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一学期にも、新カリキュラムとなった予習シリーズが、カリキュラムの消化スピードを早めただけでなく、掲載されている問題も大変難しくなっている旨をお伝えいたしました。そのため、二学期から始まる下巻の内容も難しいものと予想はしておりましたが、ようやく目にすることができた実物は、想像を超える難しい内容となっています。
では、どのように難しいのかと申しますと、下巻はまず「比と割合」が2回続き、「相似形」、「面積比」、「速さと比」が2回と続いていきますが、初回の授業が急に難しくなります。初回は、「比」を初めて学習するのですが、「比」を活用する文章題まで一気に扱われています。ちなみにサピックスは夏期講習中に「比」を学習しますが、「比」を導入する回と文章題を扱う回の2回に分けて行います。
つまり、サピックスが2回に分けて行うことを、予習シリーズでは1回で完結してしまうのです。加えて、サピックスでは夏期講習中に「ベイシック」という教材を用いて、徹底的に反復練習を行った上で、二学期以降の文章題・平面図形につなげていくのですが、予習シリーズでは下巻の初回で「比」が登場し、十分な演習を積む前に章題や平面図形の学習に突入していきます。
しかも「速さと比」では、一学期に多くの生徒さんの頭を悩ませた「2地点間を何度も往復するときに、1回目出会ってから2回目出会うまでの時間」なども、比を活用する形で登場します。「比」の扱いに不慣れな状態で、相似形や面積比・比を活用する速さの文章題を学習し、「全然分からない」という状態に陥ってしまう生徒さんが多数出てしまわないか心配です。
また、「比」の扱いは理解でき、最初の2回までは順調に進んだとしても、相似形や面積比、比を活用する速さの文章題は、従来のカリキュラムでは6年生の上巻で学習していた内容を半年以上前倒しして学習しますので、発育年齢的に理解できないケースも出てくると思います。(サピックスでは5年生の終わりごろから6年生の始めにかけて学習する内容です。)
そこで、あらかじめ導入部分を学習してから授業を受ける方法が有効と思います。一番よいと思われる教材は、サピックスの「ベイシック」シリーズです。丁寧に導入から説明されていますので、お子さん一人でも進めていけると思います。
ベイシックの「比」・「平面図形2」「速さ」を購入し、予習シリーズの内容に沿って進めるとよいでしょう。
こちらの教材はサピックスの校舎でしか購入できませんが、基礎から学習するための教材としては一番易しく、進めやすいと思いますので、わざわざサピックスの校舎まで足を運ぶ価値はあるでしょう。
それでも授業についていけなくなったときの対応策を考えておくことが重要になります。対応策は大きく2つです。
ひとつ目は、塾の徹底活用です。
授業から帰ってきたら、その日のうちに家庭学習を行って下さい。割合や比の問題は、理解できていないと手を全く動かせません。そして、解く時間もこれまで以上にかかりますので、そのような様子が見えたら危険信号です。 すぐに塾に電話をし、いつ誰を尋ねていったらフォローしてくれるか確約をとり、実際にお子さんを連れて行ってください。「〇〇先生に質問しておいでね」というだけでは不十分です。子供は「分からない」とは言いにくいもので、ましてや「質問に行く」ことを恥ずかしいと思っているケースも多いです。しっかりフォローしてもらえるように背中を押してあげてください。別の見方をすると、そこまでしてでも理解しなければならない内容ということです。
ふたつ目は、家庭で親御さんがフォローする方法です。
授業内容がほとんど理解できていない場合は、さきほどの「ベイシック」を学習するとよいと思います。
そして、何といっても基本問題の反復練習が重要です。しかし、予習シリーズは基本問題から難しいことがありますので、Sコースなど上位クラスのお子さんでも、演習問題集(基本編)を用意しておくことをお勧めします。練習問題まで手を付けられず、週例テストの点数が下がってしまうかもしれませんが、理解が不十分なまま手を広げるよりは、とにかく基本だけは確実に理解しておく方が、6年生になってからの学習がスムーズです。
これまで算数が得意であった生徒さんも含めて、5年下巻の算数に何の苦労もなく取り組める方はごく少数となるでしょう。大半のお子さんに、「難しい」「分からない」といった状況が訪れます。非常に難しい教材に沿って学習が進むので、これは避けようがありません。ただ、そのときに親御さんがパニックにならないように、常にお子さんの学習状況にアンテナを張りながら、下準備を進めておいてください。
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