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塾では新学年でのカリキュラムがスタートし、新6年生は受験学年として先生からも心構えを説かれますが、5年生は重要な学年であるにもかかわらず、「受験はまだ先」と考えていらっしゃる方も多いと思います。そこで今回は、サピックス新5年生の皆さんに向けて注意点を書きたいと思います。
まず4年生から5年生への学習量の変化ですが、1回あたりの授業が60分から90分へと時間は1.5倍に延びます。しかし、学習量は2倍近くになるとお考えください。よって、家庭学習の時間もそれに比例して、1.5倍から2倍は必要になるでしょう。
ただ、「どの程度の勉強時間が必要ですか」と、ご相談を受けることもありますが、一人ひとりの授業時間内での理解度や家庭で学習すべき内容は異なりますので、「○○時間勉強すれば大丈夫」という尺度ではかれません。「しっかり理解できたか、知識が定着したか」を基準にしてください。
次に、学習内容に話を移しましょう。算数と理科は、通塾リズムがつかめるまでの2・3月は4年生の復習を中心に行い、4月ごろから新出単元が出てきます。社会は夏期講習まで地理の復習となります。しかし、「復習」といっても4年生とは学習の質が変化します。これは、計算が複雑になるといった程度のことではございません。
算数で一例を挙げますと、
「3、5、6、9、10・・・と、3の倍数と5の倍数だけを順番に並べていくと、200は何番目ですか」 という問題を出題してみると、「こんなのやったことがない」という反応が返ってきます。 ところがこの問題は、4年生で学習している公倍数の、「1から200までの整数で、3か5で割り切れる数はいくつありますか」と問われている問題と内容は同じです。
このように中学入試において最も重要な能力といえる「問題文の本質を読み取る読解力」を身につけて行く訓練が始まります。そのため、4年生では知識をしっかり暗記さえすればテストでも高得点が取れていたが、5年生では問題文の情報を整理し、自分の知識と結びつけることが必要となるため、知識を暗記しているだけではテストで点数が取れなくなってきます。
特に理科と社会は、普段のデイリーチェックやコアプラス確認テストが単純な知識暗記のため、これらのテストで得点できていると「理解できている」と安心してしまうのですが、マンスリーテストなどでは表やグラフから必要な情報や数値を読み取り、暗記した知識と結びつけて解答する問題になると得点できない状態に陥ります。
その一例として、よく受けるご相談に「4年生のときは上位のクラスにいたのだが、5年生になって徐々にクラスが下がってきている」というものがあります。4年生では上位にいた=真面目でコツコツ型のお子様によく見受けられます。
ここで多くの方が陥る問題点は、4年生までの「暗記すれば点数が取れる」学習法を過信してしまい、点数が悪いのは「努力が足りない」や「難しいことまで覚えていない」など、学習量の不足が原因と考えてしまうことです。親御さんも「一問一答形式だとわかるのに、文章問題になると知識が出てこない」という経験をされた方がいらっしゃると思いますが、まさにその状況に陥っているのです。
4年生までは一問一答に近い出題形式だったので、問題を読んですぐに答えが出たのですが、5年生ではそうはいきません。問題を読んですぐに答えが思い浮かばないので「わからない」となってしまうのです。
いつごろからこのような現象が見られるかは個人差がありますが、マンスリーテストの感想を尋ねたとき、「習っていないことが出てよくわからなかった」という答えが返ってくると、問題の文章を読んでヒントを得る努力をせず、暗記だけの学習に陥っている危険性が高いです。
繰り返しになりますが、問題で与えられた条件を整理し知識と結びつけなくてはならないのですが、条件を整理することが大変困難です。問題文をどのように読み解いて分析して行くか、表やグラフのどういう箇所に注目すれば必要な数値を見付けることができるのか、お子さんに説明してあげてください。
成績は良いときもあれば悪いときもあります。4・5・6年の3学年で成績の変動が一番激しいのは5年生です。テストの点数が悪かったときほど、親御さんがお子さんの現状分析を行えるように心がけてください。
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