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第8回は『売買損益』です。売買損益の問題は、品物の売り買いについて、利益や損(失)を考える問題です。用語が多く使われますので、まず、用語を整頓しておきます。
原価(げんか)とは、お店が(問屋などから)品物を仕入れるときの値段のことで、仕入れ値(しいれね)ともいいます。
定価(ていか)とは、お店が品物を売るときの通常の値段のことです。また、この定価から金額を変えて、お店が実際に売ったときの品物の値段を、売価(ばいか)または、売り値(うりね)といいます。ほとんどの場合、売価は定価から値引きをした(定価よりも安い)値段で決められます。この定価または売価が原価より高い値段の場合の金額の差が、利益またはもうけ、となり、低い値段の場合の差が、損(失)です。
お店では、普通、原価の○割や○%を利益(利益率=利益の割合)として、原価に加えて定価を決めます。これを式で表すと、定価=原価×(1+利益率)、となります。また、定価の○割や○%を値引き(値引き率=値引きの割合)して、定価から引いて売価を決めた場合、これを式で表すと、売価=定価×(1-値引き率)、となります。この2つは、公式として覚えましょう。
なお、文字化けしますので、○に数字を入れた表示は、マル1、マル2などのように表します。
「必修例題1」は、公式の練習問題です。
(1) 240円が原価、2割5分(=0.25)が利益率ですから、定価は、240×(1+0.25)=300円です。
(2) 小数を使った利益率を□とすると、400×(1+□)=480となります。よって、480÷400-1=1.2-1=0.2より、□にあてはまる数は0.2で、歩合で表すと2割ですから、2割増しとなります。
「必修例題2」も、同様に公式の練習問題です。
(1) 1割5分(=0.15)が値引き率ですから、売価(売り値)は、1200×(1-0.15)=1020より、1020円です。
(2) 小数を使った値引き率を□とすると、400×(1-□)=260となります。260÷400=0.65ですから、□=1-0.65=0.35より、0.35を歩合で表して、3割5分引きです。
「必修例題3」は、原価との差を考えて、利益や損(失)を求める問題です。
定価は、200×(1+0.4)=280円となり、売価は、280×(1-0.1)=252円です。原価が200円ですので、252-200=52より、売価が原価より52円高いので、利益は52円となります。
予習シリーズの75ページにもありますが、仕入れ値の4割と、定価の1割とでは、もとにする量がちがいますので、0.4-0.1=0.3から3割増し、という計算をしないように気をつけてください。(1+0.4)×(1-0.1)といった、割合の「連続したかけ算」(割合の合成といいます)になることを、よく理解してください。
「必修例題4」は、計算の元となる原価を求める問題です。
原価を1として、公式により進めていきます。定価は、1×(1+0.4)=1.4となり、この定価1.4を使って、売価は、1.4×(1-0.2)=1.12となります。この売価である1.12と原価である1との差、1.12-1=0.12が利益です。これが150円に相当しますから、150÷0.12=1250より、1とした原価は1250円と求められます。
「必修例題5」は、定価を元にして、2通りの売価を表し、原価との差を考えます。
(1) 予習シリーズ75ページの解き方にある線分図を参照してください。定価をマル1とすると、2割引きの場合の売価は、マル1×(1-0.2)=マル0.8となりますが、利益(売価-原価)は60円ですから、原価は、マル0.8-60円と表すことができます。また、3割引きの場合の売価は、マル1×(1-0.3)=マル0.7となり、損(原価-売価)が15円ですから、原価は、マル0.7+15円と表すことができます。結果として、マル0.8-60=マル0.7+15と表されます。線分図の通り、マル0.8とマル0.7の差であるマル0.1が、60円と15円の合計75円に相当します。75÷0.1=750より、マル1である定価は750円とわかります。
(2) 定価が750円とわかりましたので、2割引きの売価は、750×(1-0.2)=600円となることから、仕入れ値は600-60=540円です。
「必修例題6」は、品物の個数が複数個あるときの売買損益の問題です。
完売(仕入れた個数がすべて売れる場合)していないときは、注意が必要です。利益は、売り上げた個数分の売り上げ金額の合計から、仕入れた個数すべての仕入れ金額の合計を引いて計算します。つまり、利益=売り上げ金額-仕入れ金額、となります。仕入れ金額は、原価200円に仕入れた個数100個をかけた、200×100=20000円です。それに対して、売り上げ金額は以下の2つで表されます。
