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6年生向けの『日能研 算数対策ポイント!』は今回が最終回となり、次回からは5年生、4年生の生徒様方へ向けての内容となります。
6年生の皆様、今までご愛読頂き誠に有難うございました。
皆様の志望校合格を祈念しております!
第13回のテーマは「場合の数Ⅱ」です。今回は「順列」「組み合わせ」について確認していきます。今回のポイントは調べることと計算を両立させることです。場合の数の問題では効率よく解くために計算が用いられます。しかし、計算に頼りすぎると致命的なミスにつながることがあります。このため、計算をする前に調べることが重要となります。
調べるときには樹形図を書きます。樹形図を書いたときに、同じパターンが続くときには計算で場合の数を求めることができます。樹形図を書くときには問題文をよく読み、条件に合った樹形図を書いていき、計算が使えるかどうか判断しましょう。
計算が使えない場合は丁寧に数えていくことも必要となります。この場合は自分で数える方針を決めて、順序良く調べていきましょう。問題を解くときに面倒だという気持ちが出ると調べ方が雑になったり、条件を読み飛ばしたりします。平常心で取り組みましょう。
栄冠への道のチェックポイント〔ステージⅤ 第13回 場合の数Ⅱ〕を使って重要事項の確認をしていきましょう。
49ページの「2.順列」ではいくつかのものを、順序を考えに入れて並べるときの考え方を確認しておきましょう。
49ページのはじめの(例)を見てみましょう。A、B、Cの3人が横一列に並ぶときの場合の数を求めます。(考え方1)の樹形図でははじめに一番左に並ぶ人を選び、次に真ん中に並ぶ人を選び、最後に一番右に並ぶ人を選んでいます。
このように樹形図を書くときには左から右に順番に書いていきます。すると、一番左にはA、B、Cの3人がくる可能性があるため3通り、真ん中には一番左にきた人以外の2人がくるため2通り、一番右には残った一人がくるため1通りとわかります。したがって並び方は、3×2×1=6通りです。
49ページの「3.組み合わせ」ではいくつかのものを、順序を考えないで選ぶときの考え方を確認しておきましょう。
49ページの2つ目の(例)を見てみましょう。A、B、C、Dの4人の中から2人を選ぶときの場合の数を求めます。ここでは(考え方2)について確認しておきましょう。はじめに順列の考え方を使って、4人の中から2人を選んで並べるときの場合の数を求めると、4×3=12通りとなります。実際にアルファベット順に樹形図を書いてみると、(A、B)(A、C)(A、D)(B、A)(B、C)(B、D)(C、A)(C、B)(C、D)(D、A)(D、B)(D、C)となります。ここで樹形図を見てみると、(A、B)(B、A)という並び方があることに気づきます。順列の場合には左にA、右にBと左にB、右にAは区別をして数えなければなりませんが、組み合わせの場合は(A、B)と(B、A)は同じ選び方と考えて1通りとします。
他の例も挙げると(A、C)(C、A)も同じ選び方として考えて1通りとします。つまり2つを選ぶ場合、同じ選び方を2回重複して数えていることになります。したがって、4人の中から2人を選ぶときの場合の数は12÷2=6通りとなります。
次にA、B、C、Dの4人の中から3人を選ぶときの場合の数を求めます。前述した 「A、B、C、Dの4人の中から3人を選ぶときの場合の数」と比べながら考えてみましょう。はじめに順列の考え方を使って、4人の中から3人を選んで並べるときの場合の数を求めると、4×3×2=24通りとなります(実際に樹形図も書いてみましょう)。
ここで樹形図を見てみると、(A、B、C)(A、C、B)(B、A、C)(B、C、A)(C、A、B)(C、B、A)という並び方があることに気づきます。これらは同じ選び方として1通りと考えます。このように3つを選ぶ場合、同じ選び方を6回重複して数えていることになります。したがって、4人の中から3人を選ぶときの場合の数は24÷6=4通りとなります。
このように、組み合わせの場合の数を計算で求めるときは、はじめに順列の考え方を使って場合の数を求めて、その場合の数を重複している場合の数で割ることで、組み合わせの場合の数を求めることができます。
なお、重複する場合の数は2つを選ぶ場合は2×1=2通り、3つを選ぶ場合は3×2×1=6通り、4つを選ぶ場合は4×3×2×1=24通りとなります。
