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2024年度の卒業生200名のうち、東京大学に5名(現役3名)、国公立医学部に16名(現役6名)私立大医学部に76名(現役10名)合格者を輩出するなど高い大学進学実績もあり、堅実に人気が高まっています。
厳しい校風というイメージから敬遠されるケースもありますが、実際に説明会に参加するとイメージとは異なり、好印象を抱くという声が多く上がります。
算数では一見すると典型的な出題でありながら、慎重に解き進めなければミスを起こしてしまうポイントが含まれる問題が特徴的であり、普段の演習から解法の理解が曖昧にならないように、徹底的に注意する必要があります。
国語で物語文を出題しないという点からも、科目を問わず論理的思考を重視した問題が出されます。また、社会の記述問題では思考力を問う出題も含まれますので、記述対策も固めておくことが必須となります。
思考力を求める難問は出されませんが、ミスを誘発する出題が見られます。式を書いて解く練習が不可欠です。数の性質、立体図形が強いタイプ向きです。
説明文・随筆文からの出題で物語文は出されていません。基本から標準レベルの問題が多いため高得点が必要なテストです。説明文・随筆文が得意なタイプ向きです。
計算問題の量が圧倒的に多く、すべての大問に計算問題が含まれます。記述問題、語句を答える問題は解きやすいものが多いです。計算問題に強いタイプ向きです。
選択肢問題の割合が高く、「正しくないもの」を選ばせる問題が多い特徴があります。普段の演習から背景などを踏まえた暗記が必要です。正誤問題に強いタイプ向きです。
2024年度第Ⅰ期は大問4題で小問は全15題という例年通りの構成でした。大問1から小問集合で計算問題がありません。大問2以降の応用問題は全問題が式を書いて答える形式です。問題数から見れば制限時間の50分は余裕がありそうに感じますが、式を書かなければならず、また小問集合の難度が高いことを考えると、時間が余ることはないでしょう。
大問1の小問集合は仕事算、場合の数、角度、売買損益、割合と比、回転体といった問題構成でしたが、つるかめ算を使う売買損益の問題以外は基本レベルの難度で、取りこぼしが許されない問題が並びました。以前の同校の算数は基本問題が1題もないケースが多かったのですが、近年は難度のバランスがとれた構成へと変わっています。
大問2の流水算も比を使って解く典型的な問題ですので、確実に得点をしておきたい内容でした。大問4の図形の移動の問題では、図形の軌跡となるかたちを選ばせるユニークな出題がありましたが、注意深く解き進めれば正解できるチャンスが十分にある問題でした。
2024年度第Ⅰ期の点数の分かれ目となったのは大問3の数の性質の問題でした。最小公倍数に関する、一見すると典型的な出題でしたが、大事なポイントを見逃すと(2)(3)は得点できなくなる点で、どれだけ多くの問題を解いてきたかの経験値を問う内容でした。
合格ラインを突破するポイントは、典型題で確実に得点を重ねることにあります。上記の通り、2024年度第Ⅰ期では大問3以外は典型題の出題割合がとても多くなりました。同校の受験生レベルを考えるとこれらの問題での失点は何としても防ぎたいところですので、普段の演習から、速さ、比と割合の問題、図形問題を中心に典型題は応用問題レベルまで確実に解き進めて、解法を定着させておきましょう。
同校の算数では、計算問題が出されませんが、計算結果が複雑な分数となる問題が毎回含まれますので、計算力の養成も欠かさずに重ねておく必要があります。
式や考え方を書かせる問題について、以前は解答欄の狭さが大きな特徴となっていましたが、近年は標準的なサイズとなりました。それでも記述すべき内容が多くなる問題もありますので、過去問演習の際に解答用紙を原寸大に拡大コピーして、解答欄の大きさに慣れておくことが有効となります。
合格ラインを突破するポイントは図形問題、数の性質の問題で多くの解法を身につけておくことにあります。苦手単元を作らないように幅広い範囲で応用問題レベルの問題を解き重ねておくことが大前提となりますが、図形問題、数の性質の問題では、注意深く問題内容を把握しておかなければ、思わぬところでミスが起きてしまうようなポイントが隠されています。
