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第30回のテーマは「平面図形 複合図形の面積」です。今回の内容は「複合図形の面積や周りの長さの求め方」「半径がわからない円の面積の求め方」「三角定規の角度と辺の長さの比の活用法」です。さまざまなタイプの図形について考えていきます。
第29回に引き続き「切る」「取り除く」「視点を変える」という方法で面積を求めていきます。今回の図形はより複雑さを増すため、面積を求めるときにいくつかの方針を立てる必要があります。
1人で考えているといつの間にかひとつの偏った方針にこだわりがちになり、結果、問題の解決に至らないことがあります。どんな難問にも対応できるよう、「学び1」で提示されている方針(299ページ「やってみよう!」の表)を参考にして考え方の幅を広げていきましょう。
「学び1」では複合図形の面積や周りの長さの求め方について考えていきます。298ページの「やってみよう!」の中からいくつかを取り上げて説明します。
はじめに「A」です。正方形と四分円(中心角が90度のおうぎ形)を組み合わせた図形です。「A」では1辺の長さが10cmの正方形の中にある影のついたレンズ形の部分について考えます。はじめに面積を求めます。面積の求め方には切ったり、取り除いたりする方法がありますが、ここでは切る方法を紹介します。
説明のために298ページの「A」の図の正方形の頂点にアルファベットを書き込みましょう。左上の頂点をA、左下の頂点をB、右下の頂点をC、右上の頂点をDとします。BとDを直線で結びましょう。レンズ形を直線BDで半分に切った部分の面積を求め、その面積を2倍してレンズ形の部分の面積を求めていきます。
レンズ形の半分の部分の面積は半径が10cmの四分円の面積から底辺が10cm、高さが10cmの直角二等辺三角形DBCの面積を引くことで求めることができます。半径が10cmの四分円の面積は10×10×3.14÷4=78.5㎠となります。底辺が10cm、高さが10cmの直角二等辺三角形の面積は10×10÷2=50㎠となります。これらのことからレンズ形を半分に切った部分の面積は78.5-50=28.5㎠となります。したがってレンズ形の部分の面積は28.5×2=57㎠となります。
次にレンズ形の部分の周りの長さを求めます。レンズ形の部分の周りの長さは半径が10cmの四分円の孤の長さを2倍すると求めることができます。したがって、10×2×3.14÷4×2=31.4cmとなります。
次に「C」です。直角三角形と3つのおうぎ形を組み合わせた図形です。ここでは取り除く方法で影の部分の面積を求めていきます。底辺が2cm、高さが3cmの直角三角形の面積から、直角三角形の中にある3つのおうぎ形を取り除いた部分が影の部分です。
底辺が2cm、高さが3cmの直角三角形は2×3÷2=3㎠となります。次に、直角三角形の中の3つのおうぎ形について考えます。3つのおうぎ形の半径はすべて1cmです。中心角を調べてみると、中心角が90度のおうぎ形が1つあることはわかりますが、他の2つのおうぎ形の中心角はわかりません。ところが3つのおうぎ形の中心角はそれぞれ直角三角形の内角のため、3つのおうぎ形を合わせると中心角が180度で半径が1cmのおうぎ形になります。
つまり、直角三角形の中の3つのおうぎ形の面積の和は中心角が180度で半径が1cmのおうぎ形の面積を求めればよいことがわかります。したがって、直角三角形の中の3つのおうぎ形の面積の和は、1×1×3.14×180/360=1.57㎠となります。これらのことから、影の部分の面積は3-1.57=1.43㎠となります。なお、「C」の図形の影の部分の周りの長さは求めることができません。
次に「D」です。半径1cmの半円(中心角が180度のおうぎ形)2つと半径2cmの四分円を組み合わせた図形です。はじめに形を変える方法で影の部分の面積を求めていきます。説明のために298ページの「D」の図形の頂点にアルファベットを書き込みましょう。半径2cmの四分円の左上の頂点をA、右下の頂点をB、中心をO(オー)とします。また、半径1cmの半円の孤と半径1cmの半円の孤が交わる点をPとします。
