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今年の夏は宇宙探査機による史上初の発見が続々と公開されメディアを賑わしました。
その一つは米航空宇宙局NASAの探査機ニューホライズンズによる冥王星の思いもよらなかった画像、もう一つは欧州宇宙機関ESAの探査機ロゼッタと着陸船フィラエによるチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の鮮明画像です。探査機ロゼッタが彗星と、ニューホライズンズが冥王星に接近するまでの内容は2014年11月01日と2015年2月28日配信の「最近の時事ニュース」に書かれているので見ておいて下さいね。
今回は2機の探査機の接近後の成果を中心に入試の題材として注目して欲しいことを取り上げます。
アメリカ航空宇宙局(NASA)の探査機「ニューホライズンズ」が7月14日冥王星に約12500kmまで最接近しました。冥王星の表面に巨大な白い「ハートマーク」と黒い「クジラ」の模様の写真が新聞やテレビを賑わしたので覚えていると思います。
そこで、ニューホライズンズから送られてきたデータで判ったことだけでなく、宇宙探査、太陽系の大きさについて考えてみましょう。
始めに、冥王星は太陽系が誕生した46億年前、地球同様に無数の小天体が衝突し岩石が溶けて作られた後、現在は冷え切ったクレータだらけの星と思われていました。それは冥王星の明るさの等級が14等星と暗く、あのハッブル望遠鏡でもぼんやりとしか見えなかったからです。ところが、今回の接近画像で発見された赤褐色の表面の巨大なハートマークは窒素やメタンを主成分とする厚い氷に覆われた平原で、氷河のように氷が流れ、うろこ状の網目模様ができていることが判りました。更に1億年以内に作られたと見られる3500m級の氷の山脈も見つかりました。それらは冥王星の内部が冷え切っているのではなく、内部の熱により氷が表面に噴き出してできたとも言われています。 更に夜側に回り込んだ探査機から撮影された写真に、メタンが変化した大気のもやが130kmの厚さに写っていたことに研究者は驚きました。月の約18%の質量の冥王星が重力で大気を留めるには大き過ぎるからです。推定される理由として、冥王星内部の熱によりメタンが今も大量に供給されていると思われていますが、なぜ月より小さい天体が熱を持っているか等の真相はこれからの研究で明らかにされるでしょう。
次に、探査機はなぜ冥王星に着くのに9年半もかかったのでしょうか?
ニューホライズンズは2006年1月19日米国ケープカナベラル空軍基地から発射され2015年7月14日冥王星に最接近しました。約9年半の長旅です。
1960年代のアポロ計画では月に行くのに約100時間掛かっていましたが、ニューホライズンズでは強力な打ち上げロケットを使い、月軌道を9時間で通過しています。有人宇宙船と無人探査機なので単純比較はできませんが、約10倍の格段に速いスピードで飛び出し、更に途中にある木星の重力を使ったスイングバイという手法で探査機の軌道を変え更に加速させて、到達時間の短縮を図りました。それでも到着までに9年半かかる途方もない距離です。
それは地球から月までの距離38万kmの約13000倍の約49億kmの距離をニューホライズンズが飛行しなければならなかったからです。
皆さんは太陽系の解説図で太陽と惑星の大きさ比較をよく見ると思いますが、正確な縮尺で表現できないために大きさや距離のスケールは適当に縮めてあります。その理由を説明しましょう。
地球の直径を1mとした場合、月は約30m離れた所を回っている直径27cmのバスケットボールより少し大きい球となります。
一方、月の約70%の大きさの冥王星は、直径約19cmの球になり、約390kmも離れた所にあることになります。それは1mの地球を東京に置いたとき子供用バレーボール大の冥王星がほぼ大阪にあることに相当します。
ちなみに、木星は直径 11mで東京から49km離れた成田空港近くにあることに相当します。これでは正確に縮尺した図が書けないことをお判りになったでしょう。星と星の間は、星の直径に比べ膨大に離れているので、実際にはスカスカな空間が広がっているのです。
探査機が最接近した時に無事を知らせる信号がなぜ半日も後に到着したのでしょうか?それは冥王星までの距離が遠く、太陽からの距離が59億kmもあるために、1秒で30万km進む光(電波)でも19700秒つまり約5時間20分程度遅れて届くことになるからなのです。
探査機は冥王星近くで撮った写真などのデータを一旦蓄積して数か月から1年をかけて徐々に送ってきます。打ち上げられた時には太陽系最遠の第9惑星であった冥王星を探査することが主目的でしたので、約半年後に準惑星となってがっかりした人もいたでしょうが、歴史的快挙といえる想像以上の新発見があり、注目されることになり喜んでいるのではないでしょうか。
現在、ニューホライズンズは冥王星の重力を使うスイングバイで更に加速し、主に氷でできた微惑星が無数にあるエッジワースカイパーベルトといわれる太陽系外縁天体に向かっていて、探査を続けることになっています。
太陽を遠く離れた天体を長期間にわたって探査する衛星はどの様な電源をつかっているのでしょうか?太陽光を利用できる距離の衛星は太陽電池のパネルを広く展開して発電していますが、太陽のエネルギーが少なくなる外縁では使えないため探査機ニューホライズンズは原子力電池を使っています。
彗星探査機ロゼッタと着陸船フィラエは太陽光のエネルギーで電源がまかなえるので、太陽電池を搭載していますが、着陸船フィラエでエネルギー供給問題が生じてしまいました。
2004年3月2日発射された彗星探査機ロゼッタは2014年8月6日木星軌道の内側でチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に到着し、「おもちゃのアヒル」の様な彗星の画像を送ってきました。2014年11月12日に着陸船フィリエが不幸にも着陸に失敗し彗星表面の日影の部分に降りてしまいました。フィラエは短期間データを送信後休眠状態となり、彗星が太陽に接近してきた今年の2015年6月13日に太陽光が太陽電池にあたり電源が復活し、鮮明な画像を送ってきました。彗星は小さいので自身の重力も小さく、チリや氷、凍ったガスが緩くくっついて固まった「雷おこし」の様な形状であることがこの探査で判り、また生命誕生に不可欠な有機物(アミノ酸)も検出され、彗星が地球生命の誕生起源であるとの説を唱える研究者が活気付きました。更に太陽に近づくにつれ、彗星の尾が徐々に鮮明に長く引き出ている画像も公開されてきています。しばらくの間、探査機から送られて来るデータによる研究成果や新発見のニュースに注目していきましょう。
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