模試のかしこい使い方

9月から12月まで、毎月大きな模試が続きます。受験生全体の中で何番目にいるのか、偏差値はどのくらいかなど、結果に一喜一憂されているご家庭も多いのではないでしょうか。模試は受験生が公平な条件のもとで力を競う貴重な機会です。模試をかしこく利用すれば、得点力も大きく向上するでしょう。そこで、今回は「模試のかしこい使い方」をご紹介したいと思います。

【模試と入試のちがいを把握する】

模試をかしこく利用するには、まず志望する中学校の入試問題と模試の問題を比較することが大切です。模試は、偏差値が40以下の子どもから70以上の子どもまで受験することを前提に、それらの子どもを実力通りに分布させなければなりません。そして、あらゆる志望校に対応するため、平均的な出題形式をとらざるをえません。そのため、簡単な問題から、御三家受験生もなやんでしまうような難問まで幅広く出題されます。

それに対し、入学試験は受験する生徒の学力が、だいたい同レベルですので、その学力に見合った問題が出題されます。また、入学試験には学校の特徴(教育理念など)が色濃く現れているはずです。

このように、模試と入試は、その目的や、問題の性質が異なるのです。ですから、模試でよい成績をとっても、入試問題で高得点をとれるとは限りません。ぜひ志望校の入試問題と模試の問題を比較してみてください。志望校の入試問題と模試の問題のちがいがわかると、模試の結果をより実戦的に活かすことができます。

【過去問との相性をさぐる】

模試と入試をくらべて、その出題傾向がちがうからといって、「模試の成績なんて参考にならない」と考えてはいけません。先ほど述べたように、模試は、平均的な出題形式をとっています。ですから、どういう問題が得意で、どういう問題が苦手なのか判定するときには、模試は非常に有効です。自分の得意分野がわかれば、その分野の出題が多い学校をさがしてみるとよいでしょう。そうすれば、表面上の偏差値よりも3〜7上の学校もねらえるかもしれません。

入試問題は、学校によってまちまちです。記述問題が中心の学校もあれば、選択肢の問題を好む学校もあるでしょう。入試問題には、偏差値だけではわからない特徴があります。ですから、過去問との相性を見極めることが不可欠です。その意味で、模試と入試は車の両輪のようなものです。どちらか片方では不十分なのです。

【模試を使った勉強法】

受験で最も大切なことは、「たくさんの人が解けるような問題をまちがえないこと」です。ですから、出題形式にかかわらず、正答率が60%以上の問題は、かならず見直しましょう。正答率の高い問題をまちがえた場合、何らかの原因があるはずですから、かならず見直しをして、同じようなまちがいをしないように気をつけましょう。また、時間が限られている場合は、入試問題の傾向にあわせて、「物語文は念入りに見直そう」、「こんなタイプの選択肢はほとんどないから、解説を読むだけにしよう」という感じで、見直しにメリハリをつけることが有効です。

【合不合第1回 国語】

それでは、以下には合不合1回めの国語の問題を用いて、見直し方法の一例をご紹介します。

大問3

今回の物語文は、山百合を学校に持っていった女の子のお話です。意地悪をされて花が折れてしまったときの罪悪感や、ぶつかってきた男の子が謝りにきたときの心情がテーマになっています。

問6 A

「からだ中がぎゅーと熱くなって、お湯みたいな涙が、ぽたぽた落ちた」という部分の説明を選ぶ問題でした。

この問題の正答率は約80%で、易しい問題だったといえます。間違えた人は、同じ間違いをしないように、原因を明らかにしておきましょう。

選択肢のうちで、迷うのはイとオです。正解はオでしたが、迷ったうえでイを選んでしまった人は、「いつ涙を落としたのか」読み間違ったことが原因です。つまり、「いつ、どこで、だれが、どうした」という場面をきちんと読むことができなかったといえます。同じ間違いをしないためにも、傍線部は、「だれ」の「いつ」の行動なのか、まわりを読み直してから問題を解く習慣をつけましょう。

大問4

縄文土器のうずまき模様についての筆者の考えを述べた論説文でした。内容的にも筆者の独特の解釈が展開されおり、なかなか難しい文章だったと思います。

問5

「なんでそんなことをしているのでしょうか?」という問いに対する答えを、空欄にあてはまるように抜き出す問題です。

この問題の正答率は約50%でした。正解できれば合格がぐっと近くなる問題といえるでしょう。受験生の半数が正解できている問題です。不正解だった場合は、どうすれば正解できたのかよく理解する必要があります。

まず、解き方を確認します。(1)傍線部の指示語を正確に理解する。 「それは何を指しますか」という単純な指示語の問題でなくても、傍線部に指示語がある場合は、必ず指示語の内容を読み取ることからスタートしましょう。

今回の問題の「そんなこと」とは「土器に模様をつけること」です。ですから、「なんで土器に模様をつけていたのか」という問いかけの答えを探すことになります。

(2)同じ内容を述べている部分を探す抜き出し問題は、文章全体から探していては答えはなかなか見つかりません。すばやく答えを見つけるためにも、同じ内容について書かれている部分を中心に探しましょう。

今回の問題では、模様をつけることについて書かれている部分から答えを探します。「模様」とは「うずまき模様」のことですから、84〜85行目の「うずまきを自分たちのつくった土器に描くということは」の表現が同じ内容となり、この近くに答えがある可能性が高くなります。その直後、87〜88行目まで進むと「自分たちがつくった人工物を宇宙の現象や事物と一体化させていった」がちょうど31字で、しかもその後が「わけ」とつながるので「なぜ」に対する答えになります。よって、解答は「自分たちが〜せていった」となります。

見直しをするとき、自分が(1)(2)のどの過程で間違えたのか確認しましょう。(1)で間違えた人は、指示語の内容を確認しながら読むように、(2)で間違えた人は、つぎからは文章の同意表現に注目しながら読むように心がければよいですね。

このように、間違えた原因を追究し、同じ過ちを繰り返さないようにすることが大切です。体力的にも大変な時期ですが、つらいときが一番成績の伸びるときです。模試をかしこく利用すれば成績も向上することでしょう。最後までがんばりましょう!

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