AとB、OとPを直線で結びましょう。すると、レンズ形を半分に切った影のついた図形が2つと、レンズ形を半分に切った白い図形が2つできます。これら4つの図形はすべて同じ形のため交換できます。レンズ形を半分に切った2つの影のついた図形とレンズ形を半分に切った2つの白い図形を交換しましょう。すると、影のついた部分の図形は1つに集まって、直線ABと孤ABで囲まれたレンズ形の半分の図形になることがわかります。
「A」で示した方法で影のついた部分の図形の面積を求めていきましょう。レンズ形の半分の部分の面積は半径が2cmの四分円の面積から底辺が2cm、高さが2cmの直角二等辺三角形AOBの面積を引くことで求めることができます。半径が2cmの四分円の面積は2×2×3.14÷4=3.14㎠となります。底辺が2cm、高さが2cmの直角二等辺三角形の面積は2×2÷2=2㎠となります。これらのことからレンズ形を半分に切った部分の面積(「D」の影のついた部分の面積)は3.14-2=1.14㎠となります。
次に影のついたの部分の周りの長さを求めます。影のついた部分の周りの長さは半径が2cmの四分円の孤の長さと半径が1cmの半円の孤の長さ2つ分の和となります。半径が2cmの四分円の孤の長さ は2×2×3.14÷4=3.14cmとなります。また、半径が1cmの半円の孤の長さは1×2×3.14÷2=3.14cmとなります。したがって、影のついたの部分の周りの長さは3.14+3.14+3.14=9.42cmとなります。
次に300ページを見てみましょう。ここでは少し複雑な複合図形について面積と周りの長さについて考えていきます。
はじめに「E」です。直角三角形と複数の半円を組み合わせた図形です。ここでは図形に手を加えずに面積と周りの長さを求めていきます。はじめに面積を求めます。図の影のついた部分の面積は、半径3cm(直径6cm)の半円の面積と半径4cm(直径8cm)の半円の面積と底辺が6cm、高さが8cmの直角三角形の和から、半径5cm(直径10cm)の半円の面積を取り除くことで求めることができます。
半径3cmの半円の面積は3×3×3.14÷2=4.5×3.14=14.13㎠となります。半径4cmの半円の面積は4×4×3.14÷2=8×3.14=25.12㎠となります。底辺が6cm、高さが8cmの直角三角形の面積は6×8÷2=24㎠となります。さらに、半径5cmの半円の面積は5×5×3.14÷2=12.5×3.14=39.25㎠となります。したがって、図の影のついた部分の面積は、(14.13+25.12+24)-39.25=24㎠となります。
次に影のついた部分の周りの長さを求めます。影のついた部分の周りの長さは直径6cmの半円の孤の長さと直径8cmの半円の孤の長さと直径10cmの半円の孤の長さの和となります。直径6cmの半円の孤の長さは6×3.14÷2=3×3.14となります。直径8cmの半円の孤の長さは8×3.14÷2=4×3.14となります。直径10cmの半円の孤の長さは10×3.14÷2=5×3.14となります。したがって、影のついた部分の周りの長さは3×3.14+4×3.14+5×3.14=(3+4+5)×3.14=37.68cmとなります。
次に「F」です。2つの正方形を組み合わせた図形です。ここでは切る方法で影のついた部分の面積を求めていきます。はじめに1辺が8cmの正方形の左上の頂点と1辺が9cmの正方形の左上の頂点を直線で結びましょう。このように切ると影のついた部分は3つの三角形からできています。
次に三角形の高さを調べるために正方形の辺を延長して大きな長方形を作ります。はじめに1辺が8cmの正方形の左側の辺を下に延長します。次に1辺が9cmの正方形の下側の辺を左に延長すると、1辺が8cmの正方形の左側の辺を下に延長した線と交わります。
次に1辺が8cmの正方形の上側の辺を右に延長します。次に1辺が9cmの正方形の右側の辺を上に延長すると、1辺が8cmの正方形の上側の辺を右に延長した線と交わります。
