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今回からは、5年生のテスト対策の解説となります。まずは8月のマンスリーテストです。今回のマンスリーテストは、夏休みで演習した内容がすべて出題対象になりますので、範囲はかなり広くなります。そこでおさえておくべき大事なポイントについて、例題を挙げながら解説を進めて行きます。
また、攻略ポイントだけでなく予想問題付きです。マンスリー過去問を分析し最も出題される可能性が高い問題を揃えてあります。解説も準備しますので、間違えた箇所はとくに読み込んで本番で同じ間違えをしないように注意してください。問題は8/19(金)のお昼ごろ 鉄人会のHPにアップ致します。アップが完了しましたらフェイスブック、ツイッターでお知らせ致しますので、ぜひ鉄人会のフェイスブック、ツイッターをフォローしておいてください。
今回の単元の中で、「逆比」や「連比」を扱う問題が出てきます。どちらも解き方をしっかり身につけて、得点源にできるようにしましょう。特に逆比の考え方は、今後の算数の問題でとてもよく出てくる項目のひとつです。速さと比の問題などでは、逆比の考え方ができていないと解けない問題ばかりになります。この機会に逆比の考え方をしっかり理解しておきましょう。例えば、「Aの8分の5とBの2分の1が等しいときのA:Bを最も簡単な整数の比で表しなさい」といった問題で、A:B=(5分の8):(1分の2)=4:5という式がすぐに立てられるでしょうか。なかなか理解できない場合には、分数を使った問題ではなく、「A×2=B×3のときのA:B」といった、わかりやすい整数を使った問題から始めることをおすすめします。また、式でイメージがしづらい場合は、図形を使って理解を進める方法もあります。上のA×2=B×3であれば、面積が6で縦の長さがA、横の長さが2、同じく面積が6で縦の長さがB、横の長さが3、という2つの長方形をかきます。そこでA=3、B=2となることからA:B=3:2と求めることができます。お子さんがイメージしやすい方法で構いませんので、この逆比を必ず夏期講習のうちにマスターしてください。
連比は解き方を習得しておけば、問題としては難度が高いものではありませんので、得点源にしたいところです。例えば、「A:B=9:5、A:C=6:7のとき、A:B:Cを最も簡単な整数の比で表しなさい」といった問題で、A:B:Cとして、Aの下に9、Bの下に5、一段下にずらしてAの下に6、Cの下に7と数値をかき込み、共通するAの9と6を最小公倍数の18にそろえて、9:5→18:10、6:7→18:21として、A:B:C=18:10:21を導き出す、といった一連の流れがスムーズにできるように練習をしておきましょう。
反比例の文章題に「歯車」の問題が出されることがよくあります。歯の数と回転数が逆比の関係になるのですが、その意味がわからない場合には、実験形式で確かめてみるとよいでしょう。歯車そのものをつくるのは大変ですから、2つの大きさの異なる円をある点で接するようにして、その接点に赤く印をつけます。そこですべらないように2つの円を回転させて、次にまた接点にぶつかるときに、それぞれ何回転したかを確かめる、という方法で実験ができます。この後にも出てきますが、夏休みという期間を利用して、実際に図形を動かしてイメージを固める、という演習方法をぜひ取り入れてみてください。
例えば次のような問題は、どのように解き進めればよいでしょうか。
「5円玉、10円玉、50円玉がそれぞれ何枚かあり、金額の合計は1400円です。枚数の比が8:6:5のとき、50円玉は何枚ありますか」といった問題です。塾では金額の比が(5×8):(10×6):(50×5)と、すぐに式にしてしまい、それがなかなか理解しづらいことがあるかもしれません。そこで、図を使った解き方を説明しましょう。長方形を3つかいてみてください。1つ目は縦の長さが5円、よこが比の値の8、並べて、縦が10円で横が6、縦が50円で横が5とかいてみます。こうすると長方形の面積が金額を表すことがわかります。そこで1つ目の面積が5×8、2つ目が10×6、3つ目が50×5となるのです。
式にすれば同じことですが、このように量を図式化することで、視覚的にわかりやすくなるメリットがあります。このメリットが小学生には意外と大きいのです。
