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第12回は『流水算・通過算』です。流水算は、流れのある川を船が上り下りする場合の速度・時間・距離を考える問題です。また通過算は、電車が鉄橋やトンネルを通過する場合、また他の電車との出会いや追い越しをする場合の速度・時間・長さを考える問題です。なお、分数は、分子/分母の形で表します。また、帯分数は、(整数と分子/分母)の形で表します。
流水算では、説明上の用語として、川の流れの速さは「流れの速度」、流れのないところ(静水時)での船の速さは「静水時の速度」と表すことにします。速度に関しての基本は2つです。船が、川の流れの方向と同じ方向(下り)に進むときは、下りの速度=静水時の速度+流れの速度、川の流れと反対の方向(上り)に進むときは、上りの速度=静水時の速度-流れの速度 となります。予習シリーズ113ページにある説明図を参照してください。
「必修例題1」は、流水算の基本問題です。
(1) 40kmの距離を2時間30分(2.5時間)で上りますから、上りの速度は40km÷2.5時間=16km/時(時速16km)です。攻略ポイントに述べましたように、上りの速度=静水時の速度-流れの速度 ですから、20-16=4より、川の流れの速度は、4km/時です。
(2) 下りの速度=流水時の速度+流れの速度 ですから、下るときの速度は20+4=24km/時になります。40÷24=(1と2/3)より、2/3時間は、60分÷3×2=40分ですから、下りにかかる時間は、1時間40分となります。
時間から分への数値の変換がスムーズにできるようにしておきましょう。
「必修例題2」も、基本的な問題です。下りの速度と上りの速度から、静水時の速度、流れの速度を求める解き方を学習します。
下りの速度は、静水時の速度と流れの速度の和であり、上りの速度は、静水時の速度と流れの速度の差になっています。
和差算を利用して、静水時の速度=(上りの速さ+下りの速さ)÷2、流れの速度=(下りの速さ-上りの速度)÷2、で求めることができます。
上りの速度は、42km÷3時間=14km/時、下りの時間は、1時間45分=(1と3/4)時間ですので、下りの速度は、42km÷(1と3/4)時間=24km/時です。
よって、和差算により、静水時の速度は、(24+14)÷2=19km/時 です。また、流れの速度は、(24-14)÷2=5km/時 です。
「必修例題3」は、比を利用した流水算です。
AB間の距離は同じですから、時間比の逆比として速度比(下りと上りの速度比)を求め、この速度比から流れの速度を出します。ここで、実際数量の流れの速度=2.4㎞/時にあわせて、実際の下りの速度(上りの速度)を求めます。
下りと上りの速度比 1/25:1/45=9:5 ですから、下りの速度を9、上りの速度を5とすると、流れの速度=(9-5)÷2=2 で、これが2.4km/時にあたります。よって、下りの速度=9は、2.4÷2×9=10.8km/時 となります。A町からB町までの距離は、10.8km/時×25/60時間=4.5kmです。
比の値を使って速さの計算をする解法は頻繁に使いますので、確実に覚えて行きましょう。
「必修例題4」は、反対方向に進む2つの船Pと船Qをダイヤグラムに表した問題です。旅人算で学習したように、出会いの問題では、速度は船Pと船Qの上りと下りの速度の和になりますが、流水算では、下りの速度+上りの速度=(静水時の速度+流れの速度)+(静水時の速度-流れの速度)=静水時の速度+静水時の速度となりますので、解法上、流れの速度は関係しない、ということがこの問題のポイントになります。
(1) AB間の等しい距離を進みますので、時間が多くかかっているAからBが、上りということになります。
上りは、11-8=3時間かかっていますので、上りの速度は、36km÷3時間=12km/時、下りは、10-8=2時間かかっていますので、下りの速度は、36km÷2時間=18km/時です。よって、(12+18)÷2=15より、静水時の速度は15km/時、流れの速度は、(18-12)÷2=3より3km/時となります。
なお、下りの速度-静水時の速度=流れの速度となることから、15-12=3より、流れの速度は3km/時、と求めることもできます。
(2) グラフを見ながら解き進めていきましょう。船P、Qの静水時の速度は等しく、流れの速度は一定ですので、船P、Qそれぞれの上りの速度、下りの速度も等しくなります。また、両船が町に到着後の休みの時間も等しいので、船P、Qがそれぞれ往復する時間は等しくなります。ですから、2回目に出会ってから出発地点にもどるまでの時間は等しくなります。
出会ってから出発地点に到着するまでに、船P、Q合わせて36km進みますので、36km÷(12+18)km/時=1.2時間かかります。よって、下りの速度で、1.2時間かかる距離を求めればよいことになります。18×1.2=21.6より、A町から、21.6km離れたところです。
通過算は、例えば、電車の先頭や最後尾での点の動きを、動いた長さとして考えます。そこで、通過距離=電車の長さ+通過物体(鉄橋、トンネル、他の電車)の長さとして考えることがポイントになります。また、速度単位について、問題文では時速〇kmで与えられますが、問題を解く上では、秒速△mを使用することがほとんどですので、単位換算ができるようにしておきましょう。
