理社の時事問題対策に2008年度過去問を活用する

11月を迎え、実戦的な対策に余念がない時期になっているかと思われます。社会・理科の時事問題対策も、各塾や出版社から時事問題専用の資料テキストが販売され、いよいよ本格化してくる頃でしょう。

今回は、来年度入試の時事問題で、要注意になると予想される重大テーマについて、ある対策方法をお伝えします。テーマとしては「参議院選挙」と「猛暑」を取り上げます。実は歴史の巡り合わせとも言うべきことですが、前回の参議院選挙が行われた3年前の2007年に、埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市で74年ぶりに最高気温が記録されたのです。つまり2010年と2007年は「参議院選挙と猛暑」において共通しているのです。もちろん2007年の参議院選挙では現在の与党である民主党が野党として議席を伸ばし、今年の選挙とは全く逆の立場で「ねじれ国会」の状態となり、また「猛暑」も3年前と今年ではその原因に違いがあるなど、いずれも全く同じかたちではない点には注意が必要です。それでも、共通しているテーマが、どのようなかたちで出題されるのかを確認する価値は大いにあります。

そこで今回は2007年の時事を出題する「2008年度」の過去問に注目して、いくつかの学校の問題を取り上げてみます。実際に受験しない学校でも、ぜひ塾の先生にお願いするなどのかたちで問題を入手して、取り組んでみて下さい。

■参議院選挙 ※科目はすべて社会

  1. 渋谷教育幕張中(第2次)・第2問
    2007年が選挙の多かった年として、参議院選挙の他に東京都知事選挙、長崎市長選挙(現職市長の死去による)、またフランスの大統領選挙までも取り上げています。参議院選挙以外は2010年に共通するものではないですが、「統一地方選挙はなぜ同じ時期に選挙を実施しているのか」といった選挙そのものを扱った問題があるので、一応、全ての問題に目を通して、取捨選択するようにしましょう。参議院選挙については「ねじれ国会について」「衆議院の優越」についてなどの頻出のテーマ以外に、投票率についてなど、広く選挙に関する問題が出されています。
  2. 昭和秀英学院中(第2回)・第6問
    親子の対談形式という取り組みやすいかたちでの出題で、参議院選挙だけでなく国会もテーマに含めた、基本的事項の確認に適した問題です。「2007年で12歳の生徒さんが参議院選挙で初めて選挙権を得ることができるのは何年の参議院選挙の時ですか」といった選挙の内容を正確に理解していることを問う出題もあります。時事問題の演習として、比較的早めの時期から取り組むべき内容になっています。
  3. 明治大付属明治中(第2回)・第3問
    同校では同年度第1回でも「ねじれ国会&衆議院の優越」についての出題がありました。この第2回では、参議院選挙を題材としながら、広く「国会」がテーマとなっています。穴うめ問題が大半となりますが、非常に精度の高い構成になっています。「衆議院の優越」を取り上げる点は他と同じですが、表のかたちで優越の対象がまとめられていますので、問題を解いた後にもテキストとして活用できるでしょう。また、問題が「衆議院の優越」に至るまでにまず「二院制」について様々な視点から出題されていることで、生徒さんにとってはしっかりとした流れに乗って問題を解き進めることができます。
  4. 立教新座中(第1回)・第4問
    2007年7月当時の民主党、自由民主党のそれぞれの党首(小沢一郎、安倍晋三)を問うなど時事的な要素も含まれていますので、問題の取捨選択が必要になりますが、「衆議院の優越」について日本国憲法の条文を穴うめするといった問題形式は、来年度も問われる可能性が高くありますので、取り組むべき問題になっています。繰り返し見直すことで、的確に語句を使えるようになりましょう。
  5. 早稲田中(第2回)・第4問
    参議院選挙の細かい内容ではなく、選挙の争点になったとして「格差」をテーマとしています。選挙を入り口としながら、そこから一気に公民全般への理解を問うようにテーマが広がるタイプの出題です。こうした出題形式は来年度も使われる可能性がありますので、十分に注意が必要です。時事問題として参議院選挙について対策する際に、選挙の制度や「衆議院の優越」といった頻出のテーマだけに学習の対象を限定するのではなく、何を争点として国民に問うた選挙だったのか、その争点は現代社会でどのような意味をなすのか、といった広く深い視野で社会の問題に取り組むことが必要である、といったメッセージが感じられる問題です。

■猛暑 ※科目はすべて理科

  1. 麻布中 2009年度・第2問
    麻布ならではの記述問題は含まれず、比較的取り組みやすい内容になっているので、ぜひチャレンジしてみましょう。また、他の学校は2008年度の問題ですが、この麻布の問題だけは2009年度に出題されていますので、注意して下さい。小問7問の構成ですが、頻出のフェーン現象に関する計算問題から、南中高度に関する基本的な問題、無人気象観測システム・アメダスについての問題など幅広く出題されていますので、気象全般に対する実戦的な問題として活用できるでしょう。特にフェーン現象に関する問題では、計算だけでなく、その結果から考察できるところまで聞いてきますので、演習を通してより深い理解につなげてゆきましょう。
  2. 東京女学館(第2回)・第4問
    上記の麻布と同様にフェーン現象の計算問題が出題されています。注目すべきはグラフ問題が含まれていることです。それもグラフを読み取るかたちではなく、「空気のかたまりが上昇するときに温度変化」を指定の座標に書き入れることが要求されています。グラフを自分で描くという作業に抵抗のある生徒さんが意外と多いですが、視覚的な効果もあって、理解を確実にするうえでは有効な問題と言えます。その他、「打ち水」の問題が出されていますが、打ち水とは何かの説明は一切ありません。語句の内容がわからなければ全く解けないパターンの問題です。ニュースの映像や、街中でも見られる光景にどれだけ意識をしているかを問う問題は中学入試では定番です。注意しましょう。
  3. 頌栄女子学院(第1回)・第3問
    ここでもフェーン現象の計算問題が出されています。気象の分野では頻出の単元ですので、今後も注意が必要です。その他では、「雨の粒を1つつくるためには何個の雲の粒が必要か」といった問題も出されていますが、理科の問題には理科の知識は全く必要なく、算数の知識のみで解けるものもあることが顕著に現れされている問題と言えます。また、フェーン現象とヒートアイランド現象を記号で選ばせる問題が出されていました。この2つの現象は塾などでも繰り返し説明されているかと思われますので、内容まで徹底理解するようにして下さい。この問題には他の選択肢として、エルニーニョ現象とラニーニャ現象が挙げられています。この2つの現象については9月24日配信のメルマガで触れていますので、ぜひご覧下さい。

今回ご紹介した問題はほんの一部で、この他の学校でも同じテーマを時事問題として取り上げているケースは多数あります。特に社会の参議院選挙は、ねじれ国会の状態を生んだこともあり、非常に多くの学校で出題されました。志望校の過去問に取り組む際には、2008年度(平成20年度)の理科・社会には要注意、を念頭に置いて進めてみて下さい。

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