巣鴨中学校の傾向と対策

  • 併設大学なし
  • 高校外部募集あり
  • 男子校

志望にあたって知っておきたいこと

厳しい校風というイメージから敬遠されるケースもありますが、実際に説明会に参加するとイメージとは異なり好印象を抱くという声が多く上がる学校です。高い大学進学実績もあり、堅実に人気が高まっています。4科目の中では特に算数・理科の難度が高く、高得点をとるためには早めに過去問演習に取り組む必要があります。国語で物語文を出題しないという点からも、科目を問わず論理的思考を重視した問題が出されます。

出題傾向と適した有利なタイプ

科目別学習対策

算数

2022年度第Ⅰ期は大問4題で小問は全15題の構成です。大問1から小問集合で計算問題がありません。大問2以降の応用問題は全問題が式を書いて答える形式です。問題数から見れば制限時間の50分は余裕がありそうに感じますが、式を書かなければならず、また小問集合の難度が高いことを考えると、時間が余ることはないでしょう。大問1の小問集合は場合の数、数の性質や投票算などの難問が並び、基本問題が1題もありません。大問2以降の(1)に基本的な問題が1、2問含まれますので、それらを確実に得点することが必須です。式をわかりやすく書き、立体図形や速さの標準的な問題で得点することが、合格ラインを超えるためのポイントになります。数の性質の問題は難度が高いです。

算数が苦手な受験生

大問1の小問集合で満点を取ることは難しいので、難問は抜かして、大問2以降の(1)で得点できる問題を確実にとることを優先しましょう。大問2以降の式を書く問題では、解答欄に式を見やすく収める必要がありますので、過去問演習の際に解答用紙を原寸大に拡大コピーして、解答欄の大きさに慣れておくことが有効です。数の性質に難問が多いので、立体図形、速さの問題で得点できるよう、テキストの応用問題や模試の後半に出てくる問題を徹底的に復習しておきましょう。

算数が得意な受験生

立体図形や速さの問題は確実に得点を重ねられるように、もれなく対策を進めておきましょう。数の性質の問題は書き出しが必要になりますが、問題内容を正確に理解できれば無駄な書き出しを防ぐことができます。難度が高いですが、見たことのないような問題ではなく、普段演習する応用問題パターンの難度をアップさせた内容です。テキストの終盤の問題、模試で全体正答率が低い難問でも、解説をよく読んで解き方を地道に覚えて行くことがポイントになります。普段から頭の中で解答をつくるのではなく、式を書く習慣を身につけておくようにしましょう。

国語

2022年度第Ⅰ期は大問3題で、大問1が漢字の書き取り10題、大問2が説明文読解、大問3が随筆文読解の構成です。小問数は27題で、読解問題は選択肢問題、記述問題、書き抜き問題の他、慣用句や文法問題も出題されます。
大問1の説明文は寄生虫に関する内容で、文章の長さは標準的で語彙レベルも高くなく、読みづらさは感じません。文章の論理の展開を表した表の空欄を埋める問題や、論旨をまとめた文章の穴埋めをする問題のように、文章の内容について意味段落を意識して理解すれば容易に正解が見つかる問題が多い点が特徴的です。
大問2の随筆文は、筆者が海外で体験した差別的扱いについて考察を述べたもので、筆者が体験した出来事とそこで感じた内容を整理するという随筆文読解の基本的取り組みができていれば正解できる問題がほとんどです。
全体的な難度は標準的で、4科目の中で最も取り組みやすいテストです。文章の長さは2題とも標準的で、語りかけるような文体で書かれていますので、内容の理解に難しさは感じないでしょう。記述問題も問題文の指示に従えば、文章中のどのポイントを使えばよいかがわかりやすく、自分の言葉を使うよりも文章中の言葉を組み合わせれば解答がつくれる内容です。選択肢問題は標準レベルで、漢字、語句・文法問題は得点必至の基本問題です。難しい問題への対応力よりも論理的思考を確かめるテストと言えます。問題の難度と受験者レベルを考え合わせると高得点が必要になりますので、取りこぼしなく、記述問題をわかりやすく書き上げることが合格ラインを突破するポイントになります。物語文が出題されない特徴は以前から変わっていませんので、説明文・随筆文について難解な文章に取り組むのではなく、標準的な文章で確実に高得点を取れるように対策を進めることが有効です。