上記の金額の問題で使った図も、面積図とほぼ同じになります。ここでは、面積図の効果がより大きく発揮される問題をご紹介します。
まずは「平均算」の問題です。例題を挙げてみます。
「ある小学校の5年生は、1組が40名、2組が35名の合計75名です。5年生に算数のテストをしたところ、全体の平均点はちょうど75点で、2組の平均点は1組の平均点より9点高くなっていました。1組の平均点は何点でしたか」
後半の、平均点の差が9点というところだけを見ると、線分図をかきたくなるところですが、この平均の問題では、なかなか線分図がかきづらくなります。そこで登場するのが「面積図」です。2つの長方形を並べてかきます。どちらの長方形も、たての長さを平均点、横の長さを人数とします。平均の考え方で、平均×個数=合計、という式が成り立ちますので、長方形の面積はそれぞれの組の点数の合計を表すことになります。この問題の場合、各組の平均点を表す、長方形のたての長さがわかっていませんが、そこは長さの差が9であることがわかれば、適当な長さで構いません。図をかき慣れていないと、少しでも厳密にかかなければいけない、という意識が強くなり過ぎて、かえって時間がかかってしまうことがあります。大事なところ以外はラフで構いません。そのさじ加減がわかるように練習を重ねましょう。
問題に戻ります。1組を表す、左の長方形は横の長さが40(名)、2組を表す、右の長方形は横の長さが35(名)となります。この2つの長方形に重なるように、3つ目の長方形をかき入れます。横の長さは1組と2組を合わせた分の75(名)、たての長さを75(点)として、下の横の辺が一致するように重ね合せます。たての長さは、1組より長く、2組より短くなるようにしてください。この長方形が、学年全体の平均を表すことになるのです。
ここで気をつけなければいけないのが、はじめにかいた2つの長方形の面積の和と、3つ目にかいた長方形の面積が同じになるということです。長方形の面積は、点数の合計を表します。2つの長方形の面積が、1組、2組それぞれの点数の合計ですから、その和は、学年全体の点数の合計を表す、3つ目の長方形の面積と同じになるのです。
ここからが面積図の大事なポイントになります。3つ目の長方形の上の辺と、はじめにかいた左の長方形の上の辺との間にできる小さな長方形を(ア)、右の長方形の、3つ目の長方形の上の辺から突き出た部分の小さな長方形を(イ)とします。2つの長方形の面積の和が、3つ目の長方形の面積と同じになることから、この(ア)と(イ)の面積が同じになることはわかるでしょうか。(イ)の部分が、(ア)の部分にぴったりと入れば、2つ並べた長方形の形が3つ目の長方形の形になります。デコボコの図形をならすような感覚でとらえるとよいでしょう。
(ア)と(イ)の面積が同じで、横の長さの比が40:35=8:7ですので、(ア)のたての長さと(イ)のたての長さは、逆比の7:8となります。この逆比の考え方はとても大事ですので、ここが曖昧な場合は、急ぎ復習を重ねてください。
もともと左の長方形と右の長方形のたての長さの差は9(点)でしたので、(ア)のたての長さは、9÷(7+8)×7=4.2(点)と導き出せます。ここから、1組の平均点は75−4.2=70.8(点)となります。
メルマガでは図を表せませんので、説明が長くなりましたが、一度しっかりかき方を覚えてしまえば、「面積図」はとても有効なアイテムになります。
同じく面積図を使うことで解きやすくなる問題があります。「食塩水の濃度」の問題です。例題を挙げます。
「容器Aに濃度6%の食塩水が200g、容器Bに濃度9%の食塩水が入っています。容器Aと容器Bの食塩水をすべて混ぜ合わせると、濃度は8%になります。容器Bに入っている食塩水は何gですか」
ただでさえ解きづらい食塩水の混ぜ合わせの問題で、しかも一方の食塩水の量がわかっていない、となると、どう手をつけてよいかがわからなくなります。
そこで「面積図」が効果を発揮するのです。
先ほどの問題と同じように、2つの長方形をかいてみましょう。今度はたての長さを食塩水の濃度、横の長さを食塩水の量とします。長方形の面積は、(食塩水の量×濃度)で導き出される、食塩の量を表すことになります。
左の長方形を容器A、右の長方形を容器Bとして、わかっている数値をかき込んで行きます。まず容器Aの食塩水は、濃度が6%、食塩水の量が200gなので、左の長方形のたての長さが6、横の長さが200となります。次に容器Bについて、横の長さはわかりませんが、たての長さは濃度9%より、9となります。
