サピックス5年生 8月30日(日)マンスリーテスト攻略ポイント

今回からは、5年生のテスト対策の解説となります。まずは8月のマンスリーテストです。夏休み中にこのメルマガをご覧頂けば、何に気をつけて夏期講習に臨めばよいのかを、しっかりつかむことができます。

今回のマンスリーテストは、夏休みで演習した内容がすべて出題対象になりますので、範囲はかなり広くなります。そこで最初に大事なポイントをお知らせして、それから細かな単元の解説に進んでいきます。

【攻略ポイント1 逆比を完璧に理解する】

今回の単元の中で、「逆比」という考え方が出てきます。「Aの8分の5とBの2分の1が等しいときのA:Bを最も簡単な整数の比で表しなさい」というタイプです。この問題であれば、A:B=5分の8:2=4:5となりますが、こうした逆比の考え方は、今後の算数でとてもよく出てきます。特に速さと比の問題などでは、逆比の考え方ができていないと解けない問題ばかりになります。この機会に逆比の考え方をしっかり理解しておきましょう。

なかなか理解できない場合には、分数を使った問題ではなく、「A×2=B×3のときのA:B」といった、わかりやすい整数を使った問題から始めることをお勧めします。

また、式でイメージがしづらい場合は、図形を使って理解を進める方法もあります。上のA×2=B×3であれば、面積が6で縦の長さがAで横の長さが2、縦の長さがBで横の長さが3、という2つの長方形をかきます。そこでA=3、B=2となることからA:B=2:3と求めることができます。お子さんがイメージしやすい方法で構いませんので、この逆比を必ず夏期講習のうちにマスターしてください。

【攻略ポイント2 面積図をマスターする】

今回の複数の単元に共通する必須アイテムが「面積図」です。具体的には「比と割合」の食塩水の濃度や「平均算」で必ず必要になります。5年生の夏だからこそ、まだ時間をかけることができます。時間をかけてでも面積図のかき方をしっかりマスターしてください。

面積図はとても有効なツールで、例えば「比の割合」の中で、硬貨の枚数と金額の問題があります。「5円玉、10円玉。50円玉がそれぞれ何枚かあり、金額の合計は1400円です。枚数の比が8:6:5のとき、50円玉は何枚ありますか」といった問題です。塾では金額の比が(5×8):(10×6):(50×5)と、すぐに式にしてしまい、それがなかなか理解しづらいことがあります。そこで長方形を3つかいてみましょう。1つ目は縦の長さが5円、よこが比の値の8、並べて、縦が10円で横が6、縦が50円で横が5とかいてみます。こうすると長方形の面積が金額を表すことがわかります。そこで1つ目の面積が5×8、2つ目が10×6、3つ目が50×5となるのです。式にすれば同じことですが、面積図は量を図式化することで、視覚的にわかりやすくなるメリットがあります。このメリットが小学生には意外と大きいのです。

面積図をマスターできれば、これから6年生になっても、問題対応力が格段にアップします。時間をかけて構いません。何とか面積図をマスターしてください。

【攻略ポイント3 図形を実際に動かしてみる】

点対称と図形の回転移動の問題が出題対象になっています。これらを理解するために、実際に図形をつくって、それを動かしてみましょう。これも5年生の夏という今だからこそできる作業です。

同じ対称でも線対称は理解がしやすいのですが、点対称をなかなか理解できないお子さんが多いです。折り曲げて重なるという線対称に比べて、回転して重なるという点対称がイメージしづらいためでしょう。その場合は、実際に紙を切り取って、点対称図形をつくってみましょう。平行四辺形がおすすめです。白い紙をひいて、その上に切り取った平行四辺形を、対角線の交点に画びょうを刺して紙につけてください。そして平行四辺形の4辺を鉛筆でなぞり、下の紙に線を写します。そこから画びょうを支点に180度回転させます。すると下の紙の線を平行四辺形がピタリと合うはずです。これが点対称です。

次に図形の回転移動のうち、おうぎ形の回転について、やはり紙を切り取って実践してみます。できるだけ丁寧におうぎ形を切り取り、定規の縁を滑らないように回転移動させます。おうぎ形の中心に鉛筆の先をあてて、中心の軌道が鉛筆でかけるようにしてください。ポイントは定規の縁をおうぎ形の弧が動くときです。ここで中心の軌道が定規に平行な直線になることを確認してください。この直線軌道がイメージできるお子さんが意外に少ないのです。この演習を実践することが差のつく一歩になります。

【攻略ポイント4 各単元の攻略ポイント】

ここからは今回の出題範囲となる各単元を攻略するためのポイントをお伝えします。

[計算問題]

今回のマンスリーに限定したことではありませんが、6年生のテストと比較すると、計算問題で工夫(同じ数でまとめる、0.25を4分の1にするなど)を求められることが多くありません。確実に計算ができることを求められています。計算スペースを丁寧に使って、筆算や分数計算を確実に正答できるようにしましょう。