すると全体を見ると大きな長方形になります。長方形の縦の長さは1辺が8cmの正方形と1辺が9cmの正方形の重なる部分に注意して、8+9-3=14cmとなります。横の長さは8+7=15cmとなります。
影の部分の面積を求めていきます。影の部分は左側の細長い三角形、上側の細長い三角形、1辺が9cmの正方形を対角線で2つに分けた直角二等辺三角形からなります。左側の細長い三角形の底辺は9cm、高さは15-9=6cmとなります。したがって、左側の細長い三角形の面積は9×6÷2=27㎠となります。
上側の細長い三角形の底辺は9cm、高さは14-9=5cmとなります。したがって、上側の細長い三角形の面積は9×5÷2=22.5㎠となります。1辺が9cmの正方形を対角線で2つに分けた直角二等辺三角形の面積は9×9÷2=40.5㎠となります。
したがって、影の部分の面積は27+22.5+40.5=90㎠となります。
影の部分の面積は取り除く方法でも求めることができます。なお、「F」の図形の影の部分の周りの長さは求めることができません。
次に「D」です。半径3cmの3つの円を組み合わせた図形です。ここでは補助線を引いて、形を変える方法で面積を求めていきます。
はじめに3つの円の中心どうしを直線で結びます。すると図の中央に白い正三角形(中心どうしを結ぶ直線はすべて円の半径で3cm)と3つの白いレンズ形の半分の図形が現れます。
次に上の円の中心から左右に直線を引くと円と円の交点と交わります。左下の円の中心から左上と右下に直線を引くと円と円の交点と交わります。右下の円の中心から右上と左下に直線を引くと円と円の交点と交わります。すると、中央の白い正三角形のまわりに同じ形の正三角形(正三角形の1辺はすべて半径3cmの円の半径)が3つ現れます。
この3つの正三角形の外側に影のついたレンズ形の半分の図形が6つできます。影のついた部分の面積を求めていきます。影のついた部分は左上、右上、下の3つの部分からなります。これらの図形どうしは合同です。したがって、下の影のついた部分の面積を求めて、その面積を3倍して影のついた部分の面積を求めていきます。
下の影のついた部分で右側にある影のついたレンズ形の半分の図形と下の影のついた部分の上側にある白いレンズ形の半分の図形を交換します。すると形を変えた図形は右下の円の1部で、半径3cmで中心角が60度のおうぎ形となります。
このことから下の影のついた部分の面積は3×3×3.14×60/360×3=14.13㎠となります。したがって、影のついた部分の面積は14.13×3=42.39㎠となります。
次に影のついた部分の周りの長さを求めます。影のついた部分の周りの長さは半径3cmで中心角が60度のおうぎ形の孤の長さの9個分となります。したがって、影のついた部分の周りの長さは3×2×3.14×60/360×9=28.26cmとなります。
円やおうぎ形を含複合図形の面積や周りの長さを考えるときには、円やおうぎ形の中心と円周上の交点を結ぶと手がかりが増えます。
「学び2」では三角定規の角度と辺の長さの使い方を学びます。302ページの1番上の三角定規が2つ組み合わさった図を見てみましょう。
左側の図形は形の同じ三角定規が組み合わさってできた正三角形です。左に置いてある三角定規を見てみましょう。1番高いところの角度が30度、左が60度、右が90度の直角三角形です。この三角定規は図のように、2つ組み合わせると正三角形を作ることができるため、「60度の三角定規」と呼ぶことにします。
図で正三角形の底辺を見てみましょう。底辺の長さは合同な2つの三角定規の1辺(この長さを1とします)を合わせた長さのため、1+1=2となります。正三角形の1辺の長さは等しいため、図の正三角形の他の辺の長さも2となります。あらためて三角定規の辺の長さの比を考えてみると1番長い辺と1番短い辺の長さの比は2:1となっています。60度の三角定規の内角の大きさと辺の長さの比はとても重要です。必ず覚えましょう。
