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第6回は『速さと比(1)』です。速さの基本公式 [速度×時間=距離] において、速度・時間・距離の3要素のうち、どれか1つが一定ならば他の2つの要素は比例または反比例になります。整頓しておきます。
(ア)速度が一定のとき、時間と距離は比例します(時間比と距離比は等しくなります)。
(イ)時間が一定のとき、速度と距離は比例します(速度比と距離比は等しくなります)。
(ウ)距離が一定のとき、速度と時間は反比例します(速度比と時間比は逆比になります)。
このことを使って、速さと比の問題を解いていきます。
なお、メルマガでは分数は、分子/分母の形で表します。
必修例題6や7のように、比の積や商を利用した場合でも、一部に実際数量(速度の数値)を使っているときの計算であれば、結果として実際数量を求めることができます。
速度・時間・距離の3要素のうちの1つが変わらない場合の解法を学習します。
速度が変わらない(一定の)問題です。
AB間の距離16kmとBC間の距離12kmが与えられています。速度が一定ですから、距離比=時間比となります。距離比がAB:BC=16:12=4:3より、時間比もAB:BC=4:3となります。AB間を36分で進みましたので、36÷4×(4+3)=63より、太郎君がC地に着くのは、63分後、つまり、1時間3分後です。
時間が変わらない(一定の)問題です。
(1) 姉が100mを走った時間で、姉が進んだ距離はもちろん100mです。そのとき、妹は100-20=80m進んでいます。時間が一定ですから、速度比=距離比となります。よって、100:80=5:4より、姉と妹の走る速さの比は、5:4です。
(2) 妹が100mを走る時間で、距離比は、姉:妹=5:4ですから、100÷4×5=125より、姉は125mを走れば、妹と同時にゴールすることになります。よって、125-100=25より、姉のスタート地点を、25m後ろに下げればよいことになります。
(家から駅までの)距離が変わらない(一定の)問題です。
毎分90mの速さで歩くとき(ア)と、毎分60mの速さで歩くとき(イ)を考えますと、家から駅まで一定の距離を進むのにかかる時間の比は、速度比の逆比になります。時間比は、ア:イ=1/90:1/60=2:3になります。この時間について、電車の発車時刻の7分前と3分後では、7+3=10分の差となります(ここがポイントです)。時間比ア:イ=2:3の差が10分となっていますので、10÷(3-2)×2=20より、アの速さで歩くときにかかる時間は20分です。よって、9時に家を出て、駅まで20分かかり、駅に着いた時刻の7分後が電車の発車時刻になりますので、9時+20分+7分=9時27分が、電車の発車時刻とわかります。
この「予定よりも早く着く、遅れて着く」のパターンの出題はテストでも頻出です。特に時間の差の算出で間違えないように気をつけてください。また、最後の時刻を求める式で、足し忘れがないように注意しましょう。
前問と同様、(登山口から山頂までの)距離が一定の問題です。
上りと下りの速度比は、1:1.5=2:3です。繰り返しになりますが、距離が一定ですから、速度比と時間比は逆比となりますので、上りと下りの時間比は、1/2:1/3=3:2です。山頂で50分休みましたから、上りと下りにかかった時間の合計は、11時20分-7時-50分=3時間30分=210分です。この問題では、移動している時間の和が210分です(ここがポイントです)。よって、210÷(3+2)×2=84より、下りにかかった時間は84分=1時間24分です。登山口到着の1時間24分前に山頂を出発したことになりますので、11時20分-1時間24分=9時56分より、山頂を出発した時刻は9時56分です。時刻のひき算にも十分に注意しましょう。
問題文より、速度・時間・距離の3要素のうちの、何が一定かを読み取り、残りの2要素の関係が、比例か反比例かを考えて問題を解きます。
距離の比と速度(比を利用してもよい)を使って時間比を求める問題です。このように、距離比÷速度比=時間比など、比の積や商を考える問題も重要です。
(1) 歩いた距離と走った距離の比は、歩き:走り=2/3:(1-2/3)=2:1です。時間(比)=距離(比)÷速度(比) ですから、時間比は、距離比の数を速度で割って求められます。2/60:1/150=5:1より、歩いた時間と走った時間の比は、5:1です。
(2) 家から駅まで行くのにかかった時間は18分です。よって、18分を、5:1に比例配分し、走った時間を表す1を求めます。18÷(5+1)×1=3より、走った時間は3分となります。これより、毎分150m×3分=450mが、走った距離です。歩いた距離と走った距離の比が、歩き:走り=2:1となることを利用して、450÷1×(2+1)=1350より、家から駅までの距離は、1350mです。
距離一定の問題です。
家から図書館までの距離は一定です。このとき、速度比と時間比は、逆比になります。時間比は、歩き:走り=45:20=9:4ですので、速度比は、歩き:走り=1/9:1/4=4:9となります。歩きの速度を4として、時間は45分かかりますので、家から図書館までの距離を、4×45=180とします。ここで、走る速度を9とし、歩く速度を4として、合わせて30分で180の距離を進むことを考えますと、つるかめ算を利用することができます。よって、(180-4×30)÷(9-4)=12より、走る時間は12分です。
