入試で狙われそうな今月の理科時事問題(日本人26人目のノーベル賞、はやぶさ2搭載の探査機活躍、重力の差で高さを測定?、宇宙の余命)

今月は、“日本人26人目のノーベル賞”と“はやぶさ2搭載の探査機活躍”と“重力の差で高さを測定?”そして“宇宙の余命”について取り上げてみましょう。

<日本人26人目のノーベル賞>

今年のノーベル生理学・医学賞は京都大学の本庶(ほんじょ)佑(たすく)特別教授と米国テキサス大学のジェームス・アリソン教授に贈られることが決まりました。授賞式はノーベル賞の創設者アルフレッド・ノーベルの命日にあたる12月10日に母国スウェーデンのストックホルムで行われます。日本人の受賞者としては2年振り26人目の快挙(かいきょ)となりました。

『本庶教授の受賞理由って?』

人間がもともと持っている病気を治す力は、免疫細胞が体内に侵入したウイルスや細菌、がん細胞等を異物とみなして攻撃するという力なのです。健康な人でもがん細胞はできているのですが、その大半は免疫細胞によって排除されているのです。
本庶教授は免疫細胞に免疫を抑制する働きを持つ「PD-1」という分子があることを1992年に発見し、更に、がん細胞が免疫細胞にある「PD-1」と結合すると免疫細胞の働きを抑えるブレーキとなることを突き止めたのです。つまり、たまたま免疫細胞の攻撃を逃れたがん細胞が免疫細胞の「PD-1」と結合すると免疫力にブレーキがかかってしまい、がん細胞はどんどん増殖するいわゆる“がん”となるのです。そこでがん細胞と「PD-1」との結合を妨害する「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)という“免疫チェックポイント阻害薬”を開発し、免疫細胞にがんを攻撃させる「がんの免疫療法」に道を開いたことが高く評価されたのです。今ではこの免疫療法は「手術」「放射線治療」「化学療法」に続く「第4のがん医療」とまで呼ばれるようになっています。

『今までの日本人受賞者は?』

皆さんは受賞者の名前を何人位答えられますか?

【物理学賞】
  • 1949年 湯川 秀樹
  • 1965年 朝永 振一郎
  • 1973年 江崎 玲於奈
  • 2002年 小柴 昌俊
  • 2008年 小林 誠
  • 2008年 益川 敏英
  • 2008年 南部 陽一郎
  • 2014年 赤崎 勇
  • 2014年 天野 浩
  • 2014年 中村 修二
  • 2015年 梶田 隆章
【化学賞】
  • 1981年 福井 謙一
  • 2000年 白川 英樹
  • 2001年 野依 良治
  • 2002年 田中 耕一
  • 2008年 下村 修
  • 2010年 根岸 英一
  • 2010年 鈴木 章
【生理学・医学賞】
  • 1987年 利根川 進
  • 2012年 山中 伸弥
  • 2015年 大村 智
  • 2016年 大隅 良典
  • 2018年 本庶 佑
【文学賞】 
  • 1968年 川端 康成
  • 1994年 大江 健三郎
【平和賞】

 

  • 1974年 佐藤 栄作

物理学賞は11名、化学賞は7名、生理学・医学賞は5名と科学系受賞者が圧倒的ですね。尚、経済学賞受賞者と女性受賞者は残念ながらおりません。

『今年の物理学賞と化学賞は?』

物理学賞は「レーザー光を使ってウイルスなどの微小な物体を捕まえて動かす“光ピンセット”を発明した」米国ベル研究所のアーサー・アシュキン博士、「精細な加工に利用される強いレーザー光を生み出す方法を開発した」仏ジェラール・ムル博士とカナダのドナ・ストリックランド博士に贈られます。
アシュキン博士は96歳で最高齢のノーベル賞受賞者となり、ストリックランド博士は女性物理学賞受賞者としてキュリー夫人依頼3人目の受賞者となりました。
化学賞は環境にやさしいバイオ燃料の開発や新しい医薬品の開発に使われる「たんぱく質を人工的に改変する技術などを開発した」米フランシス・アーノルド博士、ジョージ・スミス博士、英グレゴリー・ウィンター博士に贈られることになりました。

