入試で狙われそうな最近の時事ニュース(日本でトマト生産量が最も多いのは何県でしょうか?)

食品会社のカゴメが、原料にトマトが使われているケチャップやパスタソースなど、業務用や家庭用の計97品目を4月1日から値上げすると発表しました。トマトの仕入れ値が、新興国のトマト需要の伸びなどで国際的に上がっていることが主な理由ですが、ケチャップの値上げは1990年以来25年ぶりになるそうです。

トマトといえば普段の生活で当たり前のように目にする野菜のひとつですが、いざその歴史や生産地を見直してみると、中学受験の見地から新たな発見をすることができます。

そこでこんな問題が考えられます。

  • 「日本でトマトが紹介されたもっとも古い文献は江戸前期の儒学者・貝原益軒(かいばらえきけん)の著書です。貝原益軒の他に、井原西鶴や松尾芭蕉、近松門左衛門などが担い手となった17世紀末から18世紀初めに京都・大阪を中心に栄えた文化を何と呼びますか」
  • 「日本でトマトの生産量がもっとも多い都道府県名を答えなさい」

今回はトマトについて、中学入試の観点から分析を進めてみます。トマトが好きなお子さんも嫌いなお子さんも、ぜひ参考にしてください。

【トマトの歴史】

日本にトマトが伝わったのは17世紀の半ばと言われています。徳川四代将軍・家綱のもとで御用絵師として活躍した狩野探幽(かのうたんゆう)が「唐なすび」として1668年にスケッチを残した記録があります。文献でもっとも古いものは貝原益軒の『大和本草』で、「唐ガキ」と紹介されたそうです。この貝原益軒などが担い手となった文化は「元禄文化(げんろくぶんか)」です。その後に江戸から全国に広まった化政文化(かせいぶんか)との区別を正確にできるようにしておいてください。

もともとトマトは南米ペルーを中心としたアンデス高原の太平洋側の地域を原産地として、その後メキシコで食用として栽培されるようになりました。

16世紀になり、スペイン人たちが南アメリカの新大陸から持ち帰ったことで、トマトがヨーロッパで広まったと言われています。ただし、ヨーロッパに渡ってからすぐにトマトが食用として受け入れられることはなく、その強烈なにおいや、鮮やかな赤色に抵抗を感じる人々が多かったことで、はじめは観賞用として栽培されました。トマトがヨーロッパで食用となったのは18世紀になってからのことです。

ヨーロッパと同じように日本でもトマトは、最初は観賞用として扱われていました。明治以降の食生活の変化で食用として受け入れられるようになり、昭和に入ってから本格的にトマトが栽培されるようになったのです。

今では日本でも様々なかたちで食されているトマトですが、国別のトマト摂取量を見比べてみると、実は日本の数値はかなり低いのです。国際連合食糧農業機関(FAO)の2009年データによると、1人あたり1年のトマト摂取量はギリシャで約110kg、イタリアで約60kg、アメリカで約45kgなのに対し、日本は8.3kgにとどまるそうです。たしかにイタリア料理のほとんどでトマトが使われていますし、アメリカではケチャップやピザソースなどのかたちで大量に消費されていますので、その数が大きくなるのも納得できますが、健康によいことも話題になったトマトですので、もう少し日本でも消費されてよいのではないかと思ってしまいます。

【トマト生産量の日本一の都道府県とは】

日本でトマトの生産量がもっとも多いのは「熊本県」です。以下に農林水産省の「平成24年産野菜生産出荷統計」による、都道府県別トマトの収穫量ベスト5をご紹介します。

  • 1位:熊本県 104,300t
  • 2位:北海道  58,000t
  • 3位:茨城県  48,700t
  • 4位:愛知県  45,600t
  • 5位:千葉県  44,400t

1位の熊本県が2位の北海道に倍近い差をもってトップになります。熊本県は平成13年から1位をキープし続けていて、収穫量で全国シェアの約15%を占めています。

熊本では毎年8月頃に定植されて10〜6月頃までに収穫される冬春トマトと、7月〜11月頃までに収穫される夏秋トマトがリレーのように栽培されることで、一年中トマトが出荷されています。特に冬春トマトの栽培がさかんで全体の7〜8割を占めるのですが、この冬春トマトは県南西部の八代(やつしろ)平野で栽培されています(夏秋トマトは高冷地の阿蘇地域)。

温暖な気候に加え、ミネラル分を多量に含んだ土壌、清流・球磨川(くまがわ)の水などトマト栽培に適した環境に恵まれた八代平野では、生産者たちの様々な試みが実施されています。そのひとつが害虫駆除です。トマトに害を及ぼすオオタバコガなどの夜蛾類の害虫を寄せ付けないように、八代では黄色灯(黄色の蛍光灯)が使われています。そのため、冬の八代平野は黄色灯を使ったハウスで黄金色に染まるそうです。

トマトはその受粉方法にも策が施されています。トマトの原産地はアンデス高原の標高2000〜3000mあたりなので、ほとんど虫がいません。そのためトマトの花は下向きに咲いて、風で揺れるだけで受粉をする風媒花(ふうばいか)なのですが、ハウス栽培では風が吹きこまれません。そこでマルハナバチという蜂を使った受粉を行われているのです。マルハナバチは体長2cmほどでミツバチよりもやや大きく、体毛が長いために花粉を集めるのに効率がよいそうです。トマトの花にとまった後に体を震わして、花粉を振るい落とし、出てきた花粉をお腹で受け止めます。風媒花、虫媒花(ちゅうばいか)という言葉にも注意しておきましょう。食卓で何気なく目にするトマトにも歴史と様々な特徴があることを、ぜひ気に留めてみてください。

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