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第35回のテーマは「速さ 進行グラフと比・図形上の点の移動」です。今回の内容は「進行グラフを使って情報を増やす」「へだたりのグラフ」「点の移動と図形」です。今回は速さとグラフ、速さと図形を結びつけて考えていきます。
入試ではグラフから情報を読み取るものもありますが、自分でグラフを書いて、解答の手がかりとする場合もあります。複雑な情報でも、グラフにまとめることで問題をスムーズに解くことができます。また、点の移動と図形をテーマにした問題も入試ではよく見られる形式です。刻一刻と変わる点の位置を、どのような瞬間に注目して考えていくのかがポイントとなります。
今回の学びでは複雑な情報を1つにまとめるためにグラフを書いたり、点の移動によってどのように図形が変化していくのかを調べたりするため、いつも以上に丁寧に正確に書いて調べていくことが重要となります。ノートやテキストを有効に使って、手を動かして情報を整理していきましょう。
「学び1」では進行グラフについて学びます。427ページの【状況1】で示された情報をグラフにしていきます。【状況1】ではゆうまさんとれんさんがA地点からB地点へ向かいます。427ページにあるグラフの続きを書いてみましょう。はじめにゆうまさんのグラフを書きます。
●ゆうまさんの情報
①ゆうまさんは午後3時にA地点を出発して午後3時15分に1km先のバス停に着きました
ゆうまさんはA地点を出発してから15分(15/60時間)で、1km先のバス停に着いたことから、このときの速さは1÷15/60=1×60/15=時速4kmとなります。
このことをグラフで表すと、(3時、0km)の点と(3時15分、1km)の点を直線で結びます(ここではグラフ上の点をかっこでくくって、左側に時間、右側に道のりを書いて表していきます)。グラフは右上がりの直線となります。
②バス停で5分間バスが来るのを待ちます
ゆうまさんはバス停でバスが来るのを5分間待ったため、3時15分から5分後の3時20分まではA地点から1kmの地点にいて動きません。つまり3時15分から3時20分の間に移動した道のりは0kmです。
このことをグラフで表すと、(3時15分、1km)の点と(3時20分、1km)の点を直線で結びます。グラフにはすでに3時と3時15分が示されているため、この部分の長さの1/3を5分として長さを決めていくとよいでしょう。このようにある地点で止まったまま移動しない場合、グラフは水平な直線となります。
③その後、時速24kmの速さのバスに20分間乗って、B地点に着きました。
はじめにバス停からB地点までの道のりを計算してみましょう。バスの速さが時速24km、時間が20分(20/60時間)であることから、バス停からB地点までの道のりは、24×20/60=8kmとなります。B地点についた時間は3時20分から20分後の3時40分となります。また、A地点からB地点までの道のりは、A地点からバス停までの道のりが1km、バス停からB地点までの道のりが8kmであることから、1+8=9kmとなります。
このことをグラフで表すと、(3時20分、1km)の点と(3時40分、9km)の点を直線で結びます。グラフは右上がりの直線となります。ここで、3時から3時15分のグラフ(時速4km)と3時20分から3時40分のグラフ(時速24km)に注目すると、3時20分から3時40分のグラフの方が傾き(傾斜)が急なことがわかります。このことから、速さが速い方が傾きが急になることがわかります。
●れんさんの情報
れんさんはゆうまさんと同時の3時にA地点を出発して、時速10kmの自転車でB地点に着きました
はじめにA地点を出発してB地点に着くまでの時間を計算してみましょう。自転車の速さは時速10km、A地点からB地点までの道のりは9kmであることから、れんさんがA地点からB地点に着くまでにかかった時間は9÷10=9/10時間であることがわかります。9/10時間は、9/10×60=54分であることから、れんさんがB地点に着いた時間は3時54分であることがわかります。
