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第34回のテーマは「速さ 速さと比・旅人算と比」です。今回の内容は「速さ・時間・道のりの関係に比を用いる」「一定なものがあるときの考え方」「具体量を用いた解法と比を用いた解法の比較」です。これまで学んできた速さの問題を比を使って解いていきます。
特に重要なのは「道のりが一定のとき」「時間が一定のとき」の考え方です。この考え方を使うと効率よく解けるばかりか、計算が簡単になるためミスも防ぐことができます。しかし、一方で使い方を間違えると、何度も同じミスを繰り返します。基本はすでに学んできた「速さ」の考え方がベースで、その上に比を利用していきます。したがって、速さの意味を考えながら公式を使うことや、問題を解くときに線分図やグラフを利用して情報を整理することは同じように重要です。
さらに、比を扱うときには、比と具体量を区別するようにしましょう。速さの問題で比を自由に扱うことができれば、入試問題を解くときのスピードが速くなり、解答の正確さも確実に上がります。じっくりと問題に取り組み、比を利用した解法を身につけましょう。
「学び1」では速さと比について考えます。400ページ「やってみよう!」を見てみましょう。
はじめに具体量を使って考えていきます。自動車Aは57600mの道のりを進むのに1時間36分(96分)かかることから、速さは57600÷96=600m/分となります。また、自動車Bは9.6km(9600m)の道のりを進むのに10分40秒(10・40/60=10・2/3分)かかることから、速さは9600÷10・2/3=900m/分となります。このことから、自動車Aと自動車Bの速さの比は600:900=2:3となることがわかります。速さの問題を考えるときには単位に注意しながら計算しましょう。
次に同じ問題を比を使って考えていきます。いままでも学習したように比は量のように扱うことができます。自動車Aと自動車Bの進んだ道のりの比は57600:9600m=6:1です。また、自動車Aと自動車Bのかかった時間の比は96:10・2/3=96:32/3=288/3:32/3=288:32=9:1となります。したがって自動車Aと自動車Bの速さの比は(6÷9):(1÷1)=6/9:1=2/3:1=2/3:3/3=2:3となります。
このことから具体量を使って計算しても、道のりや時間の比を使って計算しても速さの比を求めることができるということがわかります。
「学び2」では一定なものがあるときを考えていきます。「一定」という言葉は「等しい」という意味と同じです。例えば「速さが一定」とは「速さが等しい」ということと同じ意味です。ここでは「速さが一定のときの時間と道のりの比」「時間が一定のときの速さと道のりの比」「道のりが一定のときの速さと時間の比」について考えていきます。
(1)速さが一定のとき
分速50mで進む人が100m進んだときの時間と200m進んだときの時間の比について考えます。速さの比は100m進んだときも200m進んだときも同じため1:1です。道のりの比は100:200=1:2です。このことから時間の比は、(1÷1):(2÷1)=1:2となります。つまり、速さが一定のとき道のりの比と時間の比は比例します。
《速さが一定のとき》
道のりの比→○:△
時間の比→○:△
(2)時間が一定のとき
分速50mで進む人が3分間進んだときの道のりと分速80mで進む人が3分間進んだ時ときの道のりの比について考えます。速さの比は50:80=5:8です。時間の比は3:3=1:1です。このことから道のりの比は、(5×1):(8×1)=5:8となります。つまり、時間が一定のとき速さの比と道のりの比は比例します。
《時間が一定のとき》
速さの比→○:△
道のりの比→○:△
(3)道のりが一定のとき
分速50mで進む人が400m進んだときの時間と分速80mで進む人が400m進んだときの時間の比について考えます。速さの比は50:80=5:8です。道のりの比は400:400=1:1です。このことから道のりの比は、(1÷5):(1÷8)=1/5:1/8=8:5となります。つまり、道のりが一定のとき速さの比と時間の比は反比例します(逆比の関係になります)。
《道のりが一定のとき》
速さの比→○:△
時間の比→1/○:1/△
※3つの量の逆比には注意しましょう
2:3の逆比は1/2:1/3=3/6:2/6=3:2となります。このように2つの量の逆比は○:△=△:○という関係が成り立ちます。しかし、2:3:4の逆比は1/2:1/3:1/4=6/12:4/12:3/12=6:4:3となります。3つの量の逆比の場合、○:△:□=□:○:△という関係は成り立たないことに注意しましょう。