50ページの「5.数字や文字の並べ方とその利用」では同じ数字や文字を並べる場合の数について考えていきます。50ページの中段を見てみましょう。◯□△☆◇の中からいくつかの記号を使って並べるとき、並べ方が何通りあるかを調べます。ここでは、いくつかの記号を使って並べたときの場合の数の求め方を考えていきましょう。次のように場合分けして考えていきましょう。
①すべて同じ記号のとき(○、○○、○○○など)
すべて同じ記号を並べるときは、同じ記号は区別がつかないため、その場合の数は1通りとなります。
②1つだけ違う記号のとき(○□、○○□、○○○□など)
1つだけ違う記号のときは、その1つをどこに並べるかを考えていきます。ここでは1つだけ違う記号の□に注目して調べていきます。例えば○□の場合、□を左から1番目に並べるか、左から2番目に並べるか(□○か○□)の2通りです。□の並べ方が決まると○の並べ方も決まるため、○□を並べるときの場合の数は2通りとなります。
同じように○○□の場合、□を左から1番目に並べるか、左から2番目に並べるか、左から3番目に並べるか(□○○か○□○か○○□)の3通りです。□の並べ方が決まると○の並べ方も決まるため、○○□を並べるときの場合の数は3通りとなります。
③すべて異なる記号のとき(○□△、○□△☆、○□△☆◇など)
すべて異なる記号のときは、すべての記号が区別がつくため順列の考え方を使います。例えば○□△の場合、左から1番目に並べる記号は○か□か△、左から2番目に並べる記号は左から1番目の記号が○の場合は□か△の2通り、左から3番目に並べる記号は残った1つがくるため1通りとわかります。
このことから○□△を並べるときの場合の数は3×2×1=6通りとなります。同じように考えて、○□△☆を並べるときの場合の数は4×3×2×1=24通り、○□△☆◇を並べる場合の数は5×4×3×2×1=120通りとなります。
④複数個の○と他の記号のとき(○○□△、○○○□△、○○□△☆のとき)
○○□△のときは1つずつある□と△の並べ方が決まると○の並べ方も決まります。したがって□と△の並べ方を調べていきます。□を左から1番目に並べると、△は左から2番目か左から3番か左から4番目となります。
このことを(□、△)=(1、2)(1、3)(1,4)と表すことにします。このことから□を左から1番目に決めると3通りの並べ方があります。同じように□を左から2番目に並べると、△は左から1番目か左から3番か左から4番目か左から5番目となります。つまり(□、△)=(2、1)(2、3)(2,4)となります。
このことから□を左から2番目に決めると3通りの並べ方があります。このように□を置く位置を左から3番目、4番目と考えていくと、その各々について3通りの並べ方があることから、○○□△を並べるときの場合の数は4×3=12通りとなります。なお、この考え方は1,2,3,4の4つの中から2つを並べる場合の数と同じです。
○○○□△のときは1つずつある□と△の並べ方が決まると○の並べ方も決まります。したがって□と△の並べ方を調べていきます。□を左から1番目に並べると、△は左から2番目か左から3番か左から4番目か左から5番目となります。このことを(□、△)=(1、2)(1、3)(1,4)(1、5)と表すことにします。
このことから□を左から1番目に決めると4通りの並べ方があります。同じように□を左から2番目に並べると、△は左から1番目か左から3番か左から4番目か左から5番目となります。つまり(□、△)=(2、1)(2、3)(2,4)(2、5)となります。このことから□を左から2番目に決めると4通りの並べ方があります。
このように□を置く位置を左から3番目、4番目、5番目と考えていくと、その各々について4通りの並べ方があることから、○○○□△を並べるときの場合の数は5×4=20通りとなります。なお、この考え方は1,2,3,4、5の5つの中から2つを並べる場合の数と同じです。
○○□△☆のときは1つずつある□と△と☆の並べ方が決まると○の並べ方も決まります。したがって□と○と☆の並べ方を調べていきます。□は左から1番目に並べるか2番目に並べるか3番目に並べるか4番目に並べるか5番目に並べるかの5通りです。□を左から1番目に決めた場合、△は左から2番目か3番目か4番目か5番目の4通りです。さらに□を左から1番目、△を左から2番目と決めると、☆は左から3番か左から4番目か左から5番目の3通りです。
この考え方は1,2,3,4、5の5つの中から3つを並べる場合の数と同じです。したがって、○○□△☆を並べるときの場合の数は5×4×3=60通りとなります。