このことをグラフで表すと、(3時、0km)の点と(3時54分、9km)の点を直線で結びます。グラフは右上がりの直線となります。また、3時20分から3時40分の間でゆうまさんとれんさんのグラフが交わることから、このときれんさんはゆうまさんに追いこされたことがわかります。
次に428ページの「やってみよう」を説明します。ひなさんはA地点を出発して分速50mで、AB間を往復します。りんさんは B地点を出発して分速75mで、AB間を往復します。ここではAB間の道のりが決まっていませんが、説明のためAB間の道のりを、50と75の公倍数である750mとします。
はじめにひなさんの状況を調べてみましょう。ひなさんはAからBまで(750m)進むのに、750÷50=15分かかります。その後、折り返してBからAまで進むのに15分かかります。このことをグラフに表してみましょう。
428ページのグラフに目盛りをつけます。はじめに横軸(時間)の目盛りです。時間はひなさんがAB間を往復するのに15×2=30分かかるため、右端の目盛りを30分とし、5分ごとに目盛りをとります。つまり横軸には等しい間隔で左端から0分、5分、10分、15分、20分、25分、30分の目盛りをとっていきます。次に縦軸の目盛りをとります。AB間の道のりが750mのため、Aのところに0(ゼロ)、Bのところに750mと書き、Aからの道のりで表すことにします。
ひなさんのグラフを書いてみましょう。ひなさんはA地点を出発(時間は0分、道のりは0m)し15分後にB地点に着く(時間は15分、道のりは750m)ため、(0、0)(15、750)を直線で結びます。グラフは右上がりの直線になります。その後、折り返して、B地点を出発(時間は15分、道のりは750mと)し15分後(A地点を出発してから15+15=30分後)にA地点に着く(時間は30分、道のりは0m)ため、(15、750)(30、0)を直線で結びます。グラフは右下がりの直線になります。完成したグラフを見るとひなさんがAからB、BからAへと往復した様子がわかります。
次にりんさんの状況を調べてみましょう。りんさんはBからAまで(750m)進むのに、750÷75=10分かかります。その後、折り返してAからBまで進むのに10分かかります。このことをグラフに表してみましょう。りんさんはB地点を出発(時間は0分、道のりは750m)し10分後にB地点に着く(時間は10分、道のりは0m)ため、(0、750)(10、0)を直線で結びます。グラフは右下がりの直線になります。
その後、折り返して、A地点を出発(時間は10分、道のりは0mと)し10分後(B地点を出発してから10+10=20分後)にB地点に着く(時間は20分、道のりは750m)ため、(10、0)(20、750)を直線で結びます。グラフは右上がりの直線になります。完成したグラフを見るとりんさんがBからA、AからBへと往復した後、再びBからAへ向かう様子がわかります。
完成した進行グラフを使って情報を増やしていきましょう。ひなさんとりんさんの速さの比は50:75=2:3です。道のりが一定のとき速さの比の逆比が時間の比のため、ひなさんがAからBまでかかった時間と、りんさんがBからAまでかかった時間の比は3:2となります。実際にグラフを見てみるとひなさんがAからBまでかかった時間は15分、りんさんがBからAまでかかった時間は10分であることから時間の比は15:10=3:2となっています。
次に進行グラフに隠れた相似な図形を探してみましょう。説明のためグラフにカタカナをつけます。グラフのA地点と書かれたところをア、B地点と書かれたところをイとします。ひなさんが15分後にBに着いた点をウ、りんさんが10分後にAについた点をエ、ひなさんとりんさんがはじめに出会う点(ひなさんがAを出発してからBに着くまでの15分の間にあるりんさんのグラフとの交点)をオとします。
グラフで三角形イウオと三角形エアオは砂時計型の相似です。相似比はイウの長さが15分、エアの長さが10分のため、15:10=3:2です。相似な図形の対応する辺の長さの比は同じため、イオ:オエ=3:2となります。ここで点オから真下に直線を引きます。この直線と横軸との交点をカとします。点カはひなさんとりんさんがはじめに出会った時間を表しています。