次に403ページの「やってみよう!」を使って道のりが一定のときに速さの比と時間の比が逆比になることを確かめてみましょう。
表はA、B、C、D、Eさんが3600m進んだときの速さと時間についてまとめたものです。はじめにAさんとBさんについて考えます。AさんとBさんの速さの比は60:75=4:5となります。時間の比は60:48=5:4となります。このことから、道のりが一定のとき、速さの比と時間の比が逆比になることがわかります。
次にCさん、Dさん、Eさんについて考えてみましょう。Cさん、Dさん、Eさんの速さの比は72:80:120=9:10:15となります。速さの比の逆比は1/9:1/10:1/15=10/90:9/90:6/90=10:9:6となります。ここで、表にある数値を使って、時間の比を調べてみると、50:45:30=10:9:6となることから、速さの比と時間の比が逆比の関係になっていることがわかります。
次は道のりが一定のときに速さの比と時間の比が逆比になることを使って問題を解いてみましょう。
404ページの【状況1】を見てみましょう。問題では「道のりが一定である」と直接書かれている場合もあればそうでない場合もあります。ここでは直接書かれていない場合はどのように「一定である」ことを判断するのかを含めて考えていきます。
問題には「Aさんは、家からポストまでを往復しました」とあります。このことは「Aさんは、家からポストまで行き、ポストから家まで同じ道を通って帰ってきた」と読み取ることができます。このことから、Aさんの行きの道のりと帰りの道のりは同じことがわかります。つまり、Aさんの行きの道のりと帰りの道のりは一定です。
Aさんの行きにかかった時間と帰りにかかった時間を求めてみましょう。Aさんの行きの速さと帰りの速さの比は分速80m:分速60m=4:3です。ここで道のりが一定のときに速さの比と時間の比が逆比になることを使うと、行きにかかった時間と帰りにかかった時間の比は3:4となります。
このことから、Aさんが往復するのにかかった時間は比の3+4=7にあたることがわかります。Aさんが往復するのにかかった時間は7分のため、比の7にあたる時間が7分となります。このことから比の1にあたる時間は7分÷7=1分となります。したがって行きにかかった時間は比の3のため1分×3=3分、帰りにかかった時間は比の4のため1分×4=4分となります。
このように比を使うと道のりがわからなくても時間を求めることができます。
次に405ページの【状況2】を見てみましょう。家にいるBさんがCさんと駅で会う約束をしている問題です。
問題ではBさんが「家から駅まで分速80mで進むと、約束の時刻よも1分早く駅に着きます」「家から駅まで分速60mで進むと、約束の時刻よも2分遅く駅に着きます」とあります。この場合、問題文に「家から駅まで」とあるため分速80mで行ったときと分速60mで行ったときに道のりが一定であることはわかりやすいと思います。
Bさんが分速80mで行ったときの時間と分速60mで行ったときの時間を求めてみましょう。Bさんが分速80mで行ったときと分速60mで行ったときの速さの比は80:60=4:3となります。ここで道のりが一定のときに速さの比と時間の比が逆比になることを使うと、分速80mで行ったときの時間と分速60mで行ったときの時間の比は3:4となります。
このことから、Bさんが分速80mで行ったときの時間と分速60mで行ったときの時間の差は比の4-3=1にあたることがわかります。Bさんは分速80mで進むと約束の時刻よも1分早く駅に着き、分速60mで進むと約束の時刻よも2分遅れることから、分速80mで進んだときと分速60mで進んだときの時間の差は1+2=3分となります。このことから比の1にあたる時間は3分とわかります。
したがってBさんが分速80mで駅まで行ったときにかかる時間は3分×3=9分となります。また、Bさんが分速60mで駅まで行ったときにかかる時間は3分×4=12分となります。
次に406ページの【状況3】を見てみましょう。問題には学校を先に出たDさんをEさんが追いかけて、追いつく様子が書かれています。この場合、DさんもEさんも同じ学校を出発して、追いつく(同じ地点に着く)ため道のりは一定です。
406ページのグラフを見てみましょう。ここではDさんとEさんの速さの比を求めてみましょう。DさんがEさんに追いつかれるまでの時間は3+6=9分です。また、EさんがDさんに追いつくまでの時間は6分です。
したがって、DさんがEさんに追いつかれるまでの時間とEさんがDさんに追いつくまでの時間の比は9:6=3:2となります。ここで道のりが一定のときに速さの比と時間の比が逆比になることを使うと、Dさんの速さとEさんの速さの比は2:3となることがわかります。
