浦和明の星女子中学校の傾向と対策

  • 併設大学なし
  • 高校外部募集なし
  • 女子校

志望にあたって知っておきたいこと

埼玉県の女子進学校の中でも絶大の人気を集め、2月に最難関校を受験する女子生徒の多くが併願校とする学校です。思考力を求める問題や特異な問題はなく、普段の演習の積み重ねが結果に結びつくテストですが、4科目ともにスピーディーに難問を解き進める力が求められます。特に理科・社会は制限時間が合わせて50分ですが、理科が問題の難度が高く問題量も多いので、2科目で時間をどのように配分するかを考えてテストに臨む必要なあります。難問に対応する力を養成したうえで、時間の感覚をつかむためにも、早めに過去問演習に取り組むようにしましょう。

出題傾向と適した有利なタイプ

科目別学習対策

算数

2022年度第1回は大問5題で小問が全21題の構成です。大問1が計算と小問集合、大問2が速さの問題、大問3が立体図形の水深変化の問題、大問4が平面図形の図形の移動の問題、大問5がルールに従ってコマを動かす場合の数の問題です。大問1、2は基本から標準レベルの問題がほとんどですが、問題を見てすぐ解ける基本レベルの問題はなく、テキストなどで頻出単元の標準的な出題パターンに慣れておく必要があります。大問3の水深変化の問題の難度が高く、解き方の着想ができなければ1題も正解できない可能性があります。大問4、5は最初の小問が解きやすい問題なので、それらを得点することが必至です。難問にかける時間を多くするよりも得点すべき問題を確実にとる方針が必須です。

算数が苦手な受験生

大問1の計算と小問集合の中で標準レベルの問題を確実に得点することが合格ラインを突破するポイントです。受験者レベルを考えると大問1での失点は防ぎたいところですので、普段の演習から苦手な分野をつくらないように強く意識しましょう。速さの問題、平面図形・立体図形の問題は重点的な対策が必要です。テキストの応用問題に出てくる問題を丁寧に見直す習慣をつけておきましょう。大問の中でテスト前半に出される問題でも難度が高いことがありますので、問題の順番にこだわらず、解ける問題を速く見つけて解答に取りかかることが必須です。

算数が得意な受験生

大問1の中に難問が含まれますが、まずはここでの満点を目指しましょう。速さや図形の問題の中に、自分で図をかけば解答の道筋が一気に見えてくる問題がありますので、普段から図をかいて解く習慣をつけておく必要があります。問題内容を理解して、小問を順に解き進めれば解答の方針が固まってくるタイプの難問が多いので、まずは各問の最初の小問を確実にとることを意識しましょう。平面図形、立体図形の問題については、男子校を含めた他校の入試問題や、模試の難題を題材として、解き方を多く見につけておくことが有効です。時間がないテストですので、難題を深追いしないように注意しましょう。

国語

2022年度第1回は大問1の説明文と大問2の物語文、大問3の新聞のコラムが「多様性」というテーマで共通していて、大問1、大問2を解いたうえで、大問3はその2問を踏まえて答えるといった構成になっています。大問1、大問2とも文章は量が多く、難度も高いです。一方で問題は選択肢問題と抜き出し問題がほとんどで、難問はありません。記述問題は大問3の最終問題のみで制限字数も15字から20字と短いものです。
大問1の説明文は語彙の難度が高く、説明文が苦手な場合、文章を読むだけで多くの時間を費やしてしまうことになります。小問10題のうち抜き出し問題が3題ありますが、いずれも正解は問題該当部から離れた場所にはなく、見つけづらさは感じないでしょう。選択肢問題は正解以外の選択肢を消去しやすいタイプですので、得点が必須となります。
大問2の物語文は読みやすい内容ですが、文書が非常に長いので、文章を読むスピードを上げても読み取りが雑にならないような練習が必要です。大問1と同じく小問10題のうち抜き出し問題が3題あります。他の選択肢問題の難度が低く、同校受験生のレベルを考えると選択肢問題の正答率は高いと推測されますので、選択肢問題を確実におさえたうえで、抜き出し問題で得点を重ねなければなりません。
大問3は大問1、大問2の内容を踏まえて解くといった独特の出題形式ですので、まずは形式に惑わされないことが重要です。問題自体は難しくありませんので、時間配分に気をつけて焦らず取り組めば、高得点できる可能性が高くなります。
全ての問題に共通するテーマを把握するには、説明文を正しく読み取る必要がありますので、合格ラインを突破するポイントは、説明文読解の精度を上げることになります。難度の高い説明文ですが、問題を解き進めて行くうちに、文章の趣旨が見えてきますので、文章を読んでいる段階では大まかに内容をつかみ、問題の解答を通して理解を固めるといった解き方が有効になります。ただし、大まかにでも内容を理解するためには語彙が必要になります。普段の演習から難度の高い説明文の読解にチャレンジし、わからない語彙を減らすといった取り組みが必要です。

