渋谷教育学園渋谷中学校の傾向と対策

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  • 高校外部募集なし
  • 男女共学

志望にあたって知っておきたいこと

2022年度の大学合格実績では東大合格者が30名以上(卒業生数は約200名)、海外の大学にも実績を挙げ、東京の共学進学校ではトップの人気を誇る学校です。4科目ともに難度が高いテストですが、特に国語・社会の文系科目は思考力、記述力、そして語彙力を求める難問揃いです。算数・理科も解きやすいテストではなく、算数は解答に時間のかかる問題が多く、理科もリード文の理解が求められる、他校にない特色があります。国語であれば難しい文章への対応力を鍛えるために新書を読む機会を多くすること、理科であれば身近にある題材を科学的に考える習慣を身につけるといったテキストでの演習以外の要素を多くすることが高得点を獲得するために有効となります。

出題傾向と適した有利なタイプ

科目別学習対策

算数

2022年度第1回は大問4題で小問が全16題、大問1が計算と小問集合、大問2が場合の数から数の並びを扱った問題、大問3が平面図形の面積の問題、大問4が速さとグラフの問題という構成です。大問1(6)と大問4(3)(4)が式や考え方を書かせる形式になっています。独特な図形を扱うような変わったタイプの問題は出されず、普段の演習の成果が現れやすいタイプのテストと言えます。ただし、大問3の図形の問題は前の問題の解答を的確に使う思考力が求められます。また、大問2の場合の数、大問4の2人の距離をグラフにした問題は解答の方針は立っても、計算が複雑であるなどの要素で時間がかかる問題になっています。同校の受験者レベルを考えると、時間のかかる問題、思考力を求める問題でも正解が必要になりますので、標準レベルまでの問題をスピーディーに処理する力も求められます。

算数が苦手な受験生

同校の算数は基本レベルの問題から難問まで幅広い難度で問題が分布しています。まずは基本レベルの問題を確実に正解することが必須となります。大問1の中でも難度が高い問題が含まれ、後半の大問の中でも(1)が基本レベルの問題があります。解答に時間がかかる問題がありますので、問題の選択をスピーディーに進めることが合格ラインを突破するポイントになります。式や考え方を「順序よく」かくようにとの指示がありますので、普段の演習では基本から標準レベルの問題で、式をかく順番に気をつけて解き進める練習を重ねましょう。

算数が得意な受験生

思考力を求める問題、手数がかかる問題でスムーズに解答を進めることが合格ラインを突破するポイントになります。独特な問題は出されませんので、普段の演習で解答速度を意識すること、解法の過程を式に残す練習をすることが有効になります。特に式をかいて解く問題は、解答欄が広めに与えられていますが、かく式の量も多くなりますので、式のかき方が雑にならないように心がけましょう。場合の数や条件整理の問題は時間がかかりますので、普段の演習では解答の方針をしっかり立てて、見直す際には手順に無駄な部分がなかったかまで確かめておく必要があります。計算が複雑な問題も含まれますので、普段のテストでも計算ミスがないように徹底注意しましょう。

国語

2022年度第1回は大問2題で、大問1が随筆文読解、大問2が説明文読解でした。読解問題の中に漢字の書き取りが含まれ、その他、選択肢問題、穴埋め問題、記述問題で構成されています。記述問題は全3題で全て制限字数付きで60~70字以内の設定です。
大問1の随筆文は筆者が幼少の頃を回想する内容です。表現は難しくないのですが文章の中に( )が多くある点、人間関係の把握が難しい点で、読みやすい文章とは言えません。分量も多いので、随筆文に慣れていないと文章を読むだけで多くの時間を費やすことになります。記述問題は1題で表現の意味を問うものですが、60字以内という制限字数に注意すれば記述する内容自体は把握しやすい問題です。特徴的なのは選択肢問題で、選択肢が5個である上に、ひとつひとつの選択肢の文章が長いため、解答にどれだけの時間をかけられるかを意識する必要があります。
大問2の説明文は語彙レベルが高く、内容を理解するのが難しい文章でした。加えて分量も多く、難度の高い文章を読み進める力がなければ、問題にかけられる時間が大幅に減ってしまいます。問題の難度も高く、文章は難しいけれど問題は解きやすい、というパターンには当てはまりません。大問1と同じく、選択肢の文章が長い選択肢問題の難度が非常に高いです。記述問題も文章内容の正確な理解を前提としているので、対応しづらい問題です。
大問1、大問2ともに文章の難度が高く、選択肢問題をはじめ、問題も難しい内容が多いテストです。合格ラインを突破するポイントは難度の高い文章を正確に読み取ることにあります。文章の難度は高くとも問題は解きやすいというテストを出す学校もありますが、同校の問題については文章内容を詳細に把握することが求められ、文章、問題ともに難度が非常に高いテストと言えます。普段の演習から難度の高い文章を重点的に取り組むことはもちろんですが、早めの段階で他校の難度の高い入試問題に取り組むことも有効となります。また、日常から新書に触れる時間を重ねて、難しい文章に慣れておくとよいでしょう。