2024年度第Ⅰ期の大問3では、最小公倍数に関する問題で、連除法を使う典型的な解法を使うと、当てはまるケースを見逃してしまうような問題構成が見られました。もちろん見逃しがないように注意深く連除法を進めればよいのですが、「調べ上げ」を地道に行う方がミスを防ぐ可能性が高くなる内容でした。
典型的な解法ではミスが起こるので違う方法を試そう、といった着想ができるかどうかでテスト全体の得点が大きく変わってきます。一見すると典型的な解法で高得点がとれるような構成でありながら、巧妙にミスを誘発するように作られた高レベルの出題となるのが、巣鴨の算数です。
複雑な分数計算をミスなく行うことも含めて、とにかく演習量を多く重ねて、解法を着実に身につけることが必須となります。
※国語は第Ⅲ期が分析対象となります。
2024年度第Ⅲ期は大問3題で、大問1が漢字の書き取り10題、大問2が説明文読解、大問3が随筆文読解の構成です。小問数は30題で、読解問題は選択肢問題、記述問題、書き抜き問題の他、慣用句や文法問題も読解問題の中に含まれました。
大問1の説明文は「遊ぶこと」と「学ぶこと」の関係について説明した文章からの出題でした。選択肢問題、穴埋め問題、記述問題がバランスよく並び、文章の内容について意味段落を意識して理解を進めれば容易に正解が見つかる問題が多く見られました。
大問2の随筆文は、学生時代に転校をくり返した筆者が、そこで経験した想いが大人の自分にも影響している状況を語った内容です。エピソードと筆者の考えの組み合わせがわかりやすく、筆者が体験した出来事とそこで感じた内容を整理するという随筆文読解の基本的取り組みができていれば正解できる問題が大半を占めています。
読解の2題とも、独特な出題はなく、問題構成もスタンダードなため、普段の演習の成果が出やすいタイプのテストと言えます。
合格ラインを突破するポイントは、記述問題で高得点をとることにあります。説明文、随筆文ともに記述問題で書かせる内容は、筆者の考えや表現の真意を説明させるものですが、素材となる文章の構成がわかりやすいため、解答要素も見つけやすくなっています。
注意すべきは50字から70字以内といった制限字数の中に説明すべき内容を正確に収めて、分かりやすい文章となるように構成することにあります。普段から同じくらいの制限字数の記述問題を解き重ねて、字数の感覚をつかむことが重要です。
また、2024年度第Ⅲ期の大問2問8で「お勉強」という言い方に皮肉が込められていることを読み取らせるなど、表現の真意を読み取る力も試されます。普段から、表現の意味するところの解釈が曖昧にならないように、受けたテストの解説を熟読する習慣を身につけておきましょう。
難しい問題への対応力よりも論理的思考を確かめるテストと言えます。問題の難度と受験者レベルを考え合わせると高得点が必要になります。取りこぼしなく得点を重ねるために、説明文・随筆文について難解な文章に取り組むのではなく、標準的な文章で確実に高得点を取れるように対策を進めることが有効です。
[2024年度第Ⅲ期の出典]
大問2:孫泰蔵『冒険の書 AI時代のアンラーニング』
大問3:藤岡みなみ「転校生の境界線」(『パンダのうんこはいい匂い』所収)
2024年度第Ⅰ期は大問数4題で、物理・化学・生物・地学からそれぞれ1題の構成です。小問数が全37題と多いため、制限時間30分の使い方を意識して解き進める必要があります。
大問1は鳥のからだのつくりと生活の仕方をテーマとした生物分野の問題、大問2は豆電球のつなぎ方と明るさについての物理分野の問題、大問3は2023年が関東大震災発生から100年であったことから、地震と災害に関する地学分野の問題で、大問4は気体の発生をテーマとした化学分野の問題という構成でした。記述問題が3題、語句を答える問題が4題、その他は選択肢問題と計算問題です。
同校の理科の特徴は何といっても計算問題が圧倒的に多いことにあります。物理分野、化学分野はもちろん、生物分野、地学分野の大問にも計算問題が含まれます。選択肢問題を解く際に計算が求められることもあります。
合格ラインを突破するポイントはもちろんこの計算問題の正答率を上げることです。計算問題の中に難度の幅があり、見た瞬間に解けるレベルの問題もあります。2024年度第Ⅰ期では、生物分野、地学分野の計算問題は、単純な算数の知識で十分に解答できる内容でした。化学分野の気体の発生量に関する計算問題も、問題文を正確に読み込めば式がスムーズに立てられる、基本から標準レベルの問題でした。
