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6月11日より、いよいよサッカーワールドカップ南アフリカ大会が幕を開けます。今回の予選の組み合わせを見てみると、中学受験的に注目すべきグループがありました。「グループG」です。このグループは「ブラジル・北朝鮮・コートジボワール・ポルトガル」と、サッカー好きの方々からすれば何とも豪華な組み合わせと思われるところだと思いますが、実はこのグループGは、中学受験の観点からも注目必至の組み合わせになっているのです。最近のニュースで取り上げられる北朝鮮だけでなく、外交や歴史の点で、日本との関係が非常に深い国々がこのグループには集まっています。そこで今回は、ワールドカップ南アフリカ大会、予選グループG組を研究します。
(文中のFIFAランキングは最新2010年5月26日時点のものです。)
※データ、貿易統計は全て『2010 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)によるものです。
公用語:ポルトガル語 首都:ブラジリア 通貨:レアル
面積:8,511,965平方㎞(世界5位) 人口:193,734,000人(世界5位)
携帯電話契約者数:15,064万人(人口比78.5%)
北部を流れるアマゾン川が世界で最も流域面積が広いことをおさえておきましょう。合わせて世界最長がアフリカ大陸を流れるナイル川であることも参考としておいて下さい。
理科にも関連する内容ですが、トウモロコシやサトウキビを原料としてつくられる燃料である「バイオエタノール」は、再生可能な自然エネルギーであることと、燃焼しても大気中のCO2が増えない点から、新たなエネルギー源として注目を浴びています。ブラジルではおもにサトウキビを原料としてバイオエタノールがさかんに生産されています。
1908年に日本からの第1回移民船「笠戸丸」が神戸から出港し、ブラジルのサントス港に到着。当初はコーヒー農園に集団のかたちで雇われていましたが、第2次世界大戦後は工業化にともなって様々なかたちでの移住が行われました。現在、世代は6世代目となり、130万人以上ともいわれる日系ブラジル人がブラジル社会の農業、経済、教育、政治などさまざまな分野で活躍しています。
「平成21年度 浅野中」、「平成21年度 田園調布学園中 第1回」
公用語:朝鮮語 首都:平壌 通貨:北朝鮮ウォン
面積:120,540平方㎞(世界97位) 人口:23,906,000人(世界48位)
携帯電話契約者数:4.8万人(人口比0.2%)
北朝鮮に限定せず「朝鮮半島」とした場合には、稲作や青銅器・鉄器をつくる技術といった文化の礎が朝鮮半島から伝わったことに始まり、戦争時に日本の朝鮮半島支配が進んだことなど、古代から現代まで日本と朝鮮半島、その後の北朝鮮とは非常に深い関係を持って来ました。入試問題ではその中のどの部分が出題されるかは全く限定できませんので、日本と朝鮮半島の間の文化的・政治的な関係史は通史として学習しておきましょう。特に北朝鮮としての限定であれば、1950年の朝鮮戦争から後について徹底的に注意です。
ここ数年の時事問題としては決して欠かすことのできないテーマです。まずは参加国、成立の背景・目的など基本的な中身について昨年の時事問題集や塾のテキストなどで確実におさえておきましょう。
「平成22年度 頌栄女子学院中 第2回」、「平成17年度 成蹊中 第1回」
「平成14年度 青山学院中」
公用語:フランス語 首都:ヤムスクロ 通貨:CFAフラン
面積:322,460平方㎞(世界67位) 人口:21,750,000人(世界57位)
携帯電話契約者数:1,045万人(人口比51%)
※コートジボワールだけに限定すると、情報がかなり限定されてしまうので、ここでは「アフリカ全体」という観点でお伝えします。開催地としても注意が必要です。
アフリカでは未だ多くの国々が発展途上国で、紛争や飢餓に苦しんでいる地域が多くあります。その背景として、かつてのヨーロッパ諸国による植民地化が民族の居住区域を無視して行われたために、一つの国に複数の民族が居住することから、民族対立が絶えず行われている点があることは理解しておきましょう。そのことはアフリカの国境線の多くが直線になっていることにもつながります。