ここで三角形エオカと三角形エイアはピラミッド型の相似です。ここでイオ:オエ=3:2のため、アカ:カエ=3:2となります。したがって、比の3+2=5にあたる量が10分となることから、比の1にあたる量は10÷5=2分となります。このことからひなさんとりんさんがはじめて出会うまでの時間は比の3にあたるため、2×3=6分後となります。
次に、ひなさんとりんさんが2回目に出会う(グラフ上の2回目の交点)までの時間を求めてみましょう。ひなさんとりんさんがはじめて出会うまでに2人が進んだ道のりの和は750mで、このとき時間は6分かかっています。2人がはじめて出会ってから2回目に出会うまでの道のりの和は750×2=1500mとなります。
したがって2人がはじめて出会ってから2回目に出会うまでの時間は6×2=12分であることがわかります。つまり、2人が2回目に出会うのは2人が同時に出発してから6+12=18分後となります。グラフ上で18分後の部分を確認しましょう。
このように進行グラフでは相似な図形が隠れていて、その図形を使うと効率よく問題を解くことができます。ここでは進行グラフを使って解きましたが、図を使って解くことでさらに理解を深めておくとよいでしょう。
「学び2」ではへだたりのグラフについて考えていきます。進行グラフでは縦軸に道のり、横軸に時間をとることが一般的ですが、縦軸に「2人のへだたり」をとるグラフもあります。430ページの【状況3】のグラフを完成させましょう。上のグラフは縦軸に道のり、横軸に時間をとった「道のりのグラフ」で、下のグラフは縦軸に2人のへだたり、横軸に時間をとった「へだたりのグラフ」です。
はるとさんとそうまさんは1500m離れたAB間を同時に出発し、何度も往復します。はるとさんはA地点を出発して分速50mで進み、そうまさんはB地点を出発して分速75mで進みます。
はじめにはるとさんの動きについて確認しましょう。はるとさんは道のり1500mのAB間を分速50mの速さで往復するため、片道1500÷50=30分かかることがわかります。このことを「道のりのグラフ」に表すとはるとさんがA地点を出発してB地点に着いたところの横軸の目盛りが30分、B地点で折り返してA地点に着いたところの横軸の目盛りが30+30=60分となります(「道のりのグラフ」と「へだたりのグラフ」に数値を書き込みましょう)。
同じように、そうまさんについても調べていきます。そうまさんは道のり1500mのAB間を分速75mの速さで往復するため、片道1500÷75=20分かかることがわかります。このことを「道のりのグラフ」に表すとそうまさんがB地点を出発してA地点に着いたところの横軸の目盛りが20分、A地点で折り返してB地点に着いたところの横軸の目盛りが20+20=40分となります。
そして、B地点で折り返してA地点に着いたところの横軸の目盛りが20+20+20=60分となります。出発してから60分後にはるとさんとそうまさんは同じA地点にいることがわかります。
次に「道のりのグラフ」を使って「へだたりのグラフ」に数値を書き込んでいきます。「道のりのグラフ」を見ると、横軸が点線で区切られています。グラフの左端からはじめの点線までを場面①とします。はじめの点線から左から2番目の点線までを場面②とします。同じように点線と点線で区切られた部分を左から場面③、場面④、場面⑤、場面⑥と分けていきます。
場面①(出発から12分後まで)
●1500m離れているAB間をはるとさんとそうまさんが反対方向に進み、出会う
1500m離れているAB間をはるとさんとそうまさんが出会うのにかかる時間は、旅人算の考え方を使って、1500÷(50+75)=12分となります。
したがって出発してから12分後にはるとさんとそうまさんは出会い、このときの2人のへだたりは0mとなります。場面①の終わりの部分の横軸の点線のところに12分を書き込み、「へだたりのグラフ」では12分後に縦軸の2人のへだたりが0mになっていることを確認しましょう。
場面②(出発してから12分後から20分後まで)
●はるとさんとそうまさんが同じ地点から反対方向に進み、離れる
同じ地点から同時に出発して、20-12=8分後の2人の間の距離は、旅人算の考え方を使って、(50+75)×8=1000mとなります。場面②の終わりの部分の横軸の点線のところに20分と書き込んであることを確認し、このときの2人のへだたりが1000mであることから、「へだたりのグラフ」の出発してから20分後の縦軸の目盛りに1000と書き込みましょう。