[2022年度の出典]
大問1:成田聡子『えげつない!寄生生物』
大問2:高橋久美子『私って、アジア人なんですね』

理科

2022年度第Ⅰ期は大問数4題で、物理・化学・生物・地学からそれぞれ1題の構成です。小問数が全42題と多いため、制限時間30分の使い方を意識する必要があります。
大問1は植物と昆虫をテーマとした生物分野の問題、大問2はばねと滑車を使う物理分野の問題、大問3は気象に関する地学分野の問題で、大問4は気体の発生、物のとけ方をテーマとした化学分野の問題という構成です。記述問題が2題、語句を答える問題が5題、その他は選択肢問題と計算問題です。
同校の理科の特徴は何といっても計算問題が圧倒的に多いことにあります。合格ラインを突破するポイントはもちろんこの計算問題の正答率を上げることです。物理分野、化学分野はもちろん、すべての大問に計算問題が含まれます。選択肢問題を解く際に計算が求められることもあります。計算問題の中に難度の幅があり、見た瞬間に解けるレベルの問題もありますが、その数は少なく、ほとんどが標準レベル以上となります。中には算数の還元算や比を使って解くものもあり、式を正確に立てることが必須となります。
実験やグラフなどは目新しいものはなく、内容の理解が難しくはありませんが、その中から複数の要素を取り出して計算をして、その結果を踏まえて次の問題を解くといったパターンですので、ひとつでも計算ミスをしてしまうと、雪崩式に誤答が重なってしまう危険性があります。
記述問題や語句を答える問題は難しくありませんので、これらの問題で正解を重ね、選択肢問題や計算問題の中にある基本的な問題を取りこぼさないように注意しましょう。その上で、標準レベルの計算問題で着実に得点を重ねられるように、時間配分を意識して、解ける問題は最大限速く正確に解き進め、計算問題を解く時間を多めに確保する必要があります。

社会

2022年度第Ⅰ期は大問3題、小問が全25題の構成で、歴史・地理・公民からそれぞれ大問1題が出されます。記述問題が1題、語句を答える問題が4題、その他は全て選択肢問題と、選択肢問題の割合が高くなっています。 
大問1の地理分野からの出題では、地図やグラフが多く使われていますが、グラフが独特のつくりになっていますので、何を表しているのかを時間をかけずに理解する必要があります。
大問2の歴史分野からの出題は、史料が使われず、全て文章から解く内容です。歴史上の出来事が起きた順番を並べ替える問題や、同じ時代に起きた出来事を答える問題など、年表が頭の中に入っていることを前提とした問題が多く見られます。記述問題は30字の字数制限がありますが、答える内容自体は難しくありません。
大問3の公民問題は独特の出題内容で、10個の短文の中から正しい5個を選ぶ形式です。基本から標準レベルの難度の文章がほとんどですが、細かな知識を求めるものが含まれ、全問正解するには高レベルの知識が求められます。
出題形式が独特のため、合格レベルを突破するためには、早めに過去問演習に取り組んで、問題に慣れる必要があります。問題の大半を占める選択肢問題では、「正しくないもの」を答えさせるパターンが多いですが、どこが正しくないのかを見極めるのに細かな知識が求められますので、ただ一問一答式に知識を覚えるのではなく、地理であれば地形や気候との関連、歴史であれば時代背景まで踏まえたうえで覚える必要があります。普段の演習から正誤問題を徹底的に演習して、問題を解くことを通して知識を固める方針で取組みましょう。30分の制限時間が短く感じるテストですので、解きやすい問題から先に解くといった解き方の工夫が有効となります。

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