そして、2つの食塩水を混ぜ合わせてできた食塩水を表す、3つ目の長方形をかき込みます。横の長さは、2つの長方形の横の長さを合わせた長さ、たての長さは濃度8%を表す8、となります。
ここからは、先ほどの平均算と同じように、長方形の面積を使って解き進めて行きます。左の長方形の濃度8%の線よりも下にできる小さな長方形と、右の長方形の濃度8%の線から上に突き出た部分の小さな長方形の面積が同じ、今度はたての長さがわかっていて、左の小さな長方形のたての長さは(8−6=)2、右の小さな長方形のたての長さは(9−8=)1なので、横の長さの比が逆比の1:2となります。よって容器Bの食塩水の量は、200÷1×2=400より、400gと求められます。
食塩水の濃度の問題で面積図を用いる際に、気をつけておくべきことがあります。上記の問題のように、食塩水どうしを混ぜ合わせるのではなく、食塩水と水(うすめる)、食塩水と食塩(濃くする)といった混ぜ合わせの問題があります。こうした問題でも、面積図がしっかり活用できるのです。水ということは食塩を含みませんので、食塩水の濃度としては「0(ゼロ)%」になります。したがって、高さのない、下辺だけの長方形、つまり線をかけばよいことになります。
一方、食塩を混ぜる場合には、食塩水としては「100%」のものを混ぜ合わせるので、高さが100の長方形をかけばよいことになります。
食塩水の混ぜ合わせの問題では、面積図の効果が絶大になることを、ぜひ覚えておいてください。面積図をマスターできれば、これから6年生になっても、問題対応力が格段にアップします。時間をかけて構いません。この夏休みにぜひ面積図をマスターしてください。
今回の約数・倍数の単元では、公約数を求める場面が多くなります。72と120のように、お互いに偶数や、3の倍数であることがすぐにわかれば対応はしやすいのですが、例えば、119と102の公約数、と言われてすぐに答えが浮かぶでしょうか。一方は奇数で一方は偶数、3の倍数どうしでもない、手が止まってしまうところです。こうした数値の場合は、2つの数の「差」を出してみてください。2つの数の公約数はその差を割ることもできます。119−102=17となり、公約数は17と求められます。
次のような問題でも正確な対応が求められます。「6で割ると5余り、8で割ると7余り、12で割ると11余る整数の中で、500に最も近い数を求めなさい」
いくつかポイントがあります。まずは、割る数と余りの数の関係です。「2で割っても5で割っても1余る」といった、余りの数が同じタイプの問題であれば取り組みやすいのですが、この問題では余りの数がすべて異なります。ここで一層、注意深く数を見てみると、6→5、8→7、12→11、と、すべて割る数が余りの数よりも1大きくなっていることがわかります。つまり求める数は、どれもあと1足せば、6でも8でも12でも割り切れる、ということになります。ここから、求める数が「6と8と12の最小公倍数である24の倍数よりも1小さい数」であることがわかります。
あとは500に最も近い数ということなので、500÷24=20余り20から、500より小さい数では、24×20−1=479が最も500に近くなりますが、ここからがもうひとつのポイントになります。問題では500に「最も近い」とかかれており、500より小さい、とはかかれていません。つまり、500より大きい数でも構わないということです。先ほど求めた数の次に大きな数は、24×21−1=503となり、結果として答えは503となります。 焦って問題を解こうとすることで、こうした問題にひっかからないように、十分に気をつけましょう。
ここでは2つのタイプの問題について触れます。
1つ目は基本的な問題ですが、次のような問題にあたったときに、すぐに解き方が浮かぶでしょうか。
「A、B、C、D、E、Fの6人から3人の当番を選びます。当番の選び方は全部で何通りありますか」
ここで気をつけるのは、選び方と並べ方のどちらを聞かれているか、ということです。その違いで式が全く変わってきますので、十分に注意してください。
この問題は、選び方なので、(6×5×4)÷(3×2×1)=20(通り)となります。式の立て方をしっかり覚えて、このタイプの問題はぜひ得点源にしたいところです。