それに対して、物理分野の電流回路の計算問題は、まず提示される回路が複雑であり、解答する際には、基準とする豆電球に流れる電流量を1と置く、といった算数の比のような設定が必要であり、そこに回路の構成と電流量の関係という理科の知識をフル活用して解く、といった段取りが必要となる難問でした。
この大問では簡単な小問がほとんどなく、他の大問と比べて難度が大きく上がりますが、同校の受験生レベルを考えると、ここでの得点がポイントとなります。普段から計算問題については、多種のタイプの問題を解き、問題の設定を理解したうえでスピーディーに式を立てる流れを習得すべく、徹底的に訓練しておく必要があります。特に物理分野の計算問題は重点的に演習を重ねるようにしましょう。
記述問題や語句を答える問題の難度は、基本から標準レベルがほとんどで、2024年度第Ⅰ期の語句を答えさせる問題は、「食物連鎖」や「ハザードマップ」などの必答問題ばかりでした。記述問題も字数は少なく、書く内容も明確な問題がほとんどですが、2024年度第Ⅰ期の「ごみを出すときのカラス対策」の具体例を書かせるなど、生活に密着した出題もありますので、特別な対策までは必要ありませんが、記述問題対策がおろそかにならないように注意しましょう。
2024年度第Ⅰ期であれば、物理分野の大問2にどれだけの時間を使えるかが勝敗の分かれ目になったように、計算問題を中心として難度の高い問題により多くの時間を充てられるように、過去問演習では時間の使い方を強く意識することが必須となります。
2024年度第Ⅰ期は大問3題、小問が全25題の構成で、例年通り歴史・地理・公民からそれぞれ大問1題が出されました。問題の種類は、記述問題が3題、語句を答える問題が5題、その他は全て選択肢問題と、選択肢問題の割合が高くなっています。
同校の社会は年度(期)によって記述問題の出題割合に変動があります。1題のみ出される場合もありますが、2024年度第Ⅰ期は3題と多くなりました。
大問1は自然災害をテーマとした地理分野からの出題でしたが、地形図が多く出され、それぞれについて細かい点まで着目する力が求められました。同校の地理分野の問題では地図やグラフといった資料が多く使われる傾向がありますが、特に地形図は頻出ですので、普段から見方を鍛えておく必要があります。
大問2は資源・エネルギーを題材とした歴史分野からの出題でしたが、史料が使われず、全て文章から解く内容です。歴史上の出来事が起きた順番を並べ替える問題や、同じ時代に起きた出来事を答える問題など、年表が頭の中に入っていることを前提とした問題が多く見られます。問題の難度は標準レベルで、2024年度第Ⅰ期の3つの大問の中では最も解答しやすい問題でした。
大問3は統一地方選挙についての公民問題の問題でしたが、会話文で構成されるリード文の分量が多く、また比例代表制についての詳しい知識が求められ、公民分野が苦手な場合は解答に多くの時間を費やすことになる難問でした。
同校では年度によって、地理・歴史・公民の中でどの分野の問題の難度が上がるかが変わってきますので、苦手な分野を作らないようにすることが対策の大前提となります。
合格ラインを突破するポイントは出題割合の高い選択肢問題で多く正解を積み上げることにあります。特に同校では、「正しくないもの」を答えさせるパターンが多いという特徴があり、分野を問わず知識の定着が曖昧にならないように、また、地理であれば地形や気候との関連、歴史であれば時代背景まで踏まえたうえで覚える必要があります。
また、記述問題にも難問が多く、2024年度第Ⅰ期の3題はいずれも正確な知識と思考力を求めるものでした。地理分野では、地形図から「等高線の間隔が広くなった理由」を説明させる問題が、歴史分野では「1941年9月11日に代用燃料車以外のバスやタクシーに営業許可が出されなくなった理由」を説明させる問題が出されました。
そして公民分野の記述問題は日本でクォーター制を導入すべきかどうかについて、賛成・反対をしめしたうえでその理由を説明させる問題が出されました。こうした問題に対応するためには、記述練習を重ねることはもちろん、時事的な話題について考察する習慣をつけておくことが求められます。記述問題の練習が不十分にならないように、注意しましょう。
解答に時間がかかる問題が多いため、30分の制限時間が短く感じるテストですので、解きやすい問題から先に解くといった解き方の工夫を、過去問演習を通して身につけておきましょう。