右側の図形は形の同じ三角定規が組み合わさってできた正方形です。この三角定規は直角二等辺三角形で、角度は90度、45度、45度です。この三角定規を「45度の三角定規」と呼ぶことにします。したがって2つの二等辺三角形を組み合わせると図のように二等辺三角形の等しい2辺を正方形の1辺とした形ができます。また、直角二等辺三角形の等しい2辺以外の辺が正方形の対角線となっています。
次に303ページの「やってみよう!」を見てみましょう。三角定規の角度と辺の長さの使い方の具体的な問題例を見てみましょう。
はじめに1番上の図です。説明のためにアルファベットを書きましょう。円の中心をO(オー)、影のついた部分の三角形の1番高い頂点をA、底辺の右端の頂点をBとします。Aから辺OBに垂線を引き、底辺との交点をCとします。
図は円を12等分したおうぎ形からなるため、1つのおうぎ形の中心角は360÷12=30度となります。つまり、影のついた部分の三角形の角AOCは30度です。また、角OCAは90度のため、角OACは三角形の内角の和が180度であることから180-(30+90)=60度となります。
したがって三角形AOCは60度の三角定規と同じ形で、OAの長さは円の半径のため10cmです。60度の三角定規の1番長い辺と1番短い辺の長さの比は2:1となることから、ACの長さはOAの長さの半分で10÷2=5cmとなります。すると、影のついた部分の三角形の底辺(OB)は10cmで、高さ(AC)は5cmとなります。したがって影のついた部分の面積は10×5÷2=25㎠となります。
次に真ん中の図です。等しい2辺が10cmの直角二等辺三角形と、等しい2辺が11cmの直角二等辺三角形が組み合わさった図形です。等しい2辺が10cmの直角二等辺三角形の1番高い頂点をA、直角の部分の頂点をB、残った頂点をCとします。等しい2辺が11cmの直角二等辺三角形の1番高い頂点をD、直角の部分の頂点をE、残った頂点をFとします。また、辺ABとDFの交点をG、ACとDFの交点をH、ACとDEの交点をIとします。
三角形GFBを調べます。角GFBは直角二等辺三角形の1部のため45度です。また、角GBFの大きさは90度であり、角FGBの大きさは三角形の内角の和が180度であることから、180-(45+90)=45度となります。このことから三角形GFBは直角二等辺三角形です。FBとBGは同じ長さのためGBの長さは2cmとなります。
次に三角形IECを調べます。角ICEは直角二等辺三角形の1部のため45度です。また、角IECの大きさは90度であり、角EICの大きさは三角形の内角の和が180度であることから、180-(45+90)=45度となります。このことから三角形IECは直角二等辺三角形です。
ここで図のFCの長さは2+10=12cm、FEの長さは等しい2辺が11cmの直角二等辺三角形の1辺のため11cmとなります。したがって、ECの長さは12-11=1cmとなります。ECとIEは同じ長さのため辺IEの長さは1cmとなります。
図の影のついた部分の面積は三角形HFCの面積から三角形GFBの面積と三角形IECの面積を取り除くことで求めることができます。三角形HFCの面積を求めます。三角形HFCの底辺は12cmです。高さを調べましょう。三角形HFCの高さは点HからFCに引いた垂線の長さになります。点HからFCに引いた垂線とFCとの交点をJとします。
ここで三角形HFJを見てみましょう。角HFJは直角二等辺三角形の1部のため45度です。また、角HJFの大きさは90度であり、角FHJの大きさは三角形の内角の和が180度であることから、180-(45+90)=45度となります。このことから三角形HFJは直角二等辺三角形です。したがって、HJとJFの長さは同じです(同じ印をつけましょう)。
同様に三角形HCJも直角二等辺三角形で、三角形HFJと合同です。したがって、HJとJCは同じ長さです(同じ印をつけましょう)。これらのことからJFとJCは同じ長さとなり、12÷2=6cmとなります。また、三角形HCJは直角二等辺三角形のため、HJの長さ(三角形HFCの高さ)も6cmとなります。
したがって三角形HFCの面積は12×6÷2=36㎠となります。
