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2024年度の大学進学では、東京大学に43名(現役36名)、京都大学に6名(現役4名)、千葉大学に7名(現役3名)、国公立大学医学部医学科に18名(現役11名)、私立大学医学部医学科に42名(現役28名)と高い合格実績を挙げています。海外の大学にも合格実績を挙げ、東京の共学進学校ではトップの人気を誇る学校です。
国際理解教育も盛んで、中学3年生から、希望者は英語以外に中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、韓国語からもうひとつの言語を学ぶチャンスがあります。また、希望者を対象に、中学のオーストラリア研修、高校のアメリカ・イギリス・シンガポール・ベトナム研修が実施されています。
入試問題は4科目ともに難度が高いテストです。2024年度第1回の算数は思考力を求める問題が出されず、全体的に難度が下がりましたが、正確な計算力と丁寧に作図する力が求められる傾向は変わっていません。どの問題を解くかといった優先順位をスピーディーにつけることも高得点のポイントとなります。
国語では難解な文章を読み解く力が必須となり、特に物語文は小学生にはイメージすることが、難しい設定の文章も出されますので、普段から幅広いジャンルの物語に触れておく必要があります。選択肢問題の難度が高い点も特徴的です。
理科・社会では共にリード文や資料を正確に読み取る力が不可欠となります。制限時間が30分と短いため、リード文・資料から短い時間で解答のポイントを見出す練習を重ねておきましょう。
独特の出題はありませんが、手数がかかる問題、思考力を求める問題が多く出されます。式や考え方をかいて、解答の過程を整理して解くのが得意なタイプ向きです。
問題文は語彙レベルが高く分量の多い、簡単には読み取れない文章で、問題も選択肢問題をはじめ難問が並びます。難度の高い文章を苦にしないタイプ向きです。
問題数は少ないですが、長いリード文が与えられ、その文章から解答のヒントを的確につかむ力が求められるテストです。リード文を使った問題に強いタイプ向きです。
資料を使った難度の高い問題が多く出されます。資料の読み取りには知識だけではなく思考力も求められます。分野を問わず資料を使った問題が得意なタイプ向きです。
2024年度第1回は大問4題で小問が全16題の構成でした。大問1が計算と小問集合、大問2が立体図形の切断の問題、大問3が図形の規則性の問題、そして大問4が円周上の点の移動の問題でした。大問1(6)と大問4(2)(3)が式や考え方を書かせる形式になっています。
2024年度第1回は例年以上に思考力を求める難問が少なく、解答方針が立てやすい問題が多く見られるテストでした。特に後半の問題でスムーズに解き進められる問題が多く、例年通りの難度を見越して対策を積んできた受験生にとっては、むしろ「解きやす過ぎないか」との戸惑いがあったかもしれません。
もともと同校の算数は、独特な図形を扱うような変わったタイプの問題は出されず、普段の演習の成果が現れやすいタイプのテストですが、その分、応用問題で多く使われる解法をいかに正確に使いこなすかで得点が大きく分かれる傾向があります。2024年度第1回も難度は下がりましたが、その傾向は見られ、大問1(5)の角度の問題で二等辺三角形を自分で作る解法、大問2の立体図形の切断の問題で、立体を段に分けて考える解法が該当しました。
普段からテキストの応用問題や模試やテストの後半に出される問題で、解法を正しく使いこなせていたのかどうかをチェックする習慣を身につけておきましょう。
また、同校の算数では計算や書き出しなどの作業を正確に進める力が試される特徴もあります。2024年度第1回でも、大問1(4)の回転体の問題は立体のイメージは容易にできますが、計算結果が約分できない分数となりました。また、大問2の立体図形の切断の問題では、切断線を正確に図形に入れなければ正解に行き着けないように作問されています。普段から作業を速く正確に進める練習が不可欠です。
同校の算数は基本レベルの問題から難問まで幅広い難度で問題が分布しています。まずは基本レベルの問題を確実に正解することが必須となります。特に2024年度第1回のように基本から標準レベルの問題が多く含まれたテストでは、計算間違いなどによる取りこぼしを何としても防がなくてはなりません。
