予習シリーズ国語の効果的な利用法

今回は中学受験においては定評のあるテキスト「予習シリーズ国語」についてそのメリット・デメリット、効果的な利用の仕方をお話ししたいと思います。

【1】バランスが良い

国語の文章題の設問形式には、(1)接続詞、副詞の空欄補充、(2)記号選択、(3)書き抜き、(4)記述等があります。予習シリーズは各回、文章題2題構成、小問数は文章題1題につき8〜12程度で多くの学校の入試問題と同様のものであり、上記の設問形式が偏ることなくバランス良く配置されています。

ここ十年来、受験生の思考過程を見たいということからか、入試問題においても記述問題の出題数が増えていますが、予習シリーズの記述問題は30字程度の短めのものから50字程度のもの、更に80字超の長めのものなど現実の入試問題に多く見られる字数指定になっています。また、文章の長さ、設問の難易度も極端なものではなく、標準的な入試問題レベルといえます。

【2】解説が詳しい

予習シリーズを出版している四谷大塚はもともと自学自習ということを理念としており、そのために予習シリーズの解説も他塾テキストに比べて格段に詳しいものになっています。また、各回の冒頭にはその回の学習の課題として文章読解の具体的な指針が述べられており、いかなる点に留意して読解をしていけばよいのか学べるようになっています。

一例として「予習シリーズ6年上 第4回 物語・小説(2) P37」をあげてみましょう。ここでは登場人物の心情読解について具体的な手順が説明されています。

登場人物の心情は(1)できごと・事件 (2)心の動き (3)表情、動作、態度、言動という因果関係で結びついており、この一連の過程が図を使ってわかりやすく説明されています。

また、山場となる場面における登場人物の心情がその作品のテーマ(主題)となっていることも説明されています。これらの点を意識することにより、合理的な思考過程を経て問題を解いていくことが可能となります。

ですから、心情読解の問題で行き詰まりを感じた場合には、自身の心情読解の過程に何かしら不合理なところがあるのではないかと疑い、もう一度、このページにもどって学習してみるのがよいでしょう。

四谷大塚や提携塾に通っている皆さんは塾の授業で予習シリーズを使用していると思います。授業中に正答の根拠を含め、全てを学習し身につけることは、現実にはなかなか難しいことです。

授業中に間違えた問題、わからなかった問題には印を付けておき、家庭での復習はそれらの問題に限定し、解説を参照しながら理解を深めていくのが良いでしょう。

【3】バランスの良さは欠点にもなる

予習シリーズは上記のようにあらゆる点でバランスのとれているところにその長所がありますがこれは志望校の出題傾向によっては逆に欠点にもなります。

開成、麻布、武蔵、桜蔭等、極端に記述問題を重視している学校においては予習シリーズだけでは明らかにトレーニング不足です。書き抜き、選択肢等の問題は細部の読解ができれば正解を出すことができますが、記述問題の場合には細部の読解に加えて的確に表現する力が必要になります。

これには練習が必要です。書かなければ、なかなか書けるようにはなりません。ですから記述問題に偏った出題をする学校を志望している皆さんは夏前から過去問の学習に取り組み、読解したことを的確に表現していくトレーニングを数多く積んでいくのが良いでしょう。

予習シリーズの欠点は過去問学習に早めに取り組むことで克服できます。また、他教科が比較的得意で国語に多くの時間を費やせる場合には、記述問題を多く出題する、似たような傾向の学校の過去問を解いてみると効果的です。例えば麻布と武蔵などは文章の種類、長さ、記述重視という点で非常によく似ています。

近年、サピックスが最難関校の合格実績でめざましい成果をあげていますが、これは主教材である「デイリーサピックスB」が長文、記述問題に偏重した構成になっていることもその一因としてあげられると思います。

逆に日能研の「本科教室」「栄冠への道」は長めの記述問題の数がやや少ないという印象を受けます。 日能研にお通いの皆さんは5年生くらいの早い時期から「予習シリーズ」「演習問題集」等の四谷大塚教材を利用し、記述問題のトレーニングをしておくと効果的です。

記述問題の部分に限定してこれらの教材を使って補うようにすれば、他教科の学習時間に影響するような大きな負担とはならないでしょう。

われわれ中学受験鉄人会のプロ家庭教師は、常に100%合格を胸に日々研鑽しております。ぜひ、大切なお子さんの合格の為にプロ家庭教師をご指名ください!

メールマガジン登録は無料です!

頑張っている中学受験生のみなさんが、志望中学に合格することだけを考えて、一通一通、魂を込めて書いています。ぜひご登録ください!メールアドレスの入力のみで無料でご登録頂けます!

ぜひクラスアップを実現してください。応援しています!

ページのトップへ