⑤複数個○と複数個の□のとき(○○□□、○○○□□のとき)
④の○○□△の並べ方を参考に考えていきましょう。○○□△のとき1つずつある□と△の並べ方を調べました。このとき□と△の並べ方は□を左から1番目に並べると決めると(□、△)=(1、2)(1、3)(1,4)となりました。
また、□を左から2番目に並べると決めると、(□、△)=(2、1)(2、3)(2,4)、□を左から3番目に並べると決めると、(□、△)=(3、1)(3、2)(3,4)、□を左から3番目に並べると決めると、(□、△)=(3、1)(3、2)(3,4)、□を左から4番目に並べると決めると、(□、△)=(4、1)(4、2)(4,3)となりました。
○○□□の並べ方を調べるときには2つの□の並べ方を調べていきます。(□、□)の場合の数を調べると、上記に示したものと同じになります。ここで□と□は区別がつかないため、(1、2)と(2、1)は同じ選び方となります。同じように(1、3)(3、1)なども同じ選び方となることから、○○□□を並べるときの場合の数は4×3÷2=6通りとなります。
○○○□□のときも同じように考えて○○○□△を並べたときの場合の数を2で割って、5×4÷2=10通りとなります。
⑥○○□□△のとき
○○□□を並べたときの場合の数をもとに考えます。○○□□を並べたときの場合の数は6通りありました。例えばその一つの並べ方として○○□□があります。この並び方はそのままで、間に△を入れていきます。
すると△○○□□、○△○□□、○○△□□、○○□△□、○○□□△の5通りが考えられます。○○□□の並べ方6通りに対して、同じように△を間に入れることを考えると、その各々で5通りの並べ方が考えられます。したがって、○○□□△を並べたときの場合の数は6×5=30通りとなります。
このことを使って50ページの一番下にある(例)についても確認しておくとよいでしょう。
52ページの「7.道順」では遠回りしないである地点からある地点まで行く道順の場合の数の考え方について確認します。52ページの(例)の(考え方2)を見てみましょう。
Pを出発して、遠回りをしないでQまで行く場合の数を考えます。はじめに遠回りをしないという条件について考えてみます。52ページの下の方にある図1でどの方向に進むことができるのかを考えてみましょう。例えばエにいるとき、進むことができる方向は左(イの方向)、右(キの方向)、下(オの方向)、上(ウの方向)の4通りです。
ここでPからQに向かうことを考えると左(イの方向)や下(オの方向)に進むとQから遠ざかることがわかります。したがってこの問題の場合、右(キの方向)や上(ウの方向)の方向に進むことが「遠回りをしない」ことになります。つまり、この問題で進むことができる方向は右と上です。
Pから出発して右と上に進みながら一つ先の交差点を目指していき、その交差点につく道順の場合の数を書き込んで考えていきます。52ページの下の方にある図2を見ながら考えていきましょう。
Pから出発するときに進むことができる方向は右か上です。右に進むとオにつきます。オにつく方法は1通りです。したがってオのところに1と書き込みます。また、Pから上に進むとイにつきます。イにつく方法は1通りです。したがってイのところに1と書き込みます。
次にクにつく場合を考えてみましょう。このとき、クの一つ前の交差点につく場合の数を考えることがポイントとなります。右か上に進んでクにつく一つ前の交差点はオです。このとき、Pからオにくる道順は1通りのため、オからクにくる道順も1通りとなります。
したがって、クのところに1と書き込みます。同じようにコの場合を考えると、右か上に進んでコにつく一つ前の交差点はクです。このとき、Pからクにくる道順は1通りのため、クからコにくる道順も1通りとなります。したがって、コのところに1と書き込みます。
次にアにつく場合を考えてみましょう。右か上に進んでアにつく一つ前の交差点はイです。このとき、Pからイにくる道順は1通りのため、イからアにくる道順も1通りとなります。したがって、アのところに1と書き込みます。
次にエにつく場合を考えてみましょう。右や上に進んでエにつく一つ前の交差点はイとオです。Pからイにくる道順は1通り、Pからオにくる道順は1通りのためPからエにくる道順は1+1=2通りとなります。したがって、エのところに2と書き込みます。
このように道順の場合の数を考えるときには、スタートから次の交差点まで進んで、その交差点につく場合の数を求めていきます。ある交差点につく場合の数は、その一つ前の交差点につく場合の数の和となります。このとき、進む方向には十分に注意して交差点につく場合の数を求めていきましょう。