比を利用して平均速度を求める問題です。
(1) 距離が一定ですから、速度比と時間比は逆比になります。時間比は、行き:帰り=1/4:1/12=3:1となります。行きの時速4kmに時間の3をかけて、距離を4×3=12とします。平均速度=距離合計÷時間合計ですから、12×2÷(3+1)=6より、平均速度は、時速6kmです。「平均だから(4+12)÷2」とはなりませんので注意してください。
(2) AB間にかかる時間とBC間にかかる時間の比は、距離(比)÷速度(比)=時間(比) の関係より、AB:BC=2/36:3/90=5:3です。よって、距離合計=36×5+90×3=450で、時間合計=5+3=8となりますので、450÷8=56.25より、平均速度は、分速56.25mです。
第6回は『割合の表し方』です。
たとえば、「10の3倍は30」という文章において、10を「もとにする量」、3倍を「割合」、30を「くらべる量」とします。言葉を使って式にすると、(もとにする量)×(割合)=(くらべる量)となります。文章を読む場合、「AのBはCです」という形(式にすると、A×B=C)に整頓し直して考えるとよいです。この場合、もとにする量=A、割合=B、くらべる量=Cとなります。特に、「Aの~」と「の」がついた部分がもとにする量となることに注意しましょう。
また、問題文の中で、もとにする量、割合、くらべる量がどの値かを正確につかめるように、まずは問題文をよく読んで、割合の文章に慣れることが大事です。予習シリーズ各例題の解き方にある線分図を、理解のための参考にしてください。メルマガでは、分数は、分子/分母の形で表すことにします。
割合の問題は、小学算数の中心となる分野で、今後の算数の中で、文章題はもちろん、図形問題でも使うことになります。
今回の内容をきちんと理解し、また問題文で、何が、(もとにする量)、(割合)、(くらべる量)となるのかを正確に読み取れるようにしましょう。
まずは、〇倍を求める問題です。この〇倍の考え方は、割合の考え方と同じです。
兄の体重が50㎏、弟の体重が20㎏であるときに、体重を比べる問題です。
(1) 弟の体重をもとにして、兄の体重をくらべます。20×□=50 となりますので、□=50÷20=2.5 より、兄の体重は、弟の体重の2.5倍です。
(2) 兄の体重をもとにして、弟の体重をくらべます。50×□=20 となりますので、□=20÷50=0.4 より、弟の体重は、兄の体重の0.4倍です。
割合について学習します。
割合の第1用法となる問題です。
はじめに説明しましたように、(もとにする量)×(割合)=(くらべる量)ですから、ここでは、(割合)=(くらべる量)÷(もとにする量)を計算します。
(1) 定員の300人が「もとにする量」、乗客の360人が「くらべる量」です。360÷300=1.2 より、割合は1.2(倍) です。
(2) 全体の人数45人が「もとにする量」、男子の25人が「くらべる量」です。25÷45=5/9 より、割合は5/9(倍) です。
以上のように、割合を表す数は、整数、分数、小数のいずれでもかまいません。ただし、分数の場合は約分を忘れないようにしましょう。
割合の第2用法となる問題です。(くらべる量)=(もとにする量)÷(割合)を計算します。
(1) 「昨年のねだんの1.6倍は今年のねだん」と読み直せますので、(もとにする量)=昨年のねだん、(割合)=1.6、(くらべる量)=今年のねだん です。今年のねだんを□円として式にすると、750×1.6=□となります。□=1200ですから、今年のねだんは1200円です。
(2) 「太郎君の年令はお父さんの年令の2/7です。」を「お父さんの年令の2/7は太郎君の年令です。」と読み直すと、(もとにする量)=お父さんの年令、(割合)=2/7、(くらべる量)=太郎君の年令となります。太郎君の年令を□才として式にすると、42×2/7=□となります。□=12ですから、太郎君の年令は12才です。
割合の第3用法となる問題です。(もとにする量)=(くらべる量)÷(割合)を計算します。
(1) 「クラス全体の人数の2/9が(欠席した)8人」ということになりますので、(もとにする量)=クラス全体の人数、(割合)=2/9、(くらべる量)=8となります。クラス全体の人数を□人として式にすると、□×2/9=8と整頓できます。逆算して、□=8÷2/9=36より、クラスの人数は36人です。
(2) 所持金の残り300円が、はじめの所持金のどのくらいかを考えるところからはじめます。はじめの所持金を1として、本を買うのに5/7を使いましたので、残りは、1-5/7=2/7 です。これが、300円に対する割合になります。(もとにする量)=はじめの所持金、(割合)=2/7、(くらべる量)=残りの300円となります。はじめの所持金を□円として式にすると、□×2/7=300 と整頓できます。逆算して、□=300÷2/7=1050 より、はじめの所持金は1050円です。
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