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テストをすれば必ず、成績のよかった子と悪かった子が生じます。もちろん、成績がよかった子は、悪かった子よりも多くの問題を正解していたわけですが、できる子とできない子のちがいは何なのでしょうか。
それを知るためには、「できる子」にはできるのに、「できない子」にはできない問題(=差がついた問題)をよく研究する必要があります。
しかし、「できる子はどんな問題ができているのか」についてのデータは、なかなか手に入りません。普通のテストの結果資料集には、全体の正答率はのっていますが、受験生レベルごとの正答率はのっていないためです。そのため、「できる子は、難しい問題でもスイスイ解いている」、「うちの子は、こういう難しい問題でつまずいてしまうから、成績が伸びないのだ」と考えてしまいがちです。
しかし、本当にそうでしょうか? できる子は難しい問題が得意だから、成績がよいのでしょうか? 今回は、四谷大塚の週テストのSコース(偏差値60以上のクラス)とBコース(偏差値50前後のクラス)の正答率を使って、「できる子ができる問題」を明らかにしてみたいと思います。
四谷大塚の週テストの国語では、SコースとBコースのテスト問題は、完全に同じではありませんが、問題文や知識の問題は共通していますので、SコースとBコースの正答率を比べることで、できる子はなにができるのかを調べることができます。
以下は、実際のテストの正答率です。
2008年3月7日実施 6年生 第5回 総合テスト
Bコース18.6% Sコース69.8%(51.2%差)
Bコース35.5% Sコース80.5%(45.0%差)
Bコース34.3% Sコース48.9%(14.6%差)
Bコース15.5% Sコース34.4%(18.9%差)
上位生ほど、漢字の書き取りや漢字の読みの問題を間違わないのに対し、中下位生は漢字の問題で多く取りこぼしていることがわかります。また、段落分けの問題や、難しい記述問題では、上位生も苦戦し、それほど差がついていないと言えます。
もう一つ別のテストも見てみましょう。
2008年6月8日実施 6年生 第14回 総合テスト
Bコース50.1% Sコース81.4%(31.3%差)
Bコース44.5% Sコース73.4%(28.9%差)
Bコース52.3% Sコース65.2%(12.9%差)
Bコース9.6% Sコース23.9%(14.3%差)
指示語の問題や「だれが−どうした」という物語の場面を問う問題で差が大きくなっています。逆に、複雑な心情や、抽象的な文化論については、上位生も苦戦し、あまり差がついていません。
このように、成績の差がつくのは、漢字、知識問題、接続語、指示語、場面の読み取りなどの基本的な問題です。できる子は基本的な問題をしっかり正解しています。言いかえると、基本的な問題をしっかり正解している子が、よい成績をとっているとも言えるでしょう。
ですから、成績を伸ばそうと思ったら、難しい問題を何とかしようとあせる前に、毎日の漢字練習を集中して行うことが大切です。その上で、説明文であれば接続語、指示語の問題をおろそかにしていないようにしましょう。これらの接続語、指示語がわかるようになると、説明文の論理展開を把握する手がかりを多く得ることができるようになります。そうなれば、おのずと難しい問題の正答率も向上していくことでしょう。
また物語文では、まずは「だれが−どうした」を正確に読み取ることが基本です。そうした物語の基本要素がわかってくれば、気持ちの問題を解くこともできるようになります。
以上、データを調べてみてわかったことは、「基本が大切」というひと言に尽きます。「こつこつと努力することが成果を生む」ことが、データからも裏付けることができたと思います。自信をもって努力を積み重ねていきましょう。
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