三角形GFBの面積は底辺が2cm、高さが2cmであることから、2×2÷2=2㎠となります。三角形IECの面積は底辺が1cm、高さが1cmであることから、1×1÷2=0.5㎠となります。したがって影のついた部分面積は36-(2+0.5)=33.5㎠となります。
次に1番下の図です。中心角が150度のおうぎ形です。説明のためにアルファベットを書きましょう。おうぎ形の左側の頂点をA、中心をO(オー)、右側の頂点をBとします。影の部分の面積を求めます。影の部分の面積は半径10cm、中心角が150度のおうぎ形の面積から三角形AOBを取り除くことで求めることができます。
三角形AOBの底辺は10cmです。三角形AOBの高さを調べます。点Aから垂線をおろして、OBを延長した線と交わる点をCとします。すると、新たに直角三角形ACOができます。直角三角形ACOの角AOCは180-150=30度となります。
また、角OACは三角形の内角の和が180度であることから、180-(30+90)=60度となります。このことから直角三角形ACOは60度の三角定規と同じ形です。直角三角形ACOの1番長い辺のAOはおうぎ形の半径で10cmです。したがって、直角三角形ACOの1番短い辺のACは1番長い辺のAOの半分で5cmとなります。ACは三角形AOBの高さです。したがって三角形AOBの面積は10×5÷2=25㎠となります。
また、おうぎ形の面積は10×10×3.14×150/360=785/6=130・5/6となります。したがって影のついた部分の面積は130・5/6-25=105・5/6となります。
「学び3」では半径がわからない円の面積の求め方を説明します。304ページの「やってみよう!」を見てみましょう。
はじめに①の円の面積を求めてみましょう。正方形AOBCの面積が16のため、正方形の1辺の長さは4×4=16のため4cmとわかります。したがって、円の面積は4×4×3.14=50.24㎠となります。
ここで面積を求めた式をあらためて見てみましょう。「4×4×3.14」の「4×4」は図の情報と照らし合わせると色々な見方をすることができます。例えば、OB×OB=4×4と見ることができます。また、OA×OA=4×4と見ることもできます。これらの2つの見方は「4×4」が「半径×半径」という意識が強い場合です。
一方、OAもOBも半径のためOA×OB=4×4と見ることができます。これは正方形AOBCの面積のため、正方形AOBCの面積の値は図の円の「半径×半径」の値と考えることができます。つまり、円の面積を求めるときに、円の半径を求めずに正方形AOBCの面積の値(16㎠)が「半径×半径」の値と考えて円の面積を求めることもできます。この場合、円の面積を求める式は半径×半径×3.14=16×3.14となります。結果は同じですが、考え方に大きな違いがあります。
次に②の円の面積を求めてみましょう。正方形AOBCの面積が10㎠という情報からは円の半径を求めることはできません。しかし、①で説明した通り、半径は求めることができなくても「半径×半径」の値は求めることができます。半径×半径=OA×OB=10㎠であることから、「半径×半径」の値は10であることがわかります。したがって、円の面積は10×3.14=31.4㎠となります。
このパターンは入試でもよく見られる出題方法のため、必ず覚えましょう。
305ページの「やってみよう!」にある大きい円の半径は求めることはできませんが、図に正方形を書き込むことで「半径×半径」の値を求めることができます。図に大きい円の半径を1辺とした正方形を書き込んで考えてみましょう。
演習としては306ページから309ページは必修です。図形が苦手な場合はこの部分を徹底的に行いましょう。311ページの問1から313ページの問7は入試問題でそのまま出題されてもおかしくない問題のため取り組みましょう。余裕があれば314ページの問8から316ページの問16の問題に挑戦してみましょう。
第30回のテーマは「平面図形 図形のいろいろな性質」です。今回は平面図形を学ぶ上で必要となる知識を学んでいきます。内容としては「対頂角・同位角・錯角」「多角形の内角の和」「多角形の外角の和」「多角形の対角線の本数」「合同な三角形」「三角定規の角度と辺の長さ」です。
