算数入試問題取調室 栄光学園VS聖光学院

今回は、神奈川県のトップ校であり、毎年質の高い問題を発表し続ける栄光学園と聖光学院の出題傾向を比較してみます。

まず試験時間、出題数と難易度の比率です。

■栄光学園(最近9年間)

  • 試験時間は2009年度より60分で10数題、2008年度までは50分で8題程度
  • 標準45% 応用29% 思考力26%

■聖光学院(最近4年間×2回)

  • 試験時間は60分で16題程度
  • 標準65% 応用31%、思考力4%

次に、各校の出題単元を中心にもう少し細かく分析していきます。

■栄光学園

解答形式は2008年度までは記述式中心、試験時間が60分となった2009年度2010年度は答えのみ書くものが中心で、記述式はごく一部となっていましたが、2011年度は試験時間は60分のままで記述式の割合が増えていました。これは問題が難しいため、部分点を加算していかないと得点が伸びなかったことの反省ではないかとも思います。

いずれにしても、より良い入試問題を作成し、受験生に学力を存分に発揮してもらうための思いを感じることができます。

単元別の出題比率は、「場合の数」「推理と論証」「平面図形」が各15%程度、「速さ」「立体図形」が各10%程度、その他の単元からもまんべんなく出題されています。問題のレベルは非常に高く、塾関係者も毎年注目するほど独創的な問題をそろえています。

「折り紙で鶴をおります。全てを折るのに、5人で手分けしても6人で手分けしてもかかる時間は変わりませんが、7人で手分けすると、かかる時間が短くてすみます。折り紙は全部で何枚ありますか」と、具体的な数値が与えられず、出題者の意図や問題の本質を読み解く能力がなければ、どこから手を付ければよいか分からないような出題もあります。

また、「なぜそうなるのか説明しなさい」などと論証させる問題もほぼ毎年出題されており、物事を深く考える能力が求められます。

ただ塾関係者の注目を集める「面白い」問題ではありますが、一方で、受験生の立場で考えてみますと、普段から算数の成績が良いとしても「手が付けられない問題が出題される」リスクがあると言えます。

合格するためには「算数で点数を稼ぐ」という前提ではなく、算数で多少失敗しても国語・理科・社会で十分カバーできるくらい総合的に高い学力を備えておくことが理想的です。

■聖光学院

解答は答えのみがほとんどですが、まれに記述式も出題されています。また計算問題をはじめとする小問集合の出題は無く、全てが大問構成で出題されています。

単元別の出題比率は、高い方から「平面図形」が24%、「割合」が18%、「場合の数」が17%、「速さ」と「立体図形」が11%ずつ、「和差に関する問題」が9%と、本校もまんべんなく出題されています。「平面図形」の中でも「相似形・面積比」の出題が突出しており、しかもかなりの難問ぞろいです。「割合」の中からは「仕事算」の出題が多いことも、本校の特徴といえます。

レベル別では標準65% 応用31%、思考力4%と分類しましたが、標準に分類した問題でも計算処理が複雑な問題が多いです。(本校が計算問題を出題しないことも、その理由の一つと思われます)栄光学園の独創的な問題とは異なり、一見これまでに解いたことがあるような問題がそろっています。

そのため、はじめは誘導などに沿って解き進めることはできるのですが、用意されている条件が多く、途中から複雑にさせる仕掛けが施されており、解答するには時間がかかります。その緻密な問題設計は学力差を正確に反映させており、合格者平均点と受験者平均点は25〜30点の開き(150点満点)があります。

答えだけを書くものが多いため、正確に答えを出さなくては加点されないわけですが、難しい問題がそろっている中で合格者平均点が120点程度と、合格者のレベルは相当高いものといえます。

つまり演習量がものをいう出題ともいえ、算数の成績が高いレベルで安定している生徒さんは、入試でもかなり優位に立てる可能性が高い一方、算数に不安のある生徒さんにとっては厳しい戦いを余儀なくされると思われます。

大体のイメージはつかんで頂けたでしょうか?私のイメージでは、栄光学園の作問者は発明家で、聖光学院の作問者は緻密な設計者という印象です。

最後に、過去問以外の演習に適した問題を挙げてみると、栄光学園なら算数オリンピックファイナルの問題を初見で解くことを心がけてみるといいでしょう。聖光学院は、問題集の最高レベルの問題や、中学への算数の発展演習などをたくさん解き、捨て問と思われるレベルの問題以外は解けるようになるまで繰り返し演習することが有効です。いずれにしても、さすが列強ひしめく神奈川県の2トップといった問題ですので、志望者はこれからも努力を惜しまず頑張ってください!

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