場面③(出発してから20分後から30分後まで)
●そうまさんが1000m先にいるはるとさんを追いかける
そうまさんとはるとさんのはじめのへだたりは1000mです。そうまさんがはるとさんを30-20=10分間追いかけると、旅人算の考え方を使って、(75-50)×10=250m差が縮まります。したがって、出発してから30分後に2人のへだたりは1000-250=750mなります。
場面③の終わりの部分の横軸の点線のところに30分と書き込んであることを確認し、このときの2人のへだたりが750mであることから、「へだたりのグラフ」の出発してから30分後の縦軸の目盛りに750と書き込みましょう。
場面④(出発してから30分後から36分後まで)
●750m離れているはるとさんとそうまさんが反対方向に進み、出会う
750m離れているはるとさんとそうまさんが出会うのにかかる時間は、旅人算の考え方を使って、750÷(50+75)=6分となります。したがって出発してから30+6=36分後にはるとさんとそうまさんは出会い、このときの2人のへだたりは0mとなります。場面④の終わりの部分の横軸の点線のところに36分を書き込み、「へだたりのグラフ」では36分後に縦軸の2人のへだたりが0mになっていることを確認しましょう。
場面⑤(出発してから36分後から40分後まで)
●はるとさんとそうまさんが同じ地点から反対方向に進み、離れる
同じ地点から同時に出発して、40-36=4分後の2人の間の距離は、旅人算の考え方を使って、(50+75)×4=500mとなります。場面⑤の終わりの部分の横軸の点線のところに40分と書き込んであることを確認し、このときの2人のへだたりが500mであることから、「へだたりのグラフ」の出発してから40分後の縦軸の目盛りに500と書き込みましょう。
場面⑥(出発してから40分後から60分後まで)
●そうまさんが500m先にいるはるとさんを追いかける
そうまさんとはるとさんのはじめのへだたりは500mです。そうまさんがはるとさんを60-40=20分間追いかけると、「道のりのグラフ」より、そうまさんははるとさんにちょうど追いつくことがわかります。つまり、出発してから60分後には2人のへだたりが0となります。
入試問題では「道のりのグラフ」か「へだたりのグラフ」のどちらか一方のグラフで出題されます。どちらのグラフでも状況がわかりにくいときには、線分図で問題の様子を表してみるとよいでしょう。手がかりをグラフから探し、補助的に線分図を使っていくと、状況が具体的にイメージでき、スムーズに問題を解くことができます。
「学び3」では点の移動と図形について考えていきます。433ページの「やってみよう!」を説明します。図のA地点、B地点、さくらさん、やまとさんの4つの地点を結んだ形を調べてみましょう。重要なポイントはさくらさんが点A、Dにいるときや、やまとさんが点B、Cにいるときです。
また、さくらさんとやまとさんが出会う(ADとBCは遠く離れた道ですが、2人が同じ地点に来たときを「出会う」とします)ときも重要なポイントです。以下に時間で区切った様子を示します。実際にテキストにさくらさん、やまとさんの位置を書き込みながら図のA地点、B地点、さくらさん、やまとさんの4つの地点を結んだ形を確認していきましょう。
●はじめ
さくらさんはA、やまとさんはCにいるため、A地点(さくらさん)、B地点、やまとさんを結ぶと、直角二等辺三角形となります。
●はじめから12秒後
Aとさくらさん、Bとやまとさんを結んだ直線が平行な台形となります。
●12秒後(重要なポイントです!)
はじめにAにいたさくらさんとCにいたやまとさんのへだたりは30mです。さくらさんはAを秒速1mで出発し、やまとさんはCを秒速1.5mで出発したため、2人が出会うまでの時間は、旅人算の考え方を使って、30÷(1+1.5)=12秒後となります。このとき、A地点、B地点、さくらさん、やまとさんを結ぶと、長方形となります。
●12秒後から20秒後
Aとさくらさん、Bとやまとさんを結んだ直線が平行な台形となります。
●20秒後(重要なポイントです!)
