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今回は、5年生6月度のマンスリーテスト対策をお伝えします。また、攻略ポイントだけでなく予想問題付きです。過去問を分析し最も出題される可能性が高い問題を揃えてあります。解説も準備しますので、間違えた箇所はとくに読み込んで本番で同じ間違いをしないように注意してください。問題は6/2(金)のお昼ごろ 鉄人会のHPにアップ致します。アップが完了しましたら、メルマガ、フェイスブック、ツイッターでもお知らせ致しますので、ぜひ鉄人会のフェイスブック、ツイッターもフォローしてください!
予想問題をアップするページはこちらです。ぜひ、ブックマークをしておいてください!
今回の範囲は、「06〜09の復習」「点の移動(1)」「点の移動(2)」「量の変化(1)」「量の変化(2)」となることが予想されます。「06〜09の復習」は前回4月のマンスリーテストの範囲と重複しますので、ぜひ4月12日配信の『4月マンスリーテスト攻略ポイント』も、読み直されてください。前回の範囲のうち、「08旅人算」については、今後も出題頻度が高いと予想される単元ですので、今回も改めてご説明をします。 それでは、単元ごとに説明をして行きます。なお、分数の表記は「4分の1=1/4」のかたちとします。
この単元では、内容を確実に理解するために、動きの状況を表す線分図をかくことが有効であることは、前回も述べた通りです。
ここでは、3種のタイプの問題をご紹介します。必要に応じて線分図をかいて、内容を確実に理解できるかどうか、チェックしてみてください。
1つ目のタイプは、次のような問題です。
周囲が900mある池のまわりを、A君とB君がそれぞれ一定の速さで歩きます。ある地点から同時に出発して同じ方向に歩き始めると、45分後にA君はB君にはじめて追いつきます。また、ある地点から同時に出発して反対方向に歩き始めると、6分後にA君とB君ははじめて出会います。A君の速さは毎分何mですか。
問題を読んで、すぐに線分図の作成にとりかかりたいところですが、どの内容を理解するために図が必要なのか、をよく考えてから取り組みましょう。この問題で、文章の通りに池を表す円をかいて、そこにA君とB君の動きをかき入れようとすると、なかなかうまく行かないことに気づくでしょう。同じ方向に歩くパターンと、反対方向に歩くパターンを、ひとつの図に含めることはできないですし、また、それぞれのパターンについて図をかいても、そこからどう進めるか、迷ってしまいます。
すべての状況を図に表すことが必ずしも有効ではなく、図に表すことができない状況もあるのです。その選別を考えるようにして行きましょう。ここでは、問題文にある重要な表現に注意をします。「同時に出発して同じ方向に歩く」と「同時に出発して反対方向に歩く」という表現です。周回する旅人算で、上記の2つの表現が出てきたら、「同じ方向」→「速さの差」、「反対方向」→「速さの和」という着想がすぐにできるようにしておきましょう。ここまでは図を使う内容ではありません。
この問題では、900mを同じ方向に歩いて45分で追いつくので、A君とB君の速さの差が、900÷45=20より、毎分20mとわかります。反対方向に歩いて6分後に出会うのですから、900÷6=150より、A君とB君の速さの和が毎分150mとなります。
これでこの問題を解くために、和差算の考え方が必要であることがわかります。ここから和差算の図をかくかどうかは、お子さんの理解度によります。少しでも和差算の理解が曖昧であれば、ぜひ図をかいて進めてください。すぐに正確な式が立てられるのであれば、無理に図を使う必要はありません。また、最後に求めるのがA君、B君どちらなのか、つまり、どちらが速いのか、に十分に気をつけてください。この場合はA君がB君に追いつくので、A君の方が速くなります。(150+20)÷2=85、よりA君の速さが毎分85mと求められます。
2つ目のタイプは、次のような問題です。
A君の速さは毎分90m、B君の速さは毎分70mです。A君は学校から公園へ、B君は公園から学校へ向かって同時に出発したところ、2人は学校と公園の真ん中より公園の方に80m近いところで出会いました。学校から公園までの道のりは何mですか。」
どのような線分図をかいて、問題内容を理解して行けばよいでしょうか。