「学び3」では旅人算と比について考えていきます。407ページの【状況1】について考えます。1200m離れた地点から、FさんとGさんが向かい合って同時に出発します。Fさんは分速60mで、Gさんは分速40mで進みます。FさんとGさんが何分後に出会うか求めてみましょう。
(1)与えられた具体量をもとに考える方法
FさんとGさんは1分あたり60+40=100mずつ近づきます。したがって、1200m近づくのは1200÷100=12分後とわかります。
(2)比を使って考える方法
FさんとGさんの速さの比は60:40=3:2です。FさんとGさんが同時に出発して出会うまでの時間は一定です。時間が一定のとき、速さの比と道のりの比は比例します。したがってFさんとGさんの2人が出会うまでの道のりは3:2となります。
はじめの2人のへだたりは1200mで、これは比の3+2=5にあたります。したがって比の1にあたる量は1200÷5=240mとなります。このことからFさんがGさんと出会うまでに進んだ道のりは比の3にあたることから、240×3=720mとなります。したがって、FさんはGさんと出会うまでの時間は720÷60=12分後となります。
このように、具体量を使う場合と比を使う場合で、解答を導くプロセスが違います。
次に408ページの【状況2】について説明します。Hさんが分速40mで学校を出てから4分後に、Jさんが分速60mで学校を出て、Hさんの後を追いかけます。JさんがHさんを追いかけ始めてから何分後に追いつくか求めてみましょう。
Hさんが学校を出てから4分後を考えてみましょう。Hさんは4分で40×4=160m進んだところにいて、このときJさんとのへだたりは160mとなります。ここではこの場面(Hさんが出発してから4分後)から考えます。
(1)与えられた具体量をもとに考える方法
HさんとJさんのへだたりは1分あたり60-40=20mずつ小さくなります。したがって、JさんがHさんに追いつく(160mあったへだたりが0(ゼロ)になる)のは160÷20=8分後となります。
(2)比を使って考える方法
HさんとJさんの速さの比は40:60=2:3です。HさんとJさんが同時に出発してJさんがHさんに追いつくまでの時間は一定です。時間が一定のとき、速さの比と道のりの比は比例します。したがってHさんがJさんに追いこされるまでの道のりとJさんがHさんを追いこすまでの道のりの比は2:3となります。
はじめの2人のへだたりは160mで、これは比の3-2=1にあたります。したがって比の1にあたる量は160mとなります。このことからJさんがHさんを追いこすまでに進んだ道のりは比の3にあたることから、160×3=480mとなります。したがって、JさんがHさんを追いこすのまでの時間は480÷60=8分後となります。
演習としては409ページから411ページは必修です。比を使う場合には比と具体量を区別しながら取り組みましょう。
次に入試でよく出題される典型的な問題を中心に紹介します。413ページの問1、問2は歩幅と歩数の問題です。414ページの問3は出会いの旅人算、415ページの問5は平均の速さ、問7は追いつき・追いこしの旅人算です。416ページの問7は道のりと時間のグラフを書いて状況を調べていくとよいでしょう。418ページの問13はつるかめ算の考え方を使います。問14は池の周りをまわる問題です。
速さの問題は入試で必ず出題されます。どのようなタイプの問題にも対応できるよう、じっくりと練習しましょう。
第34回のテーマは「文章題 1あたりの差と全体の差 ~差集め算•過不足算~」です。差集め算と過不足算は、考え方自体はとてもシンプルです。このため一度理解をすると、解法が自動化され、演習が単なる作業になりがちな単元でもあります。
考え方の本質は「学び1」で説明します。今回は「学び1」で学ぶ基本を常に思い出しながら取り組みましょう。そうすれば作業だけがひとり歩きすることなく、中身の伴った知識として身に付きます。今回の単元でも積極的に図を利用するため、丁寧に書きながら考えていきましょう。差集め算・過不足算は大変重要な考え方のため、じっくり時間をかけて理解していきましょう。
「学び1」は差集め算の導入です。312ページを見てみましょう。Bの冷蔵庫は1か月に500円の電気代がかかり、Aの冷蔵庫は1か月に300円の電気代がかかります。AとBの1か月間の電気代のちがいは500-300=200円です(これを「1あたりの差」と言います)。1年間(12か月間)にかかる電気代のちがいは、200×12=2400円(これを「全体の差」といいます)となります。