同校の算数では計算が複雑になったり、作業の細かい点でのミスがそのまま失点につながってしまうような問題が含まれます。普段の演習で計算について自分の誤答傾向を確かめ、それを克服するための練習を重ねること、そして自分で図をかく際に、丁寧に作図するポイントを逃さないように意識することが重要です。
合格ラインを突破するポイントは、解くべき問題の選択をスピーディーに進めることにあります。同校の算数の特徴として、大問1の中でも難度が高い問題が含まれ、後半の大問の中でも(1)が基本レベルの問題が出される点があります。2024年度第1回でも大問1の(5)(6)の難度が高く、特に(6)の食塩水の濃度の問題は今回の最高難度の問題であったと言えます。
問題の順番が前だから解きやすいという考えは捨てて、解くべき問題を選択する練習を、過去問演習を通して重ねておきましょう。
合格ラインを突破するポイントは、思考力を求める問題、手数がかかる問題でスムーズに解答を進めることにあります。2024年度第1回では思考力を求める問題は見られませんでしたが、大問1(6)の食塩水の濃度の問題や、大問4の円周上の点の移動の問題では、比を使って式を立てる解法が必要となりました。食塩水の濃度であれば面積図、円周上の点の移動であれば角速度を使うという考えにとらわれずに、柔軟に対応する力が求められました。
こうした問題を確実に正解するためにも、普段の演習で少しでも解法を多く覚え込み、問題に対した際に解法の引き出しを多く持てるようにしておくことが必要となります。
また、式や考え方をかいて解く問題は、解答欄が広めに与えられていますが、かく式の量も多くなりますので、式のかき方が雑にならないように心がけましょう。特に場合の数や条件整理の問題は時間がかかりますので、普段の演習では解答の方針をしっかり立てて、見直す際には手順に無駄な部分がなかったかまで確かめておくことが必須となります。
2024年度第1回は大問2題で、大問1が物語文読解、大問2が論説文読解でした。小問数は全20題で、読解問題の中に漢字の書き取り(各大問3題ずつ)が含まれ、その他は選択肢問題と記述問題で構成されています。記述問題は全3題で全て制限字数付きで、全て71~80字以内の設定でした。
大問1の物語文は、離婚した両親が主人公のミカとそっくりなロボットを入手し、それぞれが人間のミカとロボットのミカと共に暮らすという特異な設定のもと、両親の一存で二人のミカが入れ替わってそれぞれの親と暮らすという状況が描かれています。言葉遣いなどは平易で読みやすい文体ですが、設定を踏まえたうえでミカや父親の心情を読み取るには、様々な物語に触れておく「経験値」が必要となりました。
大問2の論説文は語彙レベルが高く、内容を理解するのが難しい文章でした。加えて分量も多く、難度の高い文章を読み進める力がなければ、解答に使える時間が大幅に減ってしまいます。ただし、問題の難度は標準的で、文章内容を正確に読み取ることができれば、選択肢は区別しやすく、記述問題の解答ポイントも見つけやすく作られていました。
合格ラインを突破するポイントは難度の高い文章を正確に読み取ること、そして選択肢問題を確実に得点に結びつけることにあります。文章の難度の高さについては上記で説明した通りです。特に物語文については様々な設定の内容が出されますので、普段から等身大ではない人物が主人公の作品、時代設定が古い作品など、幅広いジャンルの文章に触れておきましょう。
そして問題では、出題割合が高く、難度も高い選択肢問題で得点を多く重ねる必要があります。記述問題が簡単とは言えませんが、解答のポイントは見つけやすいので、時間配分を意識して、記述問題にかける時間を確保できれば得点のチャンスは大きく広がります。
その分、選択肢問題を速く正確に解くことが必須となるのですが、同校の選択肢問題は選択肢が5個で、一つの選択肢の文章が長く設定されています。論説文の選択肢問題は上述の通り、文章内容を正確に理解できれば、誤った選択肢を消去するポイントは見つけやすくなっています。
一方の物語文の選択肢は消去するためのポイントが見つけづらく、本文から言い換えられた言葉を正確にとらえる、いかにも正しそうで本文に書かれていない内容を消去する、といった応用レベルの選択肢問題対策が必要となります。
普段の演習や、模試、テストでは、選択肢問題について誤った問題はもちろん、正解はしたけれど解答根拠が曖昧な問題については必ず解説を熟読して、解答の決め手をチェックしておきましょう。豊島岡女子や聖光学院といった、難解な選択肢問題を出す学校の問題を類題として活用することも有効な対策となります。
[2024年度第1回の出典]
大問1:木皿泉「かお」(『カゲロボ』所収)
