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サッカーJ2のチームの中でも屈指の人気を誇る松本山雅(やまが)が、11月1日の試合に勝利したことで、見事J1昇格を決めました。もともとこの山雅(やまが)というチーム名ですが、長野県松本市にあった喫茶店「山雅」の常連客が遊びでサッカーを始めたことに由来するそうです。それから約半世紀を経ての快挙には、サッカーファンならずとも胸躍る気持ちになります。
Jリーグ設立の趣旨のひとつに、地域に深く根ざすホームタウン制を基本とし、各地域において地元住民が心ゆくまでトップレベルのサッカーとふれあえるよう、スタジアム施設をはじめチーム周辺を整備する、という理念があります。親会社のない市民クラブである松本山雅のJ1昇格は、そんな理念を実現した例と言えます。
今回は松本山雅のホームタウンのひとつである長野県松本市、ならびにJ2リーグに目を向けることで、社会の公民分野についての分析をしてみたいと思います。
公民は多くの受験生が苦手としており、親御さんのサポートがとても効果的になる分野です。今回の内容も一部難しいところまで踏み込みますので、ぜひ親御さんがアシストしてあげてください。
そこでこんな問題が考えられます。
「松本山雅のホームタウンのひとつ長野県松本市は平成の大合併と呼ばれる市町村合併で、面積を大きく広げました。この平成の大合併の問題点を考えなさい」「松本山雅と同じくJ2リーグに所属していたチームのホームタウンのうち、政令指定都市にあたる都市を挙げなさい」
松本市は2005年から2010年にかけて、東筑摩郡・南安曇郡の5町村を編入合併しました。この結果、松本市は長野県随一の面積をもつ都市になりましたが、1995年の合併特殊法に始まり、2005〜2006年に日本各地でピークを迎えた市町村合併の動きのことを、平成の大合併と呼びます。合併が盛んに行われた当時は、合併することで職員の削減や公共施設の統廃合が進み、自治体の財政が強化されると言われていました。
ところが、実際には合併した300以上の自治体が財政難を訴えている現状にあります。その原因のひとつに、地方交付税の優遇処置が期限切れを迎えること、合併した自治体だけが使える合併特例債の返済に追われている自治体が多いことが挙げられます。
地方交付税の優遇処置とは、そもそも地方の財源不足を補うために実施されました。本来、交付税は合併した自治体の規模が大きくなると、それぞれが合併前にもらっていた合計額よりも少なくなりますが、それでは合併が進まないとして、合併後10年間に限っては交付税を減らさないという特例が作られました。その10年の期限が間もなく切れる自治体が多く、交付税減額に急ぎ対応しなくてはならない事態になってしまっているのです。
また合併特例債とは、合併した市町村が新たな借金をする際に、その7割までを国が負担するという制度でした。この制度を使って様々な施設の建設などを進めた市町村の中には、見通していたほどの人口の増加がなく、借金の返済が重荷となり、そこへ交付税減額が重なってしまい財政難になってしまったところがあるのです。
合併そのものがよかったのか、そうでなかったのかということは問題ではありません。自分達の歴史や文化を大事にしながら合併によってさらに活性化した市町村も、もちろんあります。その一方で、優遇処置に頼ってしまいながら誤算が生じて厳しい局面を迎えている市町村もあるという事実に目を向けておくとことが必要になるのです。
2014年シーズンのJ2所属チームの中には、例えばモンテディオ山形やザスパクサツ群馬のように、県全体をホームタウンとするチームもあります。ここでは単独都市をホームタウンに持つチームを挙げてみましょう。
以上となります。全22チームのうち8チームと思ったより少ない印象ですが、松本山雅のように複数の市町村(松本山雅は松本市、塩尻市、山形村、安曇野市)がホームタウンになっているチームは除いています。
さてこの中で政令指定都市はどこになるでしょうか。一見細かい問題のようですが、以前のメルマガでもJ1リーグ所属のチームで同じテーマを扱いましたので、J2版として見てみましょう。もちろんJ2リーグに所属するチーム名を覚えておく必要はありません。仮に出題されるとしても、チームの正式名称が出されたうえで答えさせるかたちになるでしょう。答えは「札幌市・横浜市・福岡市・北九州市・熊本市」の5つです。正解できたでしょうか。
松本山雅といえば、横浜Fマリノス退団後に当時JFL所属であった松本山雅に移籍し、34歳の若さで逝去した松田直樹選手を思い出さない人はいないのではないでしょうか。「松田のために勝つ」と誓った松本山雅は、松田選手が亡くなった2011年に見事J2に昇格しました。そしてついに来年はJ1に登場します。チームの健闘を心から祈りたいです。
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