まずは、学校と公園を結ぶ道のりを1本の線分で表します。A君とB君が、ちょうど真ん中の地点で出会う、とありますので、線分の真ん中に点をとって、後でわかりやすいように「真ん中」と記しておきます。
次に線分の下に、2人の動きをかき入れて行きます。ここで、A君の動きを実線で、B君の動きを点線で表します。2人が出会うのは、真ん中より公園の方に80m近いところですので、言葉の通りに真ん中から公園の方に少し進んだところで2本の線がぶつかるようにします。2本の線がぶつかる地点が真ん中から80m離れていることがわかるように、線分図に80mとかき入れておきましょう。
ここからがこの問題のポイントです。このままでは、A君とB君の速さの違いから生まれる距離の差がわかりづらいので、B君の動きを表す点線を、A君の真下に起点が上下にそろうように移動します。向かい合っていた2本の線を、上下に並ぶかたちにするのです。この配置にすることで、2本の線の長さの差、つまりは2人の進んだ距離の差がわかりやすくなります。
A君は真ん中より80m先まで進み、B君は真ん中の80m手前までしか進んでいないので、2人の距離の差は、80×2=160(m)となります。図をかかないで頭の中だけで考えてしまうと、つい2人の差を80mとする間違いが起こりやすくなります。慣れるまでは、この線分の移動をぜひ実行してみてください。 2人の差が160mとなるまでにかかる時間が、160÷(90−70)=8(分後)ですので、学校から公園までの距離は、(90+70)×8=1280より、1280mとなります。
3つ目のタイプは、次のような問題です。
春子さんの速さは分速60m、夏子さんの速さは分速72mです。春子さんは9時19分に学校から図書館に向かって、夏子さんは9時27分に図書館から学校に向かって出発したところ、2人は図書館と学校のちょうど真ん中の地点で出会いました。学校から図書館までの距離は何mですか。
2つの地点の真ん中が出てくる点は、2つ目のタイプと同じですが、2人の速さだけでなく、出発時間が異なることが問題を難しく感じさせるかもしれません。それでも、正確に図をかけば、内容がすっきりと整理できます。
まずは学校と図書館を結ぶ道のりを1本の線分で表します。春子さんと夏子さんが、ちょうど真ん中の地点で出会う、とありますので、線分の真ん中に点をとって、後でわかりやすいように「真ん中」と記しておきます。ここまでは2つ目のタイプと同じです。
次に線分の下に、2人の動きをかき入れて行きます。その際、時刻の記入も必要となりますので、同じ時刻は同じ記号で表すようにします。
学校の地点の下に春子さんが出発する時刻の「9:19」を●と記します。そこから図書館に向かう春子さんの動きを点線で示しましょう。次に図書館の地点の下に夏子さんが出発する時刻の「9:27」を○と記します。そこから学校に向かう夏子さんの動きを実線で示します。
先に出発した春子さんは、9:27の時点まで、8分間歩くことになります。そこで春子さんの動きを表す点線の途中に○を入れて、そこに「9:27」と記し、春子さんの●から○までの間に、「8分」とかき入れます。あとは2人が、学校と図書館の真ん中の地点で出会うので、「真ん中」の下で点線と実線がぶつかるようにして、そこに▲をかき入れます。
図はこれで完成です。説明は長くなりましたが、実際の作業はシンプルなものですので、ぜひ試してみてください。
ここから問題を解いて行きます。9:19から9:27の8分間に、春子さんは60×8=480(m)進んでおり、図を見ることで、この480mが、2人が○から▲までに進んだ距離の差であることがわかります。480÷(72−60)=40より、○から▲までの時間が40分となります。夏子さんがこの時間に進んだ距離が、学校から図書館までの距離のちょうど半分となりますので、72×40×2=5760より、答えが5760mとなります。
時刻を表す記号は使いこなすことができるようになると、貴重な武器になります。ぜひ図をかいて慣れて行きましょう。
旅人算を苦手とするお子さんの多くが、図をかかずにいるために、苦手と感じてしまっているケースが多くなります。まずは図をかくことを習慣づけてみましょう。解くことができる問題の数が大きく増える可能性がアップします。
人物や物が移動する、という点では速さの問題になりますが、そこに図形の考え方が混在してくるのが、この単元です。