入試ではこれらの知識を使うことがメインとなりますが、今回の「学び」では「なぜそうなるのか」というプロセスにも焦点があてられます。プロセスを通して得た知識は単に暗記した知識と違い、未知の課題に出会ったときに使える知識となります。いろいろな図形の性質がどのように導かれるのか楽しみながら取り組んでみましょう。
「学び1」では対頂角、同位角、錯角について学びます。228ページを見てみましょう。①〜③の図があります。
①2つの直線が交わるとき、4つの角ができます。そのうち向かい合った角を対頂角といいます。対頂角の大きさは等しいです。
②平行な2直線ℓ、mに直線n(2直線ℓ、mに交わっている直線にnと書き込みましょう)が交わっています。このとき直線ℓと直線nが交わって4つの角ができます。図では4つの角のうち右上の角に「×」の印がついています。また、直線mと直線nが交わって4つの角ができます。
図では4つの角のうち右上の角に「×」の印がついています。このように直線ℓと直線nが交わってできる右上の角と直線ℓと直線mが交わってできる右上の角の関係を同位角(同じ位置の右上にある角)といいます。直線ℓと直線mが平行なとき、同位角は等しい大きさになります。
③平行な2直線ℓ、mに直線n(2直線ℓ、mに交わっている直線にnと書き込みましょう)が交わっています。
このとき直線ℓと直線nが交わって4つの角ができます。図では4つの角のうち右下の角に「◯」の印がついています。また、直線mと直線nが交わって4つの角ができます。図では4つの角のうち左上の角に「◯」の印がついています。
このように直線ℓと直線nが交わってできる右下の角と直線ℓと直線mが交わってできる左上の角の関係を錯角(平行な2直線ℓ、mの内側にあり、斜めに交わる角)といいます。直線ℓと直線mが平行なとき、錯角は等しい大きさになります。
次に228ページの「やってみよう!」を見てみましょう。図を使って三角形の内角の和が180度になる理由を説明します。
図に頂点Aを通りBCに平行な直線を引きましょう。直線の右端をP、左端をQとします。三角形ABCの内角に印をつけましょう。頂点Aのところの内角に◯、頂点Bのところの内角に×、頂点Cのところの内角に△の印をつけます。
次に錯角を探します。角PABと角ABCは錯角です。PQとBCは平行なため角PABと角ABCは同じ大きさとなります。角ABCの大きさは×のため、角PABのところに×を書き込みましょう。また、角QACと角ACBは錯角です。PQとBCは平行なため角QACと角ACBは同じ大きさとなります。角ACBの大きさは△のため、角QACのところに△を書き込みましょう。
すると、PQの下のところに×、◯、△が並びます。PQは直線のため×と◯と△の和は180度となります。図をあらためて見ると、三角形の内角はそれぞれ、◯、×、△のため、三角形の内角の和は180度となります。
「学び2」では多角形の性質について学びます。230ページの「やってみよう!」を使って、多角形を三角形に分けてみましょう。230ページには6つの多角形があります。多角形の1つの頂点から他の頂点に対角線を引いて、多角形を三角形に分けていきます。
ここでは、四角形と五角形と六角形について順番に調べていきます。
【四角形の場合】
四角形の1番高い頂点から対角線を引いてみましょう。四角形の場合、1つの頂点から引くことのできる対角線の本数は1本です。このことによって、四角形は2つの三角形に分けることができます。したがって、四角形の場合、1つの頂点から引ける対角線の本数と対角線によって分けられる三角形の数は次のように考えることができます。
●1つの頂点から引ける対角線の本数
4-3=1本
*4は四角形の4、3は決まった数
●対角線によって分けられる三角形の数
4-2=2個
*4は四角形の4、2は決まった数
【五角形の場合】
五角形の1番高い頂点から対角線を引いてみましょう。五角形の場合、1つの頂点から引くことのできる対角線の本数は2本です。このことによって、五角形は3つの三角形に分けることができます。したがって、五角形の場合、1つの頂点から引ける対角線の本数と対角線によって分けられる三角形の数は次のように考えることができます。