<はやぶさ2搭載の探査機活躍>

約4年前の2014年12月、H2Aロケット26号機で打ち上げられた探査機“はやぶさ2”が地球と火星の軌道の間を公転している小惑星“リュウグウ”に6月27日に到着後、調査や準備をして来ました。ようやく9月21日には搭載していた探査機“ミネルバ2”を2台、10月3日にはドイツとフランスの宇宙機関がつくった小型探査ロボット“マスコット”1台をリュウグウに無事着陸させ観測を開始したと宇宙航空研究開発機構JAXAが発表しました。

『竜宮城は石ころだらけ』

探査機“ミネルバ2”は初代“はやぶさ”に搭載されたものの失敗に終わった“ミネルバ”の後継機で、宇宙航空研究開発機構JAXAが中心となり大学、研究機関や中小企業を含む7社が開発に参加して製作されました。“はやぶさ2”による試料採取に先立ち、地表の温度測定や着陸地点の決定に必要な写真撮影を行うのがミッションです。
リュウグウ着陸後ジャンプして移動し、岩や石に覆われ黒っぽい“リュウグウ”の鮮明な地表面の画像を送ってきました。その中には他の天体が衝突した痕跡とみられるクレーターが複数あったようです。

『探査ロボット“マスコット”の役割は?』

探査ロボットは高さ19cm、縦横およそ30cmの箱の中に、4種類の観測装置を搭載しています。
「広角カメラ」は色々な波長で表面の画像を撮影、「分光顕微鏡」は地表面の鉱物の組成を詳しく調べ、生命の起源につながる水や有機物を含んでいるか調べます。「温度計」は太陽面と裏側の表面温度の差を測り、岩石の隙間の大きさを調べ、「磁力計」で磁場の測定を行い、どこから来たか、つまり元の天体の推定が出来るようです。
いよいよ10月末には“はやぶさ2”本体の1回目の着陸を実施し、小惑星の岩石採取という最大のミッションに挑戦する予定です。楽しみですね。

<重力の差で高さを測定?>

東京大学の香取秀俊教授は160億年以上経っても1秒しか狂わない超高精度の時計を開発し、これを使って教授のチームはスカイツリー展望回廊の高さが本当に450mなのかを検証する実験を10月から始めました。

『なぜ時間で高さが判るの?』

皆さんはSF小説でブラックホールに落ち込んでしまった宇宙船を離れた宇宙船から見ていると、なかなか落ち込まないで留まって見える様に書かれているのを読んだことは有りますか?実は、かの有名なアインシュタイン博士が相対性理論の中で、重力が大きくなると時間の進み方が遅くなるという現象がある事を示しています。そこでスカイツリーの1階に置かれた超高精度の時計と地上から離れ僅かに重力の影響が弱くなる展望回廊に置かれた超高精度の時計の時間差を約2か月間かけて測定し高さを測ろうというのです。本当に450mならば計算上1ゕ月間で約1億分の13秒だけ時間が早くなるのだそうです。
今迄NASAがロケットを使って重力による時間差を検証したことは有るのだそうですが、超高精度の時計を使って時間の進み方の違いを検証する実験は世界初なのだそうです。

香取教授は超高精度な時計の開発で、“身近な所ででも日常の感覚では信じられないような現象を見ることが出来るようになったので、多くの人が物理の不思議に関心を持ってくれると嬉しい”と話しています。

<宇宙の余命>

東京大学と国立天文台などの研究チームは米国ハワイ島のすばる望遠鏡の観測で、宇宙は今後少なくとも約1400億年間は存続することが判ったと発表しました。

『何で判るの?』

宇宙は目に見える星や銀河を構成する元素が宇宙全体の4%、宇宙を膨張させている謎のエネルギー「ダークエネルギー」が74%、目には見えないで重力を持ち宇宙空間を収縮させる「ダークマター」が22%で出来ているようなのです。つまり宇宙の96%は存在することは判っているのに何か判らない物で出来ているのです。
宇宙は何者か判らない「ダークマター」と「ダークエネルギー」のバランスで運命が決まると考えられています。そこで研究チームはすばる望遠鏡に高視野で高性能のカメラを取り付け、2年間で約1000万個の銀河を撮影し、銀河の光がダークマターの重力によって曲げられる様子を調べ、直接見えない暗黒物質が宇宙全体にどの様に分布しているかを精密に調査しました。その結果急激な膨張で宇宙がバラバラになる程にはバランスが崩れていないことが判ったのだそうです。
当分の間、安心して星空を眺めて居られそうですね。

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