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出題可能性大!藤岡陽子『海とジイ』(小学館)を見逃さないで。
物語文を読み解くための「気持ちの公式」があることをご存知でしょうか?様々なテーマの物語文がありますが、その多くが以下の公式にあてはまる内容から出題されることが非常に多いのです。
この公式をしっかり理解して覚えておけば、難しい問題にも十分に対応することができます。
今回は「祖父母と孫」をテーマとした来年度入試で出題が予想される短編集『海とジイ』を通して、どのようなかたちで公式が使われているかを見てみましょう。
祖父母と孫の関係は、親子の間のような互いの感情を遠慮なくぶつけ合う関係とは異なった、より柔らかな気持ちのやりとりが見られるのが特徴的です。父親や母親より一歩離れた距離感があることができる祖父母は冷静に孫の状況を受け止め、そして人生の先輩としての言葉を授ける。そんな祖父母にだからこそ孫も親には見せない本心を明かす、といったシチュエーションが多く見られます。
特に孫である主人公が祖父母の言葉を受けて人間としての成長を見せる、という変化が、入試問題の対象になりやすいと考えられます。
このテーマではこれまで、梨木香歩の『西の魔女が死んだ』や、橋本紡の『永代橋』(短編集『橋をめぐる』より)などの名作が入試問題の出典となってきましたが、今回ご紹介する『海とジイ』に収録された3編の作品のうち、『海神 わだつみ』『波光 はこう』の2編は、新たな名作の誕生の印象が強く、今後の物語文出典の定番作品になる可能性も高く感じられるのです。
『海神 わだつみ』は小学校で受けたいじめが原因で不登校になってしまった4年生の優生が、父の祖父である元漁師の清じいとの出会いがきっかけとなり、固く閉ざしていた心の壁を壊していく様子が描かれています。末期がんをかかえながらも、ひ孫である優生の前で気丈に振る舞う清じいの言葉を受け止め、優生の父親が幼い頃に父を失った際の思いを知ったことで、次第に優生の気持ちに変化が生まれます。以下の表現に、前を向き始めた優生の気持ちが象徴されています。
また、清じいが優生に投げかけた以下のような言葉が優生の心に深く響きます。
その後、病床に伏した清じいと会話を交わした優生がとった行動は、ぜひ本書を読んで確かめてください。親御様からすると感涙をこらえるのが少し大変かもしれません。強い想いと言葉を受けた優生の心が変化していく描写は稀有の美しさに満ちています。
『波光 はこう』は、陸上の世界で深い挫折を味わい、心を閉ざしていた高校生の澪二が瀬戸内海の島に住む祖父のもとに訪れるところから物語が始まります。そこで聞く祖父の思い出と、澪二自身が置かれた状況がシンクロすることで、澪二が再生へのきっかけをつかむ状況の把握が、この物語を読み解くポイントになります。
この物語の根底には「友情」というもうひとつのテーマが存在しています。祖父が友人の真実の姿を知ることで、頑なにしていた心を開かせたことを聞いた澪二が、自分と友人との関係を重ねあわせ、前向きな気持ちを抱くようになります。澪二が自分のふがいなさを責める以下の表現が印象的です。
一見ネガティブな姿ですが、涙が出そうになるのは自分の気持ちに素直になった証しです。そして泣きたいのをこらえる澪二の中に、自分を奮い立たせる気持ちが宿っていることも見てとれるのです。
この物語でも祖父が澪二に対して以下のような言葉を投げかけています。
ストレートな表現ですが、だからこそ現実逃避をしていた澪二には深く突き刺さります。
2つの短編はどちらも、人生の先輩である曾祖父、祖父の言葉や生き様を目の当たりにして、つらい状況にあった孫たちが閉ざしていた心を開いていくという展開で物語が進みます。
頻出テーマを描いた短編ということで来年度入試での出題も予想されます。まずはぜひ本屋でご覧になってください。
※残る1編の『夕凪 ゆうなぎ』も老医師の生き様に影響を受ける看護師の姿を描いた名作なのですが、子供が主人公の成長物語ではないので、出題の対象となる可能性は低いです。内容は、40代後半の女性が主人公で大人の恋愛感情が描かれています(刺激的な表現などはありません)。
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