No.1255 歴史嫌いな中学受験生の歴史好きスイッチを押す勉強法

 小学5年生は9月から塾の社会の授業で歴史が始まり、3ヶ月ほど経ちますが、お子さんの様子はいかがでしょうか。そろそろ歴史に対する得意、不得意がはっきりと出てきているのではないでしょうか。

 今回は、歴史が苦手分野になってしまいそうというお子様向けに、どうすれば歴史の苦手意識を払拭し、少しでも楽に歴史の勉強ができるのか、そのコツについて考えてみたいと思います。

歴史は『興味が持てるか、持てないか』というこの一点が、学習の成果に大きく影響する科目です。

 歴史に興味が持てる子は、人物やできごと、用語を暗記するにしても興味があり、それらに「イメージ」、「意味」、「流れ」、「つながり」を感じることができるので、比較的楽に覚えることが出来ます。

 一方、歴史に興味が持てない子は、授業を聞いていてもなかなか面白みを感じることが出来ません。人物やできごと、用語を暗記するにしても、「イメージ」、「意味」、「流れ」、「つながり」を感じることが出来ず、暗記がとても苦痛な作業になってしまいます。結果、歴史の勉強をどんどん後回しにしてしまい、時間が足りなくなり、テスト範囲を覚えきれないままにテストに突入してしまうということもあるのではないでしょうか。

 それでは、どうすれば歴史に興味を持ってくれるのでしょうか。「興味を持ってね!」と言ったところで効き目はないことは明白でしょう。

 そこでお勧めしたいのが、『ボカロで覚える中学歴史 (MUSIC STUDY PROJECT) 』(学研プラス)というテキストです。

amazon『ボカロで覚える中学歴史 (MUSIC STUDY PROJECT) 』(学研プラス)

 書店に行けば、歴史だけでなく他の科目もたくさん置いてある人気シリーズです。
 人気シリーズではあるのですが、中学生向け、高校生向けのテキストであるため、中学受験生の親御様が手に取らないことも多いようです。

 今回ご紹介するテキストも、「中学歴史」であり中学生向けのテキストではあるのですが、歴史が苦手な中学受験生にもぴったりな内容なのです。

 このテキストでは、歴史の重要ポイントが歌詞にふんだんに盛り込まれた曲が10曲収録されていて、それをボーカロイドが歌っています。
※ボーカロイド・・・コンピュータで歌声を作り出すソフトウェア。このテキストでは初音ミクなどのボーカロイドが歌っています。

 歌声自体は大人が聞くと、最初何を言っているかわからないくらい聞き取りづらく、曲のスピードも速いのですが、子供はあまり抵抗なく聞き取っているようです。逆にこの聞き取りづらさ、速さが子供の集中力を引き出しているように感じます。

 スマホに「AReader」というAR(拡張現実)アプリをダウンロードして、各曲についている「カザシテ再生」という専用のマーカーにかざすと、ボーカロイドの曲とともに動画が再生されます(音楽CDもついています)。

 この動画では、歴史上の人物や、できごとの名称などが印象的に出てきますので、音楽とともにこの映像を何度も見ていると、今までよりもグッと歴史上の人物やできごとがイメージとして頭に残ります。そうすると、無味乾燥な対象を暗記しなければいけないという状態から、暗記対象に「イメージ」、「意味」、「流れ」、「つながり」を感じながら学習を進めることができるようになります。

 昔のCMソングを聞くと、10年、20年前のものでもスラスラと歌詞が出てくる、懐かしい音楽を聴くと、その曲を聴いていた当時の記憶が鮮やかに浮かび上がる、などの経験は皆さんお持ちだと思います。音楽や映像と一緒に覚えるということは、楽に、深く記憶に刻む作用があるのでしょう。

 さらにこのテキストでは、ざっくりと歴史の流れを把握することができます。

 まず1曲目が「古代から現代まで」をダイジェストにした曲になっていますので、まずこの1曲だけでも、ざっくりと歴史の流れを把握することが出来ます。

そして、2曲目からは以下のような時代の曲が並びます。

2曲目・・・旧石器時代から古墳時代
3曲目・・・奈良から平安時代
4曲目・・・平安から鎌倉時代
5曲目・・・大航海時代(近世ヨーロッパ)←この曲は参考程度に聞いておけばいいでしょう。
6曲目・・・安土桃山時代
7曲目・・・江戸時代
8曲目・・・明治時代
9曲目・・・大正時代
10曲目・・・古代から現代の人物

という具合になっていて、何度も順番に曲を聴いて曲順をなんとなく覚えるだけで、自然と歴史の流れも覚えてしまうでしょう。

 これを、塾の行き帰りで聞いたり、スキマ時間を利用して親子で一緒に歌ったりしながら楽しく聞いているだけで、塾の小テストなどで、「曲で覚えたことがテストで出たよ!」ということがちょこちょこと出てくると思います。または、曲に出てくる用語が、塾のテキストの練習問題や、テストに必ず出ているはずですので、それらを切り貼りするなどして、「曲を聴いて覚えていれば絶対に正解できるテスト」を自作して、お子さんに解いてみてもらいましょう。解いてみて高得点が取れれば、「これは実際に塾のテキスト、テストに出ていた問題だけど、曲を聴いて覚えただけで正解できたね!」と伝えてあげましょう(曲で覚えた場合、漢字が書けない場合があると思いますが、ここでは歴史に興味を持ってもらう、苦手意識を払拭してもらうのが目的なので、この時点では漢字が書けてなくてもOKとしてあげてもいいと思います。もちろん、最終的には漢字で書けるようにしようね。ということは伝えましょう)。

 そうすると楽に覚えてテストで点が取れた!という経験出来て、歴史の勉強ってそんなに悪くないかも、と徐々に歴史に興味を持つ好循環に入ることが出来るのではないでしょうか。

 せっかく勉強するなら興味を持って楽しくやりたいですよね。親子でいろいろと工夫をしながら受験勉強を乗り切りましょう!

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