まずは、1つの点が平面図形の辺上を動くタイプの問題です。次のような問題はどのように対応すればよいでしょうか。
メルマガでは図を表せませんので、まずは説明にそって図をかいてみてください。
三角形ABCは角Bが90度の直角三角形で、辺ABの長さが24cm、辺BCの長さが32cm、直角の向にある辺CAの長さが40cmです。
ここから問題になります。
この直角三角形ABCの辺上を、点Pが頂点Bを出発して、B→C→Aの順に秒速4cmで移動します。次の(1)(2)の問題に答えなさい。
(1)のタイプの問題では、点の位置を確実に把握することが大前提となります。点Pは秒速4cmですので、出発してから12秒後までに、4×12=48(cm)を進みます。B→Cで32cmありますので、点Pは48−32=16より、C→Aに16cm進んだ地点に到達します。その地点を図にかき込み、点と頂点Bを結ぶことで三角形ABPが出来上がります。
ここで三角形ABPの面積を求めるにあたり、視点の切り替えが必要になります。つまり、三角形ABPのどの辺を底辺とすればよいか、というポイントです。既存の図形で底の位置にある辺BCが底辺で、その辺BCと垂直の関係にある辺ABを高さとして、この2辺の関係にのみ執着してしまうと、三角形ABPの面積を求めることはできなくなります。ここではAPを底辺として考えます。三角形ABPを辺CAが底になるように回転してみてもよいでしょう。三角形ABCと三角形ABPは、CAとAPをそれぞれの底辺とすれば、高さは共通しています。よって面積の比は、底辺の長さの比と同じになるのです。CA=40cm、AP=40−16=24(cm)であることから、三角形ABPの面積は、三角形ABCの面積の24/40=3/5となります。よって、32×24÷2×3/5=230.4より、230.4平方cmと求められます。
お子さんが問題用紙を回すという行為は、正しく底辺を見つけようとしている可能性があります。そうした行為はぜひ大事にしてください。
(2)のタイプの問題では、点の移動をより確実に把握する必要があります。基本となるのは、(1)でも出てきた「高さが等しい三角形の面積比は、底辺の長さの比と等しい」という考え方です。
三角形ABPの面積が1回目に三角形ABCの面積の1/4になるのは、辺BC上でBPの長さが辺BCの長さの1/4になる時点です。そこから点Pが頂点Cに向かう間は三角形ABPの面積は増加して行き、点Cを通過して、辺CA上を点Pが頂点Aに向かう区間では、面積は減少して行きます。よって、2回目に三角形ABPの面積が三角形ABCの面積の1/4になるのは、点Pが頂点Cを通過して頂点Aに到達する前に、APの長さが辺CAの長さの1/4になる時点です。こうした点の動きと面積の増減の動きの関係は、今回のテストのポイントのひとつとなりますので、テキストをよく見直すようにしてください。求める地点は、点Pが辺BCの40cmと、辺CAの長さの3/4を動いたところですので、32+40×3/4=62(cm)を動いた地点となります。62÷4=15.5より、求める答えは15.5秒後となります。
点の移動では、底辺をまず直線としての点の動きと、面積の増減の関係をおさえることが必須となりますので、その点に気をつけて見直しを進めてください。
ここでは、2つの点が図形の辺上を動くタイプの問題を取り上げます。
例題を挙げますので、まずは、図をかいてみてください。長方形ABCDで、辺ABの長さは24cm、辺BCの長さは30cmです。この長方形の辺上を点Pと点Qが動きます。ここから問題になります。
「頂点Aから点PがA→D→C→B…の向きに、頂点Cから点QがC→D→A→B…の向きに、同時に出発して、長方形の辺上を周り続けます。点Pの速さは秒速5cm、点Qの速さは秒速4cmです。このとき、2点が26回目に出会うのは出発してから何秒後ですか。」
26回目と見ると、気が遠くなるような作業を思い浮かべてしまうかもしれませんが、決して複雑な問題ではありません。
長方形の辺上を点が動く問題ですが、中身は池の周りを2人が周る旅人算と同じ考え方です。方針として、まず1回目に2点が出会う時間を求めます。1回目に出会ってから2回目に出会うまでの時間がわかれば、2回目から3回目、さらにそれ以降はその時間を繰り返すことになります。つまり、規則性の問題として解くことができるのです。