また、例えば「30人から28人を選ぶ」と大きな数になったときには、「選ばれなかった2人を選ぶ」ことと同じ式で求められることに注意しましょう。分子、分母に数を28個も並べることなく、分子が30×29、分母が2×1の式で済んでしまうのです。
では、次のような問題は、どのように解き進めればよいでしょうか。「りんご5個と、みかん7個を、A君、B君、C君の3人に4個ずつ分けるとき、全部で何通りの分け方がありますか」といった配り方を求める問題です。このようなタイプの問題では、「少ない数のものの配り方で決める」ことに注意しましょう。片方の配り方が決まれば、もう片方も決まってきます。上記の問題であれば、りんご5個の配り方を求めます。例えば、(A君、B君、C君)にりんごを(0個、1個、4個)配るとすると、空いたスペースにみかんを入れれば、みかんは(4個、3個、0個)と決まってくるのです。あとはそれぞれ何通りかを求めれば解けます。(0個、1個、4個)で6通り、(0個、2個、3個)で6通り、(1個、1個、3個)で3通り、(1個、2個、2個)で3通り、全部で6+6+3+3=18(通り)となります。解き方を覚えてしまえば、難しい計算が求められる問題ではありませんので、得点の可能性がとても高くなります。
ただし、このような問題でひとつ気をつけておかなければいけないポイントがあります。りんごやみかんが、それぞれかたちが違うのだから、「別のものとして区別しなければいけない」と考えることがないようにする、ということです。この問題であれば、りんごはすべて同じとし、りんごA、りんごB、りんごC、…と区別はしないのです。「それぞれを区別する」という明記がない限りは、りんごは同じりんごとして考える、ということに注意してください。りんごやみかんに、ひとつとして同じものはないことは確かですが、算数の問題として、問題の指示にしっかり従うようにしましょう。
まずはカレンダーの問題です。例題を挙げます。
「ある年の7月23日は水曜日です。同じ年の10月5日は何曜日ですか」
基本的な問題ですが、日数の数え方を少しでも間違えてしまうと失点につながる、危険な問題でもあります。自分の解き方をしっかり確立させておきましょう。
まずは、○日後、の数え方をご紹介します。7月は31日あるので、7月23日から残り31−23=8(日)、8月は31日、9月は30日ですので、同じ年の10月5日は、7月23日から、(31−23)+31+30+5=74(日後)となります。74÷7=10余り4より、10月5日の曜日は水曜日から「4日後」です。ここまでくれば、後は数えればよいだけで、木・金・土・日より日曜日と求められます。
起点の7月23日を日数に含める計算方法もあります。7月23日を含めると、7月は31−23+1=9(日)となり、ここが上記の方法と異なってきます。あとは8月が31日、9月が30日、10月が5日となることは上記と同じで、日数の合計が9+31+30+5=75となります。この75を一週間の日数である7で割ることも上記と同じです。75÷7=10余り5となりますが、この5は「水曜日から火曜日まで」を一周期とした余りですので、水曜日から数えて水・木・金・土・日として、日曜日を導き出せます。この余りの考え方が上記とは大きく異なりますので、注意してください。
どちらの方法でも構いません。大事なのは、計算方法をどれだけ自分のものにしているか、その方法でどれだけ正確に解けるかです。自分の解き方を確立させられるように練習を重ねてください。
数列の問題からも例題を挙げてみましょう。
「下のように、あるきまりにしたがって整数が左から順に並んでいます。次の①、②に答えなさい。
1、1、2、1、1、2、3、2、1、1、2、3、4、3、2、1、…
数の並び方のきまり自体は、それほど難しくはないでしょう。( )内は各組に含まれる整数の個数を表すものとして、1組目が1(1個)、2組目が1、2、1(3個)、3組目が1、2、3、2、1(5個)、4組目が1、2、3、4、3、2、1(7個)…といった組で分けられています。
まず①ですが、45番目の整数が、何組目の何番目かがわかれば、答えに大きく近づきます。そこで、各組に含まれる整数の個数を見てみると、1、3、5、7、…と奇数列になっています。ここでポイントとなるのが、「1から並ぶ奇数の和=平方数」となることです。実際に数を挙げてみると、1+3=4(2×2)、1+3+5=9(3×3)、1+3+5+7=16(4×4)…と和が平方数になっていることがわかります。