「必修例題5」は、通過算の基本問題です。90km/時は、90km=90000m、1時間=3600秒ですから、90000÷3600=25m/秒(秒速25m)です。また、通過算の成り立ちをより明確に理解するために、予習シリーズ117ページの解き方にある図を参照してください。
(1) 通過物体である電柱の幅(長さ)は考えませんので、通過距離は、電車の長さそのものとなります。25×8=200より、電車の長さは、200mです。
(2) 通過距離は、電車の長さにトンネルの長さを加えた、200+1750=1950mですから、1950÷25=78より、トンネルを通りぬけるのに78秒かかります。
「必修例題6」は、2つの電車が、すれちがったり、追いこしたりする、電車の旅人算です。これらの場合の通過距離は、2つの電車の長さの和になります。2つの電車の進む方向が反対でも、同じでも、通過距離は、2つの電車の和になることに注意してください。予習シリーズ117ページの解き方にある図を参照してください。
(1) A列車の速度は、54km/時=15m/秒、B列車の速度は、90km/時=25m/秒です。すれちがい、つまり反対方向に進む場合の問題ですから、速度は、A、Bの速度の和になります。(180+100)÷(15+25)=7より、7秒かかります。
(2) C列車の速度は、72km/時=20m/秒です。追いつき追い越す、つまり同じ方向に進む問題で、時間が70秒かかりますので、(120+160)÷70=4より、速度の差は4m/秒です。よって、D列車の方が遅いので、20-4=16m/秒です。これを時速に直します。16×60×60÷1000=57.6より、D列車の時速は、57.6km/時です。
流水算・通過算は、公式的なものが複雑ですので、しっかり理解してください。また、単位換算にも十分気を付けてください。
第12回は『消去算』です。大きさのわからない数量(=未知数といいます)が2つある問題で、一方の数量の数をそろえて消し去る(消去する)ことにより、残ったもう一方の数量の関係から未知数の片方を求める問題です。消去する方法は2通り(加減法・代入法)あります。具体的に問題を使って説明します。まずは、式を使って問題内容を整頓します。
「必修例題1」では、大=大人1人分の入園料、子=子ども1人分の入園料として、
大×1+子×4=440円…A
大×2+子×5=700円…B
と整頓します。
次に、Aの式全体を2倍して、大人を2人分にそろえます。つまり、
大×2+子×8=880円…A×2
大×2+子×5=700円…B
として、2つの式をくらべます。
880円と700円の差は子ども8人分と5人分の違いです(大×2に差は出ません)。よって、(880-700)÷(8-5)=60より、子ども1人分の入園料は60円となります。そこで、子ども1人分の入園料60円をAの式に代入(代わりに入れる)して、440-60×4=200より、大人1人分の入園料は、200円と求められます。
このように、子どもの入園料分だけで考えられるように、一方の数量(人数をそろえた大人の分の入園料)を引いて(加える場合もあり)なくす方法を、加減法といいます。
「必修例題2」も加減法ですが、数量をそろえる場面で最小公倍数を利用するところがポイントです。
ボ=ボールペン1本の値段、え=えんぴつ1本の値段として、
ボ×2+え×7=790円…A
ボ×3+え×5=800円…B
と整頓します。
ボールペンの本数を2と3の最小公倍数である6本にそろえます。そのためには、Aの式全体を3倍、Bの式全体を2倍します。
ボ×6+え×21=2370円…A×3
ボ×6+え×10=1600円…B×2
となります。
この2つの式から、(2370-1600)÷(21-10)=70より、えんぴつ1本の値段は70円と求められます。また、この70円をAの式に代入して、 (790-70×7)÷2=150より、ボールペン1本の値段は150円です。
2つの式をたてに並べてかくことで、どの部分が共通しているかがわかりやすくなります。
「必修例題3」では、ジ=ジュース1本の値段、ケ=ケーキ1個の値段として、
ジ×3+ケ×1=420円…A
ケ×1=ジ×1+60円…B
と整頓します。
次に、Aの式のケーキ1個の金額をBの関係(ケ×1=ジ×1+60)を使って、ジュースの金額に変えます。
Aの式は、ジ×3+ケ×1=ジ×3+ジ×1+60 となり、まとめると ジ×(3+1)+60=420 です。よって、(420-60)÷4=90より、ジュース1本は90円と求められます。また、Bの式から、90+60=150より、ケーキ1個の値段は150円です。
このように、ケーキの値段の代わりにジュースの値段を利用して表す(代わりに式に代入する)方法を、代入法といいます。この代入法は、少し難しく感じるかもしれませんので、基本的な問題をいくつか続けて解くことをおすすめします。
「必修例題4」では、リ=リンゴ1個の値段、メ=メロン1個の値段として、
リ×3+メ×2=1040円…A
メ×1=リ×2+100円…B
と整頓します。
Bの式から、Aの式の メ×2の部分は (リ×2+100)×2=リ×4+200 となります(計算法則の中の分配のきまり)。結果、Aの式は リ×3+リ×4+200=1040 で、まとめると、リ×7+200=1040となります。
よって、 (1040-200)÷7=120より、リンゴ1個の値段は120円です。そこで、Bの式から、120×2+100=340より、メロン1個の値段は340円と求められます。
消去算は、問題内容を式に表すことが大切です。特に代入法は途中式もしっかり書くことを心がけてください。
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