このように数字を書き込みながら一つずつ交差点を進んでいくとやがてゴール(点Q)につきます。
次にウにつく場合を考えてみましょう。右や上に進んでウにつく一つ前の交差点はアとエです。Pからアにくる道順は1通り、Pからエにくる道順は2通りのためPからウにくる道順は1+2=3通りとなります。したがって、ウのところに3と書き込みます。
次にキにつく場合を考えてみましょう。右や上に進んでキにつく一つ前の交差点はエとクです。Pからエにくる道順は2通り、Pからクにくる道順は1通りのためPからキにくる道順は2+1=3通りとなります。したがって、キのところに3と書き込みます。
次にカにつく場合を考えてみましょう。右や上に進んでカにつく一つ前の交差点はとキです。Pからウにくる道順は3通り、Pからキにくる道順は3通りのためPからカにくる道順は3+3=6通りとなります。したがって、カのところに6と書き込みます。
次にケにつく場合を考えてみましょう。右や上に進んでケにつく一つ前の交差点はキとコです。Pからキにくる道順は3通り、Pからコにくる道順は1通りのためPからキにくる道順は3+1=4通りとなります。したがって、ケのところに4と書き込みます。
最後にQにつく場合を考えてみましょう。右や上に進んでQにつく一つ前の交差点はカとケです。Pからカにくる道順は6通り、Pからケにくる道順は4通りのためPからQにくる道順は4+6=10通りとなります。したがって、Qのところに10と書き込みます。
このように、PからQまでを遠回りしないで行く方法は10通りとなります。この方法は立体図形上で道順を考える問題でも使うことができます。どの方向に行くことが遠回りをしないことになるのかを考えて交差点を一つずつ進んでいくとよいでしょう。
ここからは、『合格力完成教室 ステージⅤ』と『合格力完成教室 ステージⅤ難問』それぞれから、合格へ向けて優先順位の高い問題をピックアップして行きます。
166ページから169ページの演習1~演習4は必修 です。その他に絶対やって欲しい合格への10題は以下の通りです。
①170ページの問2
②170ページの問5
③170ページの問6
④171ページの問9
⑤171ページの問11
⑥172ページの問13
⑦173ページの問18
⑧173ページの問21
⑨174ページの問22
⑩174ページの問24
はじめは丁寧に樹形図などを書いて調べていきましょう。その上で計算が使えるのか使えないのか判断していきます。場合分けが必要な時にも、思いついたものからではなく、順番を意識して場合分けしていきましょう。
228ページから232ページの知識•技術重点問題は必修です。その他に絶対やって欲しい合格への10題は以下の通りです。
①233ページの問1
②234ページの問4
③234ページの問6
④235ページの問8
⑤236ページの問11
⑥237ページの問12
⑦238ページの問16
⑧239ページの問17
⑨241ページの問26
⑩242ページの問27
複雑な問題を解くときには、丁寧に調べて効率よく計算を用いていくのはもちろんのこと、場合分けをして考えたり、問題のきまりを理解したり、条件を意識したりとさまざまなところに注意を払いましょう。1つの判断ミスや条件の見落としが誤答を招きます。丁寧に考えることは問題文を読むところから始まっていることを意識しながら演習を行いましょう。
第13回のテーマは「速さ 旅人算 ~出会い・追いこし~」です。いよいよ速さの単元も本格化します。今回の内容は「直線上を進む場合の旅人算」「周回の旅人算」「へだたりの進行グラフ」の3点です。これらの内容を扱うときに重要なのは2つのもの動きを整理することです。そのためには、動きの様子を図やグラフを使って考えることが有効な手段となります。
ポイントは「単位時間あたりの2人の道のりの変化する量」です。基本に忠実に考えていけば、効率よく解くことができます。2人が出会ったり追いこしたり、場面が変わる点に着目して、図やグラフを書きながら考えていきましょう。
「学び1」は旅人算の導入です。動くものが2つある状況を想像します。はじめに追いかけっこを想像してください。追いかける人の方が速い場合、だんだんと差を詰めて追いつくことができます。また、追いかける人が遅い場合、どんどん差が開き、追いつくことはできません。遠くの方から人が近づいてきた時はどうでしょう?自分が止まっている時と、自分がその人に向かって歩き出した時とでは、自分が歩き出したときの方が早く出会うことができます。