このことから、45に最も近い平方数がわかれば、組の数も導き出せます。6×6=36、7×7=49より、45番目の整数までに6組が過ぎており、45番目の整数は7組目の(45−36=)9番目の整数であることがわかります。7組目は1、2、3、4、5、6、7、6、5、…と数が並ぶので、45番目の整数は5となります。
次に②ですが、基本的な考え方は①と同じです。80番目の整数が何組目の何番目かを、まず求めましょう。80に最も近い平方数は8×8=64なので、80番目の整数は9組目の(80−64=)16番目の整数であることがわかります。1は、1組目には1個、2組目以降は最初と最後の2個ずつあります。9組目は、16番目までで、整数が最後まで並んでいないので、最初の1個だけです。よって、1は全部で、1+2×7+1=16(個)あることがわかるのです。
規則性の問題では、数が大きくなると、数え上げていく作業に限界が生じます。今回の「1から並ぶ奇数の和=平方数」のような活用価値の高いきまりは、少しでも覚えておくようにしましょう。
平面図形からも様々なタイプの問題の出題が予想されます。
まず、線対称・点対称については、難度がそこまで高くはならないと思われますので、基本をしっかりおさえておいてください。同じ対称でも線対称は理解がしやすいのですが、点対称をなかなか理解できないお子さんが多いです。折り曲げて重なるという線対称に比べて、回転して重なるという点対称がイメージしづらいためでしょう。その場合は、実際に紙を切り取って、点対称図形をつくってみましょう。平行四辺形がおすすめです。白い紙をひいて、その上に切り取った平行四辺形を、対角線の交点に画びょうを刺して紙につけてください。そして平行四辺形の4辺を鉛筆でなぞり、下の紙に線を写します。そこから画びょうを支点として、平行四辺形を180度回転させます。すると下の紙にかかれた線と平行四辺形が、ピタリと合うはずです。これが点対称です。
同じように実際に図形をつくって、それを動かすことで理解を進めて頂きたいタイプの問題があります。例題を挙げてみます。メルマガでは図を表せませんので、説明から図をかいてみてください。
まず水平な線を引いて、その左端におうぎ形を線の上に乗るようにかきます。おうぎ形は半径12cm、中心角の角度が60度、中心を点O(オー)とします。おうぎ形の半径のひとつが線に重なるように、向かって左側に点Oが来るように、おうぎ形を線の上に置いてください。その位置のおうぎ形を(ア)とします。ここから、おうぎ形をすべらないように線の上で転がして、点Oが今度は向かって右側で線の上に来るところまで動かします。この位置のおうぎ形を(イ)とします。
図はかけましたでしょうか。ここで問題です。「おうぎ形を(ア)から(イ)まで転がしたとき、点Oが動いたあとの線の長さは何cmでしょうか。ただし、円周率は3.14とします」
先に解説をしておきましょう。この点Oの動きは3つのパターンに分かれます。まずおうぎ形が(ア)から、半径が水平線に垂直になるようにまで、立つように動く部分、次に水平線の上をおうぎ形の弧がなぞるように動く部分、最後におうぎ形の半径が水平線に垂直になったところから、(イ)の位置まで、倒れるように動く部分。この3つの部分について、点Oが動いたあとの線の長さを求めます。3つの部分のうち、最初と最後の部分は、点Oが動いたあとの線の長さが同じになります。その長さは、半径12cmで中心角が90度のおうぎ形の弧の長さにあたります。それが2つあるので、12×2×3.14×90/360×2という式になります。ここではまだこの式を最後まで計算しないようにしてください。この後にも3.14を使った式が出てくる可能性があります。3.14の計算はできるだけまとめてしてしまうようにしましょう。
この問題のポイントは2つめの部分、水平線の上をおうぎ形の弧がなぞるように動くときに点Oがどのように動くかという点にあります。この部分では、点Oは水平線と常におうぎ形の半径12cmの距離を保ちながら動くことになります。つまり、水平線と平行な直線軌道になるのです。その長さは、おうぎ形の弧の長さと一致するので、式にすると、12×2×3.14×60/360となります。この、水平線と平行に点が動くというところが、一度理解できるとすぐに解けるようになるのですが、なかなかイメージが難しいのです。
