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ホームメールマガジン宝箱入試で狙われる時事問題今度の入試で出るかもしれない今週の時事ニュース(印象派の巨匠モネと葛飾北斎の接点)

今度の入試で出るかもしれない今週の時事ニュース(印象派の巨匠モネと葛飾北斎の接点)

印象派の画家、クロード・モネ(1840〜1926)の代表作のひとつ『印象 日の出』という絵に描かれた風景が、1872年11月13日午前7時35分頃の可能性が高い、という調査結果をアメリカのテキサス州立大学の天文学者たちがまとめました。
この『印象 日の出』で描かれたのは日の出ではなく夕景ではないか、という論議はすでにあったそうですが、その分析を天文学者たちが行ったということが何とも興味深いところです。
今回はこの作品を描いたクロード・モネに注目します。19世紀のフランスの画家と日本との間に、実は深いつながりがあるのです。 先日まで東京の世田谷美術館で「ボストン美術館 華麗なるジャポニズム展」が開催されていましたが、そのポスターを駅の構内などで見た方々もいたのではないでしょうか。金髪の女性が真っ赤な着物を着て、扇子を手に微笑んでいる絵画です。
この作品を描いたモネは日本の江戸時代の浮世絵に多大なる影響を受けていました。
そこで、こんな問題が考えられます。

「フランスの画家クロード・モネは、日本の浮世絵に影響を受けました。特に『富嶽三十六景』の作者の影響が大きいのですが、その作者とは誰でしょう?」

「モネが日本の浮世絵を初めて見たのは1856年頃と言われています。1850年代に日本はアメリカとの間で、外交史上重要な2つの条約を締結しています。その2つの条約の正式名称を締結された順番の通りに漢字で書きなさい」

【世界に誇れる日本の浮世絵】

1問目の答えは葛飾北斎(かつしかほくさい)です。代表作として『富嶽三十六景』以外に『北斎漫画』もおさえておきましょう。というのが『北斎漫画』の初版が発刊されたのが1814年、今年がちょうど200周年にあたるのです。節目の年として葛飾北斎に関する出題があるかもしれませんので要注意です。
葛飾北斎は独特の画法を実践したことで有名です。例えば『富嶽三十六景』の中でも有名な『神奈川沖波裏』(大きく波が立ち上がる奥に富士山が描かれている作品です)は、定規とコンパス(当時は「ぶんまわし」という道具)を使って構図が決められたと言われています。あのダイナミックな絵が、実は幾何学的に作られていたという説があるのです。
また、江戸時代にオランダから伝来した遠近法が北斎の初期の作品には顕著に見られます。その後北斎は手前のものを大きく、遠くのものを極端に小さく表現する浮世絵独特の遠近法を使うようになりました。西洋絵画に影響を受けた北斎が、さらにその遠近法を独自のやり方で進化させ、その構図が今度はモネなどの西洋の画家に影響を与えたのです。遠近法という表現において、日本と西洋の絵画がお互いに影響し合ったということになります。

【モネと浮世絵】

浮世絵が西洋に渡ったのは、実は浮世絵そのものが輸出されたためではなく、江戸時代の末期に伊万里焼の陶器が輸出されるとき、その包装のために浮世絵が使われたため、と言われています。包装紙であったことで安価だったため、お金に余裕のない若手画家が入手しやすく、彼らの間で次々と広まったことから、西洋美術に浮世絵が大きく影響を与えるようになったそうです。
モネが浮世絵に出会ったのは16歳の頃、港町ル・アーブルに訪れる水夫たちの持つ版画や日本画に夢中になったことがきっかけだそうです。モネの作風は浮世絵の技法の影響を受けているものが多くありました。例えば先に触れました着物を着た金髪女性の作品『ラ・ジャポネーズ』や、その前年の『緑衣の女』は、それまでの西洋絵画になかった「立ちポーズ」で描かれていて、これは日本の浮世絵の『立美人図』を意識しているとも言われています。またモネは自分で浮世絵を数多く収集したり、自宅の庭を日本庭園風にするなど、日本への関心が非常に高かったようです。

さて2問目の解答ですが、「日米和親条約(にちべいわしんじょうやく)、日米修好通商条約(にちべいしゅうこうつうしょうじょうやく)」です。漢字で正確に書けたでしょうか。モネが初めて浮世絵を見たのは16歳の頃、1856年頃と言われています。日米和親条約が締結されたのが1854年、日米修好通商条約が1858年の締結ですから、ちょうどその間になります。1858年に日本はオランダ・ロシア・イギリス・フランスとも通商条約を結びました(安政の五か国条約)ので、1856年にはまだ日本とフランスの間に通商条約はなかったことになります。そのフランスに日本の品々を運ぶことができた国となるとオランダが挙がります。モネが浮世絵などを見ることができたのは、おそらく日本の物資を運ぶオランダの商船がモネの住むル・アーブルに入港していたためではないか、と言われています。
まだ日本とフランスに外交上のつながりがなかった頃に、モネは浮世絵と出会い、それがその後のモネの制作活動、さらには西洋美術の歴史に大きな影響を与えることになったのです。

世田谷美術館のボストン美術館展は終了してしまいましたが、東京の国立新美術館で『オルセー美術館展 印象派の誕生』が開催されています(10月20日(月)まで)。またそれに関連して、今夜の22時から放映されるテレビ東京『美の巨人たち』でもモネの作品が取り上げられます(先週は葛飾北斎でした)。ぜひこの機会に、日本を愛する印象派の巨匠クロード・モネの世界に触れてみてください。

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