大問2:戸谷洋志『未来倫理』
2024年度第1回は大問が2題で、小問が全13題の構成でした。問題の種類は、記述問題が5題、語句を答えさせる問題が2題、図を完成させる問題が1題で、その他は選択肢問題でした。計算問題は2024年度第1回には出題されませんでした。
同校の理科は大問数が少ないため、一見すると時間に余裕がありそうに感じられますが、2題とも長いリード文が題材となり、そのリード文の正確な読み取りがポイントとなるため、解いてみると想定外に時間がかかるタイプのテストです。さらには記述問題、作図問題が出されるため、時間の使い方をしっかり練習しておく必要があります。
大問1は食物連鎖をテーマとした生物分野の問題、大問2は「水素結合」を題材とした、化学分野、物理分野、そしてわずかに地学分野を含む問題でした。
同校の理科の問題は、単なる知識だけでは対応できない問題が多い特徴があります。まず必要となるのが、リード文や問題文を正確に読み取る力です。合格ラインを突破するポイントも、リード文の内容を正確に読み取り、解答のヒントを確実につかむことにあります。逆に言えば、リード文の中あるヒントや解き方を確実に読み取れれば、得点もアップする問題が多いと言えます。
2024年度第1回でも、大問2の問3で両面テープについて、問4で紙の強度について答えさせる問題が出されましたが、リード文にある「流し漉き(すき)」のメカニズムの説明を正しく理解できれば、解答のポイントは見つけやすいものでした。
ただし、リード文の内容を取り違えたり、30分という制限時間の中で読む時間を多大にかけ過ぎてしまうと、時間が足りず得点も伸びないという結果になってしまいます。普段の演習からリード文を題材とした問題を多く解いて、理科のテストで使われる文章を速く正確に読めるようにしておきしましょう。
また、記述問題についても、リード文や実験結果などの資料を適切に読み取り、解答のポイントをおさえられれば、文章が作りやすいように作問されています。2024年度大問1の最終問(問5)も、リード文の最終段落の内容を正しくまとめられれば、解答を作るのに大きな負担はありませんでした。
まずはテキストで知識を固めたうえで、テストで出された問題や他校の過去問から、リード文が長い問題を選んで解いておくとよいでしょう。その際には必ず解説をよく読んで、リード文のどのポイントに着目しておけばよかったのかまで必ずチェックしておくようにしましょう。
2024年度第1回は大問3題で小問が全24題の構成です。問題の種類は、選択肢問題が多く、その他、語句を答えさせる問題、記述問題が出されました。記述問題は3題で、すべて制限字数が付きました。
大問1は2024年がJリーグ設立から30周年であることにちなみ、日本のプロスポーツリーグのホームタウンに関する地理分野を中心とした問題、大問2は九州の歴史に関する問題、大問3は日本の現在の政治に関する公民分野と時事を中心とした問題でした。
問題のほとんどが資料を使って解く問題で、資料の中には内容の理解が難しいものが多く含まれます。資料の中から解答のポイントを見つける際には知識だけでなく、思考力も求められます。2024年度第1回でも大問2の問4で、福岡県の炭鉱で起きたできごとを描いた2つの絵とその説明文をもとに、1つの絵で描かれているできごとについて、もう1方の絵を踏まえて説明させる問題が出されました。「売店襲撃」という言葉と、米の値上がりを嘆く主婦たちの姿から「米騒動」を題材としていることを瞬時に見抜く必要がありました。
合格ラインを突破するポイントは提示される資料とリード文を的確に読み取り、問題をスピーディーに処理することにあります。先に紹介した問題も、じっくり時間をかければ解答要素は見つけられますが、30分という限られた時間の中で対応するには、普段から様々な資料を使った問題を数多く解いておく必要があります。
2024年度第1回では、語句を答える際に、語句を書くのではなく、空欄に入る語句の組み合わせを記号で選ぶタイプの問題が出されました。一見複雑に見えますが、リード文の中にある年号などのヒントに気づけば、語句を書くよりも正答しやすいタイプの出題でした。ここでもリード文を読み解く力が試されています。
同校では細かい知識まで求める問題も出されますので、知識の暗記も高レベルまで仕上げておく必要があります。2024年度第1回でも、『海国兵談』の書名なしに「林子平」を選ばせる問題が出されています。同校の受験生レベルを考えると、知識問題で少しでも多く得点することが必須となりますので、幅広く知識を集積する習慣を身につけておきましょう。