●1つの頂点から引ける対角線の本数
5-3=2本
*5は五角形の5、3は決まった数
●対角線によって分けられる三角形の数
5-2=3個
*5は五角形の5、2は決まった数
【六角形の場合】
六角形の1番高い頂点から対角線を引いてみましょう。六角形の場合、1つの頂点から引くことのできる対角線の本数は3本です。このことによって、六角形は4つの三角形に分けることができます。したがって、六角形の場合、1つの頂点から引ける対角線の本数と対角線によって分けられる三角形の数は次のように考えることができます。
●1つの頂点から引ける対角線の本数
6-3=3本
*6は六角形の6、3は決まった数
●対角線によって分けられる三角形の数
6-2=4個
*6は六角形の6、2は決まった数
◯角形の1つの頂点から引ける対角線の本数と対角線によって分けられる三角形の数についてまとめると次のことがわかります。
●1つの頂点から引ける対角線の本数
(◯-3)本
●対角線によって分けられる三角形の数
(◯-2)個
ここで、多角形の内角の和について考えてみましょう。三角形の内角の和は180度です。このことをもとに考えると、四角形では対角線によって分けられる三角形の数は2個のため内角の和は180×2=360度となります。また、同様に五角形では対角線によって分けられる三角形の数は3個のため内角の和は180×3=540度となります。したがって、◯角形の内角の和は180×(◯-2)と表すことができます。
次に多角形の外角について考えます。231ページを見てみましょう。
外角とは多角形の辺のうち1本を延長すると、その直線と隣り合う辺との間に角ができます。この多角形の外側の角を「外角」といいます。外角の和はどのような多角形でも360度です。
231ページの例にある六角形のまわりにある外角を見てみましょう。真ん中にある六角形をどんどん小さくしてみましょう。すると6つの外角はだんだんと中心部に集まっていき、合わせると360度になります。三角形や四角形でも実際に書いてみましょう。
次に232、233ページを見てみましょう。ここでは多角形の対角線の本数を求めます。はじめに四角形の対角線の本数を書いてみましょう。232ページにある右上の四角形に対角線を書いてみますが、このとき、左上の頂点→左下の頂点→右下の頂点→右上の頂点というように左回りに順番に書くことを意識してみましょう。左上の頂点から4回の作業をして2本の対角線が引けたと思います。
そして、左上から右下に向かって引いた対角線と右下から左上に向かって引いた対角線が重なったこともわかったと思います。このように1つの頂点から順番に対角線を引いていくと、必ず重なる対角線があります。
五角形の対角線の本数は計算で求めてみましょう。230ページの「やってみよう!」で説明した通り、五角形の1つの頂点から引くことのできる対角線は5-3=2本です。したがって5個の頂点から引くことのできる対角線の本数は5×2=10本となります。
ここで、1つの頂点から順番に対角線を引くと、必ず重なる対角線があることに注意しましょう。重なる対角線は2本あるため、このことを考慮して、対角線の本数は10÷2=5本となります。
次に◯角形の対角線の本数を式にしてみましょう。五角形の場合を振り返ると◯角形の1つの頂点から引くことのできる対角線の本数((◯-3)本)と、頂点の個数(◯個)の積を求めることで、すべての頂点から引くことのでできる対角線の本数を求め、重複する対角線を考えて、すべての頂点から引くことのでできる対角線の本数を2で割ることで求めることができます。式で表すと、(◯-3)×◯÷2と表すことができます。
「学び3」では合同な三角形について説明します。2つの図形を、回転したり、移動したり、裏返したりすることによって、ぴったりと重ねることができるとき、それらの2つの図形は「合同である」といいます。次に三角形の合同条件について説明します。235ページの「やってみよう!」を見てみましょう。