[2022年度の出典]
大問1:好井裕明『他者を感じる社会学 差別から考える』
大問2:秋ひのこ『はしのないせかい』
大問3:朝日新聞2021年7月13日朝刊 鷲田清一「折々のことば」

理科

2022年度第1回は大問数が4題で、物理・化学・生物・地学からそれぞれ1題の構成ですが、基本レベルの問題がほとんどなく、標準以上の難度の問題がほとんどです。小問数は全22題と多くはありませんが、問題の難度を考えると25分で解答するのはかなり難しくなります。社会のテストにかける時間を少しでも削って、できるだけ多くの時間を理科にあてる必要があるでしょう。問題の種類は、計算問題、選択肢問題がほとんどで、記述は10字程度で説明する問題が1題のみです。
大問1は気体の膨張に関する物理分野からの出題、大問2は水溶液を区別する化学分野の問題、大問3は固体種についての生物分野の問題、大問4は地学分野から太陽の動きについての問題です。大問3以外はすべて実験問題が含まれ、実験の内容はどれも容易に理解できるものではありません。問題も単純な計算問題、選択肢問題だけでなく、仮設が正しいかどうかを確かめる実験方法を答えるなど、実験について総合的な理解が求められるものが多く出されます。大問3の生物分野の問題も実験こそありませんが、「多様度指数」といった独特の指標に関する問題が含まれ、指数の内容を説明した文章が読み取りづらいため、文章を短い時間で正確に理解する読解力も必要となります。
制限時間の短さを考えると、解ける問題から先に解く方針が必要であることは言うまでもありませんが、そうした問題の数が少ないため、標準以上の難度の問題に十分に慣れておく必要があります。普段の演習ではテキストの実験を題材とした応用問題、模試などで出てくる難しい実験問題について、時間をかけて見直して、単に正解できていたかではなく、実験内容を正確に理解できていたかまでのチェックを欠かさないようにしましょう。そのうえで計算問題、選択肢問題を短い時間で解く習慣を身につけるように、制限時間を意識した演習に早めの時期から取り掛かる必要があります。

社会

2022年度第1回は大問2題で、大問1が地理と公民の複合型問題、大問2が歴史と公民の複合型問題になっています。どちらもあるテーマについてのリード文がありますが、文章は短めですので読み進めるのは難しくありません。記述問題はなく、全て選択肢問題か語句を答える問題です。小問数は全35題ですが、制限時間は理科と合わせて50分ですが、理科に半分以上の時間をかけることは避けられず、速く正確に問題を解き進める力が求められるテストです。
問題の難度はほとんど基本から標準レベルですが、一部細かい知識を求める問題が含まれます。受験者レベルから考えると高レベルでの戦いになりますので、取りこぼしがないように注意力を高めてテストに臨む必要があります。特に選択肢問題で判断を迷わせる内容が含まれる問題がありますので、普段の演習から知識は深く正確に覚えておきましょう。合格ラインを突破するためのポイントは、難度の高い選択肢問題で正解すること、また各県別のデータを表す図などの資料問題について時間をかけずに正解することにあります。地理の資料で何が表されているのかを細かく把握する練習を積み重ねましょう。世界に関する問題も一部含まれます。ヨーロッパの主要国の地図上の位置や、歴史上重要な外国の人物、時事として話題になった外国の人物の名前は確実におさえておきましょう。時間が短いテストですので、難しい問題には時間をかけ過ぎずに、解ける問題から確実に解くといった時間の使い方を意識した過去問対策が必須です。テストの最後に、前の年に起きた時事問題について、月ごとに出題されるのが同校の特徴のひとつです。問題の難度は低く、得点源とすべき問題ですので、時事問題対策を固めたうえで、順番として、時事問題を先に解くという方法も有効です。

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