まず1回目に出会う時間は、(24+30)÷(5+4)=6より、6秒後です。1回目に出会ってから2回目に出会うまでの時間は、お互いの進む距離を合わせると長方形の1周分になるので、(24+30)×2÷9=12より12秒後となります。ここからは、12+12=24、24+12=36、と12秒ずつ数字が増えて行くことになります。よって、26回目までは、数字が26−1=25(回)増えますので、出発してから、6+12×(26−1)=306(秒後)が26回目に2点が出会う時間となります。
このように、点の動きを正確に理解できれば、一見難しそうな問題でも、速さや規則性の基本的な考え方を使って解くことができるのです。問題演習を重ねて、慣れることで、難しそうに見える問題への抵抗を失くして行きましょう。
この単元も速さの応用になりますが、点の移動が平面図形に関連するものであるのに対し、この単元は、体積、容積といった立体図形との関連になります。
まずは、体積、容積の単位については、改めて確実に固めておきましょう。
テスト前半の小問集合のところで、「0.45立方mは何リットルですか。」といったかたちで聞かれることがあります。大事な1問ですので、取りこぼしがないようにしなければなりません。単位換算の方法をしっかり暗記しておくことが第一ですが、より間違いが起こらないように、問題用紙の空白のところに、「1立方cm…1000倍→1リットル…1000倍→1立方m=1キロリットル」など、自分でわかりやすいように、メモを記しておくとよいでしょう。上記の問題は、0.45立方m=0.45×1000=450(リットル)となります。全体正答率も高くなる可能性のある問題ですので、確実な得点を目指しましょう。
次のような問題にはどのように対応すればよいでしょうか。
図について先に説明します。2つの直方体の容器A、Bがあります。容器Aは内のりの長さが、底辺のたて、横がともに8cmで、深さ15cmまで水が入っています。容器Bは内のりの長さが、底辺のたて、横がともに6cmで、深さ10cmまで水が入っています。
ここから問題になります。
「2つの容器A、Bの水を移しかえて水の深さを同じにするとき、水の深さは何cmになりますか。」
ここでは2つの解き方をご紹介します。
1つ目は、全体の水の体積を求めてしまう方法です。水を移しかえるということは、水の量は変化していません。その体積を、2つの容器の底面積の合計で割ることで、求める高さになります。容器を2つつなげて、新しい大きな容器が1つできたと考えるとよいでしょう。
8×8×15+6×6×10=1320(立方cm)が水の体積の合計です。それを底面積の和で割りますので、1320÷(8×8+6×6)=13.2(cm)が求める答えです。 考え方はシンプルですが、計算の結果が大きな数値になるので、計算間違いがないように気をつける必要があります。この問題では底面積の和がちょうど100でしたが、すべての問題でこのように計算がやりやすいとは限りません。
そこでもう1つの解法をご紹介します。同じ面積の長方形では、たての長さの比と横の長さの比が逆になる考え方(面積図)を使った解き方です。 まず、容器A、Bを横につなげた状態で、それを真正面から見た図(断面図)をかきます。容器A、Bとも容器の高さは与えられていませんので、適当な長さで2つとも同じ高さにしてしまいましょう。左を容器Aの断面図、右を容器Bの断面図とします。左の断面図では深さ15cmまで水が入っていますので、底辺と平行に線を入れ、そこに15と記します。
同様に右の断面図に底辺に平行な線を入れて10と記します。そして同じ深さになる高さの部分に、左右の断面図を横断するかたちで線を入れます。この高さが求める長さなので、どのあたりに線を入れればよいのかが、わからないかと思いますので、15と10の真ん中より少し上に入れておいてください。 この面積図の仕組みなのですが、まず断面で容器内に表される長方形は水の体積を表します。容器Aの断面図ではたてが15ですので、底辺部分は容器の面積である8×8=64という数値をかき入れます。同様に、容器Bの断面図ではたてが10ですので、底辺部分には6×6=36という数値をかき入れます。これで、この断面図で水の体積を表すことができました。
