白百合学園中学校の傾向と対策

  • 併設大学あり
  • 高校外部募集なし
  • 女子校

志望にあたって知っておきたいこと

落ち着いた校風と面倒見の良さ、中学校から英語とフランス語を学習する外国語教育への取組み、国際教育が盛んであるなどの点で安定した人気を誇ります。入試問題は算数で計算・小問集合が出されず、標準レベル以上の難度の問題が多いなど、男子難関校に近い傾向があります。4科目とも短い制限時間に対して問題数が多い一方で、算数は解き方・計算を書く問題、国語は記述問題が多く含まれる特徴がありますので、スピーディーかつ丁寧に問題を解き進める力が求められます。

出題傾向と適した有利なタイプ

科目別学習対策

算数

2022年度は大問5題で小問は全11題と、問題数だけを見ると時間に余裕があると感じられるテストですが、小問のうち4題は解き方・計算を書くタイプの問題ですので、1問にあまり多くの時間を費やすことはできません。また、計算や小問集合がなく全ての問題が標準レベル以上の難度になっています。難度の高い問題は抜かして、解ける問題から確実に解く方針で臨む必要があり、式を書いて解く練習が不可欠です。
大問1は数の性質をからめた場合の数の問題、大問2は平面図形の面積比の問題、大問3は食塩水の濃度、大問4は比を使って解く仕事算の問題、大問5は平面図形から等積移動の考え方を使う面積の問題といった構成です。立体図形は出題されていません。割合と比、平面図形の対策を徹底的に進めることが必須です。

算数が苦手な受験生

難問にまで手を広げるよりも、基本から標準レベルの問題を確実に解き進める練習が不可欠です。1問あたりの配点が高いので、標準レベルまでの問題を確実に正解すれば、合格ラインを突破する可能性が高くなります。単元としては、割合と比、平面図形といった入試頻出度の高い単元を重点的に対策しておく必要があります。解答欄に式や計算をわかりやすく記す練習として、過去問題集の解答用紙を原寸大サイズにする練習が効果的です。

算数が得意な受験生

割合と比や平面図形の問題はテキストの応用問題や模試の後半の問題にまで取り組み、難問に対応できる力を養っておきましょう。思考力を問うような問題はありませんので、普段演習するテキストの難問について、解説を読んで解き方を増やす習慣を身につけておくと効果的です。式や計算をわかりやすく書くために、難問についてもどのように式を立てれば正解に至るかのプロセスを常に意識しておく必要があります。

国語

2022年度は大問2題で、大問1が説明文読解、大問2が物語文読解の構成です。小問数は16題で、算数と同じく問題数は少ないですが、記述問題が5題で80字以内という制限字数の多い問題も含みますので、スピーディーに解き進める必要があります。漢字、知識問題も出され、特に言葉の意味を答える問題の割合が高いです。
大問1の説明文は植物が昆虫から身を守る方法について述べた内容で、文章自体は読みやすいですが、事実関係を細かくおさえておかないと解答に時間がかかる問題が含まれます。選択肢問題は標準レベルの難度ですが、記述問題は80字以内に内容をまとめるのが難しいものです。漢字が3語出されますが、「退治」など標準レベルの難度ですので、普段の演習でも基本にとどまらず難問まで対策しておく必要があります。
大問2の物語文は大学生を主人公としていますが、読みづらい内容ではありません。文章の分量も標準より少し短めで、読み進めるのに多くの時間はかからないでしょう。小問8題のうち心情を問うものは最後の2題で、語句の意味や言葉の使い方に関する問題が3題、漢字が1題と、知識に関する問題が多い点が特徴的です。記述問題は心情を50字以内で答える内容ですが、何を書くかというより、いかに字数内におさめるかが得点のポイントになります。
合格ラインを突破するポイントは記述問題で高得点をとることです。問題数が少ない分、記述問題の配点が高いと推測されます。白紙答案にならないように徹底的に注意する必要があります。説明文、物語文ともに大まかに書く内容は着想できるのですが、制限字数にどのように合わせるかが難しい問題です。制限時間が40分と短めですので、普段の演習から制限字数を意識した記述問題対策を重点的に進めるようにしましょう。

