日本女子大学附属中学校の傾向と対策

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志望にあたって知っておきたいこと

緑豊かな広大なキャンパスの中で、「自念自動」の教育方針のもと、自ら考え行動する精神が育成されています。4科目のうち算数・理科の理系科目と比べて国語・社会の文系科目の難度が高いです。基本から標準レベルの難度の問題で構成される算数・理科に対し、国語では高い記述力と豊富な語彙力が必須となり、特に随筆文、説明文で扱うテーマは小学生にとって難しい内容が多く、普段から高度な文章に慣れておくことが必須となります。社会も知識の暗記だけでは対応できない問題が多く含まれます。満点が算数・国語60点、理科・社会40点と低く、1問あたりの配点が低くなるため、難問に時間をかけ過ぎない取り組みが必要です。

出題傾向と適した有利なタイプ

科目別学習対策

算数

2022年度第1回は大問6題で小問が全25題の構成で、60点満点のため、1問当たりの配点が低いテストでした。大問1が単位の計算を含む計算問題、大問2が小問集合、大問3が食塩水の濃度の問題、大問4が立体図形の切断の問題、大問5が図形の規則性の問題、大問6がグラフを使った速さと比の問題です。思考力を問うような難問は出題されず、基本から標準レベルの難度の問題が並びます。1問の配点に大きな差がありませんので、難しいと感じた問題は抜かして解ける問題を先に解く方針で臨むことが高得点を獲得するポイントになります。式を書かせる問題が3題含まれますが、1題は計算問題で、他2題も難度は高くありませんので、確実に得点できるように式を書いて解く練習を重ねておきましょう。

算数が苦手な受験生

大問1の計算と大問2の小問集合で満点を取りたいところですが、全てが基本レベルではありませんので、難しい問題と感じた際にはすぐに抜かして大問3以降で正解を得るように、問題を選ぶ判断を早期に下すようにしましょう。大問1、大問2での失点を最小限にとどめて、大問3以降の大問から解ける問題を選び出すことが合格ラインを突破するポイントになります。全体的に頻出単元からの出題が多いので、普段の演習では単元を問わずテキストの標準レベルの問題を、模試などではテスト中盤に出題される問題をくり返し復習しておくことが有効です。式を書いて解く練習が不可欠です。

算数が得意な受験生

大問1と大問2は満点を確保したうえで、時間のかかる問題は深追いせずに、解く順番を工夫しながら最終的には全問解答が目標となります。グラフを使った問題をスピーディーに正解することが合格ラインを突破するポイントとなります。グラフの中でわかっていない数値が多い設定ですので、自分で線分図を書くなどの作業を通してグラフの内容を理解することが有効です。4科目全体の得点を算数で引き上げられるように、取りこぼしなく高得点を目指したいところです。そのためにも過去問演習には早めに取り組んで、時間の使い方を体感しておきましょう。

国語

2022年度第1回は物語文と随筆文の2題構成で、小問14題ですが、複数の穴埋め問題で成り立つ小問が多く、問題数は多く感じられます。物語文の内容は等身大の人物の友人関係を描いたもので読みづらさはないですが、分量が多く、じっくりと読み込む時間はありません。一方の随筆文は分量こそ標準より短めですが、海外の女性ジャーナリストの名前が複数現れ、語彙レベルも高いため、一読で内容を理解するのが困難です。
大問1は漢字の書き取り、穴埋め問題ともに難度は基本から標準レベルですが、最後の記述問題3題で一気に難度がアップします。いずれも登場人物の心情を問うものですが、問題に指定のある通り、自分のことばでの説明が求められます。もちろん文章中の言葉も用いるのですが、それだけでは解答が作れないような内容になっており、この3題に時間をかけられるように解答を進める必要があります。
大問2は文章の内容が読み取りづらいだけでなく、正解を得るためには語彙が必要となります。記述問題はなく、選択肢問題はとても易しいのですが、穴埋め問題は自分で考えた言葉で答えなくてはなりません。そこで求められる語彙のレベルが高く、特に最終問題は正解を得るのが極めて難しい問題です。
大問1と大問2で難しさの種類が異なりますが、共通しているのが文章を読み取るための語彙、自分の考えを表現するための語彙の両方が求められる点です。普段の演習から、難度の高い文章を読み解く対策を十分に重ねて、文章を読み取るための語彙を蓄積しておく必要があります。そして合格ラインを突破するポイントが物語文での記述問題で得点を重ねることにありますので、自分の言葉を使って解答をつくる記述問題を多く解いて、表現に必要な語彙を増やしておきましょう。60点満点ですが、記述問題の配点は高くなると推測されますので、白紙答案にはならないように、過去問演習でも記述問題でどこまで書けていたか、何が足りなかったのかを徹底的にチェックするようにしましょう。

