入試で狙われそうな今月の理科時事問題(新種の桜100年振りの発見、都の高潮浸水被害想定、木造の70階ビル?、炭酸ガス(CO2)の埋設)

今月は、“新種の桜100年振りの発見”と“都の高潮浸水被害想定”そして“木造の70階ビル?”さらに“炭酸ガス(CO2)の埋設”について取り上げてみましょう。

<新種の桜100年振りの発見>

100年振りに新種とされたのは“クマノザクラ”。紀伊半島南部の奈良・和歌山・三重県にまたがる地域に自生しているので、熊野地方にちなんで命名されました。1915年の“オオシマザクラ”以来の新種となります。

『桜の種類ってどの位あるの?』

桜はバラ科に属する花木ですが、その品種は野生種、自生種、園芸品種併せて200種類以上、細かに名前を付けられた品種を数えると600種以上あると言われています。
桜の代名詞となっている“染井吉野”は 江戸時代に作られ園芸品種で、早咲きで有名な“河津桜”は自然交雑した自生種なのです。実は桜の基本の野生種というのはクマノザクラ発見まで次にあげる9種類とされていました。
“エドヒガン”、桜餅を包んでいる葉っぱでお馴染みの“オオシマザクラ”、“ヤマザクラ”、 “マメザクラ”、“チョウジザクラ”、“オオヤマザクラ”、“カスミザクラ”、“タカネザクラ”、“ミヤマザクラ”が基本野生種と認められています。

『クマノザクラの特徴』

クマノザクラに近いと思われた野生種のカスミザクラやヤマザクラの葉の形状は比較的に丸みを帯びていますが、クマノザクラの葉は細長いこと、開花時期がヤマザクラより1ヵ月弱早い3月中旬から4月上旬であること、花弁が淡い紅色などの特徴が新種の決め手になったようです。今後、優良な株を選抜し、高品質なクマノザクラの普及を計画しているようなので、観賞用の桜として街路樹や公園で見られるようになるかもしれませんね。

<都の高潮浸水被害想定>

東京都は1934年の高知県室戸岬に上陸した“室戸台風”並みの910ヘクト・パスカル (hPa) のスーパー台風が東京周辺を通過した場合の被害想定を発表しました。

『どの様な被害になるの?』

高潮や河川からの氾濫によって水門や堤防の決壊(けっかい)も想定しているため、海抜0m地帯の江戸川・江東・墨田区の多くの地点で5〜10mの高さまで浸水し、浸水の範囲は17区に及ぶとのことです。品川駅付近で1.33m、新橋駅付近でも1.05mの浸水となるようです。最近では色々な場所に海抜の標記がされていますから、普段から周辺の海抜を意識していると避難の役に立つと思います。

『なぜ気圧が下がると高潮に?』

海水面は気圧とは関係なく、月や太陽の引力の影響で常に変動しています。月が満月や新月の時には干満の差の激しい大潮となるのはご存知ですね。東京では、大潮になると、干潮と満潮の差が2m〜2.4mとなり、海面が高くなることがあります。
台風のような強い低気圧が近づき、気圧が低くなると海水が吸い上げられるため、海面が上昇します。 気圧が1hPa(ヘクト・パスカル)下がると、海面が約1cm吸い上げられることが知られています。
スーパー台風910 hPaの場合、通常の1気圧1013 hPaから103 hPaほど下がるので103 cm海面が上昇します。つまり、大潮と気圧低下だけで約3m海面が上昇することになります。
加えて、スーパー台風で強い風が陸に向かって吹くと、海水が吹き寄せられ、海面が上昇します。
東京の街と東京湾の位置関係で、特に東京は、東京湾の最奥部に位置しているために、吹き寄せられた海水の逃げ道がなく、高潮の影響を受けやすい地形となっています。
さらに、隅田川、荒川、新中川による雨水の流入も被害に拍車をかけることになります。
これらの要素が被害を及ぼすと想定されています。
しかし、この想定は万が一に備えたもので、1000年から5000年に一度の確率ですから、むやみに怖がることはありませんよ。

<木造の70階ビル?>

都心に高さ350m、70階の木造超高層ビルを2041年に建設する計画が進んでいます。
現在の法律では5階建ての木造住宅が最高で、木材を大量に使うことで注目を浴びた建設中の新国立競技場も木造建築物とは言えないのです。

『何で木造?』

木材は鋼材に比べ引っ張られる力と火災に弱いのです。そこで建物全体の一割に鉄鋼を使い耐震性と強度を高め、開発が進んできた耐火性木製素材の活用をするのだそうです。
国土の7割(68.5%)が森林で、その4割が建材を供給する人工林なのに、伐採されずに放置されたり、利用が低迷しているのが現状なのです。国産の木材が多量に使われると国内林業の活性化が図られます。
傷みやすいバルコニーを定期的に修繕すれば建材の需要も長く続きます。温暖化ガスの二酸化炭素を吸収し、地球にやさしい資源である木材を活用推進し、雇用の創出策としても期待されます。

『木を切る理由は更に有る』

樹木の温室効果ガス、二酸化炭素の吸収量は、種類によりますが、樹齢50年がピークなのだそうです。森林の吸収能力を維持するためには若返りが必要となります。一般的ビルの寿命も約50年程度とすれば丁度良い循環が成り立つことになるのだそうです。

<炭酸ガス(CO2)の埋設>

地球温暖化対策のため、日本海沖の海底深くに炭酸ガスCO2(正式には二酸化炭素)を閉じ込める技術の確立と建設予定地の選定を始めました。

『なぜ埋めるの?』

18世紀後半から始まった産業革命以来、人類は石炭や石油などの化石燃料を大量に消費し、その勢いは年々増加していった結果、地球に温暖化ガスが増加し、平均気温の上昇を招きました。その結果南極や北極の氷が溶け出し海面の上昇、地球規模の気候変動、更にはかつてなかったスーパー台風やハリケーンなどの被害が多発するようになりました。そこで、温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」を結び、日本は2030年度までに2013年度比で26%(約3億6600万トン)2050年までに80%削減する目標を立てました。
国の研究機関の試算によりますと、国内の貯蔵可能量は約1480億トンなので、目標達成の切り札になると期待されています。

『どうやって埋めるの?』

二酸化炭素CO2を化学反応で回収し、高温高圧で気体と液体の中間の状態にします。それをパイプラインで運び、海底下、数1000mにある“泥岩”層の下の“砂岩”層に注入します。
砂岩層は石と違い隙間(すきま)が有るのでガスを染み込ませることができ、その上の粘土のように隙間のない泥岩層が蓋(ふた)の役割をするのでガスが閉じ込められるのだそうです。
米国の頁岩(けつがん、シェールともいう)層に染み込んだガスや石油を採取して燃料とするシェールガスやシェールオイル採掘(さいくつ)の逆の発想ですね。
頁岩は堆積岩の一種で、細かい泥の粒子が水中で水平に堆積し固まってできた岩石のうち、堆積面に沿って薄く層状に割れやすい性質があるものです。本のページを意味している“頁”の様に薄く割れる性質から命名されたのだそうです。 泥が堆積してできた岩石のうち、薄く割れる性質を持たないものを泥岩(粘土岩)と呼びますが、泥岩と頁岩の間に本質的な違いはないので、頁岩は泥岩の一種とされる場合があるようです。

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