このように「1あたりの差×個数=全体の差」となります。このことから「全体の差÷1あたりの差=個数」となることがわかります。差集め算ではこの式を利用して問題を解いていきます。ただし注意しなければならないのは、個数(「学び1」の例では12か月間)を同じにしなければならないことです。個数がちがう場合、個数をそろえて考える必要があります。
「学び2」では差集め算について考えます。314ページの【状況1】を見てみましょう。
【状況1】
1本600円のタオルをある本数買う予定で、お金をちょうど持っていきました。ところが、1本450円のタオルにしたため、予定より5本多く買え、用意したお金を使い切りました。
差集め算では個数をそろえることが大切です。この問題では600円のタオルを何本か買う予定でお金を準備しましたが、実際は450円のタオルを予定より5本多く買っています。5本多く買ったタオルを買わなかったことにして、問題を書き換えます。450円のタオルを5本買わなかった場合、代金は450×5=2250円余ります。したがって、次のように【状況1】を書き換えることができます。
【状況1】の書き換え
1本600円のタオルをある本数買う予定で、お金をちょうど持っていきました。ところが、1本450円のタオルを同じ本数買ったため、お金が2250円余りました。
【状況1】で予定していたタオルの本数を求めていきます。1本600円のタオルと450円のタオルの1あたりの差は600-450=150円です。同じ本数(個数)だけ買ったときの全体の差は、600円のタオルをちょうど買うことができるお金を持っていったため2250円であることがわかります。
ここで差集め算の考え方「全体の差÷1あたりの差=個数」を使うと、買う予定だったタオルの本数は2250÷150=15本となります。314ページではこの様子を線分図や面積図で表して説明していますので読んでみましょう。
次に【状況2】を説明します。何人かの子どもにももを配ります。1人に4個ずつ配ると7個余り、6個ずつ配ると5個不足するという問題です。
ここでは「何人かの子どもに」とあるためももを配る子どもの人数(個数)は同じです。1あたりの差は一方では1人に4個ずつ配り、他方では1人に6個ずつ配っているため、6-4=2個となります。また、全体の差は「4個ずつ配ると7個余り、6個ずつ配ると5個不足する」ため、7+5=12個です。
このことから、子どもの人数は12÷2=6人となります。315ページではこのようすを線分図や面積図で表して説明していますので読んでみましょう。
※【状況2】のような、分け方によって生じた余りや不足から、全体の差を見つけ、未知の数量を明らかにする問題を「過不足算」と言います。
「学び3」では差集め算を使ってみましょう。【状況1】【状況2】について、差集め算を考えるときに必要な「1あたりの差」「全体の差」をまとめていきます。
【状況1】
【状況1】では「学び2」の【状況1】と同じように、個数(買ったえんぴつの本数)をそろえていきます。この問題では1本80円のえんぴつを何本か買う予定でお金を準備しましたが、実際は60円のえんぴつを予定より7本多く買っています。7本多く買ったえんぴつを買わなかったことにするとお金は60×7=420円余ります。
(1)1あたりの差
1本80円のえんぴつと1本60円のえんぴつの1あたりの差は80-60=20円となります。
(2)全体の差
80円のえんぴつをちょうど買うことができるお金を持っていったため420円であることがわかります。
(1)(2)より、買う予定だったえんぴつの本数は420÷20=21本であることがわかります。また、用意したお金は80×21=1680円となります。
【状況2】
【状況2】では「学び2」の【状況2】と同じように考えていきます。
(1)1あたりの差
一方では1人に8個ずつ配り、他方では1人に5個ずつ配っているため、8-5=3個となります。
(2)全体の差
8個ずつ配ると12個不足し、5個ずつ配ると15個余るため、12+15=27個です。
(1)(2)より、子どもの人数は27÷3=9人であることがわかります。また、用意したりんごの個数は、5個ずつ配ると15個余ったことから、5×9+15=60個となります。このように、差集め算では個数をそろえることが重要です。個数をそろえることができたら、「1あたりの差」と「全体の差」を考えていくことで、解答を導くことができます。
演習としては318ページから319ページは必修です。考えるときには図を書いて量を調べていきましょう。また、321ページの問1、322ページの問2、323ページの問3、324ページの問4までは必ず練習しましょう。さらに難度の高い問題に挑戦する場合は324ページの問5、325ページの問6、問7に挑戦してみましょう。
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