そこで、実際におうぎ形を動かしてみることをおすすめします。一度イメージが固まれば、スムーズに理解できるようになります。やり方は次の通りです。できるだけ丁寧におうぎ形の紙を切り取ります。定規を用意して、定規の縁を滑らないように、おうぎ形を回転移動させます。おうぎ形の中心に鉛筆の先をあてて、中心の軌道を鉛筆でかけるようにしてください。ポイントは定規の縁をおうぎ形の弧が動くときです。ここで中心の軌道が定規に平行な直線になることを確認してください。これで直線軌道がイメージできるようになれば、このタイプの問題で差をつけることができるようになるでしょう。
問題を仕上げます。点Oが動いたあとの線の長さは、12×2×3.14×90/360×2+12×2×3.14×60/360=12×2×3.14×240/360=16×3.14=50.24(cm)と求められます。
せっかくの夏休みの期間ですので、このように実際に図を動かしてみる、という実践的な演習をぜひ取り入れてみてください。
この単元についても例題を挙げてみます。やはり図がかけませんので、以下の説明にそって、図をかいてみてください。
まず台形ABCDをかきます。上底ADと下底BCの長さは適当で構いませんが、上底ADの方を下底BCより、かなり短くなるようにしてください。次に辺ABの真ん中に点Eを置き、EとCを直線で結びます。これで図は完成です。
問題は以下の通りです。
「台形ABCDを、辺ABの真ん中の点Eと頂点Cを結ぶ直線で2つにわけたところ、四角形AECDと三角形EBCの面積の比が11:8になりました。このとき、辺ADと辺BCの長さの比を、最も簡単な整数の比で求めなさい」
与えられている面積の比11:8から、どのように辺ADと辺BCの長さの比に持ち込めばよいか、考えてしまうところです。ポイントはこの図形が台形であることから、辺ADと辺BCが平行な関係にあることです。
それと辺ABの中点Eを活用することを考えて、補助線を引いてみましょう。どのような補助線がよいでしょうか。ここでは、頂点Aと頂点Cを結ぶと、問題が解きやすくなります。補助線ACを引くことで、台形の中に三角形ADC、三角形AEC、三角形EBC、さらに三角形ABCと4つの三角形ができます。このうち、三角形AECと三角形EBCは、頂点をCとすると底辺の長さが等しくなるため、面積が同じになります。
また、先に触れたポイントの辺ADと辺BCが平行であることから、三角形ADCと三角形ABCは高さが共通となり、その面積比は底辺の辺ADと辺BCの長さの比と同じになります。つまり、辺ADと辺BCの長さの比を求めるには、三角形ADCと三角形ABCの面積比を求めればよいということになるのです。
それでは解き進めて行きましょう。なお、「○の中に数字」の表記が文字化けしてしまう可能性がありますので、マル1、マル2と表記させて頂きます。
四角形AECDと三角形EBCの面積の比が11:8であることから、四角形AECDの面積をマル11、三角形EBCの面積をマル8とすると、三角形AECの面積もマル8となります。このような面積比の問題では、図に数値をかき込んで行きましょう。間違いを減らすことができますし、方針も定まってきます。
ここで三角形ADCと三角形ABCの面積に注目すると、三角形ADCの面積は(マル11−マル8)よりマル3、三角形ABCの面積は(マル8+マル8)よりマル16となり、三角形ADCと三角形ABCの面積比が3:16になります。よって、辺ADと辺BCの長さの比が3:16と求められます。
今回の問題のように、面積と比の問題では、補助線の引き方が大きなポイントになります。ただ闇雲に線を引いても解決にはつながりません。求めるべきものに至るまでに、どのような道筋をたどればよいのか、というプロセスをしっかり確認して、また与えられた情報をどのように活用すべきかを考えて、効果的な補助線が引けるように練習を重ねましょう。
平面図形の中でも、公式的に覚えておくことで、圧倒的に解きやすくなる問題、また覚えていなければ解けない問題があります。そのいくつかを確認しておきましょう。
まず、多角形の対角線の数、内角の和の値を求める公式は必ず覚えて、必ず正解するようにしましょう。こうした基本を確実にとることが今回のテストのポイントのひとつです。