はじめにCにいたやまとさんが30m離れたBに着くのは30÷1.5=20秒後となります。このときさくらさんはAから1×20=20m離れた地点にいます。このときA地点、B地点(やまとさん)、さくらさんを結ぶと、直角三角形となります。
※この後やまとさんはB地点を折り返してC地点に向かいます
●20秒後から30秒後
Aとさくらさん、Bとやまとさんを結んだ直線が平行な台形となります。
●30秒後(重要なポイントです!)
はじめにAにいたさくらさんが30m離れたDに着くのは30÷1=30秒後となります。このときやまとさんはCから1.5×30=45m進んでいます。したがってやまとさんはCからBへ向かって30m移動し、Bで折り返して45-30=15m移動したことがわかります。
つまり、やまとさんはBから15m離れたBCの真ん中の地点にいます。このときA地点、B地点(やまとさん)、さくらさんを結ぶと、台形となります。
※この後さくらさんは地点Dを折り返して地点Aに向かいます
●30秒後から36秒後
Aとさくらさん、Bとやまとさんを結んだ直線が平行な台形となります。
●36秒後(重要なポイントです)
30秒後にさくらさんはD地点、やまとさんはBから15m離れたBCの真ん中の地点にいて、お互いに反対方向に移動します。30秒後から考えると、このとき2人のへだたりは15mで、出会うまでにかかる時間は15÷(1+1.5)=6秒後となります。したがってはじめから30+6=36秒後に2人は出会うことがわかります。このとき、A地点、B地点、さくらさん、やまとさんを結ぶと、長方形となります。
演習としては434ページから437ページは必修です。439ページ以降は入試問題さながらの問題設定となりますが、34回で学んだ「一定なものがあるときの考え方」やグラフを活用して考えてみましょう。439ページの問1、440ページの問2、問3、441ページの問4~問6、442ページの問7、443ページの問9、444ページの問11に取り組んでみましょう。
第35回のテーマは「割合 割合の意味」です。今回の内容は「割合の意味」「いろいろな割合の表し方」「割合のよいところ」です。2つの量の比べ方には差で比べる方法(○○より10cm長い、○○より50円少ないなど)と積で比べる方法(○○の5倍、○○の1/2など)があることから割合の導入が始まります。
今回は割合の基本的な考え方を学び、「比べる量=もとにする量×割合」の式を作ることができればよいでしょう。割合を使って表現された文章にはいろいろなタイプがあります。もとにする量が明確にわかる表現もあれば、そうでない表現もあります。もとにする量を明らかにすることができれば、割合も簡単に導くことができます。
はじめは読み取りにくい文章もあるかもしれませんが、じっくりいろいろな文章を読むことで、割合の表現に慣れていきましょう。割合の考え方は今後、売買算や食塩水の濃度などの単元で本格的に取り扱うことになります。今回はその基本を学ぶ回です。ゆっくり、じっくりと理解を深めていきましょう。
「学び1」は割合の導入です。331ページの「やってみよう!」を見てみましょう。①②で何をもとにしているのかを考えます。文章を言い換えて考えてみましょう。「①ぼくのおこづかいは、兄さんのおこづかいよりも300円少ない」は「①ぼくのおこづかいは兄さんのおこづかいをもとにすると300円少ない」と言い換えることができます。したがってこの場合、もとにする量は「兄さんのこづかい」です。
「②兄さんのおこづかいは、僕のおこづかいよりも300円多い」は「②兄さんのおこづかいは、僕のおこづかいをもとにすると300円多い」と言い換えることができます。したがってこの場合、もとにする量は「僕のおこづかい」です。「もとにする量」は「基準にする量」と考えてもよいでしょう。
次に③④で何をもとにしているのかを考えます。
「③お姉さんは、バナナをさっちゃんの2倍食べた。」は「お姉さんは、バナナをさっちゃんの食べた量をもとにすると2倍食べた」と言い換えることができます。したがってこの場合、もとにする量は「さっちゃんの食べた量」です。「④さっちゃんは、バナナをお姉さんの半分食べた」は「④さっちゃんは、バナナをお姉さんの食べた量をもとにすると半分食べた。」と言い換えることができます。
したがってこの場合、もとにする量は「お姉さんの食べた量」です。特に③や④ではAはBの◯倍という言い方に注目しましょう。この場合、Bがともにする量で、Aが比べる量となります。この考え方は次の「学び2」でも使うため覚えておきましょう。