[2022年度の出典]
大問1:中山聖子『雷のあとに』
大問2:カトリーヌ・ネイル他『命を危険にさらして』

理科

2022年度第1回は大問数は7題で小問数38題と、社会と同じく小問数が多いテストで、40点満点であることからほとんどの小問が1点の配点となります。ただし、問題の難度は社会ほど高くはありませんので、スピーディーに解答を進めることが可能であり、必須となります。
大問1が植物の呼吸や光合成に関する問題、大問2が季節ごとの動物や植物の活動についての出題、大問3は流水の働きを題材とした問題、大問4が天体の問題、大問5がものの溶け方とてこ、磁石の問題、大問6に水の状態変化の問題、そして大問7にものの燃え方の問題と、物理・化学・生物・地学すべての分野から様々な問題が出されます。
問題の難度は基本から標準レベルがほとんどです。取り扱う実験も目新しいものはなく、普段の演習をしていれば十分に内容を理解できるものが多いです。計算問題も与えられた資料の読み取りが難しくありませんので、計算をスムーズに進められます。グラフを完成させる問題はありますが、記述問際はありませんので、時間のかかる問題は少ないと言えます。
合格ラインを突破するポイントは選択肢問題での得点です。同校の理科では、「正しいものをすべて選ぶ」タイプの選択肢問題が多く出されます。求める知識レベル自体は標準レベルですが、一見まぎらわしい選択肢が並びますので、制限時間が短いからといって焦って解くとミスが起こりやすくなります。まずは解きやすい問題はスピーディーに解き進め、選択肢問題にかける時間を多めに確保したうえで、選択肢の内容をしっかり選別するといった流れが有効になります。普段の演習から一問一答式の問題での解答速度を可能な限り上げる練習を重ねたうえで、早めに過去問演習に取り組み、選択肢問題での間違いを減らす対策を重ねましょう。

社会

2022年度第1回は大問6題で小問が全40題、40点満点のテストでしたので1問1点の配点と推測されます。大問1は都道府県の様々な項目についてのランキングを題材とした問題、大問2は千葉県の地理に関する問題、大問3は2021年に起きた出来事についての時事問題、大問4は日本三景についての問題、大問5は米作りの歴史に関する問題、大問6は戦時中の新聞記事を扱った問題といった構成です。全体として地理・歴史分野が公民分野よりも高い割合で出題されていますが、大問のほとんどが3分野混合のかたちになっています。
小問数の多さから、速く正確に解き進める必要がありますが、標準レベル以上の難度の問題が多いため、解答速度を上げるのは容易ではありません。1問の配点が1点で均等の可能性が高いので、難しい問題は深追いせずに、標準レベルの問題を確実にとることが前提となります。難度の高い問題は、細かい知識が求められるだけでなく、歴史的出来事の背景や地理の地形的特徴といった、知識を裏付けする事実を踏まえ、それを自分の言葉で説明する力を必要とするものです。長い字数の記述問題はありませんが、短い字数で説明する問題や、空欄を補充する問題は、問題の求める内容を理解したうえで解答を作るといった、思考力・表現力を求める高レベルの内容です。難度の高い問題を1問でも多く得点することが合格ラインを突破するポイントになりますので、普段の演習から一問一答式に知識を増やすだけではなく、知識について「なぜそうなるのか」といった背景を自分の言葉で説明する訓練を積み上げておく必要があります。
長いリード文が出されることがなく、問題も一見すると難度が高くないように見えますが、解いてみると思うように点数がとれないテストです。知識の蓄積を早期に進めたうえで、早めに過去問演習に取り組み、同校ならではの問題の難しさを体感することが重要です。

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