動くものが2つある状況では、2人の速さと動く向きで様子がかわります。いろいろな状況を想像、体験してみましょう。
「学び2」では旅人算の基礎を学びます。296ページの「やってみよう!」を使って考えてみましょう。
①Aさん(毎分60m)とBさん(毎分40m)が同じ地点にいる場合
●お互いに反対方向(Aさんが左側にBさんが右側)に進む場合
Aさんは1分で左側に60m、Bさんは1分で右側に40m進みます。1分後には2人は60+40=100m離れます。同じ地点から出発したため、2人のへだたりは100mとなります。2分後には2人のへだたりは100m×2=200mとなります。2人が1000m離れるのは1000÷100=10分後となります。
●お互いに同じ方向(Aさん、Bさんともに右側)に進む場合
Aさんは1分で右側に60m、Bさんは1分で右側に40m進みます。 1分後には2人は60-40=20m離れます。同じ地点から出発したため、2人のへだたりは20mとなります。2分後には2人のへだたりは20m×2=40mとなります。2人が1000m離れるのは、1000÷20=50分後となります。
このように、同じ地点から出発する場合、反対方向に進むときは単位時間あたり、速さの和の分だけへだたりが増えることがわかります。また、お互いに同じ方向に進むときは単位時間あたり、速さの差の分だけへだたりが増えることがわかります。これらのことを使うと、時間と2人のへだたりの関係がわかりやすくなります。
②Aさん(毎分60m)がP地点、Bさん(毎分40m)がP地点から右側に1000m離れたQ地点にいる場合
はじめにお互いに反対方向に進む場合を考えます。
●Aさんが左側にBさんが右側に進む場合
Aさんは1分で左側に60m、Bさんは1分で右側に40m進みます。1分後には2人は60+40=100m離れます。はじめに1000m離れていることを考えると、2人のへだたりは1000+100=1100mとなります。2分後に2人は100m×2=200m離れ、はじめに1000m離れていることを考えると、2人のへだたりは1200mとなります。このことは2人の道のりが初めに1000m離れているだけで、①で説明した同じ地点から反対方向に進む場合と同じ考えです。
●Aさんが右側にBさんが左側に進む場合
Aさんは1分で右側に60m、Bさんは1分で左側に40m進みます。2人は近づいているため、1分後には2人の間の道のりは60+40=100m縮むことになります。はじめに1000m離れていることを考えると、1分後には2人のへだたりは1000-100=900mとなります。
同様にして、2分後には2人の間の道のりは100m×2=200m縮むことになります。このとき2人のへだたりは1000-200=800mとなります。したがって2人が出会う(2人の間の道のりが1000m縮む)のは1000m÷100=10分後となります。
次にお互いに同じ方向に進む場合を考えます。
●Aさん、Bさんともに右側に進む場合
Aさんは1分で右側に60m、Bさんは1分で右側に40m進みます。 このとき、BさんはAさんに60-40=20m差を縮められます。つまり、1分後の2人のへだたりは1000-20=980mとなります。2分後も同様に考えると、BさんはAさんに20m×2=40m差を縮められます。
つまり、2分後の2人のへだたりは1000-40=960mとなります。このことから、Aさん が1000m離れた地点にいるBさんに追いつく(2人の間の道のりが1000m縮む)のは1000m÷20=50分後となります。
●Aさん、Bさんともに左側に進む場合
Aさんは1分で右側に60m、Bさんは1分で右側に40m進みます。 左側に進んだ場合、Aさんの方が速いため、2人の差は広がります。このとき、BさんはAさんに60-40=20m差を広げられます。つまり、1分後の2人のへだたりは1000+20=1020mとなります。2分後も同様に考えると、BさんはAさんに20m×2=40m差を広げられます。つまり、2分後の2人のへだたりは1000+40=1040mとなります。
このように、離れた地点から出発する場合、反対方向に進むときは単位時間あたり、速さの和の分だけへだたりが変化することがわかります。また、お互いに同じ方向に進むときは単位時間あたり、速さの差の分だけへだたりが変化することがわかります。これらのことを使うと、時間と2人のへだたりの関係がわかりやすくなります。
「学び3」は周回の旅人算です。299ページの「やってみよう!」を使って考えてみましょう。1周が400mの歩道を歩きます。ここでは、ひなさん(毎分60m)とりこさん(毎分40m)が同じ地点にいる場合を考えていきます。
