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第3回は『平面図形と比-辺の比と面積比- 』です。はじめに、高さの等しい2つの三角形や四角形(台形・平行四辺形など)について、底辺の長さと面積の関係を学習します。各図形の面積を求める公式から、高さの等しい2つの図形の面積の比は、それぞれの図形の底辺の長さと関係します。代表として、2つの三角形では、底辺比=面積比となります。次に、高さと底辺のそれぞれが比で与えられた場合の面積比を学習します。なおメルマガでは、分数は、分子/分母の形で表示します。
今回は、かなり高度な内容です。また、今後の平面図形に応用していきます。例題の内容をきちんと理解し、基本問題のレベルをしっかり身につけましょう。
高さが等しい図形の面積について学習します。
三角形と四角形において、辺の比と面積の比の関係を考えます。
(1) 平行四辺形の中にできた高さの等しい、三角形アと台形イの面積の比を求める問題です。三角形と台形の面積公式から、高さが等しい場合には、(三角形の底辺の長さ):(台形の(上底+下底)の長さ)が、面積比となります。三角形アの底辺は8cmで、台形イの上底+下底は、10+(10-8)=12cmです。よって、面積比 ア:イ=8:12=2:3です。
(2) 台形の中にできた高さの等しい、三角形ウと平行四辺形エについて、面積から辺の長さの比を考える問題です。平行四辺形は1本の対角線によって、高さも底辺も等しい2つの三角形に分けることができます。そこで、(図2)は、三角形ウ、三角形エの1、三角形エの2として、面積は、15平方cm、(18÷2=)9平方cm、9平方cmとなり、底辺の長さの比は、15:9:9=5:3:3です。よって、AD:BC=3:(5+3)=3:8です。
2つの三角形において、底辺の比と高さの比が与えられた場合の面積比を学習します。予習シリーズ31ページの説明をよく読んで理解しましょう。基本的には、比の積と商を利用して、面積比=底辺比×高さ比となります。
長方形ABCDの中に2本の直線を引いて、面積が8平方cmの三角形EBF(三角形アとします)と、9平方cmの三角形DFC(三角形イとします)があります。
(1) 2つの三角形において、(底辺・高さ)は、三角形アが(BF・EB)、三角形イが、(FC・DC)です。AE:EB=1:2より、アの高さをEB=2とすると、イの高さDCは、DC=AB=1+2=3です。また、面積の比は、ア:イ=8:9です。底辺比=面積比÷高さ比ですので、(8÷2):(9÷3)=4:3より、BF:FC=4:3です。
(2) 長方形を直線DFで、台形ABFDと三角形DFC(三角形イ)に分けて面積を考えます。BF:FC=4:3より、AD=BC=4+3=7ですので、面積比は、(台形の(上底+下底)): (イの底辺)ですから、(7+4):3=11:3となります。このことから、三角形イの面積を3とすると、長方形の面積は11+3=14です。よって、9平方cm÷3×14=42 より、長方形の面積は42平方cmです。
1つの角を共有する三角形の面積比を考えます。予習シリーズ33ページの説明をよく読んできちんと理解しましょう。この考えを習得しておくと、6年生になってからも面積の問題が圧倒的に解きやすくなります。結論としては、共通の角をはさむ片方の辺の長さの比を底辺比とし、もう一方の辺の長さの比を高さ比と考え、面積比を求めます。
三角形の3つの辺をそれぞれ2つに分けた3つの点を頂点にもつ三角形ともとの三角形の面積の関係を考える問題です。解き方が2通りあります。なお、予習シリーズ34ページの解き方にある図を参照して、三角形のABCの内部の4つの三角形をア、イ、ウ、エとして説明に使います。
《解法1 割合による解き方》
(1) 角Aを共通の角とする、アと三角形ABCにおいて、底辺は、AD/AB=1/(1+2)=1/3、高さは、AF/AC=1/(1+1)=1/2となりますので、面積は、ア/三角形ABC=1/3×1/2=1/6です。よって、1/6は、1:6ですから、三角形ADFと三角形ABCの面積比は、1:6です。
(2) エは、三角形ABCからア、イ、ウを引いて求めます。(1)と同様に、イ/三角形ABC=2/(2+3)×2/(2+1)=4/15、ウ/三角形ABC=1/(1+1)×3/(2+3)=3/10 です。よって、エは、1-1/6 -4/15-3/10=4/15ですので、三角形DEFと三角形ABCの面積比は、4:15です。
《解法2 比の積による解き方》
(1) 角Aを共通の角とするアと三角形ABCにおいて、底辺比は、AD:AB=1:(1+2)=1:3、高さ比は、AF:AC=1:(1+1)=1:2です。よって、面積比=(AD×AF):(AB×AC)=(1×1):(3×2)=1:6となりますので、 、三角形ADFと三角形ABCの面積比は、1:6です。
(2) 解法1の(2)を部分的に使います。面積比は、ア:三角形ABC=1:6、イ:三角形ABC=(2×2):(5×3)=4:15、ウ:三角形ABC=(1×3):(2×5)=3:10です。三角形ABCの面積を、6と15と10の最小公倍数である30にして統一すると、ア:イ:ウ:三角形ABC=5:8:9:30となりますので、エ=30-5-8-9=8となります。よって、8:30=4:15 より、三角形DEFと三角形ABCの面積比は、4:15です。
