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間もなく冬休みを迎え、塾でも冬期講習の日程が固まり、いよいよ入試本番までラストスパートの時期に入ってきました。志望校対策についても、各学校の過去問演習を進められているかと思われます。過去問演習は目標に対して、生徒さんが現在どれだけの点数を獲得できるのかという現状分析、また学校ごとにどのような問題を出してくるのかという問題分析を具体的に進める局面ですので、間違っても「ただ解いただけ」にならないように、必ずしっかりと見直しを重ねるようにして下さい。
国語の過去問演習を進めるにあたり、漢字・語句問題については、初見のものがあっても焦ることなく、そうした問題をしっかりと覚えることで、情報量を増やすように気持ちを切り替えることが大切です。語彙については直前まで増やすことができます。過去問だけでなく、合不合判定テストや、センター模試の問題を改めて見直して、一度解いた問題を固めるようにしましょう。
漢字・語句問題や文法・知識問題は、「どの生徒さんもしっかりと固めてくるので、確実な得点源とするように、問題集や塾のプリントを難度も繰り返すように」と塾でも繰り返し先生から指示が出ているものと思われます。まさにその通りで、学校によって配点が異なっても、漢字・語句・知識の配点は決してあなどれるものではありません。これまでの模試でも、「漢字であと2問できていたら・・・」といった反省が何度かあるかと思われます。こうした問題はサッカーのPKのように「取って当たり前」といった範囲に入るとも言えるかもしれません。
ただし、学校によっては、必ずしも「当たり前」ではない漢字・知識問題が出されます。その最たる例が慶應中等部の漢字・知識問題です。同校を志望されている生徒さんは既に過去問題を解かれており、その難しさに直面されていることと思われます。その他にも攻玉社の知識問題などは、日常生活で吸収できる範疇を超えているとも言えます。そうした、通常の問題集では対応できない漢字や知識問題を出す学校について、いかに対策することが有効になるでしょうか。
まずは、過去問演習ですが、志望する学校の問題だけでなく、同じく小学校の範囲を超越した問題を出す学校について、類題演習として取り入れることが効果的です。
例えば漢字であれば、小学6年生までの配当漢字以上を出題する学校は決して多くありません。それらの学校の問題を抽出して、まとめておくことが有効でしょう。具体的には、慶應中等部以外では、攻玉社・市川・渋谷教育幕張がそれにあたります。攻玉社などでは昨年度の入試説明会で、「漢字は中学で習う範囲まで出題する」と明言していますし、渋谷教育幕張の説明会でも「小学生には難しい日常漢字」が出題される旨が告げられています。ただし、それらの学校でも、漢字の問題としてだけでなく、熟語や語句の問題として配当外が含まれることがありますので、独立した漢字問題だけでなく、語句問題にまで演習範囲を広げるようにしましょう。
また、サピックスのオープンテストのような、塾での学校別の模試についても、有効なテキストになりますので、繰り返し見直すことが不可欠です。 それ以外であれば、漢字検定4級の問題集をお薦めします。漢字検定の4級は基本的には中学2年生を対象学年としています。実際に問題集を見てみると、中学受験の範囲に十分に含まれる漢字をメインとして、その中に明らかな初見が混じる、という構成になっています。生徒さんにとっても全てが難しい問題ではなく、できる問題の中にわからないものが含まれる方が、モチベーションを高く維持できます。漢字検定の問題集は色々な種類のものが出版されていますので、できるだけ生徒さんがやりやすいと思えるものを選ぶようにして下さい。
知識問題の中でも「文学史」は、出題する学校が限られますので、塾のテキストや問題集でも扱われている量が決して多くありません。まずはそうした教材の内容は確実に固めたうえで、『サーパス 知識編』という問題集をお薦めします。以前にもこのメルマガでご紹介したことがありますが、同書は入試問題を数多く集めた内容になっています。文学史については、慶應中等部のように独立した問題として出題するケースは少なく、小問として、作品の作者名を答えさせるような問題が圧倒的に多くなります。それだけに、過去問からの問題抽出が難しくなりますので、『サーパス』のような問題集が有効になります。同書は市販ではありませんが、「中央教育研究所」のHPから注文することができます。
併せて、高校生用の国語便覧を一冊お手元に置いておくことをお薦めします。内容としては、高校生対象ですのでボリュームがありますが、廉価で購入することができます。浜島書店から出版されている(市販)『最新国語便覧』でも定価890円で販売されています。何よりカラーの写真が豊富ですので、例えば「芥川龍之介ってこんな顔してたんだ」といった楽な気持ちでイメージを固めることができます。気分転換に寝転がって見るだけでも効果がありますので、ぜひ活用してみて下さい。
今回ご紹介した漢字・知識問題対策はともすればレアな問題対策とも言えます。ただし、演習する内容がどこまで深いかは別にして、冬休み以降はこうした漢字・知識問題対策が極めて重要になることは共通しています。直前まで覚える効果があることはもちろんのこと、これからの時期は生徒さんもプレッシャーを感じてこられ、国語の読解問題などの思考力をフルに使う問題演習が必ずしも行き届かないことがあります。つまり、不安や心配など、考えることが多く出てきてしまって、集中が続かないケースが出てきてしまうといったことがでてきます。かといって、何もしないことは不安をつのらせるだけ・・・そうした際には漢字・知識のような単純作業に時間をあてることが有効です。そうした作業であれば、余計なことは考えずに、時間も自由に調整できます。生徒さんの精神的なゆらぎを解消する方法のひとつとしても、冬休み以降に密度の濃い漢字・知識問題対策を取り入れることをお薦めします。
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