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5年生の今頃になると、よく「どうも図形が苦手で…」といった悩みを持つお子さんが増えてきます。そこで今回は、「図形が苦手」にならないために、この冬の間に何をやっておけばよいのか、何をやれるのかを考えてみたいと思います。
【「図形的センス」以前にできることがある】
よく「図形的センス」ということが論点になります。「うちの子は図形のセンスがないようで…」などという言い方がされるわけですが、これは正しいことなのでしょうか?
確かに、最難関中学の入試問題を中心に、一部には「こんな切り口があるのか!」と受験のプロでも感心してしまうようなユニークな問題というものは存在します。これらを解く際には、ある程度の「センス」がなければなかなか正しい解法にたどり着かないものです。しかし、その他の大部分の問題(大雑把に言って8割から9割程度でしょうか)については、決して「センス」の問題ではないと言い切れます。そのほとんどは、多くの受験生にとって「前に見たことのある問題」なのです。このような問題を入試本番で解けるようになるためには、塾等での日々の授業をしっかりと聞き、わからないことは逐一質問していく。という、極めて基本的な姿勢が大切です。まずはこのような問題をしっかりと解けるようにすることが先決であり、それがほぼ完成してから、初めて「センス」を問題にするべきだと考えます。
【意外と身についていない基本知識・基本作業】
何事も基本が大切であるのは言うまでもありませんが、図形問題は基本知識の有無が特に大きく響いてくる分野です。そしてまた、これら基本知識がきちんと身についていない生徒が多い分野でもあります。以下に、ありがちな「基本知識(作業)の不足」の例を挙げてみました。皆さんもどうぞチェックしてみてください。
[1]立方体、直方体(四角柱)、三角柱、円柱、四角すい、三角すい、円すいなどのポピュラーな立体について、ある程度リアルに見える図が手書きで手早く書けますか?
[2]円すいの基本公式である「半径/母線=中心角/360°」がちゃんと利用できますか?(そもそも円すいの側面積をよどみなく求められますか?)
[3]三角形の辺の長さと面積の関係について、「高さが共通、したがって底辺の長さの比=面積比」と、「相似、したがって辺の長さの比の二乗=面積比」が、迷わずに区別でき、活用できていますか?
まずは[1]についてです。これをきちんとできている人はびっくりするほど少ないです。これから6年生になると、立方体を斜めに切断するような問題が出てきます。それを解く際に、そもそも自分で立方体の図をある程度リアルに書くことができなくて、その切断面を正確に把握することができるでしょうか?
対策は単純です。保護者の方がお手本を書いてあげて、それをなぞらせてみましょう。その際、「奥にあるから見えない線」については点線で書かせてみてください。お手本をなぞることを十数回繰り返せば、まずまずリアリティのある立体図形が書けるようになるはずです。
次に[2]についてです。公式を単純に丸暗記することはそう難しくありませんが、この公式を理解し使いこなせている生徒は、意外なほど少ないものです。
たとえば、「母線が10cm、底面の半径が6cmの円すいの側面について、このおうぎ形は何分の何周のおうぎ形ですか?」という問題を出したとします。そうすると、例の公式にあてはめて、「360°×6/10で中心角が216°だ。ということは216/360だから、約分して3/5周だ。」と求めていませんか?これでは公式を理解しているとは言い難いです。正しい考え方は、「6/10を約分して3/5周だ。」です。つまり、「『半径/母線』という式は、ただ単におうぎ形の中心角を求めるためにあるのではなく、おうぎ形が何分の何周なのかをもあらわしているのだ」ということを理解しているのかどうかということです。そもそも、円すいの体積や側面積を求める問題を苦手にしているようだと、受験を迎えるにあたってはあまりにも大きな不安要素となってしまいます。
円すいにまつわる様々な公式や解き方は、別にそれほど難しいものではありません。ただ塾では、授業時間やカリキュラムの都合で「サラッと」流されてしまい、ちゃんと理解できないままになっているだけです。時間をかければ必ずきちんと理解できる程度の問題がほとんどです。この冬に時間を作って、一度じっくりとお子さんの解き方をチェックし、今のうちに修正・補強しておいてください。(もちろん余裕があれば、円すいを含めて、円柱、四角柱、三角柱、四角すい、三角すいの体積を正しく求められているかもチェックしてみてください。)
最後に[3]についてです。辺の長さと面積の関係の問題というのは、基本的なものから応用問題まで幅広く出題されています。基本的なものだと、入試問題の2あたりで出てきますので、絶対に正解したいものです。しかし、これが解けない生徒がとても多いのです。また、いわゆる「ピラミッド型」と言われる相似形については、それが相似だと気づいても、相似比を正しく求められないケースが多く見受けられます。ここに不安を抱えたままでは、入試を迎えるにあたって大きな弱点となってしまいます。これも受験学年を迎える前に、どこかで時間をとってチェックしておきたいところです。
【まとめと次回予告】
図形が苦手だという受験生は確かに多いのですが、その中で「できることはちゃんとやってみたのだが、それでもなおセンス不足のために図形が克服できていない。」という人は非常に少ないのが現状です。我々から見ると、「あ、なるほど。こういった基本知識の数々がぐらついているのか。だから点に結びつかないんだな。」というケースがほとんどなのです。その中で、その「ぐらついている基本知識」をできるだけ具体的に示し、今後の学習の一助になればと思っています。 次回は「後編」として、さらに具体例を示してまいります。さらに、「これは基本さえ身についていれば概ね解けるようになる。」という分野についても例示していく予定です。
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