アフリカに限らず、アジア、中南米などの発展途上国から先進国への輸出品が、適正な価格で継続的に購入することを通じて、途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す運動のことを指します。不当に安い価格で買い叩かれることで、賃金が上がらないままでいる労働者や、児童労働などが発生することを防ぐ目的があります。コーヒーやバナナ、カカオのような食品、手工芸品などの品目で施行されます。こうした運動があること、その目的が何かを問われることがありますので、注意しておきましょう。
アフリカ大陸南東部のタンザニアからザンビアをへてボツワナへ抜ける一帯の通称です。この一帯は植民地時代から銅の産地として知られていましたが、現在ではタンザニアの金、ザンビアの銅、ボツワナのダイヤモンドがいずれも世界で高いシェアを誇っています。そうした資源の開発ラッシュがこの一帯で起きています。これまでの欧米諸国に加えて、中国・インドといった新興国の巨大資本が資源をコントロールする、「新たな植民地主義」とも言える状況が続いてきました。そこで「資源回廊」では、住民たちが自ら動いて、ネットを駆使して、資源を持つ側、売り手としての力を行使し始めているのです。国としての自立をかけた、新たな動きとして注目する必要があります。
「平成20年度 鴎友学園女子中 第2次」、「平成21年度 神奈川大附属中 A日程」
公用語:ポルトガル語 首都:リスボン 通貨:ユーロ
面積:92,391平方㎞(世界109位) 人口:10,707,000人(世界75位)携帯電話契約者数:1,491万人(人口比140%)
1543年にポルトガル船が種子島に漂着したことをきっかけに、日本ではポルトガル、スペインとの貿易が始まり、江戸時代の鎖国体制まで続きました。この貿易でもたらされた中国の生糸や鉄砲・火薬といった品目や、キリスト教宣教師の布教活動と一体化していた点、織田信長や豊臣秀吉がこの貿易を推奨した背景などは必須事項ですので、確実におさえておいて下さい。頻出項目です。
位置的には北大西洋に面していますが、地中海性気候に属し、気候を活かしたオリーブ・コルクの生産が盛んです。世界遺産は国内に13を有しています。スタジオジブリの映画『魔女の宅急便』の舞台は、ヨーロッパの様々な都市がモデルになっていますが、ポルトガルの首都リスボンもそのひとつと言われています。南蛮貿易の頃から日本と文化交流があったことは、カステラ・パン・ボタンなどの外来語がポルトガル語から来ていることに現れています。
「平成18年度 大妻中 第2回」、「平成20年度 桐蔭学園中 第2回」
最後にひとつ問題をお出しします。以下のAからDの四つの国について、日本との貿易品目とその割合を示しますので、どの国が上記のブラジル・北朝鮮・コートジボワール・ポルトガルに当てはまるか、考えてみて下さい(輸出は日本から、輸入は日本へ、です)。
輸出54億1,868万円:鉄鋼31.0%・合成繊維短繊維10.3%・タイヤ類9.6%・乗用車8.9%・一般機械7.5%
輸入16億2,211万円:カカオバター83.2%・カカオ豆11.6%・ココアペースト2.3%・木製装飾品0.9%・パイナップル0.5%
輸出6,132億円:一般機械32.7%・電気機器14.2%・自動車部品13.3%・乗用車6.2%・オートバイ5.8%
輸入9,433億円:鉄鉱石47.9%・鶏肉13.5%・アルミニウムと同合金6.7%・鉄鋼5.7%・大豆3.9%
輸出7億9,258万円:自動車11.0%・電気機器8.7%・一般機械8.6%・プラスチック製品6.9%・鉄鋼5.8%
輸入 ※制裁措置により全貨物の輸入は禁止されています。
輸出794億円:一般機械23.4%・乗用車24.0%・自動車部品13.1%・電気機器11.2%・バスとトラック9.2%
輸入229億円:衣類と同付属品17.3%・有機化合物15.6%・トマト調製品9.0%・履物7.5%・魚介類7.1%
正解は、A→コートジボワール、B→ブラジル、C→北朝鮮、D→ポルトガルでした。生徒さんにも出してみて下さい。
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