●お互いに反対方向(ひなさんが左まわりにりこさんが右まわり)に進む場合
ひなさんは1分で左まわりに60m、りこさんは1分で右まわりに40m進みます。1分後には2人のへだたりは60+40=100mとなります。2人が出会うのは、2人のへだたりが400m(1周の道のり)になったときで、400÷100=4分後となります。
●お互いに同じ方向(ひなさん、りこさんともに左まわり)に進む場合
ひなさんは1分で左まわりに60m、りこさんは1分で左まわりに40m進みます。1分後には2人のへだたりは60-40=20mとなります。ひなさんがりこさんを追いこすのは、2人のへだたりが400m(1周の道のり)になったときで、400÷20=20分後となります。
このように、周回の旅人算でも、「学び2」で説明した「①AさんとBさんが同じ地点にいる場合」と同じように考えることができます。
「学び4」では「二者のへだたりのグラフ」について学びます。300ページの「やってみよう!」を見てみましょう。上のグラフは進行グラフでAさんが先に出発して、後からBさんが追いかける様子を表しています(AさんとBさんは同じ地点にいます)。この様子を「時間とAさんとBさんのへだたりの関係」のグラフにします。ここでは正確なグラフをかくのではなく、グラフの形がイメージできればよいでしょう。
下のグラフを見ながら考えましょう。はじめにAさんが出発するため、2人のへだたりは0(ゼロ)からだんだんと増えていくため、右上がりの直線になります。その後、Bさんが出発すると2人のへだたりは減るため、右下がりの直線になり、BさんがAさんに追いつくと0(ゼロ)になります。
次に301ページの「やってみよう!」を見てみましょう。上のグラフは進行グラフで離れた地点をAさんとBさんが同時に反対方向に出発してすれちがう様子を表しています(グラフの傾きから、BさんはAさんよりも速いことがわかります)。この様子を「時間とAさんとBさんのへだたりの関係」のグラフにします。
下のグラフを見ながら考えましょう。AさんとBさんははじめ離れた地点にいます。AさんとBさんは同時に反対方向に向かい合って進むため、2人のへだたりはだんだんと減っていくため、右下がりの直線になります。その後、AさんとBさんが出会うと2人のへだたりは0(ゼロ)となります。その後2人のへだたりはすれちがう前と同じ割合で増えていき、右上がりの直線となります。BさんがAさんがはじめにいた地点に到着すると、Aさんだけが動くため、2人のへだたりが変化する割合は小さくなります。
最近の入試では、この時間とへだたりのグラフを使った問題も出題されます。進行グラフと違い、グラフだけでは状況が捉えにくいため難易度も上がります。必要に応じて、線分図を書くなどして十分に練習を積んでおきましょう。
演習としては303ページから306ページは必修です。特に303ページの問1、問2、304ページの問3、問4、305ページの問5は今回のテーマである旅人算の基本となる問題のため、できるまで何度も練習するとよいでしょう。309ページの問1、310ページの問2、問3、311ページの問4問、問5はグラフを活用して考えましょう。312ページ以降も問題は続きます。時間と2人のへだたりの関係をグラフにした問題は入試でも出題されるため、315ページの問12、問13には触れておきましょう。
第13回のテーマは「文章題 つるかめ算」です。ここでは「つるかめ算を表を使って解けること」「つるかめ算を面積図を使って解けること」が目標になります。つるかめ算は速さの問題や売買の問題、図形の問題でも姿を変えて出題されるテーマです。
解法を覚えることも重要ですが、考え方を理解することで、今後学ぶ数学にもつながって行く単元です。落ち着いてじっくり考えていきましょう。
「学び1」はつるかめ算の導入です。214ページのモンスターA、Bの問題を見てみましょう。毛が3本のモンスターAを6匹発見しましたが、何匹かが毛が5本のモンスターBに変身してしまったそうです。そして、6匹の毛の合計は22本になったようです。
つるかめ算とは、2つの物がある場合に、不確定な情報が2つある問題です。ここではモンスターAとモンスターBの合計は6匹、毛の本数の合計は22本です。モンスターA、Bそれぞれの個体数や毛の本数はわかりませんが、それぞれの合計数はわかっています。