[約数・倍数]
  • 公約数をみつける際に、素数の倍数になると難度が一気に上がります。例えば119と102の公約数、と言われてすぐに浮かぶでしょうか。その場合は、2つの数の「差」を出してみてください。2つの数の公約数はその差を割ることもできます。119−102=17となり、公約数は17と求められます。
  • 「…となる整数の中で、200に最も近い数を求めなさい」のタイプの問題では、「最も近い」が200より小さい、と勘違いしないようにしてください。あてはまる数の候補が190と201であれば、最も近いのは201です。与えられた数を超えても近いことになりますので、注意してください。
[正比例・反比例]
  • 反比例の文章題に「歯車」がよく出されます。歯の数と回転数が逆比の関係になるのですが、その意味がわからない場合には、実験形式で確かめてみましょう。歯車をつくるのは大変ですから、2つの大きさの異なる円をある点で接して、その接点に赤く印をつけます。そこですべらないように2つの円を回転させて、次にまた接点にぶつかるときに、それぞれ何回転したかを確かめる、という方法で実験ができます。
  • 内積と外積が等しくなること、A:B=3:2、B:C=4:5からA:B:Cを求める、という連比の問題は必須ですので、しっかりやり方を覚えて、必ず得点できるようにしましょう。
[比と割合]
  • 売買損益の問題では、単位量の置き方に工夫ができます。仕入れ値は必ずしも1としなくても構わないのです。6年生の7月度組分けの対策でも解説しましたが、例えば仕入れ値の25%増しを定価とする、といった問題で、仕入れ値を1とすると定価は1.25と小数になり、やはり計算がしづらくなります。ここで仕入れ値を100としてしまえば、定価も125と整数になり、その後の計算を速く正確に進めることができます。5年生だからこそ、より計算の負担を軽減するためにも、この方法をぜひ試してみてください。
[点の移動]

グラフと合わせた問題が出されることが多くあります。例えば四角形の辺の上を点が動き、四角形の頂点とその動点でできる三角形の面積の大きさがグラフで表されるような問題です。グラフが折れ曲がるところが図形のどの位置にあたるか、を正確に把握できるように練習をしましょう。この単元でグラフを図形上の点の動きをしっかり結びつけられるようになっておけば、6年生になってグラフの問題が出てきても対応できるようになります。

[場合の数]
  • 「6人から3人を選ぶ場合の選び方は何通りか」といった問題で、すぐに分子が6×5×4、分母が3×2×1の分数式になることは、公式として覚えておきましょう。その際に、例えば「30人から28人を選ぶ」と大きな数になったときには、「選ばれなかった2人を選ぶ」ことと同じ式で求められることに注意しましょう。分子が30×29、分母が2×1で済んでしまうのです。
  • 「りんご5個と、みかん7個を、A君、B君、C君の3人に4個ずつ分けるとき、全部で何通りの分け方がありますか」といった配り方を求める問題では、「少ない数のものの配り方で決める」ことに注意しましょう。6年生の6月度マンスリー対策の回でも説明しましたが、片方の配り方が決まれば、もう片方も決まってきます。上記の問題であれば、りんご5個の配り方を求めます。(A君、B君、C君)にりんごを(0個、1個、4個)配ると、空いたスペースにみかんを入れるとすれば、みかんは(4個、3個、0個)と決まってくるのです。あとはそれぞれ何通りかを求めれば解けます。(0個、1個、4個)で6通り、(0個、2個、3個)で6通り、(1個、1個、3個)で3通り、(1個、2個、2個)で3通り、全部で6+6+3+3=18(通り)となります。
[円と多角形]
  • 対角線の数、内角の和の値を求める公式は必ず覚えて、必ず正解するようにしましょう。こうした基本を確実にとることが今回のテストのポイントのひとつです。
  • 正方形の中に中心角90度のおうぎ形を重ねた時にできる図形、ラグビーボールや焼き芋に似たかたちの図形の面積は、「正方形の1辺×正方形の1辺×0.57」になることも覚えてしまいましょう。理由は、2つのおうぎ形の面積を足して、正方形の面積を引くという式を書いて、解いてみると明らかになります。しっかり覚えてしまいましょう。
[平均算]
  • 個数×平均=総和の式は必ず覚えましょう。「A、B、C、Dの4つの数の平均は40で、AとBの平均は35、BとCとDの平均は46のとき、Bの値は」といったタイプの問題は必ず正解できるようにしましょう。A+B+C+D=40×4=160、A+B=35×2=70、B+C+D=46×3=138、と並べれば、答えはすぐに見えてきます。
[立体図形]
  • 水槽におもりを沈めたときの水位の変化を扱う問題は、多くのお子さんが苦手とします。断面図をかいて、どの部分とどの部分の面積が同じになるか、よく確かめてください。式だけで理解しようとすると、数値が変わると解けなくなってしまうタイプの問題のひとつです。しっかり断面図をかきましょう。
[規則性]
  • 数列の問題で、「1から並ぶ奇数の和=平方数」となることを知ってしると、格段に解きやすくなる問題があります。1+3=4(2×2)、1+3+5=9(3×3)、1+3+5+7=16(4×4)…と和が平方数になることを、確認して、覚えてしまいましょう。

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