鴎友学園女子中学校の傾向と対策

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志望にあたって知っておきたいこと

2021年度東大合格者9名(全て現役、うち5名は理系)をはじめとした高い大学合格実績で人気を集めています。4科目ともに100点満点の配点ですので、理科・社会も十分に対策しておかなくてはなりません。算数では式を書く問題がほとんど、国語は漢字の書き取り以外は全て記述問題と、書いて答える問題が多い点が特徴的です。理科でも記述問題が多く出されます。普段から頭の中だけで処理するのではなく、考え方を整理して書いて解く練習を重ねることが必須です。1問あたりの配点や解答用紙の使い方などを確認できるように過去問演習は早めに進めておきましょう。

出題傾向と適した有利なタイプ

科目別学習対策

算数

2022年度第1回は大問7題で小問が全12題、大問1が計算と数の性質の基本問題、大問2がニュートン算の問題、大問3が平面図形の等積移動の問題、大問4が数の性質の問題、大問5は平面図形の相似と面積比の問題、大問6が立体図形の水深変化の問題、大問7が速さとグラフの問題という構成です。大問2以降の全ての問題が式や考え方を書かせる形式になっています。問題の難度は基本から標準レベルで、テキストや模試で解き慣れたタイプの問題がほとんどです。同校の受験者レベルを考えると、この難度の問題が続くとは考えられず、今後問題が難化する可能性が高いと言えます。大問1、大問2以降の(1)は得点必須ですので、それ以外の問題でどれだけ得点できるかが、合否を分けるポイントになります。問題数から考えると1問あたりの配点が高いと推測されますので、計算間違いなどの細かいミスをなくすことはもちろんですが、減点を最小限におさえるためには式の書き方にも十分注意する必要があります。過去問題集の解答用紙を原寸大に拡大して解答欄に式を収める練習をしておきましょう。

算数が苦手な受験生

大問1から大問3の問題は全問正解を目指しましょう。そのうえで大問4以降の小問で解ける問題を確実にとる必要があります。どの大問も(1)は難度が低いので、式を丁寧に書いて減点なく正解しておきたいところです。合格ラインを突破するポイントは頻出単元の典型的な問題の解き方を徹底的に固めておくことです。平面図形、立体図形、速さの問題といった単元について、テキストの応用問題や模試の中盤で出される問題について、式の立て方にも注意して見直しを重ねるようにしましょう。ニュートン算の出題があるように出題される単元は幅広いので、苦手分野をつくらないように注意が必要です。

算数が得意な受験生

思考力を求めるような難問は出されておらず、典型的な問題内容ですので、高得点の戦いになることを意識して失点を防ぐように心がけましょう。比較的難度が高いのは大問4の数の性質の問題と大問7の(2)(3)の速さとグラフの問題ですが、いずれもこれまでの演習で習ってきた解法で十分に対応できる内容です。考え方を整理して式を丁寧に書ければ得点のチャンスは十分にあります。合格ラインを突破するポイントは式の書き方です。解答欄は広くありませんので、難度の高い問題で無駄な式を書かないような練習を重ねて、減点が生じない対策をしておきましょう。

国語

2022年度第1回は大問3題で、大問1が物語文読解、大問2が説明文読解、大問3は漢字の書き取り5題という構成でした。読解は全て記述問題で、小問数は大問1が4題、大問2が2題の全6題と少なく、満点が100点ですので1問あたりの配点が高くなると推測されます。問題数は少ないですが、大問1の物語文がとても長いため、時間配分を十分に意識して進める必要があります。
大問1の物語文は、実際の問題用紙で9ページ半と非常に長く、普段から長い文章に慣れていないと多大な時間を費やすことになってしまいます。内容は男子中学生3人の友情関係を扱ったもので読み進めやすいです。問題は登場人物の心情変化と、物語の内容を端的にまとめるといった内容で、難しさはないのですが、文章全体の流れを正しく整理できていなければ得点が伸びないようになっています。
大問2の説明文の分量は標準レベルで、メディアリテラシーをテーマとしていますが、難しい語句には注釈も付きますので、理解しやすい内容です。2題の記述問題はいずれも表現について説明するものですが、問2は文章全体が訴えている内容を100字以内でまとめる問題です。難度は高くはないのですが、普段から要旨をまとめる作業をしておく必要があります。
大問1、大問2ともに文章の内容は読み取りづらいものではなく、問題も記述すべきポイントがはっきりしているので、難問とは言えません。合格ラインを突破するポイントは、非常に長い物語文の内容を的確に把握すること、そして記述問題で減点されないような伝わりやすい表現を使いこなすことにあります。物語文の圧倒的な分量にひるむことなく臨むことが同校を受験するうえで大前提となります。例えば模試で解いた物語文の出典を入手して、テストで扱われた場所の2倍分の分量を読むなど、長い文章を一気に読み通す練習をしておくとよいでしょう。そのうえで普段の演習では記述問題を徹底的に強化する必要があります。説明文については要旨を100字以内でまとめるといった対策が有効となります。