①3つの辺の長さがそれぞれ等しい。
3つの辺の長さがそれぞれ等しい三角形は合同です。235ページの1番上の図の左側の三角形の辺の長さをはかって、右側に合同な三角形を書いてみましょう。
②2つの辺の長さとその間の角の大きさがそれぞれ等しい。
2つの辺の長さとその間の角の大きさがそれぞれ等しい三角形は合同です。235ページの真ん中の図の左側の三角形のBC、ABの辺の長さをはかり、その間の角度を同じにして図を完成させてみましょう。2辺の位置が決まると、ACの長さも自動的に決まります。
③1つの辺の長さとその両端の角の大きさがそれぞれ等しい。
1つの辺の長さとその両端の角の大きさがそれぞれ等しい三角形は合同です。1番下の図の左側の三角形のBCの辺の長さをはかり、その両端の角度を同じにして図を完成させてみましょう。BCの両端の角度が決まると、AB、ACの長さも自動的に決まります。知識を使う練習として239ページの問7を考えてみましょう。図に惑わされずに合同条件を確認していきましょう。
「学び4」では三角定規の角度と辺の長さについて学びます。236ページの1番上の三角定規が2つ組み合わさった図を見てみましょう。
左側の図形は形の同じ三角定規が組み合わさってできた正三角形です。左に置いてある三角定規を見てみましょう。1番高いところの角度が30度、左が60度、右が90度の直角三角形です。この三角定規は図のように、2つ組み合わせると正三角形を作ることができるため、「60度の三角定規」と呼ぶことにします。
図で正三角形の底辺を見てみましょう。底辺の長さは合同な2つの三角定規の1辺(この長さを1とします)を合わせた長さのため、1+1=2となります。正三角形の1辺の長さは等しいため、図の正三角形の他の辺の長さも2となります。あらためて三角定規の辺の長さを比べてみると1番長い辺は1番短い辺の長さの2倍となっています。60度の三角定規の内角の大きさと1番長い辺と1番短い辺の関係はとても重要です。必ず覚えましょう。
次に236ページの「やってみよう!」を説明します。半径が12cmの半円(中心角が180度のおうぎ形)があります。説明のためにアルファベットをつけていきます。半円の中心をO(オー)、半円の直径の左端をA、右端をBとします。また、図の半径12cm、中心角30度のおうぎ形のO、B以外の頂点をCとします。ここでは影のついた部分の面積を求めていきます。角AOCの大きさはABが直径のため180-30=150度となります。
影の部分の面積は半径12cm、中心角が150度のおうぎ形ACOの面積から三角形AOCを取り除くことで求めることができます。三角形AOCの底辺は12cmです。次に三角形AOCの高さを調べます。点Cから垂線をおろして、OBと交わる点をHとします。
すると、新たに直角三角形COBができます。直角三角形COHの角COHは30度です。角OCHは三角形の内角の和が180度であることから、180-(30+90)=60度となります。このことから直角三角形COBは60度の三角定規と同じ形です。直角三角形COHの1番長い辺のCOはおうぎ形COBの半径で12cmです。
したがって、直角三角形COHの1番短い辺のCHは1番長い辺のOCの半分で6cmとなります。CHは三角形AOCの高さです。したがって三角形AOCの面積は12×6÷2=36㎠となります。
また、おうぎ形ACOの面積は12×12×3.14×150/360=188.4㎠となります。したがって影のついた部分の面積は188.4-36=152.4㎠となります。このように図の1部に直角三角形を見つけたら、角度を調べると、三角定規と同じ形かどうかを知ることができます。三角定規と同じ角度の場合、三角定規の辺の長さの性質を使うことができます。
演習としては237ページから239ページは 必修です。さらに難度の高い問題に挑戦したい場合は241ページの問1、問2、242ページの問3、243ページの問5、244ページの問6、245ページの問11、246ページの問12も取り組んでみましょう。
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