また、正方形の中に中心角90度のおうぎ形を重ねた時にできる図形(ラグビーボールや焼き芋に似たかたち)の面積は、「正方形の1辺×正方形の1辺×0.57」になることも覚えてしまいましょう。理由は、2つのおうぎ形の面積を足して、正方形の面積を引くという式を書いて、解いてみると明らかになります。しっかり覚えてしまいましょう。
具体的な例題を挙げてみます。グラフの問題ですが、メルマガではグラフはかけません。説明にそってグラフをかいてみてください。
まず先に問題をご紹介します。以下の通りです。
「水そうに水を入れるA管とB管、水を出すC管がついています。グラフは、空の水そうにA管とB管の両方を開いて水を入れ、次にB管を閉じてA管だけで水を入れ、さらにA管を閉じてB管とC管を開いたときの水そうの中の水の量の変化を表しています。C管を開くと、1分間に何リットルの水が水そうから出ますか」
それではグラフの説明に進みます。まず今回の問題の水の出し入れですが、3つの段階に分かれます。A管とB管→A管のみ→B管とC管、この3段階です。よってグラフも3本の直線がつながるかたちになります。
グラフは、縦軸を水そうに入れられた水の量(単位:リットル)、横軸を時間(単位:分)とします。ここでグラフ上の点を(水の量、時間)のかたちで表すことにします。例えば5分間で150リットルの水が入るとすると、その状況を表すグラフ上の点は(5、150)となります。
まず、0分のところでは水は一滴も入っていませんので、グラフは原点(0、0)から始まります。最初の直線ですが、(0、0)と(10、300)の点を結んでください。次に(10、300)と(15、390)を結びます。最後に(15、390)と(30、240)の点を結んで、グラフは完成です。はじめに右上がりの直線、それにつながって少し傾斜がゆるやかな右上がりの直線、最後にそこから右下がりの直線、というかたちで3本の直線がつながるグラフになりましたでしょうか。
もちろんテストではグラフは与えられていますので、こうしたグラフをかくという作業は必要ないのですが、実際にグラフをかいてみると、問題での水量の変化がどのようなものなのかが、よりわかりやすくなる効果があります。ぜひ一度、グラフをかいてみてください。
さて、問題を解くにあたってですが、グラフを有効に活用するためにも、グラフの中に記号や数値をかき込んでしまいましょう。さらに変化の内容がわかりやすくなります。この問題であれば、最初の(0、0)と(10、300)を結ぶ直線のところに、「AとB:300÷10=30(リットル/分)」とかき入れます。これはこの区間に、A管とB管の両方を開いて、1分間に30リットルの水が入ったことを表します。10分で300リットルなので、上記のような式になります。
式をかくときには、数値のとり方に十分に気をつけましょう。次の(10、300)と(15、390)を結んだ区間の1分間あたりの水の量を計算するときに。390÷15などとしないように注意してください。あくまでも変化の量で数値をとって行きます。この区間は「A:(390−300)÷(15−10)=18(リットル/分)」となります。ここでA管のみを開いたときに入る、1分間あたりの水の量が18リットルとわかりました。 最後の(15、390)と(30、240)を結んだ区間は、「BとC:(390−240)÷(30−15)=10(リットル/分)」となります。この区間では、1分間に10リットルの水が水そうから出ることになります。
これで材料はすべてそろいました。A管のみを開くと、1分間に18リットルの水が入り、A管とB管を両方開くと、1分間に30リットルの水が入るので、B管のみを開いたときに1分間に入る水の量は30−18=12(リットル)です。ここから最後の詰めですので、慎重に進めましょう。B管で水を入れて、同時にC管で水を出すと1分間に10リットル水が「減る」ので、C管はB管の12リットルに加えてさらに10リットル分の水を出すことになります。よってC管を開くと、水そうからは1分間に12+10=22(リットル)の水が出ることがわかります。12−10=2(リットル)としないように気をつけてください。
ポイントはグラフを自分にとって活用しやすいものに変えて行くことです。そのために数値や式、記号を、見やすいようにグラフにかき入れて行く練習を重ねましょう。
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