(ア) 200×(1+0.25)=250より、250円の定価で、100-30=70個を売りました。
(イ) 80円を値引きした、250-80=170円の売価で、30-5=25個を売りました。
(ア)の売り上げ金額は、250×70=17500円です。(イ)の売り上げ金額は、170×25=4250円です。(ア)と(イ)を合わせた、売り上げ金額の合計は、100-5=95個の分で、17500+4250=21750円です。よって、95個分の売り上げ金額の合計から、100個分の仕入れ金額の合計を引きますので、21750-20000=1750より、利益は1750円です。
この問題のように、売れ残りがあっても、利益の計算では、仕入れ金額の合計を売り上げ金額の合計から引くことに注意してください。
第9回は『差集め算』です。例えば、5人の子どもに折り紙を配る場合を考えます。2枚ずつ配る場合と、4枚ずつ配る場合では、配る折り紙の合計枚数には、10枚の差ができます。これは、子ども1人について2枚ずつの差ができて、この2枚ずつの差が5人分で、10枚となるわけです。つまり、1人についての枚数の差(1つ分の差)に人数(いくつ分)をかけると、全体の枚数の差(全体の差)を求めることができます。このように、(1つ分の差)×(いくつ分)=(全体の差)、の仕組みを使って解く問題を差集め算といいます。解法としては、(いくつ分)をそろえて考えます。
各問題の解説にある図を参照して下さい。
「必修例題1」は、差集め算の基本です。
1個50円のリンゴを買う予定を、1個30円のミカンに代えたことで、180円のあまりがでました。
リンゴ1個50円とみかん1個30円の差が(1つ分の差)です。同じ個数(いくつ分)を買ったときの、(全体の差)は、あまりの180円になります。そこで、買った個数を□個として、整頓すると、(50-30)×□=180となります。□=180÷20=9より、買った個数は9個です。よって、1個50円のリンゴを9個買うつもりで持っていったお金は、50×9=450より、450円でした。
差集め算では、最後に何を求めるのか、個数なのか代金なのか、といった点にも十分に注意しましょう。
「必修例題2」は、あまった枚数と不足した枚数から、全体の差を考えて、解く問題です。
用意した折り紙を○枚とします。17枚のあまりがあると言うことは、配る枚数は、(○-17)枚です。また、9枚不足するということは、配る枚数は、(○+9)枚です。この差が、全体の差で、(17+9)枚となります。1人分の差は(7-5)枚、子どもの人数を□人として、整頓すると、(7-5)×□=(17+9)となります。よって、□=26÷2=13より、子どもは13人います。5枚ずつ配る場合を考えて、5×13+17=82より、折り紙は82枚あります。
「必修例題3」も、あまりの数や不足の数から、全体の差を考える問題です。
(1) えんぴつを□人の生徒に配ります。3本ずつ配ると60本あまり、2本追加して(5本)配ると、4本あまります。このことは、1人分の差(1つ分の差)は2本で、全体の差は(60-4)本ということになります。整頓すると、2×□=(60-4)となります。□=56÷2=28より、生徒の人数は、28人です。
(2) カードの枚数を○枚とします。8枚ずつ配るためには、(○+25)枚が必要で、5枚ずつ配るためには、(○+4)枚が必要です。よって、全体の差は(25-4)枚となります。子どもの人数を□人として、整頓すると、(8-5)×□=(25-4)となります。□=21÷3=7より、子どもは7人います。
「必修例題4」は、不足する個数を考える問題です。
かごにクリを9個ずつ入れていくと、5個しか入っていないかごが1個と、何も入っていないかごが2個できる場合、□個のかごにすべて9個ずつ入れるためには、何個不足するかを考えます。 (9-5)+9×2=22より、22個不足することになります。予習シリーズ85ページの解説図をよく見て、何も入っていないかごをどのように扱うかに注意しましょう。
また、かごにクリを7個ずつ入れる場合にはクリは、16個あまります。よって、全体の差は22+16=38個とわかります。整頓すると、(9-7)×□=38となります。□=38÷2=19より、かごの個数は19個となりますので、7×19+16=149より、クリの個数は149個です。
「必修例題5」は、(いくつ分)の数がそろっていない場合の問題です。
予定の個数を□個として、1個45円のたまごを□個買うときの金額と、1個35円のたまごを□個買うときの金額をくらべます。1個35円のたまごを(□+2)個買って、50円があまりましたので、□個買ったことにする(2個減らす)と、35×2+50=120円あまることになります。1個45円のたまごと1個35円のたまごをそれぞれ等しく、□個買ったときの全体の差は、120円です。整頓すると、(45-35)×□=120となります。□=120÷10=12より、予定の個数は12個と求められます。よって、45×12=540より、持って行ったお金は、540円です。