[2022年度の出典]
大問1:平岡陽明『道をたずねる』
大問2:新庄秀規・藤山純久『伝える技術はこうみがけ!』

理科

2022年度第1回は大問数が4題で小問が全32題の構成です。大問1が物理分野から電熱線と電流の関係についての問題、大問2はセキツイ動物の呼吸を題材とした生物分野の問題、大問3がものの燃え方についての化学分野の問題、大問4は地学分野から月食と日食に関する問題でした。計算問題は7題、記述問題が10題と時間のかかる問題が多い他、図に書き込みをする問題も出されました。
全ての大問の中で標準レベルの難度から難問まで幅広く小問が分布しています。また、独特な実験方法や生物の体のつくりを模式的に表した図など、普段の演習では触れることのない切り口の設定が多く見られます。計算問題、記述問題ともに思考力を求める難度の高い問題が多く含まれ、小問どうしが関連した形式もありますので、注意深く解答に臨まなければ得点を重ねることが難しいテストです。
計算問題は実験結果や表から考察する形式が多く、計算問題に慣れていないと式を考えるのに多くの時間を費やしてしまいます。特に大問の終盤に出される計算問題は、それまでの解答から問題内容を深く理解したうえで、ヒントの少ない状態から式を立てることが求められる難題です。式さえ立てられれば計算自体は複雑ではありませんので、普段の演習から単元を問わず応用問題の難問に数多く取り組む必要があります。
合格ラインを突破するポイントは記述問題での得点です。記述問題の多さが同校の理科の最大の特徴で、大問3の化学分野の問題では小問8題のうち記述問題が5題出されています。その中でも最終の2題は単なる理科の知識だけでなく、その知識から現象の理由を説明する思考力を求める問題となっています。制限字数はなく、多くの字数を書かせる問題ではありませんが、ポイントを的確に解答に収めるためには普段から50字前後の記述問題を解き重ねる方法が有効です。
問題数の多さから、難度が高くても極端に配点が高い問題はないと推測されますので、難しい問題は抜かすことも意識して過去問演習に取り組みましょう。

社会

2022年度第1回は大問3題で小問が全30題の構成です。記述問題が7題、語句を答える問題が12題と、書かせる問題の割合が高くなっています。記述問題に制限字数はありませんが、後半に思考力を求める難度の高い問題が出されます。選択肢問題は一部細かな知識を求めるものがありますが標準レベルの難度の問題が多いです。
大問1は東北地方を題材とした地理分野の問題、大問2は食をテーマとした歴史分野の問題、大問3は日本の原子力についての対策を題材とした公民分野の問題です。
全ての大問に共通して資料を使った問題が多く含まれています。雨温図や円グラフといった普段の演習でも目にすることが多いものだけでなく、写真や表が何を表しているのかを理解するところから始めなくてはならない、独特の資料が出される点が特徴的です。ちなみに同校の資料はほとんどがカラーで提示されます。そうした資料で得た情報をどのように活用するかについて、問題の指示を正しく受け取る力も必要となります。特に記述問題では、問題で条件が指定されることが多いので、問題の読み取りが雑にならないよう十分に注意しなくてはなりません。
合格ラインを突破するポイントは記述問題での正答率をアップさせること、特に大問3の公民分野で出される難問でいかに得点を重ねるかにあります。出題される記述問題全てが難しくはありません。資料やリード文を読み取り、問題の指示にしっかり従えば、標準レベルの知識で十分に解答を作ることができる問題もあります。ただし、難度の高い記述問題は、単に資料を読み取るだけでなく、そこから考えられることを整理して知識と組み合わせて説明する、高い思考力を求める内容になっています。普段の演習から難度の高い記述問題に多く取り組み、どの知識をどのように活用すればよいかといった考察を、時間をかけてでも進める対策が有効です。

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