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今回は映画『フラガール』(李相日監督)を中学受験的に観るポイントをお知らせします。2006年に公開されたこの映画は、数々の映画賞を受賞し、大ヒットもしましたので、ご覧になった方も多いかと思います。改めて、映画の内容を説明します。
舞台は現在の福島県いわき市。昭和40年に大幅な規模縮小に追い込まれた常盤(じょうばん)炭鉱の人々が、町おこしのために常磐ハワイアンセンター(現在のスパリゾートハワイアンズ)を誕生させ、成功に至るまでの実話を描いたものです。
ここでは、『フラガール』を国語の視点から分析します。いくつかの場面を取り上げて、そこに意味されたものを解析して行きます。テレビドラマや映画は、国語力を養成するための貴重な教材になることがあります。実際の入試問題(特に麻布中学)を見ても、映像作品を意識的に観ることをも受験生に求めていると思われる問題にあたります。映画を観ることは、国語力を養成するための重要な演習のひとつなのです。
ただ、『フラガール』は小学生を対象に作られた映画ではないので、登場人物の言動がやや刺激的に生徒さんに映ってしまう危険性もあります。まずは親御さんがご覧になって生徒さんに薦めてよいかどうか判断して下さい。
蒼井優が演じる紀美子の感情表現に注目します。蒼井優の圧倒的な演技力もあって、紀美子の行動には中学受験国語のエッセンスがとても多く見られます。
フラガールのリーダーとして活躍する紀美子ですが、そもそも彼女をフラガールへの道に誘ったのは、友人の早苗でした。その早苗は父親が炭鉱を解雇となってしまったため、夕張へと転居、フラガールから脱退しなければならなくなります。早苗が常磐の地を去ろうとする時、その場に紀美子はいません。気遣う周りに対して早苗は「こういうことが苦手な子だから」と言います。紀美子が感情を表現することが苦手であることを物語る場面が他にもあります。フラガール結成を祝って記念撮影をする場面で、紀美子は並んで立つ早苗に「誘ってくれて、ありがとう」と感謝の言葉を伝えます。が、早苗にはそれが聞き取れません。無二の親友に対して感謝の言葉を伝えるのにも、相手に聞こえないくらいのボリュームでしか言えないところに、紀美子の不器用さがうかがえます。2つの場面を通じて、紀美子という人物の性格が表されているのです。
それでも紀美子が早苗を想う気持ちが強いことがその直後に表れます。早苗を乗せた車を紀美子が必死になって走り追い、離れてゆく二人は強く手を振り合います。この場面で、小学生の生徒さんは二人が交わす言葉に違和感を持つかもしれません。二人はただ「じゃあな」のみを繰返すのです。学校から一緒に帰って、その日だけの別れの言葉として、普通に使う言葉です。ここではそれより「元気でね」「早苗がいなくなって寂しい」といった具体的な言葉が出るべきなのではないか、と思うかもしれません。多くの人生経験を積んだ親御さんであれば、近しい相手だからこそ、余計な言葉が出てこない、普段から交わしている「じゃあな」しか言えないという二人の心情はこれまでの実感をもって理解できるでしょう。生徒さんも同じような経験をしていればわかりますが、頭で考えてしまうと、心で理解ができないかもしれません。親愛の情を伝えるのは必ずしもしっかりした言葉をもってではないことを、生徒さんに伝えて下さい。
心を伝えるのは言葉だけではないことがはっきりと表現されている場面が他にもあります。この映画のクライマックスのひとつ、駅のホームでのフラダンスのシーンです。
東京からフラダンスの指導者として招かれた、松雪泰子が演じる平山まどかが、ある事件がきっかけでやはり常磐を去らざるを得なくなった時、まどかを止めようと、フラガール達が駅に駆けつけます。電車の中にまどかの姿を見つけた教え子達が言葉で必死に言葉で説得しようとする中、紀美子だけはやはり言葉が出てきません。伝えたい思いが溢れるほどにあるだけに、言葉が出てこない。そこで紀美子はフラダンスを始めるのです。それはまどかに教わった、愛する人へのメッセージを表すダンスです。それを見た他の教え子たちも紀美子を中心に全員で電車の中にいるまどかにダンスで心を伝えます。それを受けたまどかは電車から降り、常磐の地に残ることになります。
心を伝えるのは口から発する言葉ではない。中学受験国語の物語文でも非常に多く見られることです。ぜひ生徒さんに伝えて下さい。