ここから水の移しかえを考えて行きます。まず、作図の際に最後に入れた横の線(以下、横断線とします)によって、容器A、Bの断面図それぞれに小さな長方形ができました。容器Aでは、15の高さの水面の線と横断線にはさまれた部分、容器Bでは横断線と10の高さの水面の線にはさまれた部分の長方形です。容器Aから容器Bに水を移しかえた結果、2つの容器の水の深さが横断線の高さにそろったので、2つの長方形の面積が同じとなります。このことがわかりやすいように、2つの長方形に同じく斜線を入れるとよいでしょう。
容器Aの小さな長方形の横の長さは64、容器Bの小さな長方形の横の長さは36でした。64:36の長さの比を簡単にすると、16:9となります。面積が同じで横の長さの比が16:9なのですから、たての長さの比は逆に9:16となります。2つの長方形のたての長さの和は、15−10=5ですので、容器Bの小さな長方形のたての長さは、5÷(9+16)×16=3.2となります。よって水の深さは10+3.2=13.2より13.2cmと求められるのです。
面積図の説明が長くなりましたが、解き方自体は複雑ではなく、何より計算がより簡単になるメリットがあります。逆比のところの理解が少し難しいかもしれませんが、ぜひ試して頂きたい解法です。
この単元では、水の深さや量の変化をグラフで表すタイプの問題への対応がポイントとなります。水を入れる容器に段差や、しきりがあるときに、水の入り方にどのような変化が生まれるのかの理解が求められます。
段差があるタイプとして、次のような問題があります。
まず、図ですが、底面積のたての長さが40cm、横の長さが90cm、高さが50cmの直方体の容器の内部に、横の長さがアで、高さが不明の段があります。そこに、一定の割合で水を入れた時の、水を入れ始めてからの時間と水の深さの関係を表したグラフがあります。
グラフは、横軸が時間を表し、単位は(分)、たて軸が深さを表し、単位は(cm)となります。そこにグラフの原点(たて軸、横軸ともにゼロの点)から、横軸が18分、たて軸が30cmの点までの直線があり、その点から、横軸が38分、たて軸が50cmの点を結ぶ直線がつながります。グラフとして、「18分、30cm」の点で1回折れる、折れ線グラフとなりましたでしょうか。
この状況から、アの長さを求める、という問題になります。
まず、なぜグラフの傾きが変わったのかの理解を確実にしておきましょう。容器には水の量が一定の割合で入りますので、水を入れる容器のかたちが変わったことが理由となります。そこで容器の図を見てみると、段差になっているため、底面から段差の端までと、段差の端を超えてからの「底面積」が変化していることがわかります。段差の端を超えてからの底面積は、横の長さにしてアの分だけ、広くなっています。同じ割合で水を入れた時に、底面積が広い方が、水の深さが上昇するスピードが遅くなります。このことは、タッパーウェアのような底面積が広い容器と、底面積が狭い、グラスなどの容器に、同じ割合で水を入れてみることでも実証できます。お子さんがイメージしづらい場合はぜひ実証してみてください。
また、グラフのどの部分が、容器のどの部分に水が入る様子を表しているのかを把握するためには、ラインマーカーを有効に使うことができます。この問題であれば、2色のラインマーカーを用意しましょう。例えば、赤色と青色のマーカーを用意して、グラフの原点から「18分、30cm」の点までの部分を赤色でなぞります。グラフのその部分は、容器の底面から段差までの部分に水が入る様子を表しているので、容器の断面(こちら側を向いている面)の段差までのところを赤色で塗ります。そして、グラフの「18分、30cm」の点から「38分、50cm」の点を結ぶ部分を青色でなぞり、容器の断面の段差から上の部分を青色で塗ります。
こうすることで、グラフの形状と容器に入る水の深さの変化の関係が、より視覚的に把握できるのです。グラフに慣れないうちは、お子さんはなかなか量の変化とグラフの変化の関係がつかめないことがあります。ラインマーカーで色を使うことで、お子さんが気持ちのうえでも取り組みやすくなる効果があります。ぜひ試してみてください。