[2022年度の出典]
大問1:いとうせいこう『犬小屋』(『どんぶらこ』所収)
大問2:斎藤幸平『人新世の「資本論」』

理科

2022年度第1回は大問数が2題で小問が全11題の構成です。小問数が少なく、このうち記述問題が3題、計算問題が3題、図を完成させる問題が1題で、その他は選択肢問題となっていますので、一見すると時間に余裕がありそうに感じられますが、2題とも長いリード文が題材となり、そのリード文の正確な読み取りがポイントとなるため、解いてみると想定外に時間がかかるタイプのテストと言えます。
大問1は生物分野から花びらや葉のつき方に関する問題、大問2が化学分野からインクの材料についての問題です。
同校の理科の問題は、単なる知識だけでは対応できない問題が多いという特徴があります。第一に文章を正確に読み取る力が求められること。合格ラインを突破するポイントも、リード文の内容を正確に読み取り、解答のヒントを確実につかむことにあります。逆に言えば、リード文の中あるヒントや解き方を確実に読み取れれば、得点もアップする問題が多いと言えます。ただし、リード文の内容を取り違えたり、読む時間を多大にかけ過ぎてしまうと、時間が足りず得点も伸びないという結果になってしまいます。普段の演習からリード文を題材とした問題を多く解いて、理科のテストで使われる文章に慣れておくようにしましょう。また、今回の問題ではインクの材料に関する大問2が該当しますが、普段演習するテキストからの知識だけでなく、日常生活や学校の授業を通じて科学的に思考する力、「なぜそうなるのか」といった視点を持って物事に臨む習慣が求められる点も大きな特徴となっています。まずはテキストで知識を固めたうえで、テストで出された問題や他校の過去問から、身近な事柄を題材とした問題を選んで解いておくとよいでしょう。その際には必ず解説をよく読んで、どのような過程で解くのかまで必ずチェックしておくようにしましょう。

社会

2022年度第1回は大問3題で小問が全27題の構成です。記述問題は2題で、そのうちの1題は75字以内の制限字数が付きます。問題の種類としては選択肢問題が多いです。問題のほとんどが資料を使って解く問題で、資料の中には内容の理解が難しいものが多く含まれます。資料の中から解答のポイントを見つける際には知識だけでなく、思考力も求められます。基本から標準レベルの難度の問題が少ないため、30分の制限時間が短く感じられるテストです。
大問1は日本の鉄道の歴史をテーマとした問題、大問2は金属の歴史をテーマとした問題で、どちらも地理分野、歴史分野混合のかたちになっています。大問3は前年に実施された衆議院議員選挙を題材とした公民分野と時事を中心とした問題で、一部歴史分野からの問題も含まれます。
合格ラインを突破するポイントは資料を的確に読み取り、問題をスピーディーに処理することにあります。問題の題材となる資料は、雨温図や各県の特産物についての表といった典型的なものから、鉄道の「時間距離」によって描かれた地図など独特の内容のものまでバラエティに富んでいます。資料の中にある解答のポイントがつかめれば、記述問題を含め解答に時間はかからないのですが、見慣れない資料の読み取りに時間をかけ過ぎてしまうと、制限時間の30分があっという間に過ぎてしまいます。普段の演習から資料問題を重点的に対策して、資料を速く正確に読み取る目を養っておきましょう。細かい知識まで求める問題も含まれますので、知識の暗記も高レベルまで仕上げておく必要があります。同校の受験生レベルを考えると、基本から標準レベルでの得点は大前提で、難問での正答までが必須となりますので、テキストの応用問題や模試で出題される難問について、特に資料問題を中心に解答のプロセスをしっかり見直す習慣をつけておきましょう。

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