中学受験の定番の象徴的存在が、この映画にも出てきます。先に出てきました、紀美子の親友、早苗が常磐を去るシーンです。指導者のまどかも紀美子と性格が似ているのか、早苗を囲む輪から離れたところにいます。呼びかけられても、恥ずかしさが先立って輪に加わろうとしません。そのまどかに早苗がダンスを教えてくれたことへの感謝の言葉を継げ、「今まで生きてきた中で一番楽しかった」と叫びます。その言葉に心を打たれたまどかは早苗に駆け寄り、抱きしめ、自分がかけていたサングラスを外し、早苗にかけてやります。この場面でのサングラスが象徴的存在として、重要な役割を果たします。サングラスが、町を離れる早苗へのまどかからのはなむけの品であり、そこにまどかの早苗に対する愛情が込められていることまでは、一見してわかります。ただこのサングラスにはそれ以上の意味が込められていると言えます。まどかは東京で借金を抱えてしまい、すさんだ気持ちで常磐にやってきました。東京の人間としてのプライドを捨てられず、素人の教え子達がフラダンスを覚えられるはずがないと、どこか引いた態度で相手に接します。まどかがかけていたようなファッショナブルなサングラスというものが常磐にはないと思われること、サングラスというものがそもそも目を隠す、つまりは表情を隠すことで、サングラスが相手との真のコミュニケーションを避けるためのもの、ともとれます。早苗の言葉を受けてサングラスを手放すというまどかの行動は、常磐の地にいる自分、そこでの人々との触れあいを受け入れることのきっかけを表現していると解釈ができます。
こうした象徴的存在は、近年上位校を中心に多くの学校が国語の問題で取り上げています。詳しくは、メルマガのバックナンバー「中学受験国語の新定番『象徴的存在』とは何だ?!」をご覧下さい。
映画のはじめ、まどかは自分が指導することの条件として、教え子が泣かないことを条件とします。そこには指導の厳しさに負けているようでは夢が実現できないことを表しているのですが、もうひとつフラダンスを踊る際には笑顔でいることが必要でもあるからです。この笑顔について、紀美子がまどかと衝突します。早苗が去って心ここにあらずでいる紀美子に対し、まどかは舞台に立つには笑顔でいなければばらないことを「バカみたいに笑うの」と、強く伝えます。そんなことができない、と激しく抵抗する紀美子は練習場を去ります。
その後、兄との会話を経て心を持ち直した紀美子はダンスに戻り、舞台を重ねます。そして最後の常磐ハワイアンセンターがオープンとなる記念の舞台では、紀美子はじめ全員がプロとしての笑顔を見せるのです。ここにフラガール達の成長が見られるのですが、この笑顔がただ舞台のうえでのいわば表面的な笑顔だけなのか、生徒さんと話し合ってみて下さい。そこにはこれまで厳しい練習を重ねてきて、本番を迎えることができたフラガール達の心からの喜びも含まれているはずです。特に映画のラストシーンで映し出される紀美子の笑顔は、様々な想いが込められた、非常に深い笑顔です。この笑顔の意味するところは、ひとつの答えに限定できません。ぜひ生徒さんとゆっくり話し合ってみて下さい。
また、最後のダンスの場面で、南海キャンディーズのしずちゃんが演じる小百合が、客席の母親が抱く亡くなった父親の遺影を眼にして、一瞬表情を変え、そしてすぐに笑顔を見せます。とても短いこのシーンにもぜひ注目して下さい。小百合は、はじめのうち練習中に泣いてばかりでまどかに叱られていました。舞台でも恥ずかしがってこわばった笑顔しかできないほどでした。その小百合の父親が炭鉱の事故で亡くなった時、楽屋でその知らせを聞く小百合は手鏡に向かって必死に笑顔をつくります。どんなに悲しくても泣いてはいけない、プロとして舞台に立つ以上が笑顔でいなければならないという気持ち、笑顔でいれば悲しさから解き放たれるのかもしれないという気持ち。もしかすると笑顔に関してはこの小百合がその意味を一番に感じていたかもしれません。そんな小百合が晴れの舞台で父親の遺影に向かって、一瞬ですが見せる笑顔は非常に魅力的です。父親へ自分の成長を見せたいという気持ちもあってのものでしょう。
笑顔というひとつの要素をもっても、この映画の中での人物達の様々な変化が見られます。中学受験国語の物語文で強調されるもののひとつが、この変化です。ぜひその点にも注意して下さい。
東日本大震災で、福島県いわき市も大変な被害を受けました。また原発事故や風評被害などにも追いうちかけられる中、実際のフラガール達は、復興のひとつの象徴として、必死になって活動をしていました。そうした現在の事実をしっかり理解したうえで、もう一度この『フラガール』を観て下さい。
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