この問題を考えるために215ページの上段の表を見てみましょう。つるかめ算ではこの表がとても重要になります。はじめに表の説明をします。モンスターA、Bは合わせて6匹います。表ではモンスターAとモンスターBの和が6になるようにモンスターAとBの数を順番に決めていきます。いちばん左の列からモンスターAが6匹、モンスターBが0(ゼロ)匹、毛の本数は3本×6=18本となります。左から2列目はモンスターAを1匹減らして5匹とします。モンスターAとモンスターBの和は6のため、モンスターBは1匹となり、毛の本数は3本×5+5本×1=20本となります。
ここで毛が3本のモンスターAを1匹減らして、毛が5本のモンスターBを1匹増やすと、5-3=2本ずつ合計の毛の本数が増えていくことがわかります。3列目以降も毛が3本のモンスターAを1匹減らして、毛が5本のモンスターBを1匹増やす操作を繰り返すため、合計の毛の本数は2本ずつ増えていきます。
ご家庭では、ひとつずつ丁寧に計算して表を作っても構いませんが、つるかめ算の考え方を理解するために、毛の本数の合計がモンスターAとモンスターBの1匹あたりの毛の本数の差の分だけ変化していくことは覚えておきましょう。
表からモンスターの毛の本数の合計は22本のためモンスターAは4匹、モンスターBは2匹であることがわかります。つまり、変身したモンスターAは2匹です。
「学び2」ではつるかめ算の具体的な解法について学びます。再び215ページの上段の表を使って説明します。
〈もし〉モンスターAが1匹も変身していなかったら(モンスターAが6匹のとき)、毛の本数は3本×6=18本となります(表の1番左側の列)。「学び1」でも説明したように、左から2列目は毛が3本のモンスターAを1匹減らして、毛が5本のモンスターBを1匹増やしたため、5-3=2本ずつ毛の本数が増えていきます。
〈現実〉の毛の本数は22本のため、もしモンスターAが1匹も変身していなかった時と比べると毛の本数は22-18=4本増えることがわかります。モンスターBが1匹増えるごとに毛の本数が2本ふえることから、毛の本数が4本増える時、モンスターBは4÷2=2匹増えることがわかります。したがって、モンスターAは6-2=4匹となります。
このように、「〈もし〉と考えたときの毛の本数と〈現実〉と考えたときの毛の本数の差」と「モンスターAとモンスターBの1匹あたりの毛の本数の差」を比べることでそれぞれのモンスターの数を決めることができます。
「学び3」ではつるかめ算を面積図で解いていきます。218ページを見てみましょう。つるかめ算の面積図では縦が1あたりの量、横が個数や人数を表します。モンスターの面積図では縦がモンスターA1匹の毛の本数(3本)、横にモンスターAの数をかきます。
面積は、モンスターA 1匹の毛の本数(3本)×モンスターAの数=モンスターAに生えている毛の本数の合計を表しています。モンスターBの場合もモンスターB 1匹の毛の本数(5本)が変わるだけです。
面積図を使って、「学び1」のモンスターの問題を解いていきましょう。219ページの上段にある面積図で説明します。左側の長方形がモンスターAの面積図、右側の長方形がモンスターBの面積図を表しています。はじめに面積図に数字を書き込んでいきます。モンスターA 1匹の毛の本数は3本のため左側の長方形の縦の長さは3です。モンスターB 1匹の毛の本数は5本のため右側の長方形の縦の長さは5です。
また、モンスターAの数とモンスターBの数の合計は6匹のため、2つの長方形の横の長さの和の部分(左端から右端まで)は6です。モンスターの毛の本数の合計は22本のため2つの長方形の面積の和は22となります。
ここでモンスターAの面積図の縦の長さ(モンスターA1匹の毛の本数3)に合わせてモンスターBの面積図に直線を書き込みます。すると、縦の長さが3、横の長さが6の長方形が現れます。この長方形の面積は3×6=18です。2つの長方形の面積の和は22のため、縦の長さが3、横の長さが6の長方形の上のはみ出した部分にある長方形の面積は22-18=4となります。この長方形の縦の長さは5-3=2となることから、横の長さは4÷2=2となり、モンスターBの数は2匹となります。
つるかめ算の面積図は使えるようになると複雑な問題でも容易に解くことができるツールです。十分に練習しておいてください。
演習としては220ページから221ページは必修です。表を使って考えることはもちろんですが、単に計算するというよりは、規則性を見つけていきましょう。また、222ページの問1、223ページの問2、問3では表を書きながら考えていきましょう。
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