過去問演習の鉄則とコツ

入試の過去問演習について、鉄則とコツについて考えてみましょう。いわゆる大手塾の間でも、「過去問の扱い・指示」には大きな差があるようです。私たち家庭教師は、様々な塾の指導の様子を横断的に見ることができますので、今回は、その経験からか過去問演習の話をさせて頂きます。

【どのくらいの回数解けばいいのか】

第一志望の学校については、少なくとも5〜6年分は演習しましょう。もちろん4科受験の方は4科、2科受験の方は2科解いてください。

また第二志望以降の学校については、「十分な点が取れることが確認できるまでやる」というのが大方針ですが、具体的な数字としては、第二志望の学校については最低でも3〜4年分以上解いておいたほうがよいでしょう。事前の肩慣らし的な位置づけの学校については、1年分解いてみて「大楽勝」なのであればそれで切り上げても結構です。

なお、「絶対の押さえ校を一校確保した上で、他は第一志望校を3回出願している」といったように、演習すべき過去問がかなり絞れているケースもあるかと思います。そういった方は、押さえ校の過去問で合格点をクリアできる自信がついたら、後はひたすら第一志望校の過去問を解き続けましょう。8年分収録されていれば8年分を、10年分収録されていれば10年分を解いてください。一回りすべての問題を解いてまだ余裕があれば、二回り目に入るのも十分効果があります。「二回目になると、どんな問題だったかをうすうす覚えていてあまり効果がないのでは?」という心配もあるかと思いますが、制限時間を2割程度短くして演習してみるなど、工夫次第では十分効果的な演習にすることができます。

【どのくらいの負担になるのか】

近年は大雑把な数字として「一人平均6校程度」を受験するようです。ここからトータルの演習回数を仮に計算してみると、

第一志望校6回、第二志望校4回、第三志望校3回、第四志望以下2回×3校=6回
合計19回

ということで、20回程度は過去問演習をすることになります。10月1日から1月31日までの4ヶ月間は17週間ほどです。つまり、これからは毎週1回のペースで過去問演習をこなしても間に合わないということになります。相当な時間を入試演習に割かなければならないということをご理解ください。

【演習後は何をするべきか】

問題を解いて丸つけをするのはもちろんですが、最低でも以下のことはやっておいたほうがいいでしょう。

  1. 得点をどこかに記録しておいてください。そのデータが、最終的な出願校を決定する際に役に立ちます。(最近の過去問題集には得点記入欄のあるものが多いですね。)⇒配点がわからない場合には正解率だけでも記録しておきましょう。
  2. 間違えた問題を解き直してください。できれば自力で解き直すのが理想ですが、それができなければ先生に質問してください。⇒質問できない環境の場合は、次善の策として、解説のページを読むなどして解法や理由を確認しておきましょう。
  3. 反省点を挙げてください。たとえば「結果的にこの問題に手をつけたのは失敗だった。あの問題のほうが解ける可能性はあった。」「この問題に時間をかけるべきではなかった。計算の解き直しをしたほうがよかった。」といったような短いコメントで結構です。できればこれを簡単な書面にしておき、親子で共有して作戦会議をするのもお勧めです。

この他、間違えた問題を親御さんがコピーしてノートに貼り付け、自分専用の『「要」復習ノート』を作る、というのもいいことですが、これは負担も大きいので、あまり無理をなさらないでください。コピーをしなくても、たとえば「何年度の過去問では何番を間違えた」というリストさえ作っておけば、ずいぶん負担は減らしてほぼ同じ効果が得られるはずです。

【まとめ】

このように見てきますと、これからの時期は過去問演習のために相当な時間を割く必要があることがおわかりいただけるでしょう。ひょっとすると週のうちどこかの曜日はまるまる「過去問演習の日」にしなければならないかもしれません。

多くの方は、塾からの課題や毎日の授業の予習復習に追われて、過去問演習のためにそんなに多くの時間を割くことはできないという人も多いでしょう。しかし、受験勉強の目標は志望校合格です。過去問演習の優先順位というのは当然トップにくるべきなのではないでしょうか。場合によっては塾の課題に一部目をつむってでも、過去問演習のための時間を確保することをお勧めします。

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