「必修例題6」も、(いくつ分)の数がそろっていない場合の問題です。難度の高い問題ですので、予習シリーズ86ページの解説図を参照してください。
買ったミカンの個数11個を、買ったリンゴの個数である8個にそろえます。ミカン1個とリンゴ1個では、15円の差がありますので、(いくつ分)をそろえて、8個ずつ買ったとすると、15×8=120円の差ができますが、これが8個ずつ買ったときの全体の差です。ここから、ミカンは(11-8=)3個分の代金があまり、リンゴは30円があまりますので、ミカン3個分の代金と30円の差が、それぞれを8個ずつ買ったときの全体の差である120円に相当します。よって、(ミカン3個分の代金)-30=120円となりますので、(120+30)÷3=50より、ミカンは1個50円とわかります。以上より、50×11=550ですから、持っているお金は、550円です。
「必修例題7」は、とりちがえの問題です。予習シリーズ87ページの解説図を参照してください。
例えば、50円切手を80円切手より1枚多く買う予定が、逆に80円切手を50円切手より1枚多く買ったとすると、とりちがえにより、80-50=30円高くなります。
予定の代金より実際の代金が、180円高くなるのは、180÷(80-50)=6より、6枚分をとりちがえたからとわかります。また、とりちがえた結果、代金が高くなるということは、もともとは50円切手を80円切手より6枚多く買う予定だったことになります。ここで、どちらを多く買う予定だったかを間違わないように気をつけてください。合わせて20枚買いますので、和差算で、(20+6)÷2=13より、50円切手を13枚買う予定でした。
第8回は『分数(1)』です。予習シリーズ61ページの『分数の意味』をよく読んで意味と表し方を身につけてください。なお、ここでは分数は、分子/分母の形で表すことにします。
「必修例題1」は、分数の使い方の基本問題です。単位の扱いにも気をつけましょう。
(1) 2Lのジュースの1/5とは、2L=20dLを5等分したうちの1つ分ということです。よって、20÷5=4より、飲んだジュースの量は4dLです。
(2) 3/7とは、7等分したうちの3つ分ということですから、1.4m=140cmより、140÷7=20となり、この20が3つ分ということは、20×3=60となります。よって、140-60=80より、残っているリボンの長さは、80cmです。なお、3/7の計算は、できれば1回の計算にするとよいです。つまり、140÷7×3=60とするようにしましょう。分子の部分をかけ忘れることが多いので気をつけてください。
「必修例題2」は、分数に単位のついた数量が何を表すか、という問題です。
(1) 3/4kgとは、1kgの3/4ということです。1kg=1000gですから、1000÷4×3=750より、750gです。
(2) 2/3時間とは、1時間の2/3ということです。1時間=60分ですから、60÷3×2=40より、40分です。
分数のいろいろな表し方を学習します。予習シリーズ62ページの説明をよく読んで、それぞれの関係を理解しましょう。
「必修例題3」は、分数を、仮分数から帯分数へ、帯分数から仮分数へ直す問題です。なお、帯分数は、(整数・分数)の形で表します。
(1) 9/4とは、たとえば、1個のケーキを4等分した1つ分が1/4で、これが9つあるということです。1/4が4つでケーキ1個となりますから、9つを4つずつの組に分けることにすると、9÷4=2あまり1です。これは、ケーキが2個と、4等分したケーキが1つ(=1/4)あることになりますから、(2+1/4)個と同じことになります。計算に注目すると、分子÷分母の計算をして、商(わり算の答え)が整数(の数)、あまりが、新しい分子(の数)になります。9/4=2+1/4=2・1/4です。
(2) 3・2/5は、3+2/5です。1=5/5ですから、整数の3は5×3=15より、3=15/5となります。よって、1/5が15+2=17ありますので、3・2/5を仮分数になおすと、17/5です。計算に注目すると、整数×分母(の数)+はじめの分子(の数)=新しい分子(の数)となります。
分数のたし算・ひき算を学習します。予習シリーズ63ページの説明をよく読んで、計算の仕組みを理解しましょう。基本は、分母はそのままで、分子どうしをたし算・ひき算します。
「必修例題4」は分数のたし算・ひき算です。
(1) 分子のたし算で、5+3=8ですから、8/7となりますが、仮分数は帯分数にして答えます。8÷7=1あまり1より、1+1/7=1・1/7となります。
(2) 帯分数のたし算は、整数どうしをたし算、分数どうしをたし算します。整数どうしは、2+5=7です。分数どうしは、分子のたし算で、7+4=11となり、11/9=1+2/9ですから、7+1+2/9=8+2/9となり、8・2/9となります。
