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お子様が文章を読む時、「適切なペース」で読んでいるか、確認したことはありますか?句読点で区切ることなく、大人でも理解できないような猛スピードで読んでいませんか?
集中力のあるお子様が文章の内容を理解できないのは、文章自体が難しいというのも確かにあります。また、お子様の語彙力や思考力がまだ不十分であるというのもやはりあります。しかし、それだけではないと私は思っています。
まず会話で考えてみましょう。私たちは相手が自分のよくわかっていないことがらについて早口でまくしたててきたら、「そんなに早口で言われてもわからない。」と相手に言うか、少なくとも思ったりはするはずです。この不満は相手が自分のついてゆけないペースで話しているために、内容が理解できないことから起こるものです。
これと同じように、文章を読む時でも、話についてゆけるペース、つまり「適切なペース」で読まないとわからなくなるのは大人でも子供でも変わりません。
ところが、中学受験生の中にはゆっくり読めばわかるかもしれないテキストやテストの文章を「適切なペース」で読まない子が少なくないのです。私は自分で入試問題を読み解く時、例えば3000字程度の物語文ならだいたい6分から7分くらいのペースで読みます。これ以上速く読むと行間が読み取れなくなるからです。
しかし、過去に私が関わった生徒さんの4割近くは指導開始当初、私よりも速く読んでいましたし、中には私の倍以上の速さで読む子もいました。
テストでもそういう読み方をすると、読み終わるのは早いのですが、内容が頭に入っていないため、問1を解くのに文章を読み返し、問2を解くのにまた読み返すといった作業の繰り返しが必要となり、それに時間を取られるため、問題を全部解き切れず、結局は解答欄を3〜4題分空白にしたまま試験終了を迎えるということになりがちです。
このようなことをして「時間が足りなかった。」と言っている子どもに、「次からもっと急いでやりなさい。」と言ってみたところで何の解決にもなりません。
私はこういう生徒さんたちには、「急がなくていいから、ゆっくりていねいに読みなさい。」、「解くのは自分なのだから自分のわかるペースで読みなさい」と言ってきましたし、今担当している生徒さんにも言っています。個人差はあるものの、読むペースを「適切なペース」に切り換えただけで、集中力のある子なら一か月くらいで偏差値が4〜7くらい上がります。
では具体的にどのくらいが「適切なペース」といえるのでしょうか。私は自分が指導してきた経験から、小学6年生で、四谷大塚の偏差値が38〜54前後を行ったり来たりしているお子様の場合、物語文・随筆文で1秒間におおむね4.5〜5.5文字程度、説明文・論説文で3.5〜4.5文字程度だと考えています。
これでは遅いのではないかと思われる方もあるかもしれませんが、このペースですと、3000字前後の物語文・随筆文で10分程度、同じく3000字前後の説明文・論説文でも12分程度で読めます。
中学入試では物語文・随筆文から1題、説明文・論説文から1題という出題パターンが大部分を占めますが、仮にそれぞれが3000字前後だとしても、22分程度で6000字前後読めます。1回の中学受験で出題される文章の総字数の平均が男子校で約5500字、女子校で約5900字であること、そして試験時間を50分としている中学がほとんであることを考えれば、大半の入試で試験時間の半分以上を問題を解くのに使えるペースになるので、遅くはないと思います。
お子様の読むペースがどうなのか、一度ご家庭で試してみてはいかがでしょうか。やりかたは簡単です。テキストでもテストの文章でも構いません。お子様にいつも黙読する時のペースで15秒間文章を音読させます。15秒たったら音読を中止させ、お子様が読んだ文字数を数え、15で割ります。すると1秒あたりの文字数が出ます。それがお子様が1秒間に読むペースです。上記の数字と比べてみて下さい。何回か試してみて、平均の数字がだいたい、上記の数字の幅に収まるのであれば問題ありません。今後もこのペースで集中して読み続ければよいでしょう。
逆に上記[4]の数字の上限より0.5文字以上多かった場合、例えば随筆文を読ませて、1秒間に読む字数の平均が6.0文字以上だったら、話についてゆけていない危険があります。そのペースでわかるのかどうか、お子様に確認してみて、わかっていないようならもっとゆっくり読むように言った方が良さそうです。もしこれが、ところどころに線を引きながら読むお子様なら特に要注意です。線を引く箇所をさがすことに終始している可能性があります。内容もちゃんと追えているのか、必ず確認してみて下さい。
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