問題に戻ります。容器の長さがわかっている上部(青色に塗った部分)を使って、水の入る割合を求めることから始めます。グラフでは「18分、30cm」の点と「38分、50cm」を結んだ線の部分です。底面積が(90×40)で、高さが(50−30)の体積分の水を、(38−18)の時間で入れたので、水の入る割合は、90×40×(50−30)÷(38−18)=90×40=3600より、毎分3600立方cmとなります。式の途中でかけ算をそのままにしておいたのは、割り算が混ざることで数値を消すことが予想されたからです。
容器の下の部分に水を入れるために18分かかっていますので、入れた水の量は3600×18です。これを底面積のたての40cmと、段の高さの30cmをかけ合せた値で割ることで、下の部分の底面積の横の長さが求められます。3600×18÷(40×30)=54(cm)となります。メルマガでは式のかたちのままにしていますが、このようなかけ算と割り算が混ざる計算は、ぜひ分数式で解いてください。この式であれば、分子が3600×18、分子が40×30とすることで、約分のように数を小さくすることができます。
問題の答えですが、容器の下の部分の横の長さが54cmでしたので、アの長さは90−54=36より、36cmとなります。
問題としてはまだ複雑な内容ではありませんので、このような問題を題材にして、グラフの見方や、より解きやすい方法を試す力を養成しましょう。
次に、容器の中にしきりがあるタイプの問題です。
図は、底面積のたての長さが40cm、横の長さが80cm、高さが60cmの直方体の容器の中に、横の長さで右からイのところに、しきりが底面に垂直に立っています。しきりの高さは不明ですが、60cmには達していません。そこに、容器の左側から、一定の割合で水を入れた時の、水を入れ始めてからの時間と、容器の左側に入る水の深さの関係を表したグラフがあります。
グラフは、横軸が時間を表し、単位は(分)、たて軸が深さを表し、単位は(cm)となります。そこにグラフの原点(たて軸、横軸ともにゼロの点)から、横軸が9分、たて軸が45cmの点までの直線があり、その点から、長さは不明ですが横軸に平行な直線があります。その直線の端から「20分、60cm」の点まで結ぶ直線があるかたちとなります。グラフとして、「9分、45cm」の点で1回折れて、そこから横軸に平行な線となり、ある点から「20分、60cm」の点までを結ぶ、といった折れ線グラフとなりましたでしょうか。
この問題でも、基本的な考え方は、先程の段差の問題と同じです。違いとしては、グラフに横軸と平行な線が含まれるところです。グラフが横軸と平行ということは、時間が経過しても深さが変わらないということです。水を入れても容器の「左側の」深さが変わらないということは、その時間は容器の左側に入る水が、しきりを超えて容器の右側に流れ込んでいる、ということになります。つまり最初の9分でしきりの左側がいっぱいになり、そこから数分は、容器の左側に入れられた水がしきりを超えて右側に流れ込み、右側もいっぱいになってから、グラフの最終段階にあたる割合で水の深さが増し、20分で容器の60cmの高さに達した、という流れになります。
この段階で、しきりの高さが45cmとわかりますので、図に記しておきましょう。
先程の問題と同じく、ラインマーカー(この問題では3色)を使って、グラフの直線と容器の断面図に対応する色分けをしてみましょう。
ここからの方針も先程の問題と同じで、与えられた数値から水が入れられる割合を算出します。しきりの厚さは考えませんので、(40×80×60)の直方体の容器全体に、20分をかけて水が入れられたことになりますから、40×80×60÷20=9600より、容器には毎分9600立方cmの割合で水が入れられました。9分間でしきりの左側がいっぱいになりましたので、(9600×9)の量の水が入り、その部分の底面積のたての長さは40cm、しきりの高さが45cmですので、しきりの左側の部分の横の長さは、9600×9÷(40×45)=48(cm)となります。よって、しきりの右側にあたるイの長さは、80−48=32(cm)と求められるのです。
グラフが折れ曲がるのはなぜか、グラフに横軸と平行な部分があるのはなぜか、というポイントをしっかりおさえておけば、あとはグラフを自分のわかりやすい見方ができるようにすることで、問題を解く方針は固めやすくなります。ぜひグラフに抵抗を持たず、さまざまな問題を解き重ねてください。
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