(3) 整数と分数のひき算は、整数のうちの1を分数になおします。分母の4を使った分数で表すと、1=4/4ですから、3=2・4/4と表せます。4/4-1/4の計算は、分子のひき算、4-1=3ですから、3/4となり、残っている整数の2と合わせて、2・3/4となります。
(4) 帯分数のひき算は、整数どうしをひき算、分数どうしをひき算しますが、与えられた式のままでは分数のひき算ができません。そこで、ひかれる数を、3+1・2/7にして、1・2/7を仮分数にします。1=7/7ですから、3・9/7と表せます。整数どうしは、3-1=2です。分数どうしは、分子のひき算で、9-5=4となり、4/7です。よって、2・4/7となります。
計算は、「習うより慣れよ」、です。計算トレーニングを数多くして、早くマスターしましょう。
第9回は『正方形と長方形』です。図形のまわりの長さや、面積を学習します。正方形や長方形の形については、予習シリーズ69ページの必修例題の前にある説明をよく読んでください。
「必修例題1」は、まわりの長さを求める問題です。
(1) 正方形は4本の等しい長さの辺で囲まれた図形です。1辺の長さが7cmですから、7×4=28より、まわりの長さは28cmです。
(2) 長方形はたてと横2本ずつの辺で囲まれた図形です。たて4cm、横9cmですから、(4+9)×2=26より、まわりの長さは26cmです。
「必修例題2」は、まわりの長さから、たてや横の長さを求める問題です。
まわりの長さが40cmの長方形ですから、たての長さと横の長さ1本ずつの和は、40÷2=20cmです。また、たての長さは横の長さより6cm短いという、差がわかっています。よって、和(20cm)と差(6cm)から、和差算をつかって、(20-6)÷2=7より、たての長さは、7cmです。
「必修例題3」は、面積を求める問題です。予習シリーズ70ページの必修例題3の前の説明および解き方にある説明を参照して、公式の成り立ちをよく理解してください。
(1) 1辺が3cmですから、1辺1cmの正方形がたて、横に3個ずつあることになります。よって、1平方cmの正方形が3×3=9個ありますので、1×9=9より、1辺が3cmの正方形の面積は、9平方cmです。このことは、1辺の長さを2回かけることで求められることと同じです。よって、正方形の面積=1辺の長さ×1辺の長さ、という公式が成り立つことを理解してください。
(2) 同様の考え方で、長方形の面積=たての長さ×横の長さ、という公式も成り立ちます。4×6=24より、たて4cm、横6cmの長方形の面積は、24平方cmです。
「必修例題4」は、正方形や長方形を組み合わせた図形のまわりの長さや面積を求める問題です。
(1) 問題の図形は、見方をかえると、長方形から、かどをふくむ小さい長方形を切り取った形です。予習シリーズ71ページの解き方にあるように、まわりの長さは、小さい長方形を切り取る前の長方形のまわりの長さと等しいことに注目してください。切り取る前の長方形のたては9cm、横は15cmですから、(9+15)×2=48より、まわりの長さは48cmです。
(2) 面積を求めるには、公式の使える正方形や長方形に分けて計算します。たて9cm、横8cmの長方形と、たて(9-6=)3cm、横(15-8=)7cmの長方形に分けます。9×8+3×7=72+21=93より、面積は93平方cmです。また、横に分けて、6×8+(9-6)×15=48+45=93と考えてもかまいません。
あるいは、(1)で考えたように、大きい長方形の面積から、切り取った小さい長方形の面積を引いて求める考え方もあります。大きい長方形の面積=9×15=135平方cm、小さい長方形の面積=6×(15-8)=42平方cmより、135-42=93平方cmです。
「必修例題5」は、面積の単位の学習です。
面積の単位には、平方cmのほかに、平方m、a(アール)、ha(ヘクタール)、平方kmがあります。予習シリーズ72ページの説明を理解して、これらの単位の変換の関係を覚えましょう。1m=100cmですから、
1平方m=100cm×100cm=10000平方cmです。ここでは、長さの単位を利用した面積の換算です。
面積の単位としては、1辺の長さが1mの正方形の面積を1平方mとするところからはじまります。この正方形をたてに10個、横に10個の合計100個集めると単位が変わります。つまり、1平方m×100=100平方m=1aで、このあとも、100個ずつで単位が変わります。1a×100=100a=1ha、1ha×100=100ha=1平方km、となることも理解しておくと役に立ちます。
(1) 1a=100平方mですから、35aは、100×35=3500より、3500平方mです。
(2) 1ha=100aですから、720aは、720÷100=7.2より、7.2haです。
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