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今月は、“第2のアメリカザリガニ?”と“iPSで心臓病治療”そして“宇宙からの監視の目”について取り上げてみましょう。
皆さんはスルメを糸で吊るしてザリガニ釣りをして遊んだことはありますか?今ではほぼ釣れるのは、北海道から沖縄本島まで生息域を広げたアメリカザリガニです。
日本の固有種であるニホンザリガニは北海道、北東北(青森・秋田・岩手県)に生息するだけとなっています。そんなザリガニの世界に異変がおきているのです。それは“ミステリークレイフィッシュ”というアメリカザリガニの仲間が現れたためです。
今では特定外来生物となってしまった、食用として持ち込まれた“ウシガエル”。その餌として、約90年前(1927年)に輸入されたのがアメリカザリガニなのです。しかし、瞬く間に全国各地で繁殖し、トンボの幼虫のヤゴの様な水中生物や水草などを食べ、田んぼの畦(あぜ)道に穴を開けるなど、生態系に悪影響を及ぼしているので、要注意外来生物に指定されています。
そのアメリカザリガニ科の一種とは言え、この“ミステリークレイフィッシュ”は原産地不明、メスだけで繁殖でき、爆発的な繁殖力を持っているのだそうです。農業や漁業、生態系への甚大な被害の恐れがあるため、放流の自粛を求める注意喚起では不十分と判断し、環境省は外来生物法に基づく「特定外来生物」に指定する予定なのだそうです。
1996年頃から“アフリカザリガニ”の名称で観賞用ザリガニとしてペットショップやインターネット通販で流通していたものが、飼えなくなったという理由で安易に放流したため、2006年札幌市で生息が確認されて以来、最近では松山市でも見つかっていると言われています。大きさはアメリカザリガニと同じ10㎝程度で、アメリカザリガニとの違いは側面に大理石模様がある程度なので、アメリカザリガニに見間違われ、既に日本各地で定着している恐れもあるのだそうです。怖いのは繁殖力だけでなく“ザリガニペスト”という菌などを媒介し、エビやカニの養殖に被害を及ぼす恐れがあるのです。既に欧州各国で確認され、アフリカの東岸沖のマダガスカル島では漁業に被害が出ているようです。
人の安全を脅かし、農林水産業への被害、生物の多様性に危害を与える海外起源の外来生物。それを特定外来生物として指定し、飼育したり栽培すること、保管、運搬、輸入といった取扱いをすると“外来生物法”で規制されます。対象となる動植物は平成30年4月1日現在148種あります。
違反すると個人では最高3年以下の懲役又は300万円以下罰金のように、違反内容によっては非常に重い罰則が課せられます。
特定外来生物のヒアリはメールマガジン2017年7月14日号、新たに登録された特定外来生物のお話はメールマガジン2017年3月16日号にも載っていますので、参考にして下さいね。
2012年10月ノーベル賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授が開発したiPS細胞を使った心臓病の治療がスタートします。実施するのは大阪大学研究チームで、iPS細胞から心臓の筋肉のシートを作り、心臓病の患者に世界で初めて移植するという計画をたて、この度、厚生労働大臣から実施が承認されました。年度内には実施されることとなります。
iPS細胞を使って、臓器などを修復再生させる医療行為が認められたのは、理化学研究所などが実施した目の網膜に発生する難病治療に続く2例目となりますが、格段に困難度が増すのだそうです。
心臓は全身に血液を動脈から高い圧力で1日約10万回送り出し、静脈から回収をしているので、筋肉(心筋)の塊と言えるのですが、心臓の血管が詰まるなどして心筋に十分な血液が届かないと心臓の機能が低下し死に至る病気になります。今回の治療はiPS細胞から、細胞の1つ1つが筋肉の様に延び縮みする心筋細胞に変化させたものをシート状に加工し患部に貼って心筋を補強するのだそうです。
心臓は直接生死に直結しますし、移植する細胞も目の治療の400倍もの大量の細胞を使い、その一部でも心筋細胞になり損ねた細胞が有ると腫瘍(しゅよう)になって機能しなくなる恐れがあるからなのだそうです。
世界中に重い心臓疾患(しっかん)で苦しんでいる数多くの方が早く助かるようになれば良いですね。
宇宙からの監視の目と言っても宇宙人の話ではありません。地球を周回する人工衛星のお話です。
人工衛星は高度200kmから36,000kmの静止衛星の軌道まで色々な軌道で回っています。
およそ半年間におよぶ任務を終え6月3日ロシアの宇宙船「ソユーズ」で中央アジアのカザフスタンの平原に無事着陸し、地球に帰還した宇宙飛行士。その金井宣茂さんが働いていた国際宇宙ステーションISSは高度400kmを周回するので「低軌道衛星」と言われています。
カーナビでお馴染みのGPS衛星は約20,000kmの高度を24個の衛星が連携して一周約12時間で回っている「中軌道衛星」です。
宇宙からの監視の目と言えば2015年7月7日七夕の日に運用が開始された気象衛星「ひまわり8号」が代表格といえるでしょう。天気予報に出てくる雲の画像が格段に鮮明になったことで気象予報の精度が格段に向上しました。活躍中の「ひまわり8号」は日本の南方赤道上空36,000kmに位置する「静止衛星」です。静止衛星にはBS/CS放送用の放送衛星や長距離の中継に使われる通信衛星もあります。また、GPSの精度を飛躍的に向上させることが期待されている日本の準天頂衛星“みちびき”は静止衛星ではありませんが32,000 ~ 40,000kmの軌道を3基体制で周回し、どれか1基は常時日本の上空にいてGPSの位置精度を6㎝まで向上させることが出来ます。その結果、近い将来、自動運転で狭い道のすれ違いも出来るようになるでしょう。
これらは衛星の代表例を取り上げたものです。最近ではロケット技術の進化によって一度に多数の超小型衛星を軌道に投入することが可能となったため、衛星の軌道を低くして画像の精度向上を図り、その分、視野範囲が狭くなったのを補完するため、数多くの衛星を投入するシステムが考えられています。 その結果、色々な衛星が撮影した地球の画像の質が改善し、量も多くなり、その利用用途は都市計画や農業計画で幅広く利用されるようになりました。
また、複数の衛星が連携して地球を詳しく調査する技術、人工知能AIによる画像分析が活用されるようになってきています。多数の衛星が連携して機能するのはGPS衛星システムだけではなくなっています。
日々変化する地上の情報をデータベース化し、空き地の有無、世界の石油タンクの貯蔵量の推定、作物の収穫時期の最適化など、利用用途や経済効果は計り知れないものがあるようです。
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