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7月22日に配信しました「算数入試問題取調室」に続いて今回は、国語をテーマとし、栄光学園と聖光学院の出題傾向を比較します。比較分析の対象年度は栄光学園が最近6年間、聖光学院が最近3年間×2回です。
まず試験時間と配点(満点)、出題内容別の問題数(小問数で分析対象年度の平均値)です。なお出題内容の「客観問題」は選択肢や書き抜きなど、部分点なく正解・不正解で採点される問題を指します。
次に、各校の出題内容をさらに詳しく分析します。
問題文は毎年、物語文から1問、説明文から1問が出題されます。文章の長さは標準より少し短めで、文章の難度も標準的です。物語文で海外の作品が出題されることがあり、舞台設定の理解に若干の難しさを感じることがありますが、読みづらくはありません。説明文では栄光学園国語科による文章が出題されることが多く、受験生が無理なく読めるような、文章構成のわかりやすいものになっています。文章だけ読むと、取り組みやすい印象を強く持つでしょう。
しかし設問については、非常に取り組みづらい難問が多くなります。上記のデータにあるように、客観問題は6年平均で1年度あたり2問と、全体の27問中かなり少ない割合になります。中心となるのは記述問題になりますが、そこにはいくつかポイントがあります。
まず、問題としては「…とあるが、それはなぜか」といった理由を問うタイプと、「…とはどのようなことか」と内容説明を問うタイプがほとんどです。一見して書きやすそうなのですが、いざ書き始めるとペンが止まってしまうように、表現が非常に難しい内容を聞いてきます。問題文中の表現をそのまま使える問題もありますが、ほとんどがそれでは解答にならないパターンです。
そこで自分の言葉を的確に用いなければならない。ただしそのためには物語文であれば心情の深い部分までを理解しなければならないのですが、問題文中にそうした心情を直接的に示す表現が見られないのです。場面や人物の言動から、文章では表現されていない心情を汲み取って、それを自分の言葉で書かなければならず、内容の深い理解と、表現するための語彙をどれだけ持っているかが問われます。
例えば平成20年度・第2問の物語文で、出稼ぎに出た父親が正月に帰ってこない少女が、同級生の前で無理に明るくふるまう姿を見た主人公の気持ちが問われるのですが、気持ちを表す言葉として、「悲しい」や「つらい」では不適切になります。ここで「いたたまれない」やそれに準ずる言葉が出てくるかどうかで、解答づくりの骨子が決まります。
また、制限字数がない問題では、答案用紙の解答欄が狭いことが多く、書こうとする内容を収めきれるかどうかの見極めが必要になります。多くの要素を短くまとめる力が求められます。記述問題以外の選択肢問題などは標準的な難度と言えるので、逆に取りこぼしないようにしなければなりません。また、難関校では珍しく漢字問題が15問と多く、難問がほとんどないため、満点を取ることが必須です。
合格者平均点が最近2年いずれも70点満点中40点前後と、栄光学園を受験するレベルでも記述問題での得点に苦労していることが見て取れます。
問題文は物語文から1問、説明文から1問が出題されるパターンがほとんどです。物語文が長く、説明文が標準の長さであることがほとんどですが、22年度からは説明文も長文化しています。物語文は等身大の人物が主人公となり、物語展開をしっかり追って行けば心情や情景の理解に苦労することはないでしょう。説明文も難しい語彙はなく、構成もわかりやすい文章が多いです。
ただし栄光学園と同じく、問題は難しいです。上記データにあるように、客観問題・選択肢型が30問中17問と、半分以上を占め、読解問題に限った場合は7割以上が選択肢型問題になります。ここに栄光学園との大きな違いがあります。その選択肢問題ですが、選択肢の文章が長いケースが多く、集中して取り組まなければ迷いの森に入り込んでしまいます。普段の演習から選択肢問題では、正解・不正解に関わらず、解答の根拠をはっきりさせておくことが不可欠です。その演習を積んで慣れが出てくれば、対策は大いに進めやすくなります。
聖光学院の国語と言えば、その選択肢問題に注目が集まるのですが、大いに注意しなければならないのが記述問題です。データの通り字数が60字以上の問題は過去3年では出題されておらず、問題数も少ないものの、文章内容を正確に要約しなければならない難問が出されます。しかも文章中の表現を繋ぎ合わせればそれで完成するレベルではなく、自分の言葉を的確に使わなければ点数にならないようになっています。栄光学園のように書かれていない内容まで汲み取って表現することはないのですが、問題文の要素と自分の言葉をうまく組み合わせなければならない難しさがあります。
例えば平成22年度・第2回・第3問の物語文で、情景の説明を要求する問題があります。解答に該当する箇所は直前にあるのですが、それをそのまま使おうとすると、制限字数に合わず、無理やり字数内に押し込もうとすると文章が乱れてしまいます。うまく構成を変えて、的確な表現に言い換えるなどでようやく完成に至るのですが、その作業を限られた時間内に仕上げなければなりません。要約問題の練習を普段から積み、時間内に精度の高い解答を仕上げられる力を養成することが不可欠です。
また、聖光学院の特徴のもうひとつに語句・知識問題があります。これも難関校では珍しく、独立した大問として出題されます。この知識問題での失点を最小限に収めることが対策の大きなポイントになるでしょう。
聖光学院の合格者平均点は栄光学園と大きく異なり、150点満点中100点を超える年度が多く、22年度第1回には120点にまでなりました。また150点満点にしては問題数が少ないため、1問あたりの配点が高いことが推測されます。それだけに取りこぼしができないのは勿論のこと、捨て問題をつくれないことが聖光学院対策の難しさでもあります。
栄光学園・聖光学院とも問題文は長さ、難度ともに標準レベルですが、問題の難度は高く、特に記述問題での得点が大きなポイントになります。そうした共通点がある一方で、栄光学園は記述に特化した出題で、深く文章内容を読み取る視点と、それを的確に表現する語彙を求めているのに対し、聖光学院ではバランスの取れた出題で、生徒のトータルな国語力を見極めようとしている意図がうかがえます。
なお、対策としてそれぞれの過去問以外の他校の問題を活用する場合は、以下の学校がお薦めです。
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