[2022年度の出典]
大問1:江崎保男『生態系ってなに?』
大問2:瀧羽麻子『女神のサラダ』所収「茄子と珈琲」

理科

2022年度は大問数は5題で、物理分野から2題、化学・生物・地学からそれぞれ1題の構成です。小問数が全43題と多く、さらに小問の中には空欄補充などで語句を選ぶ問題が多数含まれるため、制限時間30分で解き進めるためのスピーディーな処理能力が求められます。
大問1は物理分野から電気に関する問題、大問2は化学分野からアルコールについての問題、大問3は様々な植物についての生物分野の問題、大問4は物理分野からエネルギーに関する問題、大問5は火山とハザードマップについての地学分野の問題という構成です。選択肢問題が中心ですが、記述問題、語句を答える問題、計算問題や図を書く問題も出されます。
問題の難度としては基本から標準レベルが中心ですが、問題数が多いので、時間の上手く使って進めることが合格ラインを突破するポイントになります。記述問題、計算問題の難度は低く、特に計算問題は算数の知識で解けるものが多く、得点必至となります。文章の空欄を埋める問題には選択肢のタイプ、語句を答えるタイプがありますが、文章の内容を正確に理解することが前提となる難度の高い問題が含まれます。制限時間30分を考えると、問題文を深く読み込む時間はありませんので、短い時間で文章のポイントをつかむ必要があります。普段の演習から時間を意識してスピーディーに解く練習を重ねましょう。問題数が多く、1問の配点は高くありませんので、難しい問題を抜かして先へ進むという意識を持って解き進めることが有効です。物理分野のLEDの問題やエネルギーに関する問題など、時事に関する知識があれば容易に正解ができる問題がありますので、理科の時事問題対策も欠かさないようにしましょう。

社会

2022年度は大問は3題、小問が全59題ですが、制限時間が30分なので解答時間に余裕がないテストです。大問は、歴史・地理・公民からそれぞれ1題の構成です。記述問題は5題、語句を答える問題が34題と、書かされる問題が多いため、スピーディーに解答を進める必要があります。
大問1の地理分野からの出題は、北海道の地理に関する問題で、基本的な知識を問うものがほとんどですが、食料自給率に関する問題など、一部思考力が問われるものが含まれます。「有珠」や「歯舞」など、漢字で正しく答えることを求める問題が多いので、知識は漢字を含めて確実におさえましょう。
大問2の歴史分野からの出題は、「衣服の歴史」をテーマとした内容です。できごとを時代の古い順番に並べかえる問題が2題ありますが、全体的な知識のレベルは基本的な問題が多いです。幅広い知識を覚えるというより、テキストの基本から標準レベルの内容を細かく正確に暗記する必要があります。
大問3の公民問題は新型コロナウイルスの流行による社会の変化をテーマとした内容です。小問14題のうち、選択肢問題1題、記述問題1題以外はすべて語句を答える問題構成です。語句には「インバウンド」や「六次産業化」といった時事的な内容も含まれます。地理・歴史分野と同じく基本から標準レベルの知識を正しくおさえておく練習が必須です。
同校の社会の特徴は問題数の多さにあります。問題の内容自体は基本から標準レベルで、一問一答式に答えて行くタイプの問題が多いので、テキストの一問一答式の問題を漢字で正しく解き進める練習が有効です。合格レベルを突破するためのポイントは、短文記述での確実な得点です。全体的には基本から標準レベルの問題が多い中、記述問題には難度の高いものが含まれます。制限字数はありませんが解答欄に文章を収めるためには、解答内容をわかりやすく短い字数でまとめる力が求められます。模試や過去問演習では、正解かどうかだけでなく、文章をわかりやすくまとめられたかまでチェックしましょう。

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