1つの角を共有する三角形の面積から、辺の比を求める問題です。条件より、三角形EDCの面積は8平方cmで、三角形ABCの面積は、20+8=28平方cmです。角Cが共通の三角形ですので、面積比は、三角形ABC:三角形EDC=(AC×BC):(EC×DC)で、28:8=7:2になります。BC=1+4=5、DC=4から、AC×5=7 、EC×4=2となりますので、AC=7/5、EC=2/4=1/2です。よって、AE:EC=(7/5-1/2):1/2=9:5です。
共有する角を持たない図形の面積を考えます。予習シリーズ36ページの枠内の説明をよく読んで理解しましょう。特に直線上で接する (和が180度になる) 角を持つ図形を使えるようにしましょう。
三角形ABCの各辺を延長した線上の点D、E、Fを結んでできた三角形について考えます。予習シリーズ37ページの解き方にある三角形の図を参照してください。説明の上で、各三角形につけたア、イ、ウ、エの名や、線の長さの比を利用します。
(1) ア(三角形ABC)とイ(三角形BDE)は、直線AD上で、頂点Bを共有しています。アとイの底辺はAB:BD=2:3で、高さはBC:BE=1:(1+2)=1:3と考えることができます。よって、面積比=(AB×BC):(BD×BE)=(2×1):(3×3)=2:9より、三角形ABCと三角形BDEの面積比は、2:9です。
(2) 同様に、アとウは、面積比= (BC×AC):(CE×FC)=(1×1):{2×(3+1)}=1:8です。アとエは、面積比=(CA×AB):(AF×AD)=(1×2):{3×(2+3)}=2:15です。アを2として、比を統一すると、ア:イ:ウ:エ=2:9:16:15となりますので、ア:(ア+イ+ウ+エ)=2:(2+9+16+15)=2:42=1:21より、三角形ABCと三角形DEFの面積比は、1:21です。
第3回は『円と正多角形』です。円についての用語や円の性質を学習します。予習シリーズのそれぞれの説明をしっかり理解して覚えましょう。今回は,円の性質を利用して、円の中にかかれた三角形や正多角形の角度を求める問題を考えます。
円の内部の角度を考える場合、半径が等しいことを利用して、二等辺三角形や正三角形を考えると、解ける問題が多いです。二等辺三角形を見つけたり、半径を補助線として二等辺三角形を作ることを身につけましょう。
円の直径と半径の関係を考えます。
円の半径と直径の関係から長さを求める問題です。半径の長さ×2=直径の長さ という基本を使います。
BCは小さい円の直径で、半径が3cmですから、直径であるBC=3×2=6cmです。ACは大きい円の直径で、その長さは、4+6=10㎝です。よって、10÷2=5 より、大円の半径は5cmです。
円周上の点を使った三角形や四角形について、角度を考えます。
円の中にある、半径を使った三角形の内角の1つの大きさを求める問題です。円の半径は、すべて同じ長さですから、2つの半径を使った三角形は二等辺三角形です。そこで、半径(等しい長さ)の線の足もとの角(この角を底角といいます)は2つとも42°です。よって、角アの大きさは、三角形の内角の和である180°から、42°を2つ引いた大きさです。180-42×2=96より、角アは、96°です。
円の中にある四角形の内角の1つの大きさを求める問題です。予習シリーズ28ページにある解き方の図を参照してください。四角形の点O以外の3つの頂点に、74°の角から左回り(反時計回りに)、A、B、Cと名前をつけます。OAを結ぶと、三角形OABと三角形OBCに分かれます。どちらも二等辺三角形です。この二等辺三角形を作ることがポイントです。三角形OABは、底角が74度の二等辺三角形ですから、角AOB=180-74×2=32°です。そこで、三角形OBCの角BOCは、110-32=78°となります。よって、三角形OBCで、(180-78)÷2=51 より、角アの大きさは、51度です。
円と正多角形について学習します。予習シリーズ29ページの説明をよく読みましょう。
円の中にある正多角形に関する問題です。正多角形とは辺の長さやそれぞれの内角の大きさがすべて等しい図形をいいます。予習シリーズ30ページの解き方にある図を参照してください。円周を5等分する点と、円の中心を結ぶ半径によって、中心のまわりの角360°は、5等分されます。よって、360÷5=72 より、角アは72°です。
また、正五角形と5つの半径によって、5つの、形も大きさも同じ二等辺三角形ができます。角アは、この1つの二等辺三角形の角ですので、残りの底角2つの和は、180-72=108°となりますが、となりの二等辺三角形も同様ですから、となり合う二等辺三角形のとなり合う底角の合計は108°です。そして、この角は、正五角形の内角の1つです。
よって、角イは108°です。また、問題図の角イ、ウをふくむ三角形は、二等辺三角形で、角ウは底角の1つですから、(180-108)÷2=36より、角ウは36°です。
線対称・点対称の問題です。予習シリーズ31ページ例題前の説明をきちんと読んで、解いてみましょう。解説は省略します。なお、予習シリーズ28ページにある、かこみの中の説明は、今後も利用できる内容ですので理解しておきましょう。結果的には、直径を1辺として、円の内側に接した三角形を作ると、直径に向かい合っている角の大きさは、円周上の点がどこにあっても、必ず直角(90°)になります。
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