50字以内の制限字数付きの記述問題が2題出されました。記述問題2題は必答であることを念頭に置いて、制限時間の使い方を考えて取り組まなければ点数が伸びないテストです。
大問1は日本と海外の国々との関係についての歴史分野の問題、大問2は「地震」をテーマとした総合問題、大問3が「円安」に関する公民分野の問題、大問4は「東北地方」をテーマとした地理分野の問題、そして大問5が「プランテーション」と「フェアトレード」に関する総合問題でした。
同校の社会は、まず制限時間25分に比して問題数が多く、しかも字数制限付きの記述問題が2題含まれるといった、時間の使い方が非常に難しいテストです。選択肢問題や語句を答えさせる問題には見た瞬間に解答できる(しなくてはいけない)ものが多いですが、その中に細かい知識を求める問題、そして慎重に取り組まなければ誤答につながってしまうような形式の問題が含まれます。
2024年度であれば、大問4のリアス式海岸ではない沿岸を選ばせる問題や、暖流で獲れる魚の組み合わせを選ばせる問題が前者に該当し、後者には大問3の「円安・円高」の基本構造を踏まえて組合せで選ばせる問題や大問4の山脈と半島の組合せを選ばせる問題が該当します。また、年度によってはテキストの学習では得られない知識が出されることがありますので、普段からニュースへの関心を高めておく必要があります。
記述問題は決して難度が高いものではなく、2024年度も「関東大震災後に東京市が公園を多く作った理由(20~50字)」「フェアトレードの認証マークを付けることの企業側の意味(20~50字)」を記述させる出題でしたが、与えられたリード文や資料から考察できる内容、時事的な知識をまとめるもので、同校の受験生レベルを考えると、2題ともに満点が必要となります。ただし、時間内にポイントをまとめる構成力が必要で、最難関校や同じタイプの問題を出題する鷗友女子や頌栄女子の過去問題などを演習しておけば、有効な対策になるでしょう。
合格ラインを突破するポイントは時間配分です。制限時間25分内で知識をフル活用したうえで記述問題で満点解答をつくるには、十分な訓練が不可欠となります。まずは同校の過去問を解いて時間の感覚をつかみ、時間短縮に必要な力を確認したうえで、それを他校の過去問などを使って強化、そしてまた過去問演習に臨んで対応力を磨き上げる、といった分厚い対策が中等部の社会で高得点をとるうえでは必須となります。