「学び2」では割合の意味について考えます。比べる量がもとにする量のどれだけにあたるのかを表す数を「割合」といいます。このことを式で表すと次のようになります。
比べる量=もとにする量×割合(どれだけにあたる)
この式を「割合の式」と呼ぶことにします。
割合について具体的に知るために、332ページの例を使って説明します。はじめに例1です。兄は500円、弟は400円持っていて、兄は弟の1.25倍持っています。兄の所持金(500円)、弟の所持金(400円)、1.25を使って式を作ると、兄の所持金(500円)=弟の所持金(400円)×1.25と表すことができます。
この式と「割合の式」を比べてみましょう。この場合、比べる量が兄の所持金で、もとにする量が弟の所持金であることがわかります。また、割合(どれだけにあたる)は1.25となります。次に例2を見てみましょう。兄は500円、弟は400円持っていて、弟は兄の4/5持っています。兄の所持金(500円)、弟の所持金(400円)、4/5を使って式を作ると、弟の所持金(400円)=兄の所持金(500円)×4/5と表すことができます。
この式と「割合の式」を比べてみましょう。この場合、比べる量が弟の所持金で、もとにする量が兄の所持金であることがわかります。また、割合(どれだけにあたる)は4/5となります。このように文章で書かれた情報を式に直すことができるともとにする量や比べる量がわかりやすくなります。
「学び3」では百分率と歩合(ぶあい)について学びます。はじめに百分率の説明です。百分率はもとにする量を100%として表した数です。つまり割合の1が100%、0.1が10%、0.01が1%となります。「学び2」の例で考えると、「兄は弟の1.25倍持っている」というのは「兄は弟の125%持っている」と表すことができます。また「弟は兄の4/5持っている」というのは、4/5=4÷5=0.8のため、「弟は兄の80%持っている」と表すことができます。
次に歩合の説明です。歩合はもとにする量を10割として表した数です。歩合は漢字を使って独特の表し方をします。割合の1を10割、0.1を1割、0.01を1分(ぶ)、0.001を1厘(りん)と表します。「学び2」の例で考えると、「兄は弟の1.25倍持っている」というのは「兄は弟の12割5分持っている」と表すことができます。また「弟は兄の4/5(0.8)持っている」というのは、「弟は兄の8割持っている」と表すことができます。
335ページの「やってみよう!」ではいろいろな割合を考えて、百分率や歩合で表現してみましょう。例えば左下の「好きな寿司」のアンケートを使うと、鮪(まぐろ)が好きな人は32人で、これは全体(100人)の32÷100=0.32倍になります。このことから鮪が好きな人は全体の32%(3割2分)ということになります。他の情報も使って、いろいろな割合の表し方を練習してみましょう。
「学び4」では割合のよいところを考えてみます。337ページのしゅんたさんとせいやさんのやりとりを読んでみましょう。①は具体量(80人)で塾に通っている人数を表したものです。例えば5年生全体が1000人のときは、塾に通っている生徒は少ないといえます。また、5年生全体が100人のときは、塾に通っている生徒は多いということができます。
このように具体量だけで塾に通っている生徒の人数を表すと、5年生全体が何人かによって、塾に通っている生徒が多いか、少ないかが変わってきます。
②は割合(70%)で塾に通っている生徒を表したものです。②の文章では「うちの学校の5年生は、70%の人が塾に通っているんだよ。」とありますが、これは「5年生全体の70%(0.7倍)の人が塾に通っている」と言い換えることができます。したがって5年生全体が1000人のとき、塾に通っている生徒は1000×0.7=700人となります。また5年生全体が100人のとき、塾に通っている生徒は100×0.7=70人となります。
このように割合による表し方は全体のうちどれくらいあるのかを伝えることができます。
演習としては338ページから340ページは必修です。もとにする量、比べる量に注目をして、式を立てていきましょう。さらに342ページの問1、問2、343ページの問4、334ページの問7、345ページの問9、問10に取り組みましょう。
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